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東大阪市で劇場の客席誘導灯を付けなくてよいのはどんな場合か|大阪市と堺市も比較

東大阪市の運用基準が劇場の客席誘導灯の設置場所と個数の式と令第32条で設置しないことができる2つの部分を定める決まりを大阪市と堺市の基準と比べて解説した記事のアイキャッチ

劇場や映画館、ホールの客席には、通路の足元を照らす客席誘導灯を付けます。国の消防法令には、客席誘導灯を省略できる一般的な規定が置かれていません。
ところが東大阪市消防局の運用基準は、消防法施行令第32条を適用して客席誘導灯を設置しないことができる2つの部分を示しています。そのうちの1つは、誘導灯の点滅機能の起動方法を借りる書き方です。
この記事では、国の基準と東大阪市の運用を分けて読み、設置場所と個数の数え方、2つの特例、借りている項目を順にたどります。大阪市と堺市の書き方とも比べます。

東大阪市で小さなホールを持っています。
客席の足元の灯りは、どこまで付ける必要があるのですか?

東大阪市の運用基準は、付ける場所と個数の数え方まで決めています。
まず国の基準から確かめましょう。

イベントによって椅子の並べ方を変えています。
そういうホールでも同じですか?

客席の形が変わるホールには非常用の照明装置で代える特例があります。
条件を順に見ていきます。

この記事の結論
  • 国の基準は、客席誘導灯を客席内の通路の床面で0.2ルクス以上となるように設けるとしています。省略の規定は消防法施行規則第28条の2に置かれていません
  • 東大阪市は、客席誘導灯を通路の床面か壁面(固定椅子の脚部を含む)に付け、傾斜路や水平路では直線部分の長さ÷4-1以上の個数にするとしています
  • 令第32条を適用して設置しないことができるのは、ほかの誘導灯で床面が0.2ルクス以上になる部分や屋外観覧場等の客席と、客席の形が随時変わる劇場等で非常用の照明装置を設ける部分です
  • 非常用の照明装置の点灯は、避難口誘導灯の点滅機能・音声誘導機能の起動方法(第2 4 ⑴)を読み替えて借りる形です
  • 大阪市は同じ内容で、堺市は特例の書き方や設置の高さが違います。最新の内容は管轄の消防署で確認します

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東大阪市で客席誘導灯の特例が国の基準から令第32条の適用と非常用の照明装置を経て点滅機能の起動方法を借りるまでの流れを示した図解

国の基準では客席誘導灯を省略できる場合があるのか

劇場の客席内の通路の床面を足元の小さな灯りが照らしているようすを示したアイソメ図
まず、全国共通の国の基準を確かめます。客席誘導灯をどの建物に付けるかは、消防法施行令第26条第1項第3号が決めています。
消防法施行令 第26条第1項 誘導灯及び誘導標識は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める防火対象物又はその部分に設置するものとする。ただし、避難が容易であると認められるもので総務省令で定めるものについては、この限りでない。
(略)
三 客席誘導灯 別表第一(一)項に掲げる防火対象物並びに同表(十六)項イ及び(十六の二)項に掲げる防火対象物の部分で、同表(一)項に掲げる防火対象物の用途に供されるもの
対象は、令別表第一(1)項の劇場・映画館・演芸場・観覧場・公会堂・集会場と、複合用途の建物や地下街のうち(1)項の用途の部分です。
どれだけ明るくするかは、第2項第3号と消防法施行規則第28条が決めています。
消防法施行令 第26条第2項第3号/消防法施行規則 第28条 三 客席誘導灯は、客席に、総務省令で定めるところにより計つた客席の照度が〇・二ルクス以上となるように設けること。
令第二十六条第二項第三号の客席誘導灯の客席における照度は、客席内の通路の床面における水平面について計るものとする。
国が決めているのは、客席内の通路の床面で測って0.2ルクス以上という明るさです。灯具の取付け位置や個数までは書かれていません。
また、第1項ただし書を受けた消防法施行規則第28条の2は、避難口誘導灯・通路誘導灯・誘導標識を設置しなくてよい部分を定めていますが、客席誘導灯の項はありません。国の基準だけを見ると、(1)項の客席なら客席誘導灯を付けることになります。
国の基準の読み方は客席誘導灯の0.2ルクスの記事で詳しく解説しています。この記事では、その先の東大阪市の運用を読みます。

