高度利用と都市機能の更新を図る地区計画の区域でも、建築物の容積率の最高限度が計画で定められることがあります。
その最高限度は、用途地域で定められた容積率と、数字が違うこともあります。
建築基準法第68条の5の3は、一定の条件に該当する地区計画又は沿道地区計画の区域内の建築物について、その最高限度を第52条第1項第2号から第4号までに定める数値とみなして、同条の規定を適用すると定めています。
決め手になるのは、計画にどんな事項が定められているか、条例の制限があるか、そして道路に接して有効な空地が確保された建築物に許可の道があるかどうかです。
今回は建築基準法第68条の5の3が定める、高度利用と都市機能の更新を図る地区計画等の区域内での制限の特例について、条文の中身と、防火管理者が押さえておきたい点をあわせて解説します。
高度利用と都市機能の更新を図る地区計画という言葉を聞きました。
容積率とどう関わるのでしょうか。
計画で定めた最高限度を、第52条の数値とみなす仕組みです。
まず、みなす中身から見ていきましょう。
その特例は、建築基準法のどの条文に書かれているのですか。
ほかの地区計画の条文とは違うのですか。
建築基準法第68条の5の3に書かれています。
順に確認していきますね。
- 第68条の5の3は、条件に該当する地区計画又は沿道地区計画の区域内の建築物について、計画で定められた容積率の最高限度を、第52条第1項第2号から第4号までに定める数値とみなして同条を適用すると定めています。
- 第一号は、都市計画法第12条の8又は沿道整備法第9条の4の規定により、地区整備計画等に容積率の最高限度や最低限度、建蔽率の最高限度などが定められている区域であることを求めています。
- 第二号は、第68条の2第1項の規定に基づく条例で制限が定められている区域であることを求めています。
- 第2項は、有効な空地の確保などにより特定行政庁が支障がないと認めて許可した建築物には、第56条第1項第1号と第2項から第4項までを適用しないと定めています。
- 第3項は、この許可に第44条第2項を準用し、許可の前に建築審査会の同意を得ることを求めています。
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目次
高度利用と都市機能の更新を図る地区計画で定めた容積率の最高限度はなぜ第52条の数値とみなして扱われるのか

まず、条文の書き出しの部分を確認しましょう。
第52条第1項の第2号は中高層住居専用地域や住居地域、近隣商業地域、準工業地域など、第3号は商業地域、第4号は工業地域と工業専用地域の容積率を定めています。
つまり、計画で定めた最高限度が、この用途地域ごとの数値と同じ扱いで、第52条に当てはめられます。
第1号の第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域は、この「みなす」の対象として挙げられていません。
対象になる計画は、地区計画又は沿道地区計画です。
数値は、あくまで読み方の仮の例です。商業地域で、都市計画に定められた容積率が10分の60、計画の最高限度が10分の80とします。
敷地面積が500平方メートルなら、最高限度10分の80による延べ面積の上限は、500平方メートルの8倍で4,000平方メートルです。
ただし、第52条にはほかの規定もあるため、実際の上限は、条文と特定行政庁に確かめる必要があります。
計画で決めた数字を、第52条の数字として扱うのですね。
その条件は、どこに書いてありますか。
書き出しの条件に、第一号と第二号が続いています。
まず、第一号から確認します。
地区整備計画に容積率の最高限度や最低限度などが定められているとなぜ第一号の条件に当たるのか

条文を、確認しておきましょう。
イ 建築物の容積率の最高限度
ロ 建築物の容積率の最低限度(沿道地区整備計画において沿道整備法第九条第六項第二号の建築物の沿道整備道路に係る間口率の最低限度及び建築物の高さの最低限度が定められている場合にあつては、これらの最低限度)、建築物の建蔽率の最高限度、建築物の建築面積の最低限度及び壁面の位置の制限(壁面の位置の制限にあつては、市街地の環境の向上を図るため必要な場合に限る。)
イは、建築物の容積率の最高限度です。
ロには、容積率の最低限度、建蔽率の最高限度、建築面積の最低限度、壁面の位置の制限が並んでいます。
壁面の位置の制限は、市街地の環境の向上を図るため必要な場合に限られます。
沿道地区整備計画で沿道整備道路に係る間口率の最低限度及び高さの最低限度が定められている場合は、容積率の最低限度に代えて、これらの最低限度が並びます。
つまり、最高限度だけでなく、ロの事項も計画に定められていることが、第一号の条件です。
最高限度だけでなく、最低限度なども決まっている必要があるのですね。
第二号は、どんな条件ですか。
第二号は、条例の制限が定められているかどうかです。
ここは条例が関わってきます。
条例でも制限が定められた区域でなければなぜ第二号の条件に当たらないのか

