BLOG

特定駐車場用泡消火設備の試験結果報告書にはどんな数値が入るのか|水源40立方メートルとポンプの実測値を解説

特定駐車場用泡消火設備の試験結果報告書にはどんな数値が入るのか|水源40立方メートルとポンプの実測値を解説

特定駐車場用泡消火設備は、通常の泡消火設備とは別の省令で設置・維持の基準が定められている専用の設備です。
試験結果報告書には、水源の容量からポンプの仕様、泡消火薬剤の貯蔵量、放射試験の実測値まで、具体的な数字を書き込む欄が並んでいます。
これらの数値は現場ごとにばらばらに決まるのではなく、省令と告示がそれぞれの算定方法を定めています。
今回は特定駐車場用泡消火設備の試験結果報告書に実際どんな数値が書き込まれるのか、放射試験の値が場所によって違う理由もあわせて解説します。

駐車場の泡消火設備の報告書にも、細かい数値が入るんですか。

はい、水源やポンプの仕様まで書き込みます。

放射試験の数値まで、場所ごとに変わるんですか。

はい、配管の高低差や摩擦損失で変わります。

この記事の結論
  • 特定駐車場用泡消火設備は通常の泡消火設備とは別の専用省令で設置・維持の基準が定められている
  • 記載例ではポンプの定格吐出量1,300リットル毎分・定格全揚程65メートルという実測値が記録されていた
  • 泡消火薬剤の貯蔵量は水成膜泡消火薬剤250リットル・希釈容量濃度3%という組み合わせだった
  • 放射試験は階や測定場所によって放射圧力・放射量の実測値が異なる
  • これらの数値は試験結果報告書に記入され、消防検査で設計図書と照合される

▼

特定駐車場用泡消火設備の試験結果報告書にはどんな数値が入るのか

特定駐車場用泡消火設備の試験結果報告書には何が書き込まれるのか

特定駐車場用泡消火設備の試験結果報告書とクリップボード
特定駐車場用泡消火設備は、床面積や天井の高さで対象が決まる駐車場に設ける専用の泡消火設備です。
通常の泡消火設備の基準ではなく、独立した省令で設置・維持の基準が定められています。
問1 特定駐車場用泡消火設備の試験結果報告書は、どのような様式で作成するか。
答1 第一項第一号の規定による消防用設備等試験結果報告書の様式は、消防用設備等ごとに消防庁長官が定める。(消防法施行規則第31条の3第5項)
特定駐車場用泡消火設備にも専用の試験結果報告書の様式が用意されています。
根拠となる基準は「特定駐車場における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令」(平成26年総務省令第23号)で、通常の泡消火設備(消防法施行令第29条の4第1項)に代えて用いることができる代替設備という位置づけです。
省令は閉鎖型泡水溶液ヘッド・感知継手・一斉開放弁などの組み合わせで8つの型式に分けていますが、いずれの型式でも共通するのが水源・ポンプ・泡消火薬剤貯蔵量・配管の各欄です。
今回は実際の記載例に書き込まれた具体的な実測値を、欄ごとに見ていきます。

普通の泡消火設備とは、別の基準になるんですね。

はい、代替設備という専用の省令があります。

水源とポンプにはどんな実測値が入るのか

地下駐車場に設置された水源水槽と加圧送水ポンプ
報告書には、水源の容量とポンプの仕様が実測値として書き込まれます。
ここが不足していると、そもそも泡水溶液を必要な時間放射し続けられません。
問2 特定駐車場用泡消火設備の加圧送水装置は、どの規定に従って設けるか。
答2 加圧送水装置は、規則第十八条第四項第九号の規定に準じて設けること。(特定駐車場における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令第四条第九号)
加圧送水装置はポンプの全揚程を末端の必要圧力から逆算して決めます。
ある記載例では、用途(5)項イ・延べ面積26,345平方メートル・地上7階地下4階の建物で、水源40立方メートル、ポンプは定格吐出量1,300リットル毎分・定格全揚程65メートルという数値が記録されていました。
起動用水圧開閉装置は設定圧力0.6MPa・作動圧力0.6MPaと同じ値が並んでいて、圧力が下がった瞬間にポンプが立ち上がる設計だと分かります。
電動機はかご型200V・定格電流150A・出力30kVAで、締切運転時の圧力(85メートル)と定格負荷運転時の圧力(65メートル)の両方を報告書で確認できます。

設定圧力と作動圧力が同じ数値なのは、珍しいんですか。

いいえ、現場ごとの設計次第で変わります。

泡消火薬剤の貯蔵量はどうやって確かめるのか

水成膜泡消火薬剤の貯蔵タンクと配管
泡消火薬剤の貯蔵量は、水源の量にそのまま比例するわけではありません。
薬剤の種類ごとに定められた希釈容量濃度を掛け合わせて決まります。
問3 特定駐車場用泡消火設備の泡消火薬剤の貯蔵量は、どのように定めるか。
答3 泡消火薬剤の貯蔵量は、第二号イに定める泡水溶液の量に、消火に有効な泡を生成するために適した泡消火薬剤の希釈容量濃度を乗じて得た量以上の量とすること。(同省令第四条第五号)
貯蔵量は「必要な泡水溶液の量」に「希釈容量濃度」を掛けて求めます。
先ほどの記載例では、泡消火薬剤は水成膜泡消火薬剤・希釈容量濃度3%・貯蔵量250リットルという数値が記入されていました。
配管の耐圧試験は1.2MPaという結果でしたが、これは消防法施行規則第12条第1項第6号の一般則(最高使用圧力の1.5倍以上の水圧を2分間保持して漏れがないこと)を、この現場の最高使用圧力に当てはめた数値です。
希釈容量濃度は薬剤ごとに消防庁長官が定めており、同じ水量でも薬剤を変えれば貯蔵量の数字は変わります。