国の基準には、客席誘導灯を省略できる定めが無いのですね。

はい、規則第28条の2に客席誘導灯の項が無いからです。
東大阪市は令第32条を使って特例を示しています。

東大阪市では客席誘導灯をどこにいくつ付けるのか

階段状の客席内通路の中心線を照らす灯りと水平な通路にほぼ等しい間隔で並ぶ灯りを示したアイソメ図
東大阪市消防局の誘導灯及び誘導標識の運用基準は、第4 客席誘導灯で設置場所を決めています。項目に◆の印は無く、凡例では法令基準(法令解釈基準を含む)の扱いです。
東大阪市「消防用設備等の運用基準(誘導灯及び誘導標識)」 第4 客席誘導灯 柱書・1 設置場所 客席誘導灯の設置は、令第26条第2項第3号並びに規則第28条、第28条の3第4項第8号及び第12号の規定によるほか、次によること。
1 設置場所
(1) 客席の通路の床面又は壁面(固定椅子の脚部を含む。)に設けること。
(2) 客席内通路が階段状になっている部分に設置する場合は、客席内通路の中心線上において、当該通路部分の全長にわたり照明できるものとし、かつ、その照度は当該通路の中心線上で測定し、水平面照度で0.2ルクス以上とすること。
(3) 客席内通路が傾斜路又は水平路になっている部分に設置する場合は、次式により設置個数を算出し、その設置間隔がおおむね等しくなるよう設置し、かつ、その照度は誘導灯に最も近い通路の中心線上で測定し、水平面照度で0.2ルクス以上とすること。なお、設置個数を算出する場合の直線部分の長さは、当該客席内通路の直線部分ごとに最長の距離をもってその長さとすること。
柱書が挙げる規則第28条の3第4項第8号は誘導灯の周囲にまぎらわしい灯火や広告物を設けない決まり、第12号は総合操作盤の規定(規則第12条第1項第8号)を誘導灯に準用する決まりです。そのうえで、東大阪市は3つの項目を足しています。
(1)で通路の床面か壁面に付けると決め、固定椅子の脚部に付けるものも含めています。(2)は階段状の通路で、中心線上を全長にわたって照らし、中心線上で0.2ルクス以上とします。
(3)は傾斜路や水平路の通路で、個数を次の式で出します。
設置個数 ≧ 客席内通路の直線部分の長さ(メートル)÷ 4 - 1
(小数点以下は切り上げる)
たとえば直線部分が20メートルなら、20÷4-1=4で4個以上です。18メートルなら18÷4-1=3.5で、切り上げて4個以上になります。並べるときは間隔がおおむね等しくなるようにし、照度は誘導灯に最も近い通路の中心線上で測ります。
長さは直線部分ごとに最長の距離で数えます。運用基準の図12では、縦の通路3本と横の通路3本を、それぞれ端から端までの長さで数える例が示されています。曲がって続く通路でも、直線部分ごとに分けて式に当てはめる形です。

