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じゅうたん等の防炎規制はどこまで及ぶのか|だん通と接着カーペットとクッションフロアと壁掛けと下敷き材の五つの質疑を現行の規則と照らして解説

じゅうたん等の防炎規制はどこまで及ぶのか

じゅうたん等の防炎規制は、どこまで及ぶのか。
手織りのだん通、接着カーペット、クッションフロア、壁に掛けた敷物、じゅうたんの下に敷く下敷き材。
消防の実務書には、この境目を一つずつ確かめた昭和54年の質疑応答が並んでいます。
この記事では、その中から5問を取り上げ、現行の条文に照らして読みます。何がじゅうたん等にあたり、何があたらないのかを、順に確かめます。

じゅうたんなら、全部が防炎の対象なんですか。

いいえ。
規則が挙げた床敷物だけが対象です。

その線引きが、よく分からないんです。

一つずつ確かめます。
現行の条文に当たれるところは、当たって読みます。

この記事の結論
  • 手織りのだん通とフックドラッグは、表からは見分けにくく、裏張り布の有無で見分けると答えています
  • 接着カーペットは、フロック・カーペットとコード・カーペットをいい、工事の段階で接着されるものは含まれないと答えています
  • クッションフロアは、合成樹脂製床シートにあたるが、床に接着されたものは床そのものとみなして対象外と答えています
  • 壁に掛けた装飾用のじゅうたんは、カーテンとしての規制の対象になると答えています
  • じゅうたんの下に敷く下敷き材は、通常の使用状態では防炎規制の対象にならないと答えています

▼

じゅうたん等の範囲の五題として、だん通は裏で見分ける、接着カーペットは種類の名、クッションフロアは対象、壁掛けはカーテン扱い、下敷き材は対象外、を並べた図解

じゅうたん等は、どの条文で決まっているのか

防炎規制の対象になる物品は、消防法施行令第4条の3第3項が、カーテン、布製のブラインド、暗幕、じゅうたん等、展示用の合板、どん帳その他舞台において使用する幕、舞台において使用する大道具用の合板、工事用シートと定めています。
このうち「じゅうたん等」は、じゅうたん、毛せんその他の床敷物で総務省令で定めるものです。その総務省令が、消防法施行規則第4条の3第2項です。
同項は、じゅうたん(織りカーペット。だん通を除く)、毛せん(フェルトカーペット)、タフテッドカーペット・ニッテッドカーペット・フックドラッグ・接着カーペット・ニードルパンチカーペット、ござ、人工芝、合成樹脂製床シート、そして毛皮製床敷物や毛製だん通に類するもの以外の床敷物を並べています。
規則が並べた言葉を、実際の敷物にどう当てはめるかが、以下の5問です。

だん通は、防炎規制の対象になるのか、どう見分けるのか

薄ベージュの小さな部屋の床に、大きな織りの敷物が広げられ、一つの角がめくれて白い布の裏面がのぞいているイメージ
規則の第2項は、じゅうたんから「だん通」を除き、別の号でフックドラッグを掲げています。
商取引では、どちらも「だん通」と呼ばれることがあります。質疑応答は、その見分け方を聞いています。
問(要旨) だん通はどのように見分けるのか。
答(要旨) 商取引で「だん通」と呼ばれているものには、本来の手織りのだん通と、フックドラッグがある。表面からは区別することは困難であるが、裏面から見分けられる。手織りのだん通は、裏張り布がなく、表のパイル糸の一部が裏まで通っているので、表の図柄が裏面にもうすく現れている。フックドラッグは、基布にパイル糸を手持ちミシンの一本針で刺しゅうし、パイル糸が抜けるのを防ぐためにのり付けをして、厚手の白色綿織物を張り付けている。裏張り布の有無が見分け方である。
(昭和54年6月22日消防予第118号 予防救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
見分ける手がかりは、裏張り布の有無だと答えています。
施行規則第4条の3第2項は、第1号で織りカーペットからだん通を除き、第3号でフックドラッグを掲げています。さらに第7号は、その他の床敷物から毛製だん通を除いています。
呼び名が同じでも、条文の上では別の扱いです。表の見た目ではなく、裏面の作りで、どちらにあたるかを確かめる、という読み方です。