250リットルという数字だけ見ても、多いか少ないか分かりません。

はい、水量と希釈容量濃度の掛け算で確認します。

放射試験の数値はなぜ階によって違うのか

複数の階で行われる泡消火設備の放射試験
総合試験(放射試験)は、設計どおりに泡が放射されるかを実際に確かめる試験です。
同じ系統でも、測定する場所によって数値は同じにはなりません。
問4 特定駐車場用泡消火設備は、省令に定める基準のほかどんな基準に適合しなければならないか。
答4 第四条から第九条までに定めるもののほか、特定駐車場用泡消火設備は、消防庁長官が定める設置及び維持に関する技術上の基準に適合するものでなければならない。(同省令第十条)
放射試験の合否は、消防庁長官が定める告示の基準に照らして判断します。
先ほどの記載例では、総合試験の希釈容量濃度3.1%・発泡倍率6倍・25%還元時間95秒という数値に加えて、1階は放射圧力0.25MPa・放射量136リットル毎分、地下1階南側は放射圧力0.3MPa・放射量143リットル毎分と、測定場所ごとに違う数値が記録されていました。
これは配管の高低差や摩擦損失によって、ポンプから遠い場所や低い場所では圧力の伝わり方が変わるためで、加圧送水装置はもっとも条件の厳しい末端を基準に設計されています。
だから報告書を見るときは、1つの数値だけでなく測定場所ごとの数値をあわせて確認する必要があります。

場所によって数値が違うのは、施工不良ではないんですか。

いいえ、配管の高低差による自然な差です。

報告書を受け取ったらどこを確認すればよいか

試験結果報告書と設置届出書を照合する書類一式
ここまでの数値は、書いて終わりではありません。
試験結果報告書は設置届出書に添付され、消防検査の場面で改めて活用されます。
問5 検査は、どのように行われるか。
答5 検査は、防火対象物の関係者から提出された設置届出書(添付された設計図書、試験結果報告書を含む。)と照合しながら行われる。(消防庁「消防用設備等の試験基準に係る運用について」〈平成14年消防予第283号〉記3(1)ア)
報告書は設計図書と照合されて初めて意味を持ちます。
確認すべきは水源の容量・ポンプの仕様・泡消火薬剤の貯蔵量・放射試験の実測値がそれぞれ設計図書の数値と一致しているかどうかで、記載例のような具体的な数字が入っているかも合わせて見ます。
測定場所ごとに数値が違うのは自然なことなので、数値がばらついていること自体を不備と早合点しないことも大切です。
報告書と設計図書を並べて確認する作業は、検査当日になって慌てないための準備でもあります。

報告書と設計図書を、事前に照らし合わせておいたほうがよさそうですね。

はい、検査当日までの照合が安心につながります。

よくある質問

Q特定駐車場用泡消火設備は、通常の泡消火設備の基準で設計してもよいですか?
Aいいえ。特定駐車場用泡消火設備は専用の省令(平成26年総務省令第23号)で設置・維持の基準が定められています。
Qポンプの定格吐出量や全揚程は、どの建物でも同じ数値になりますか?
Aいいえ。記載例では1,300リットル毎分・65メートルでしたが、建物の規模や配管の条件によって必要な数値は変わります。
Q泡消火薬剤の貯蔵量は、水量が同じなら薬剤の種類を変えても同じ数値ですか?
Aいいえ。貯蔵量は水量に薬剤ごとの希釈容量濃度を掛けて求めるため、薬剤の種類が変わると数値も変わります。
Q放射試験で階ごとに数値が違うのは、不合格の兆候ですか?
Aいいえ。配管の高低差や摩擦損失による自然な差であり、それぞれの数値が基準を満たしていれば問題ありません。

まとめ

✔特定駐車場用泡消火設備は専用の省令(平成26年総務省令第23号)で設置・維持の基準が定められている
✔記載例の水源は40立方メートル、ポンプは定格吐出量1,300リットル毎分・定格全揚程65メートルだった
✔起動用水圧開閉装置は設定圧力と作動圧力が同じ0.6MPaだった
✔泡消火薬剤は水成膜泡消火薬剤・希釈容量濃度3%で貯蔵量250リットルだった
✔配管耐圧試験は1.2MPaという結果だった
✔放射試験は階や測定場所ごとに放射圧力・放射量が異なるのが自然な結果である
✔報告書は設置届出書に添付され、消防検査で設計図書と照合される

試験結果報告書の読み方がよく分かりました。

報告書の作成・確認までお手伝いできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行令第29条の4第1項(必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等)
  • 特定駐車場における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(平成26年総務省令第23号)第1条・第2条・第4条第5号・第9号・第10条
  • 消防法施行規則第31条の3第5項(試験結果報告書の様式)・第12条第1項第6号(配管の耐圧試験)
  • 消防庁「消防用設備等の試験基準に係る運用について」(平成14年9月30日消防予第283号)記3(1)ア

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
特定駐車場用泡消火設備の試験結果報告書にはどんな数値が入るのか|水源40立方メートルとポンプの実測値を解説
特定駐車場用泡消火設備は、通常の泡消火設備とは別の省令で設置・維持の基準が定められている専用の設備です。 試験結果報告書には、水源の容量からポンプの仕様、泡消火薬剤の貯蔵量、放射試験の実測値まで、具体的な数字を書き込む欄...
リクルート 採用情報はこちら →
採用ページ 一緒に働く仲間を募集中 → フランチャイズ (株)防災屋と一緒に開業する → 協力業者 協力業者さん募集中 →