国は明るさだけですが、東大阪市は個数の目安まで決めているのですね。

はい、直線部分の長さ÷4-1が目安です。
照度は別に0.2ルクス以上を確かめます。

東大阪市で客席誘導灯を付けなくてよい部分はどこか

屋外観覧場の客席と避難口の誘導灯の光で通路の床面が明るくなる客席を並べたアイソメ図
第4の2が特例です。東大阪市は令第32条を適用して、2つの部分では客席誘導灯を設置しないことができるとしています。
東大阪市「消防用設備等の運用基準(誘導灯及び誘導標識)」 第4 客席誘導灯 2 特例 柱書・⑴・⑵柱書・ア 次に掲げる部分については、令第32条の規定を適用し、客席誘導灯を設置しないことができる。
(1) 避難口誘導灯若しくは通路誘導灯により床面の水平面照度が0.2ルクス以上となる部分又は屋外観覧場等の客席部分
(2) 劇場等で、公演の内容により客席の形態が随時異なり、客席内通路の位置が一定でないもののうち、客席誘導灯の必要とされる範囲内に非常用の照明装置が次により設置される部分(防災要員、警備員又は劇場従業員等により、迅速、かつ、確実に非常用の照明装置を点灯することができる防火管理体制が整備されているものに限る。)
ア 客席の床面における水平面照度が1ルクス以上確保されていること。
(1)は2つに分かれます。1つめは、避難口誘導灯や通路誘導灯の光で、床面の水平面照度がすでに0.2ルクス以上になる部分です。国の基準と同じ0.2ルクスを、別の誘導灯で満たしている場所と読めます。2つめは屋外観覧場等の客席部分です。
(2)は、公演ごとに客席の形が変わり、客席内通路の位置が一定でない劇場等です。椅子を並べ替えるホールでは、固定した足元灯で通路を照らし続けることができません。そこで、天井などの非常用の照明装置で客席の床面を1ルクス以上にすることを条件に、客席誘導灯に代えられるとしています。
ただし(2)には、防災要員・警備員・劇場従業員等が迅速かつ確実に点灯できる防火管理体制があることという限定が付いています。設備だけでなく、運用する人の体制も条件です。
なお、東大阪市の第3 通路誘導灯の特例には「客席誘導灯が第4により設けられた客席部分」が挙がっていて、客席誘導灯を設けた客席では通路誘導灯を設置しないことができるという逆向きの関係も書かれています。