表は、そっくりなんですね。

はい。
裏を見て確かめます。

接着カーペットは、床に接着したカーペットのことなのか

薄ベージュの部屋の床に、巻いたカーペットが一本立て掛けられ、その隣に短いパイルの橙色のカーペットが平らに敷かれているイメージ
規則の第2項第3号には、「接着カーペット」という言葉があります。
名前だけを読むと、工事のときに床へ接着するカーペットのことだと思えます。質疑応答は、その読み方を確かめています。
問(要旨) 接着カーペットとはどのようなものをいうのか。
答(要旨) フロック・カーペット及びコード・カーペットをいい、工事施工段階で接着されるものは該当しない。「フロック・カーペット」は、短繊維を静電法により基布上に直立接着させた、ビロードふうの短いパイルのパイル織物をいう。「コード・カーペット」は、パイル系を特殊な機械を用いてうね(コード)状に成形して基布の上に接着した敷物をいう。
(昭和54年6月22日消防予第118号 予防救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
接着カーペットは製品の種類の名で、現場で接着することを指すのではないと答えています。
施行規則第4条の3第2項第3号は、接着カーペットをタフテッドカーペットなどと並べて掲げています。回答は、その言葉を、基布の上にパイルを接着してつくる敷物の種類として読むものです。
工事の段階で床に接着するかどうかは、この言葉の意味には入りません。名前から意味を推測せず、規則が指す敷物の種類として確かめる、という読み方です。

名前が、まぎらわしいですね。

はい。
種類の名として読みます。

クッションフロアは、床に接着していても対象になるのか

薄ベージュの部屋の隅に、波模様の平らなビニル製の床材が敷かれ、その脇に同じ床材の巻いたものが立っているイメージ
内装の工事で使う、ビニル製の床材があります。
規則の第2項には、合成樹脂製床シートが掲げられています。質疑応答は、クッションフロアがそれにあたるのかを聞いています。
問(要旨) クッションフロアの取扱いはどうなるか。
答(要旨) クッションフロア(石綿製の紙状基材の上に発泡ビニルペーストを付け、これに印刷を施し、その上にビニルペースト(又はビニル細片を含むビニルペースト)を塗付した後、加熱によって中間層を発泡させ、表面に透明ビニル層を形成させたもの)は、合成樹脂製床シートに該当するので、令第4条の3第3項のじゅうたん等に該当する。ただし、床に接着されたものは床そのものとみなされ、防炎規制の対象外となる。
(昭和54年6月22日消防予第118号 予防救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
クッションフロアは合成樹脂製床シートにあたるが、床に接着されたものは床そのものとみなして対象外と答えています。
施行規則第4条の3第2項第6号が、合成樹脂製床シートを掲げています。回答は、まず種類として対象にあたると整理し、そのうえで使い方によって対象から外れる場合を示しています。
同じ材料でも、床に接着されていれば床そのものとみなされ、置いたり敷いたりして使うものは対象になります。種類と使い方を、両方見る読み方です。

同じ材料でも、使い方で変わるんですね。

はい。
接着されているかまで見ます。

壁に掛けた装飾用のじゅうたんは、どの規制の対象になるのか

薄ベージュの壁に、装飾用の敷物がタペストリーのように掛けられ、その下に低い橙色のソファが置かれているイメージ
じゅうたんは、床に敷くとは限りません。
壁に掛けて飾りにする使い方があります。質疑応答は、その場合の規制の考え方を確かめています。
問(要旨) 壁にかけた装飾用じゅうたんの取扱いはどうなるか。
答(要旨) 一般的にじゅうたんと称するものであっても、床に敷いて使用していない場合は、じゅうたん等としての規制の対象外である。なお、壁に掛けた、いわゆる装飾用じゅうたんは、カーテンとしての規制の対象となるが、美術工芸的なもの、手工芸的なものは、規制の対象外として取り扱われたい。
(昭和54年6月22日消防予第118号 予防救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
床に敷かない敷物は、じゅうたん等ではなく、カーテンとして規制の対象になると答えています。
施行令第4条の3第3項は、じゅうたん等とカーテンを、別の物品として並べています。回答は、名前ではなくどう使っているかで、どちらの物品にあたるかを決める考え方です。
ただし、美術工芸的なもの、手工芸的なものは対象外とされています。壁に掛ければ何でも対象になる、という意味ではありません。

