地震後の点検で、自家発電設備のブラシ取付部とリード線に緑色の腐食が見つかりました。
始動できそうに見えても、そのまま試運転してよいのか迷う場面です。
消防庁の劣化点検資料には、塩害によってブラシ取付部ホルダとリード線が腐食した事例が示されています。
運転を保留し、発電機内部と導電部を専門点検してから復旧を判断します。
端子の周りが緑色です。
始動して確認してええですか。
始動せず発見時の状態を残します。
表面を拭けば戻せますか。
接触部と絶縁状態まで確認します。
- 腐食を見つけたら運転を保留します
- 位置と色と湿りと発見時刻を記録します
- ブラシ取付部と導電部を専門点検します
- 停止中は代替電源と防火上の措置を実施します
- 整備後は管理下の試験で復旧を決めます
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目次
地震後にブラシ取付部の腐食を見つけたら運転してよいのか

結論は、施設側の判断だけで始動しないことです。
腐食が表面に限られるのか、接触抵抗や絶縁性能へ影響しているのかは、外観だけでは決められません。
消防庁の劣化点検資料には、設置後二十七年の屋内型自家発電設備で、ブラシ取付部ホルダとリード線が塩害で腐食した事例が掲載されています。
同じ資料は、蓄電池の電圧低下やゴムホースの硬化など、複数箇所の劣化も示しています。
消防庁の点検要領は、原動機と発電機に変形、損傷、脱落、漏れ、腐食がないこと、出力端子と保護カバーに腐食がないことを確認項目にしています。
導電部周辺の乾燥状態と汚損も含めて確認し、復旧を判断します。
見える部分だけでは決められへんのですね。
通電前に専門点検へつなぎましょう。
どの発電機と導電部を確認対象にするのか

ブラシ取付部は、すべての発電機に同じ形で備わるわけではありません。
まず完成図書、結線図、取扱説明書、整備要領書で、機種と励磁方式、点検対象の位置を確認します。
- ブラシ、ブラシホルダ、ばね、取付金具
- 編組リード線、接続端子、締結部
- スリップリングと接触面
- 発電機の巻線部と導電部周辺
- 出力端子、保護カバー、接地線
- キュービクルの扉、換気口、雨水侵入防止部
- 非常電源を受ける消防用設備と停止中の代替措置
ブラシレス方式なら、存在しない部品を点検対象にしません。
一方で、巻線部、導電部、出力端子の腐食と湿りは方式に応じて確認します。
どの発電機にもブラシがあるんですか。
方式を図書で確かめます。
腐食の発見から運転保留と専門点検までどう進めるのか

発見時の状態を変えず、運転保留から専門点検へ引き継ぎます。
- 発熱、焦げ臭、放電音、水の侵入がないか安全な範囲で確認する
- 始動と再投入を保留し、操作禁止を周知する
- 腐食の位置、色、広がり、湿り、発見時刻を記録する
- 防火管理者、電気主任技術者、建物管理者、保守事業者へ連絡する
- 停止で影響する消防用設備と代替措置を確認する
- 有資格者が内部、導電部、絶縁状態を点検し必要な整備を行う
- 整備後に管理下で試験し復旧責任者が承認する
停止中でも端子や回路が充電されている可能性があります。
施設担当者がカバーを開け、端子を磨き、締め直し、絶縁抵抗を測定しません。
非常電源が使えない間は、消防用設備への影響を整理します。
代替電源、巡回、火気制限、所轄消防署への相談を消防計画とBCPに沿って実施します。
拭く前に写真と状態を残すんですね。
触らず専門家へ引き継ぎます。
表面の腐食だけ落とすと何を見落とすのか

見える腐食を落としても、塩分や水分の侵入経路が残れば再発するおそれがあります。
接触面、編組線の内部、ばね圧、スリップリング、絶縁部まで専門家が確認します。
- 表面だけ磨いて始動する
- 腐食した端子を施設側で締め直す
- 雨水や塩分の侵入経路を確認しない
- 導電部周辺の湿りや汚損を見落とす
- 絶縁抵抗や接触状態を確認しない
- 無負荷で始動できただけで復旧扱いにする
- 停止中に使えない消防用設備を共有しない
点検要領は、巻線部と導電部周辺にじんあいや油脂による汚損がなく、乾燥していることも求めています。
見た目がきれいになったことと、発電性能が回復したことは別です。
整備後は、異臭、不規則音、異常振動、過熱がなく、電圧と周波数などが製造者の指定範囲にあることを確認します。
消防用設備への給電確認と復旧承認まで記録へ残します。
きれいに見えるだけでは足りへんのですね。
侵入原因と電気性能まで確かめます。
明日から発電機内部の腐食にどう備えるのか

災害後に初めて方式や点検口を調べると、運転保留と代替措置の判断が遅れます。
正常時の導電部、端子、キュービクル内部の写真を平常時にそろえます。
- 完成図書で発電機の方式と点検対象を確認する
- 正常時の内部外観と乾燥状態を記録する
- 塩害、雨水、結露が起こりやすい場所を台帳へ残す
- 腐食、湿り、焦げ臭、異音の運転保留基準を決める
- 施設側が触れてよい範囲を巡回票へ明記する
- 電気主任技術者と保守事業者への連絡順を決める
- 代替措置、専門点検、試験、復旧承認を訓練する
運転保留から代替措置、専門点検、復旧承認までを一枚の手順書にします。
消防計画の初動とBCPの事業継続をつなぐ担当者も決めます。
正常時の内部写真を台帳へ入れます。
停止中の代替措置まで決めましょう。
よくある質問
まとめ
正常時の乾燥状態を残します。
導電部を安全に管理しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第17条・第17条の3の3
- 総務省消防庁 自家発電設備の基準 昭和48年消防庁告示第1号
- 総務省消防庁 別表第24 非常電源 自家発電設備の点検の基準
- 総務省消防庁 消防用設備等の点検要領 第24 非常電源 自家発電設備
- 総務省消防庁 自家発電設備・消火ポンプ等の劣化点検
- 総務省消防庁 自家発電設備の点検基準等の改正
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令、告示、点検基準、公的資料に基づく一般的な解説です。自家発電設備のブラシ取付部やリード線に腐食が見つかった場合は、施設側でカバーを開け、清掃、締め直し、測定、試運転をせず、設備仕様を把握した専門業者へ相談してください。発熱、焦げ臭、放電音、煙など緊急性がある場合は設備へ接近せず、施設の緊急手順と消防機関の指示を優先してください。個別の点検、整備、試験、代替措置、復旧判断は、設備の仕様と被害状況に応じて所轄消防署、電気主任技術者、消防設備業者、建物管理者へご確認ください。