椅子を並べ替えるホールは、天井の照明で代えられる場合があるのですね。

はい、床面1ルクス以上と防火管理体制が条件です。
点灯のしかたは別の項目を借りています。

非常用の照明装置で代えるときの点灯のしかたはどの項目を借りているのか

椅子を自由に並べ替える多目的ホールの天井の非常用の照明と点灯の操作をする小部屋を示したアイソメ図
(2)の残りのイからカまでが、非常用の照明装置の点灯のしかたです。
東大阪市「消防用設備等の運用基準(誘導灯及び誘導標識)」 第4 客席誘導灯 2 特例 ⑵イ〜カ イ 自動火災報知設備又は非常警報設備(放送設備)の作動と連動して一斉点灯されるものとし、起動方法は第2.4.(1)の例によること。この場合において、「点滅機能及び音声誘導機能」は、「非常用の照明装置」に読み替えるものとする。
ウ 非常警報設備(放送設備)が設置されている防火対象物又はその部分においては、イの例によるほか、公演時間中以外は感知器発報放送に合わせて一斉点灯されること。
エ 非常の際は点滅器等により手動で一斉点灯できるものとし、点灯に使用する点滅器等にはその旨表示すること。
オ 点灯に使用する点滅器等は、防災センター等に設けること。ただし、当該劇場等を見とおすことができる場所又はその付近に設ける場合にあってはこの限りでない。
カ 操作回路の配線は、規則第12条第1項第5号の規定の例によること。
イの「第2.4.(1)」は、同じ運用基準の第2 避難口誘導灯 4 点滅機能及び音声誘導機能 ⑴ 起動方法です。
東大阪市「消防用設備等の運用基準(誘導灯及び誘導標識)」 第2 避難口誘導灯 4 点滅機能及び音声誘導機能◆ ⑴ 起動方法 ア 音響により警報を発する自動火災報知設備が設置されている防火対象物又はその部分においては、感知器からの火災信号のほか、自動火災報知設備の受信機が火災表示を行う要件(中継器からの火災表示信号、発信機からの火災信号等)と連動して点滅機能及び音声誘導機能が起動するものであること。なお、この場合における自動火災報知設備は、十分な非火災報対策が講じられていること。
イ 音声により警報を発する自動火災報知設備又は非常警報設備(放送設備)が設置されている防火対象物又はその部分においては、点滅機能及び音声誘導機能は、火災の発生が確認された場合に行う火災警報又は火災放送に合わせて起動すること。
ウ 規則第24条第5号ハ及び第5号の2ロ(イ)に規定する自動火災報知設備の地区音響装置の区分鳴動を行うことができる防火対象物又はその部分並びに規則第25条の2第2項第3号チに規定する非常警報設備(放送設備)のスピーカーの区分鳴動を行うことができる防火対象物又はその部分においては、地区音響装置又はスピーカーの区分鳴動を行う階について、点滅機能及び音声誘導機能が起動するものとすること。(略)
イの読み替えに従って「点滅機能及び音声誘導機能」を「非常用の照明装置」に置き換えると、借り方は次のとおりです。
  1. 国の基準(令第26条・規則第28条)は、客席誘導灯の省略の規定を置いていない
  2. 東大阪市は、第4 2で令第32条を適用し、客席の形が随時変わる劇場等では非常用の照明装置(床面1ルクス以上)で代えられるとする
  3. 第4 2 ⑵イが、非常用の照明装置の起動方法を第2 4 ⑴(点滅機能・音声誘導機能の起動方法)の例によるとする
  4. 読み替えにより、音響式の自動火災報知設備なら感知器の火災信号と受信機の火災表示の要件に連動して点灯、音声式の自動火災報知設備や放送設備なら火災警報・火災放送に合わせて点灯、区分鳴動なら鳴動する階で点灯、となる
  5. さらにウで放送設備のある建物は公演時間中以外は感知器発報放送に合わせて一斉点灯、エ・オで手動の点滅器と置き場所、カで配線を規則第12条第1項第5号の例による
第2 4は見出しに◆が付いた行政指導基準の項目です。点滅機能そのものの対象建物は別の話ですが、起動のしかたの文だけを特例の条件として借りている形です。大阪市の点滅機能・音声誘導機能の決まりは大阪市の点滅機能と音声誘導機能の記事で解説しています。
カが借りる規則第12条第1項第5号は、屋内消火栓設備の操作回路の配線の規定です。
消防法施行規則 第12条第1項第5号 五 操作回路又は第三号ロの灯火の回路の配線は、電気工作物に係る法令の規定によるほか、次のイ及びロに定めるところによること。
イ 六百ボルト二種ビニル絶縁電線又はこれと同等以上の耐熱性を有する電線を使用すること。
ロ 金属管工事、可とう電線管工事、金属ダクト工事又はケーブル工事(不燃性のダクトに布設するものに限る。)により設けること。ただし、消防庁長官が定める基準に適合する電線を使用する場合は、この限りでない。
つまり、照明を一斉に点ける操作回路も耐熱性のある電線と工事方法で設けることになります。非常用の照明装置そのものの基準は建築基準法側にあるので、照明器具の仕様は建築の設計者とも確かめましょう。

