構造計算適合性判定を行う指定の機関が、業務を休んだりやめたりしたいと考えることがあります。
また、機関が守るべきことを守らなかったときには、指定そのものが取り消されることもあります。
今回は建築基準法第77条の35の18と第77条の35の19を中心に、業務の休廃止の許可、全部の廃止と指定の効力、指定の取消しと停止命令、防火管理者が押さえておきたい点をあわせて解説します。
構造計算適合性判定を行う機関は、業務を自分の都合で休んだりやめたりできるのですか。
それとも何か手続が要るのでしょうか。
条文では、許可を受けなければならないとされています。
まず第77条の35の18から見ていきましょう。
機関が決まりを守らなかったときは、どうなるのでしょうか。
指定が取り消されることもあるのですか。
第77条の35の19に、指定の取消しと業務の停止命令の規定があります。
順番に条文を確認していきます。
- 指定構造計算適合性判定機関は、国土交通大臣等の許可を受けなければ、判定の業務の全部または一部を休止も廃止もできません(第77条の35の18第1項)。
- 許可は、休止や廃止で業務の適正かつ確実な実施が損なわれるおそれがないと認めるときでなければ出されず、国土交通大臣は関係委任都道府県知事の意見を聴きます(第2項・第3項)。
- 業務の全部の廃止が許可されると、その許可に係る指定は効力を失い、許可をしたときは公示されます(第4項・第5項)。
- 欠格に該当するに至ったときは指定を取り消さなければならず、基準に適合しなくなったときなど六つの場合は取消しまたは停止命令ができます(第77条の35の19第1項・第2項)。
- 取消しや停止命令をしたときは公示され、これは建築基準法の判定機関のルールで消防法令の基準とは別の制度です(第3項)。
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目次
構造計算適合性判定機関が業務を休止や廃止するときに必要なことは何か

許可を受ける相手は、条文で国土交通大臣等と書かれています。
これは、その機関に指定をした国土交通大臣または都道府県知事のことです。
休止も廃止も、全部だけでなく一部であっても、許可が要ります。
許可の申請の方法や書類は、この条文には書かれていません。
業務の一部だけを休むときも、許可が要るのでしょうか。
条文は、全部または一部を休止し、または廃止するときと書いています。
ですから一部でも、許可を受けなければなりません。
休止や廃止の許可はどのような場合でなければ出されないのか

(建築基準法第七十七条の三十五の十八第三項)国土交通大臣は、第一項の許可をしようとするときは、関係委任都道府県知事の意見を聴かなければならない。
この第2項は、国土交通大臣を主語にした規定です。
第3項は、国土交通大臣が許可をしようとするときは、あらかじめ関係委任都道府県知事の意見を聴かなければならないとしています。
判定の業務を任せている都道府県知事の意見を、許可の前に聴くという流れです。
都道府県知事が指定した機関について、意見聴取などをどう行うかは、この二つの項には書かれていません。
許可は、機関が申請すればいつでも出るのでしょうか。
第2項は、業務の適正かつ確実な実施が損なわれるおそれがないと認めるときでなければ許可しないと書いています。
申請すれば必ず許可されるわけではありません。
業務の全部の廃止が許可されると指定はどうなり何が公示されるのか

(建築基準法第七十七条の三十五の十八第五項)国土交通大臣等は、第一項の許可をしたときは、その旨を公示しなければならない。
一部の廃止や、休止を許可したときの規定ではありません。
第5項は、国土交通大臣等が第1項の許可をしたときは、その旨を公示しなければならないとしています。
この公示は、廃止だけでなく休止の許可をしたときにも行われます。
公示の方法は、この条文には書かれていません。
一部の廃止が許可されたときも、指定は効力を失うのですか。
第4項が指定の効力を失うと定めるのは、業務の全部の廃止を許可したときです。
一部の廃止の場合は、この項の対象ではありません。
指定を取り消さなければならない場合と取り消せる場合はどう分かれるのか

