火災通報装置の点検と聞くと、押しボタンを押して119番につながるかを見る場面を思い浮かべがちです。
ところが点検の基準には、通話中の電話回線に割り込めるかや、電話回線を捕捉せずに音を聞くといった、実際の通報とは少し違う確認項目が並んでいます。
通報音や呼返しの基準は既に別の記事で扱っているので、ここではそれ以外の機能の確かめ方を見ます。
この記事では、優先通報・手動起動装置優先・通報頭出し・モニターの4つの機能を、点検でどう確認するかを整理します。
火災通報装置の点検は、押しボタンを押して通報できるかを見れば足りるのではないですか。
それは起動機能の確認で、機能の一部にすぎません。
点検の基準には、他にも確かめる機能が並んでいます。
電話が使われている最中に火災が起きたら、どうなるのでしょうか。
その場面を想定した項目が優先通報機能です。
順番に見ていきましょう。
- 優先通報機能は、電話回線を通話中の状態にして起動し、通話中の回線が強制的に発信可能な状態になることを確かめます。
- 手動起動装置優先機能は、連動起動で蓄積音声情報を送出している間に手動起動装置を操作し、手動操作の蓄積音声情報が送出できることを見ます。
- 通報頭出し機能は、蓄積音声情報が常に冒頭から始まるか、一区切りを全て聞き取れる措置がされているかが判定です。
- モニター機能は、電話回線を捕捉せずに、選択信号の信号音と蓄積音声情報をモニター用スピーカーで確認します。
- 点検の前には、回線の種別と試験装置と連動停止スイッチの電池交換期限を確かめ、点検票の備考欄に残します。
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目次
優先通報機能の点検では通話中の電話回線で何を確かめるのか

その回線が別の電話で使われているときにも通報できなければ、装置を置いた意味が薄れてしまいます。
第三 火災通報装置の構造、性能等
二 発信の際、火災通報装置が接続されている電話回線が使用中であった場合には、強制的に発信可能の状態にすることができるものであること。
火災通報装置が接続されている電話回線を通話中の状態にし、手動起動装置の操作又は連動起動機能(自動火災報知設備と連動する火災通報装置に限る。)により起動させて確認する。
通話中の電話回線が強制的に発信可能な状態になること。
確かめ方は、装置が接続された電話回線を通話中の状態にしておき、手動起動装置を操作する(連動する装置なら連動起動でもよい)というものです。
判定は、通話中の回線が強制的に発信可能な状態になることです。
手動起動装置を押して起動するか、連動起動するかを見る「起動機能」とは、別の項目として並んでいます。
この機能の基準そのものは、火災通報装置の基準(消防庁告示)が定めています。
通話中の電話がなければ、この項目は確認しなくてよいのですか。
確認は、わざと通話中の状態を作って行います。
電話が空いているときに押しても、この機能は試せません。
連動起動と手動起動が重なったときは何を確かめるのか

両方が重なったときの動きも、基準と点検の項目に入っています。
第三 四の二 連動起動機能により蓄積音声情報を送出している間に手動起動装置が操作された場合に、直ちに又は一区切りの蓄積音声情報が送出された後、次号(二)イ及び(三)イの蓄積音声情報を送出すること。
(自動火災報知設備と連動する火災通報装置に限る。)
連動起動機能により起動させ、蓄積音声情報を送出している間に手動起動装置を操作して確認する。
手動起動装置を操作後、直ちに又は連動起動機能による一区切りの蓄積音声情報を送出した後、手動起動装置の操作による蓄積音声情報が送出できること。
対象は、自動火災報知設備と連動する火災通報装置に限られます。
判定は、押した後に直ちに、または連動起動の一区切りを送出した後に、手動操作の蓄積音声情報が送出できることです。
連動起動は「自動火災報知設備が作動した」旨、手動起動は「火災である」旨と、伝える内容が違います。
通報音と音声の違いそのものは、通報音と蓄積音声情報の記事で扱っています。
連動で音声を流している最中に、人が手動で押したらどうなるのですか。
基準は、手動操作の音声が直ちに、または一区切りの後に出ることを求めています。
点検でも、その順で確かめます。
通報頭出し機能では蓄積音声のどこを確かめるのか