照明の点け方は、誘導灯の点滅機能の起動の決まりを借りているのですね。

はい、第2 4 ⑴を読み替えて借りる形です。
配線は屋内消火栓の規定の例によります。

大阪市や堺市では客席誘導灯の決まりは同じなのか

客席誘導灯の設計を確かめるための図面と定規を机に広げたアイソメ図
大阪市消防局の運用基準は、第3章 第2節の第4 客席誘導灯で、東大阪市と同じ内容を定めています。設置場所(1)〜(3)、4で割る式、特例(1)(2)のアからカまで、文はほぼ同じです。違うのは、イが借りる起動方法の番号です。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第3章 第2節 誘導灯及び誘導標識 第4 客席誘導灯 2 特例 (2)イ イ 自動火災報知設備又は非常警報設備(放送設備)の作動と連動して一斉点灯されるものとし、起動方法は第2.4.(3).アの例によること。この場合において、「点滅機能及び音声誘導機能」は、「非常用の照明装置」に読み替えるものとする。
大阪市の第2 4は、(1)(2)で点滅機能等を付ける建物を挙げ、(3)アに起動方法を置いているので、借りる先が(3)アになります。起動方法の(ア)〜(ウ)の中身は東大阪市の⑴ア〜ウと同じ趣旨です。
堺市消防局の審査基準は書き方が違います。設置要領と、特例適用基準を分けて書いています。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第18 誘導灯及び誘導標識 Ⅱ 細目 3 設置要領等 (6) 客席誘導灯 イ 設置要領 (ア)〜(エ) (ア) 客席誘導灯の客席における照度は、客席内の通路の床面における水平面で0.2lx以上であること。
(イ) 客席内通路が階段状になっている部分にあっては、客席内通路の中心線上において、当該通路部分の全長にわたり照明できるものとし、かつ、その照度は当該通路の中心線上で測定し、必要な照度が得られること。★
(ウ) 客席を壁、床等に機械的に収納できる構造のものにあっては、当該客席の使用状態において避難上有効な照度を得られるよう設置すること。★
(エ) 原則として、床面から0.5m以下の高さに設置すること。★
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第18 誘導灯及び誘導標識 Ⅱ 細目 6 特例適用基準★ 柱書・(3) 誘導灯又は誘導標識の設置を要する防火対象物又はその部分のうち、次のいずれかに該当するものにあっては、政令第32条又は条例第72条の規定を適用し、誘導灯又は誘導標識を設置しないことができる。
(略)
(3) 客席誘導灯
ア 外光により避難上有効な照度が得られる屋外観覧場等の客席部分
イ 避難口誘導灯により避難上有効な照度が得られる客席部分
ウ 移動式の客席部分で、非常電源が確保された照明により避難上有効な照度が得られる部分
堺市の★は、凡例で堺市消防局として防火安全性の向上を図ることを目的として定めた指導基準とされています。3市を比べると次のとおりです。
項目東大阪市大阪市堺市
取付け位置通路の床面か壁面(固定椅子の脚部を含む)同じ原則として床面から0.5m以下★
階段状の通路中心線上を全長照明・中心線上で0.2ルクス以上同じ中心線上を全長照明・必要な照度★
傾斜路・水平路の個数直線部分の長さ÷4-1以上同じ個数の式は見当たらない
収納式の客席記載なし記載なし使用状態で有効な照度★
ほかの誘導灯で足りる部分避難口誘導灯か通路誘導灯で床面0.2ルクス以上同じ避難口誘導灯で避難上有効な照度
屋外の客席屋外観覧場等の客席部分同じ外光で有効な照度が得られる屋外観覧場等
客席が変わる場合非常用の照明装置で床面1ルクス以上+連動・手動・配線+防火管理体制同じ(起動方法の借り先は第2 4 (3)ア)移動式の客席で非常電源のある照明により有効な照度
特例の根拠令第32条令第32条令第32条又は堺市火災予防条例第72条
東大阪市と大阪市は、数値と条件で決める書き方です。堺市は「避難上有効な照度」という書き方で、0.2ルクスや1ルクスの数値を特例の中には書いていません。客席の形が変わるホールについても、堺市は非常電源が確保された照明を求めるだけで、連動や点滅器の置き場所までは書いていません。
ただし、書いていないことは「求められない」という意味ではありません。どの市でも、特例は令第32条の適用なので、個々の建物ごとに所轄の消防署が判断します。東大阪市の建物で設計や改修をするときの確認の順番は次のとおりです。
  1. その建物や部分が令別表第一(1)項の用途か(複合用途の建物の一部も含む)を確かめる
  2. 客席内通路が階段状か、傾斜路・水平路かを分け、傾斜路・水平路は直線部分ごとの長さから個数を出す
  3. ほかの誘導灯の光で床面0.2ルクス以上になる部分があるかを照度計算や実測で確かめる
  4. 客席の形を変える運用なら、非常用の照明装置で床面1ルクス以上、自動の連動点灯と手動の一斉点灯ができるかを図面で確かめる
  5. 点灯できる防火管理体制(防災要員・警備員・従業員)を消防計画にどう書くかも含めて、所轄の消防署と事前に協議する
客席に面した避難口誘導灯の特例は劇場の客席の避難口誘導灯の記事、体育館などを一時的に客席として使うときの条例の準用は体育館の一時的な用途の記事で解説しています。