(建築基準法第七十七条の三十五の十九第二項)国土交通大臣等は、その指定に係る指定構造計算適合性判定機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて構造計算適合性判定の業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
(略)
二 第七十七条の三十五の十二第一項の認可を受けた構造計算適合性判定業務規程によらないで構造計算適合性判定を行つたとき。
三 第七十七条の三十五の九第四項、第七十七条の三十五の十二第三項又は第七十七条の三十五の十六第一項の規定による命令に違反したとき。
四 第七十七条の三十五の四各号に掲げる基準に適合していないと認めるとき。
五 構造計算適合性判定の業務に関し著しく不適当な行為をしたとき、又はその業務に従事する構造計算適合性判定員若しくは法人にあつてはその役員が、構造計算適合性判定の業務に関し著しく不適当な行為をしたとき。
六 不正な手段により指定を受けたとき。
(建築基準法第七十七条の三十五の十九第三項)国土交通大臣等は、前二項の規定により指定を取り消し、又は前項の規定により構造計算適合性判定の業務の全部若しくは一部の停止を命じたときは、その旨を公示するとともに、国土交通大臣にあつては関係都道府県知事に通知しなければならない。
欠格の各号とは第77条の35の3各号のことで、ただし第5号を除くとされています。
第2項は、次の六つのいずれかに該当するときは、指定を取り消し、または期間を定めて業務の全部もしくは一部の停止を命ずることができるとしています。
第1号は、列挙された規定に違反したとき、第2号は、認可を受けた業務規程によらないで判定を行ったときです。
第3号は命令に違反したとき、第4号は第77条の35の4各号の基準に適合していないと認めるときです。
第5号は業務に関し著しく不適当な行為をしたとき、第6号は不正な手段により指定を受けたときです。
第3項は、取消しや停止命令をしたときは、その旨を公示するとともに、国土交通大臣にあっては関係都道府県知事に通知しなければならないとしています。
第2項の六つに当たれば、必ず指定が取り消されるのですか。
第2項は「取り消し、又は…停止を命ずることができる」と書いています。
第1項の取り消さなければならない場合とは書き方が違います。
判定機関の休廃止や取消しの規定を防火管理の現場ではどのように受け止めればよいのか

分けて読むと、混乱しにくくなります。
| 項目 | 条文の書き方 | 押さえる点 |
|---|---|---|
| 休止と廃止 | 国土交通大臣等の許可を受けなければ、業務の全部または一部を休止も廃止もしてはならない(第77条の35の18第1項) | 休廃止は許可制です |
| 許可の要件 | 業務の適正かつ確実な実施が損なわれるおそれがないと認めるときでなければ許可せず、国土交通大臣は関係委任都道府県知事の意見を聴く(第2項・第3項) | 許可の前に意見聴取があります |
| 全部の廃止と公示 | 全部の廃止を許可したときは指定が効力を失い、許可したときは公示する(第4項・第5項) | 失効するのは全部の廃止のときです |
| 必ず取り消す場合 | 欠格に該当するに至ったとき(第77条の35の3各号。第5号を除く)は指定を取り消さなければならない(第77条の35の19第1項) | 取り消さなければならないと書かれています |
| 取り消せる場合 | 六つの場合は、指定を取り消し、または期間を定めて業務の全部もしくは一部の停止を命ずることができる(第2項) | できるという書き方です |
| 公示と通知 | 取消しや停止命令をしたときは公示し、国土交通大臣は関係都道府県知事に通知する(第3項) | 公示と通知があります |
この規定は、防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
また、第77条の35の18と第77条の35の19には、許可の申請の方法や公示の方法は書かれていません。
建物の新築や増築の場面では、判定を受ける手続の窓口や書類の控えを、設計者や施工業者と共有しておくと、後の相談で慌てずに済みます。
明日から、次の点を確認してください。
- 建物の構造計算適合性判定を、どの機関が行ったかを設計者に尋ねて控えておく。
- 判定に関する書類の名称、日付、番号を、設計者や施工業者から書面でもらって保管する。
- 機関が休止や廃止をしたかどうかは、公示を見て確かめる。
- 許可の申請の方法など条文に無い詳細は、建築の窓口に問い合わせる。
- 建築の話と消防の話は別の制度なので、両方の窓口へ確かめる。
建築の窓口と所轄消防署に、それぞれ確かめておきましょう。
休廃止と取消しの決まりは分かりました。
現場では、何から確かめればよいですか。
判定を行った機関と書類の日付を、設計者に確認して控えておきましょう。
消防の基準は、所轄消防署に別に確かめます。
よくある質問
まとめ
判定機関の休廃止と取消しの決まりがよく分かりました。
判定を行った機関を、設計者に確認します!
建築の判定と消防の基準は別なので、両方を確かめておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第七十七条の三十五の三・第七十七条の三十五の四・第七十七条の三十五の十八・第七十七条の三十五の十九(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。判定機関の休廃止や取消しの運用は都道府県と建築の窓口ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





