粉末消火設備の点検には、標識と表示灯を見る項目がいくつもあるのをご存じでしょうか。
手動起動装置の標識、消火剤が放出された旨の表示灯、退避を呼びかける警報の標識は、それぞれ寸法や色まで決められています。
消防庁の点検要領には、その大きさと色が図で示されています。
この記事では、三つの表示物と警報音の確かめ方を、点検要領の判定文をもとに整理します。
粉末消火設備の点検って、消火剤や容器を見るだけではないのですか。
容器や配管のほかに、標識や表示灯が正しく付いているかも見ます。
まず全体像から見ていきましょう。
標識や表示灯にも、大きさや色の決まりがあるのですか。
点検要領は、三つの表示物について寸法と色を図で示しています。
順番に見ていきましょう。
- 点検要領は、粉末消火設備の三つの表示物に寸法と色を示しています。
- 手動起動装置の標識は、横300mm以上、縦100mm以上で、生地は赤色、文字は白色とされています。
- 放出表示灯は、横280mm以上、縦80mm以上で、常時は白色、点灯時は生地が白色、文字が赤色で表示します。
- 退避を呼びかける警報の標識は、横480mm以上、縦270mm以上で、生地は黄色、文字は黒色です。
- 警報音は、警報装置から約1メートル離れた位置で、90dB以上(音声警報はスピーカーから92dB以上)を確かめます。
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目次
粉末消火設備の点検では標識と表示灯のどこを見るのか

その中で、寸法と色まで図で示されているのは、次の三つです。
| 表示物(点検要領の図) | 寸法 | 色 |
| 手動起動装置の標識(第8-3図) | 横300mm以上、縦100mm以上 | 生地は赤色、文字は白色 |
| 放出表示灯(第8-4図) | 横280mm以上、縦80mm以上 | 常時は白色、点灯時は生地が白色で文字が赤色、本体は赤色 |
| 退避警報の標識(第8-5図) | 横480mm以上、縦270mm以上 | 生地は黄色、文字は黒色 |
点検では、これらが付いているかだけでなく、損傷、脱落、汚損がないかも見ていきます。
寸法は「以上」と書かれているので、点検の当日は最低限の大きさを満たしているかを確かめる形になります。
二酸化炭素消火設備の標識は二酸化炭素消火設備の標識の記事で、粉末消火設備の起動の仕組みは粉末消火設備の起動の記事で整理しています。
だから今日の点検では、まず自分の設備に三つの表示物がそろっているかを見てみましょう。
三つの表示物は、どれも全域放出方式に必要なのですか。
三つの表示物が、どの放出方式で必要かまでは、この項目の文言に書かれていません。
自分の設備の方式は、設計図書で確かめましょう。
手動起動装置の標識は何を確かめるのか

点検要領は、その装置の表示と、標識の寸法と色を並べています。
(点検方法)目視により確認する。
(判定方法)ア 損傷、脱落、汚損等がないこと。 イ 起動装置の直近の見やすい箇所に「手動式起動装置」の表示が適正にされていること。 ウ 起動装置又はその直近に防護区画名又は防護対象物名及び取扱方法、保安上の注意事項等の表示が適正にされていること。
(a)寸法 A:300mm以上 B:100mm以上 (b)生地は赤色であること。 (c)文字は白色であること。
消防法施行規則第21条第4項第14号は、起動装置について、第19条第5項の手動式の基準の例によると定めています。
その第19条第5項第15号ホは、起動装置の外面を赤色とすることを求めています。
点検要領は、操作箱の赤色の塗装のはく離、汚損がないかも判定に含めています。
だから点検では、標識の大きさや文字の色だけでなく、操作箱そのものの赤色の状態も見ておきましょう。
標識のほかに、手動起動装置で見る表示はありますか。
起動装置又はその直近に、防護区画名や取扱方法、保安上の注意事項の表示があるかも見ます。
規則の第19条第5項第15号チにも、同じ趣旨の定めがあります。
放出表示灯には何が書かれていてどう光るのか