大阪市は東大阪市と同じで、堺市は書き方が違うのですね。

はい、数値で決めるか、有効な照度で書くかの違いです。
どの市でも所轄との協議が前提です。

よくある質問

Q東大阪市で客席誘導灯は何個付ければよいですか?
A傾斜路や水平路の通路では、直線部分の長さ(メートル)÷4-1以上(小数点以下切り上げ)の個数を、間隔がおおむね等しくなるように付けます。照度は通路の中心線上で0.2ルクス以上を確かめます。
Q避難口誘導灯の光で客席が明るければ、客席誘導灯はいりませんか?
A東大阪市は、避難口誘導灯か通路誘導灯で床面の水平面照度が0.2ルクス以上となる部分は、令第32条を適用して客席誘導灯を設置しないことができるとしています。
Q椅子を並べ替えるホールでも客席誘導灯がいりますか?
A客席内通路の位置が一定でない劇場等は、非常用の照明装置で床面1ルクス以上とし、連動・手動の一斉点灯や防火管理体制などの条件を満たせば、客席誘導灯を設置しないことができます。
Q大阪市や堺市でも同じですか?
A大阪市は東大阪市と同じ内容です。堺市は特例を「避難上有効な照度」で書き、設置の高さを原則0.5m以下とするなど書き方が違います。

まとめ

✔国の基準は客席誘導灯を通路の床面で0.2ルクス以上とし、省略の規定を置いていません
✔東大阪市は床面か壁面に付け、直線部分の長さ÷4-1以上の個数にするとしています
✔ほかの誘導灯で床面0.2ルクス以上の部分と屋外観覧場等の客席は、令第32条を適用して設置しないことができます
✔客席の形が変わる劇場等は、非常用の照明装置で床面1ルクス以上と防火管理体制を条件に代えられます
✔点灯のしかたは第2 4 ⑴の点滅機能の起動方法を読み替えて借り、配線は規則第12条第1項第5号の例によります
✔大阪市は同じ内容で、堺市は有効な照度で書く特例と0.5m以下の高さが違います
✔運用基準は改正されることがあるので、最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認しましょう

まず通路の形と長さから客席誘導灯の個数を出してみます。
椅子を並べ替える日の照明も確かめます!

東大阪市では、特例も令第32条の適用なので事前の協議が要点です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 東大阪市消防局「消防用設備等の運用基準(誘導灯及び誘導標識)」凡例、第2 避難口誘導灯 4 点滅機能及び音声誘導機能 ⑴ 起動方法、第3 通路誘導灯 4 特例 ⑴ク、第4 客席誘導灯 1 設置場所・2 特例(図12) https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000041303.html
  • 大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」凡例、第3章 第2節 誘導灯及び誘導標識 第2 4 (3)ア、第4 客席誘導灯 1・2(図3-2-11) https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html
  • 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第1章 総則 4 凡例、第18 誘導灯及び誘導標識 Ⅱ 細目 3(6) 客席誘導灯・6 特例適用基準 (3) https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
  • 消防法施行令 第26条・第32条/消防法施行規則 第12条第1項第5号・第28条・第28条の2・第28条の3第4項(e-Gov法令検索)

※本記事は公表されている法令および東大阪市・大阪市・堺市の公開資料に基づく一般的な解説です。運用基準や審査基準は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認してください。各資料は2026年10月時点の公開版で確認しています。特例は消防法施行令第32条の適用なので、個々の建物で客席誘導灯を設置しないことができるかは、設計の段階で所轄の消防署にご確認ください。

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