途中から流れ始めてしまうと、受けた側は肝心の冒頭を聞き逃します。
第三 四 蓄積音声情報は、選択信号送出後、自動的に送出されることとし、蓄積音声情報の送出は、常に冒頭から始まること。ただし、一区切りの蓄積音声情報を全て聞き取ることができるよう措置されているときは、この限りでない。
手動起動装置の操作及び連動起動機能(自動火災報知設備と連動する火災通報装置に限る。)により起動させて、試験装置の消防機関側の電話機で確認する。
蓄積音声情報が、常に冒頭から始まるか又は一区切りの蓄積音声情報を全て聞き取ることができるよう措置されていること。
手動起動でも連動起動でも、試験装置の消防機関側の電話機で蓄積音声情報を聞いて確かめます。
判定は、音声が常に冒頭から始まるか、または一区切りを全て聞き取れるよう措置されていることです。
なお、一区切りの蓄積音声情報は30秒以内と基準に定められています。
蓄積音声情報の内容が適切かどうかは、別の項目として並んでいます。
音声が途中から始まっていても、最後まで流れれば問題ないのですか。
基準は常に冒頭から始まることを原則にしています。
例外は、一区切りを全て聞き取れる措置がある場合です。
モニター機能はなぜ電話回線を捕捉せずに確かめるのか

装置の側でその音を聞けるようにするのが、モニター機能です。
第三 六 蓄積音声情報等の送出の確認は、次によること。
(一)選択信号を電話回線に送出している間、その信号音をモニター用スピーカーで確認できること。
(二)蓄積音声情報を電話回線に送出している間、その音声等をモニター用スピーカーで確認できること。
電話回線を捕捉せずに手動起動装置の操作及び連動起動機能(自動火災報知設備と連動する火災通報装置に限る。)による起動で確認する。
選択信号の信号音及び蓄積音声情報の内容をモニター用スピーカーで確認できること。
手動起動装置を操作して、選択信号の信号音と蓄積音声情報の内容が、モニター用スピーカーで確認できることが判定です。
点検要領は一般的留意事項で、当該火災通報装置に適応した試験装置を使うことも求めています。
消防機関側の電話機で聞く頭出しの確認とは、聞く場所が違う項目です。
電話回線を捕捉しないのに、音はどうやって確かめるのですか。
装置に付いているモニター用スピーカーで聞きます。
信号音と音声の両方が判定の対象です。
点検の前に回線の種別と試験装置と電池の何を確かめておくのか

四つとも、点検票の備考欄へ残す内容が中心です。
(1)アナログ回線に接続されていることを確認するとともに、火災通報装置の回線切替スイッチ等が接続されている回線種別(ダイヤル回線10パルス、同20パルス又はプッシュ回線)に適合していることを確認し、点検票の備考欄に詳細を記載すること。
(2)回線の契約形態の変更等により(1)に適合していない場合は、点検票の備考欄に変更内容を記載すること。
(3)点検に際しては、当該火災通報装置に適応した試験装置を使用すること。
(4)連動停止スイッチの電源が電池から供給されているものについては、電池交換期限等を確認し、点検票の備考欄に記載すること。
回線は、アナログ回線であることと、切替スイッチ等が回線種別に適合していることを確認し、備考欄に書きます。
契約の形態が変わって適合しなくなったときは、変更内容を備考欄へ記載します。
連動停止スイッチが電池式なら、電池交換期限を確認して記載します。
固定電話のIP網への移行は、IP網移行の記事で、連動停止の扱いは連動の記事で、呼返しの点検は呼返しの記事で解説しています。
回線の契約を変えたときは、点検票にどう残せばよいのですか。
適合しなくなった場合は、変更内容を備考欄に記載します。
種別に適合しているときも、詳細を備考欄に書きます。
よくある質問
まとめ
まず通話中の回線への割り込みから試してみることにします!
その順番なら、見落としが減ります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第25条(消防機関へ通報する火災報知設備に関する基準)
- 火災通報装置の基準(平成八年消防庁告示第一号)
- 消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件(昭和50年消防庁告示第14号)別表第13
- 消防用設備等の点検要領の全部改正について(平成14年消防予第172号) 第13 消防機関へ通報する火災報知設備
※本記事は公表されている法令、告示および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。点検要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。





