ハロン1301を使うハロゲン化物消火設備の防護区画は、壁の材料や窓ガラス、ダクトの開口部まで、どこまで条文で決まっているのでしょうか。
消防庁は、その線引きについての都道府県からの疑問に、質疑応答 の形で答えてきました。
この記事では、昭和53年の質疑応答から五つを選び、現行の条文と照らして読みます。
壁の材料、ガラス、ダクトの開口、消火剤の排出、箱型の設備を、順に確かめます。
窓ガラスやダクトのことまで、質疑応答で聞かれていたんですね。
そこが実務で迷う点です。
五つの質疑応答を、順に見ていきます。
昔の回答は、今の条文とどうつながっているんでしょうか。
一つずつ確かめます。
現行の条文に当てはめて読みます。
- 防護区画の壁などに使う可燃材は、内装材の難燃措置の通達が示す防火薬液を含浸か塗布すれば、不燃材料に適合するものとして扱ってよいと答えられました
- 防護区画のガラスは、網入りか線入り、または厚さ4mm以上の普通ガラスとされ、外壁部分は除かれました
- 階高の三分の二以上の高さにあるダクトの開口部は閉鎖しなくてよく、常時閉鎖して使う開口部も自動閉鎖装置は不要と答えられました
- 放射した消火剤の排出は、自然換気でもよく、ポータブルファンも安全な場所に排出できれば認められました
- 制御機構と貯蔵容器を一つの箱に収めたパッケージ型は、出入口付近なら防護区画に置けますが、床から天井まで不燃性材料の区画が前提でした
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目次
防護区画の壁や天井に可燃材が使われていても、ハロン1301は設置できるのか

そのため、区画を造る壁や天井の材料が、まず問われます。
(昭和53年9月9日 消防予第179号 消防庁予防救急課長から各都道府県消防主管部長あて)
現行の令第17条第1号は、全域放出方式の噴射ヘッドの設置を、令第16条第1号の例によると定めています。
その令第16条第1号は、不燃材料(建築基準法第2条第9号に規定する不燃材料)で造つた壁、柱、床又は天井(天井のない場合は、はり又は屋根)により区画され た部分に、噴射ヘッドを設けると定めています。
条文は「不燃材料」と書くだけで、薬液で処理した可燃材がこれに当たるとは書いていません。回答は当時の運用を示すものなので、内装に可燃材を使う防護区画は、現行の扱いを所轄の消防機関に確かめます。
壁が可燃材でも、薬液を使えばいいんですね。
はい。
当時は、決められた薬液と方法で処理すれば認められました。
防護区画の窓ガラスは、すべて網入りガラスにしなければならないのか

そのガラスに、どんな種類と厚さを求めるのかが問われました。
(昭和53年9月9日 消防予第179号 消防庁予防救急課長から各都道府県消防主管部長あて)
この数字は、令第16条第1号にも、規則第19条・第20条にも、書かれていません。条文が定めるのは、区画を不燃材料で造つた壁、柱、床又は天井で行うことまでです。
つまり回答は、条文の細目を通達で補った当時の目安です。ガラスの種類と厚さで迷う計画は、この目安が今も使われているかを所轄の消防機関に確かめます。
ガラスの数字は、条文に書いてあるわけではないんですね。
はい。
通達が示した目安で、外壁部分は対象外でした。
ダクトの開口部や、常時閉めている出入口にも、自動閉鎖装置は必要なのか

昭和53年に、閉鎖の要否が二つの場合で示されました。
2 電子計算機室等、開口部が常時閉鎖して使用されることが明らかな防護対象物にあっては、当該開口部を自動閉鎖装置付としないことができるか。
2 設問の場合、開口部を開閉できるものであっても、当該開口部を常時閉鎖して使用することが明らかな場合は、自動閉鎖装置を付置しなくてもさしつかえない。
(昭和53年9月9日 消防予第179号 消防庁予防救急課長から各都道府県消防主管部長あて)
現行の規則第20条第4項第2号の4イは、ハロン1301の全域放出方式の開口部を、規則第19条第5項第4号イ(ロ)及び(ハ)の例によると定めています。
その(ロ)が自動閉鎖装置を求めるのは、床面からの高さが階高の三分の二以下の位置にある開口部 で、消火効果を減ずるおそれのあるもの又は保安上の危険があるものです。高さが三分の二を超える位置の開口は、この定めの対象になっていません。
ただし、規則第20条第4項は、規則第19条第5項第3号も例にしています。同号は、防護区画の換気装置は、消火剤放射前に停止できる構造とすること と定めています。ダクトの開口が高い位置にあっても、換気装置の停止は別に求められます。
常時閉鎖する開口部は、条文に同じ書きぶりがありません。令第16条第1号ただし書は、外部に漏れる量以上の消火剤を追加して放出できる設備なら自動閉鎖装置を設けないことができると定め、規則第20条第3項第1号イ(ロ)は、自動閉鎖装置を設けない場合に消火剤の量を加算すると定めています。「常時閉鎖しているから不要」とする回答は当時の運用なので、自分の建物では所轄の消防機関に確かめます。
高いところのダクトは、閉めなくていいんですね。
はい。
ただし、換気装置を止められる構造は別に必要です。
放射した消火剤の排出は、自然換気でもポータブルファンでもよいのか

その方法が、二つの形で問われました。
(昭和53年9月9日 消防予第179号 消防庁予防救急課長から各都道府県消防主管部長あて)
現行の規則第20条第4項は、規則第19条第5項第18号の例によると定めています。同号は、放出された消火剤及び燃焼ガスを安全な場所に排出するための措置を講じること と定めています。
条文は方式を選ばず、安全な場所へ排出できることを求めています。自然換気もポータブルファンも、この条件を満たす限り、回答の考え方と合います。
なお、同じ趣旨の別の質疑応答では、自然換気の開口部の広さを床面積の100分の1以上としたものがあります。自分の防護区画で排出の経路が確保できるかは、所轄の消防機関に確かめます。
ファンを持ち込む方式でも、認められる場合があるんですね。
はい。
安全な場所へ排出できるかが、判断の中心です。
制御機構と貯蔵容器を一つの箱に収めた設備は、防護区画に置いてよいのか

このパッケージ型を、どこに置けるのかが問われました。
(昭和53年9月9日 消防予第179号 消防庁予防救急課長から各都道府県消防主管部長あて)
一方、現行の規則第20条第4項第4号は、貯蔵容器等を規則第19条第5項第6号の例によると定め、同号イは、貯蔵容器を防護区画以外の場所に設けること と定めています。
令第17条第5号は、容器の設置場所に点検や延焼の面の条件を定めつつ、保護のための有効な措置を講じたときは、この限りでない とただし書を置いています。
防護区画の中に置く回答と、防護区画以外に置く現行の条文の間には、開きがあります。パッケージ型を防護区画に置く計画は、現行の条文でどう扱われるかを、所轄の消防機関に確かめます。
箱の設備は、今は防護区画の外に置くのが原則なんですね。
はい。
当時の回答をそのまま今の計画に使うのは避けます。
よくある質問
まとめ
回答が、条文とつながりました。
うちの防護区画も確かめてみます!
質疑応答も、今の条文の意味を理解するために読めます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行令第16条・第17条
- 消防法施行規則第19条・第20条
- ハロゲン化物消火設備(ハロン1301消火設備を設置する場合の区画について)(昭和53年9月9日 消防予第179号 消防庁予防救急課長から各都道府県消防主管部長あて)
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答は発出当時のもので、条番号や機関の名称、単位等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