掛け方で、扱いが変わるんですね。

はい。
使い方で決まります。

じゅうたんの下に敷く下敷き材は、防炎規制の対象になるのか

薄ベージュの部屋の隅を断面で見せた図で、壁際の床に、厚い下敷き材とその上のカーペットが重なっているイメージ
じゅうたんの下に、弾力を出したり断熱したりするための敷物を入れることがあります。
アンダーレイと呼ばれるものです。質疑応答は、それが規制の対象になるのかを聞いています。
問(要旨) アンダーレイ(下敷き材)の取扱いはどうなるか。
答(要旨) じゅうたん等として防炎規制の対象となるのは、居室等の床面の表面を覆うものであり、じゅうたん等の弾力性をよくしたり、断熱効果を高めたりするなどのために、じゅうたん等の下に敷くアンダーレイ(下敷き材)は、通常の使用状態では、防炎規制の対象とはならないものと解する。
(昭和54年6月22日消防予第118号 予防救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
床の表面を覆うものが対象で、その下に敷く下敷き材は対象にならないと答えています。
回答の考え方は、床面の表面を覆っているかどうかです。表から見えず、人が歩いたり物を置いたりする面にならないものは、通常の使用状態では対象にしない、というものです。
前の問の「床に接着されたものは床そのもの」と並べると、対象になるのは、床の上で表面を覆う敷物だと整理できます。

表に出ないものは、対象じゃないんですね。

はい。
表面を覆うものが対象です。

よくある質問

Qじゅうたん等にあたる敷物は、法令のどこに書かれていますか?
A施行令第4条の3第3項がじゅうたん等を防炎対象物品に掲げ、施行規則第4条の3第2項が、対象になる床敷物を七つの号で定めています。
Q手織りのだん通は、防炎規制の対象ですか?
A規則は、織りカーペットからだん通を除き、フックドラッグは対象に掲げています。質疑応答は、二つの見分け方を裏張り布の有無で示しています。
Q壁に掛けた敷物は、規制を受けないのですか?
Aじゅうたん等としては対象外です。ただし質疑応答は、装飾用のものをカーテンとしての規制の対象とし、美術工芸的・手工芸的なものは対象外と答えています。
Qこの質疑応答は、今もそのまま使えますか?
A回答は発出当時のもので、条番号や言葉づかいは当時のものです。今の運用は、所轄の消防本部に確認したうえで、事案に当てはめます。

まとめ

✔じゅうたん等の範囲は、施行令第4条の3第3項と、施行規則第4条の3第2項で決まる
✔手織りのだん通とフックドラッグは、裏張り布の有無で見分ける
✔接着カーペットは、製品の種類の名で、現場で接着することを指さない
✔クッションフロアは合成樹脂製床シートで、床に接着されたものは対象外になる
✔壁に掛けた装飾用のじゅうたんは、カーテンとしての規制の対象になる
✔じゅうたんの下に敷く下敷き材は、通常の使用状態では対象にならない
✔質疑応答は、今の条文の意味を理解するために読む。個別の適用は所轄の消防本部に確認する

敷物の線引きにも、細かい決まりがあるんですね。
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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第8条の3
  • 消防法施行令第4条の3
  • 消防法施行規則第4条の3
  • 昭和54年6月22日消防庁予防救急課長の回答(消防予第118号)

※本記事は公表されている法令および通知に基づく一般的な解説です。掲載した回答は発出当時のもので、条番号や言葉づかい等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。

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