避難はしごと緩降機は、多くの建物に設置されている代表的な避難器具です。
点検要領には、器具本体の外形や可動部だけでなく、実際に降ろして確かめる「総合点検」の基準も細かく定められています。
つり下げ式か固定収納式か、あるいは緩降機のロープの長さや速さまで、数値で判定する項目が少なくありません。
この記事では、避難はしごと緩降機の総合点検で数値を使って確かめる部分を確認します。
避難はしごと緩降機の点検、見た目に異常がなければ合格だと思っていました。
実は総合点検では、実際に降ろして数値で確かめる項目があります。
まずは避難はしごから見ていきましょう。
緩降機にも、降りる速さまで決まった判定があるんですか。
はい、距離と時間を計測して速度を算出します。
順番に確認していきましょう。
- つり下げ式の避難はしごは、総合点検の降下で壁と横さんの間隔10cm以上・最下部横さんから降着面等までの高さ50cm以下であることを確かめる(平成14年消防予第172号第15)。
- 固定収納式の避難はしごは、降下で縦棒の垂直・横さんの水平と著しく動揺しないこと、格納で止め金が確実にかかることを別に確認する。
- 緩降機は総合点検の最初に、連結部の安全環の止め金具を締め、取付具に完全に取り付けられているかを確かめる。
- 緩降機のロープを展張したら、長い方の着用具が降着面からプラスマイナス0.5mの範囲にあることを確認する。
- 緩降機の降下速度は、距離と時間を計測して算出し、平均毎秒80cm〜100cm・最高毎秒150cm以内であることを判定する。
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目次
つり下げ式の避難はしごはなぜ横さんの間隔まで確かめるのか

つり下げ式のものには、壁との間隔まで数値で決まった基準があります。
間隔が狭いと、降りる人の足が横さんと壁の間に入らず、踏み外しの危険が生じます。
縦棒は垂直に、横さんは水平となっていることもあわせて確認します。
最下部横さんから降着面までの高さは50cm以下であることも、降下時の判定項目です。
器具本体の外形だけでなく、実際に伸ばした状態の寸法を見るのが総合点検の役目です。
壁から近すぎると危ないというのは、なんとなく分かります。
はい、10cm以上の間隔と50cm以下の高さが判定の基準です。
次は固定収納式を見ましょう。
固定収納式の避難はしごは降下と格納でどこを確かめるのか

降下と格納、それぞれに別の判定基準があります。
展開では、縦棒の下端が堅固な地面等に接していることと、使用中に著しく動揺しないことを確かめます。
格納では、各部に変形がなく円滑に収納され、止め金が確実にかかることまで見ます。
展開できても、収納のたびに止め金が甘ければ、次に使うときに引き出せません。
降下と格納は別の作業なので、点検でも別の項目として確認します。
片方だけ確認していたら、見落としそうですね。
はい、展開と収納の両方を別に見ます。
次は緩降機の取付けを確認しましょう。
緩降機の総合点検はまず何から確かめるのか

最初に見るのは、ロープを下ろす前の取付け状態です。
安全環は、フックが不意に外れないようにする二重の安全装置です。
止め金具を締め忘れたまま取付具に掛けても、見た目では分かりにくいのが落とし穴です。
ロープを下ろす前に、この「完全に取り付けられているか」を確かめてから次の手順に進みます。
フックを掛けただけでは足りないんですね。
はい、安全環の止め金具まで締めます。
次はロープを展張したときを見ましょう。
緩降機のロープを展張したら何を確かめるのか

長い方のロープには、決まった範囲の高さがあります。
範囲から外れていると、使用者が着用具に手が届かない、または地面に近すぎて姿勢が整わないおそれがあります。
あわせて、ロープにもつれがなく、まっすぐにつり下がっていることも確認します。
緩降機は2人同時に使える器具なので、短い方・長い方それぞれのロープを見ます。
ロープの長さにも、ちょうどいい高さがあるんですね。
はい、プラスマイナス0.5mの範囲です。
最後に降りる速さを見ましょう。
緩降機の降下速度はどう算出して判定するのか

目で見た感覚ではなく、計測した数値で判定します。
目安となるのは平均毎秒80cm〜100cm、最高でも毎秒150cm以内という範囲です。
降下を終えたら、そのまま器具本体や取付具に異常が出ていないかも機器点検で確かめます。
調速器は構造上、発熱することがありますが、それ自体は異常ではないとされています。
速さだけでなく、降りたあとの状態まで含めて1回の総合点検とします。
速いか遅いかだけでなく、降りたあとまで見るんですね。
はい、降りたあとの状態まで確かめます。
最後に整理しましょう。
よくある質問
まとめ
横さんの間隔から降下速度まで、全部確認してみます!
はい、数値での判定を押さえれば安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第27条(避難器具の設置及び維持の技術上の基準)
- 消防法施行規則第31条の6(消防用設備等又は特殊消防用設備等の点検及び報告)
- 消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件(昭和50年消防庁告示第14号)別表第15
- 消防用設備等の点検要領の全部改正について(平成14年消防予第172号)第15 避難器具
※本記事は公表されている告示および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。点検要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。