規則の定めと、点検要領の図を、順に見てみましょう。
全域放出方式のものには、第十九条第五項第十九号イ(イ)、(ロ)及び(ニ)に規定する保安のための措置を講じること。
防護区画の出入口等の見やすい箇所に消火剤が放出された旨を表示する表示灯を設けること。
(点検方法)スイッチ等の操作により確認する。
(判定方法)著しい劣化等がなく、正常に点灯又は点滅すること。
第8-4図 (a)寸法 A:280mm以上 B:80mm以上 (b)常時は生地、文字とも白色であること。 (c)点灯時は生地が白色、文字が赤色で表示すること。 (d)本体の色調は赤色であること。
図には、上段に「粉末消火剤充満」、下段に「危険・立入禁止」の文字が描かれています。
寸法は横280mm以上、縦80mm以上で、本体の色調は赤色とされています。
この表示灯は、点検要領では手動式起動装置の項目に「表示灯」として並んでいます。
全域放出方式の総合点検では、放出表示灯が確実に点灯又は点滅することも判定に含まれています。
だから点検では、スイッチの操作で点灯を確かめたうえで、劣化や汚れで文字が読み取れなくなっていないかも見ておきましょう。
放出表示灯は、消火剤が放出されなければ点灯しないのですか。
点検では、スイッチ等の操作により点灯又は点滅を確認します。
実際に放出しなくても、表示灯側の動作を確かめられる作りです。
退避を呼びかける警報の標識はどんな寸法と文言か

点検要領は、標識が必要な場所に付いているかと、文言、寸法、色までを示しています。
(点検方法)目視により確認する。
(判定方法)ア 変形、損傷、脱落等がないこと。 イ 警報装置に適した標識が必要な場所に設けられており、損傷、脱落、汚損等がないこと。 ウ 常時人のいない防火対象物又は局所放出方式以外は、音声による警報装置であること。
①警報装置が音声の場合 「ここには粉末消火設備を設けています。消火剤を放出する前に退避指令の放送を行います。放送の指示に従い室外へ退避して下さい。」
(a)寸法 A:480mm以上 B:270mm以上 (b)生地は黄色、文字は黒色であること。 (c)字体は丸ゴシック体であること。 (d)1文字25平方ミリメートル以上。
②警報装置がサイレン、ベル等の場合 「ここには粉末消火設備を設けています。消火剤を放出する前にサイレンが鳴ります。ただちに室外へ退避して下さい。」(寸法、生地、文字、字体等は①に同じ。音響警報装置がベルのときは、文中の「サイレン」を「ベル」と書き替える。)
文言は、警報が音声のときと、サイレンやベルのときで書き分けられています。
字体は丸ゴシック体、文字の大きさは1文字あたり25平方ミリメートル以上と、細かい指定まで含まれています。
音声による警報装置とするかどうかは、点検要領のウにあるとおり、常時人のいない防火対象物か局所放出方式かで分かれます。
だから点検では、警報の方式を先に確かめてから、標識の文言が方式と合っているかを見ていきましょう。
警報がベルの設備では、標識の文言はどうなりますか。
サイレン用の文言の「サイレン」を、「ベル」に書き替えると点検要領に書かれています。
寸法、生地、文字、字体はそのままです。
警報の音はどこで何デシベルを確かめるのか

点検要領は、音響警報と音声警報を分けて、測る位置と基準の音圧を示しています。
(点検方法)(1)感知器又は手動式起動装置の警報操作を行い確認する。(2)音圧は騒音計(A特性)により確認する。
(判定方法)ア 正常に鳴動し、音圧は警報装置より約1m離れた位置で90dB以上であること。 イ 警報系統に誤りがないこと。
(点検方法)音響警報と同じ要領で2回以上行うことにより確認する。
(判定方法)ア 正常に鳴動し、音圧はスピーカより約1m離れた位置で92dB以上であること。 イ 警報系統に誤りがないこと。 ウ 起動したとき音声警報は、必ずサイレン音等の注意音が発せられ、次に退避を呼びかける音声内容となっていること。
音声警報は、音響警報と同じ要領で2回以上行って確認する点も特徴です。
判定には、音声警報が注意音のあとに退避を呼びかける内容になっていることも含まれます。
規則第19条第5項第17号は、警報装置が自動的に警報を発し、消火剤の放射前に遮断されないことを求めています。
だから点検では、測る位置を約1メートルにそろえ、騒音計の特性もA特性で統一して記録しておきましょう。
音の大きさは、耳で聞いて判断してよいのですか。
点検要領は、音圧を騒音計(A特性)で確認すると書いています。
耳の感覚ではなく、測った数値で判定します。
よくある質問
まとめ
まず自分の設備の三つの表示物がそろっているかを見て、点検の段取りを決めます!
標識と表示灯は、寸法と色と光り方まで見て初めて確かめたといえます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第31条の6(消防用設備等の点検及び報告)、第21条(粉末消火設備に関する基準)、第19条(不活性ガス消火設備に関する基準)
- 消防法施行規則の規定に基づき、消防用設備等又は特殊消防用設備等の種類及び点検内容に応じて行う点検の期間、点検の方法並びに点検の結果についての報告書の様式を定める件(平成16年消防庁告示第9号)
- 消防用設備等の点検要領(消防庁通知) 第8 粉末消火設備
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。点検要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。