条文を、確認しておきましょう。
第68条の2第1項は、市町村が、地区整備計画等が定められている区域内で、計画の内容として定められた建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する事項を、条例で制限として定めることができるとしています。
第二号のカッコ書きは、壁面の位置の制限については、地区整備計画又は沿道地区整備計画に定められたものに限ると書いています。
つまり、計画に定めるだけでなく、ロの事項に関する制限が条例でも定められていることが、第二号の条件です。
第2項が「前項各号に掲げる条件に該当する」と書いているので、第一号と第二号の条件が、第2項の許可の前提にもなります。
計画だけでなく、条例の制限まで必要になるのですね。
第2項の許可とは、どんな仕組みですか。
第2項は、第56条の高さの制限を外す許可の定めです。
次の見出しで、許可の条件を見ていきます。
道路に接して有効な空地が確保された建築物はなぜ許可で第56条の高さの制限が適用されなくなるのか

あわせて、第3項の同意の手続も確認しましょう。
第56条第1項第1号は、前面道路の反対側の境界線からの水平距離に応じて、建築物の各部分の高さを制限する規定です。
第2項は前面道路の境界線から後退した建築物についての読み替え、第3項は一定の住居系の地域内で前面道路の幅員が12メートル以上である建築物についての読み替え、第4項は第3項の建築物で後退したものについての読み替えを定めています。
第2項の許可を受けた建築物には、この第56条の規定が、適用されません。
第3項は、第44条第2項の規定を準用しています。第44条第2項は、特定行政庁が許可をする場合に、あらかじめ建築審査会の同意を得なければならないと定めています。
有効な空地は「確保されていること等」の例として書かれており、認めるかどうかを判断するのは特定行政庁です。
許可がないと、第56条の制限は外れないのですね。
全体を、整理したいです。
一覧の表で、比べてみましょう。
あわせて防火管理者の確認事項も見ておきます。
第68条の5の3はなぜ第68条の5や第68条の5の2と分けて読む必要があるのか

分けて読むと、混乱しにくくなります。
| 項目 | 条文の書き方 | 押さえる点 |
|---|---|---|
| 対象の計画 | 地区計画又は沿道地区計画 | 見出しは高度利用と都市機能の更新を図る計画 |
| みなす中身 | 計画の最高限度を第52条第1項第2号から第4号までに定める数値とみなす | 第1号の低層住居専用地域等は挙げられていない |
| 第一号 | 地区整備計画等に、容積率の最高限度と、最低限度などが定められている区域 | イとロの両方が定められている |
| 第二号 | 第68条の2第1項の条例で、ロの事項の制限が定められている区域 | 計画だけでなく条例の制限が必要 |
| 第2項・第3項 | 有効な空地の確保等により特定行政庁が許可した建築物は、第56条第1項第1号と第2項から第4項までを適用しない | 許可の前に建築審査会の同意を得る |
第68条の5と第68条の5の2は、第1項だけの条文で、第2項の許可の定めはありません。
共通するのは、計画と条例の両方に、最高限度に関わる定めがあることです。 これらは建築基準法の容積率と高さの話で、防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
ただし、該当する区域で建物を借りたり、増築の話が出たりするときには、関係する場面があります。
判断に迷うときは、市区町村の窓口への相談も欠かせません。
明日から次の点を確認してください。
- 建物のある区域が、高度利用と都市機能の更新を図る地区計画の区域に当たるかを、市区町村の窓口で確認して記録する。
- 計画に容積率の最高限度や最低限度などが定められ、条例でも制限が定められているかを照会しておく。
- 増築や建て替えの話が出たら、第56条の適用除外の許可が関わるかを建築の窓口に確かめておく。
- 増築などで規模や用途が変わることで、消防用設備等の基準が変わる場合があるため、所轄消防署へ事前に相談する。
- 建築の話と消防の話は別の制度なので、両方の窓口へ確かめる。
建築の話と消防の話を混同しないように、それぞれの窓口へ確かめておきましょう。
区域の計画と、条例の制限を、まず確認します。
増築の話が出たら、両方の窓口に相談します。
状況が分かれば、あとの相談も早くなります。
相談は、建築の窓口と消防の両方の窓口にしておくと安心です。
よくある質問
まとめ
区域の計画と、条例の制限を、確認しておく必要があるんですね。
この記事の内容を管理者にも共有します!
区域の計画と条例の制限が分かれば、増築や入居の相談も進めやすくなります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第六十八条の五の三・第五十二条・第五十六条・第四十四条・第六十八条の二(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。区域の計画と条例の制限の内容は地区計画と条例ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





