窓が少ない階は無窓階になり、消火器や自動火災報知設備などの基準が厳しくなります。
国の消防法施行規則は開口部の大きさや床からの高さを決めていますが、窓の内側に間仕切り壁や商品棚を置いたときの通路の幅までは書いていません。
津市消防本部の津市予防事務審査検査基準は、1-9の別記5で間仕切り壁・風除室・格子・バルコニーなどの組合せごとに、窓を数えられるかどうかを表にしています。
国の条文から津市の別記5までたどり、鈴鹿市・埼玉県央広域・四日市市・堺市の書き方と比べます。
津市で店舗の入った建物を管理しています。
売場の模様替えで窓の内側に棚を並べたいのですが、無窓階に関わると言われました。
窓の内側の造り次第で、その窓が有効な開口部に数えられなくなることがあります。
まず国の条文から確かめましょう。
窓そのものは変えないのに、内側だけで判定が変わるのは意外です。
津市の基準は、その組合せを別記5の表にまとめています。
順番に見ていきます。
- 国の消防法施行規則第5条の5第2項は、開口部が格子など内部からの避難を妨げる構造でなく、開口のため常時良好な状態に保たれていることを求めるが、窓の内側の通路の幅は書いていない
- 津市は別記5で、外壁のすぐ内側に間仕切り壁等がある窓は通路の幅が1.2m以上なら数えられ、内装材でふさいだ窓は種類や厚さにかかわらず数えられないとしている
- 風除室は建物側の扉と外側の扉の少ない方の面積で数え、建物側の扉で数えるときは階の床面積から風除室を除いてよい
- 格子を設けた窓は津市では原則として数えられないが、鈴鹿市・埼玉県央広域・四日市市は避難や消火活動の妨げにならなければよいとしている
- 通路の幅は鈴鹿市・県央広域・四日市市・堺市がおおむね1mで、出入口の幅と10mの距離も条件にしており、津市の1.2mは比べた5本部でいちばん広い
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目次
国の条文は窓の内側の間仕切りや格子をどう定めているのか

その総務省令が消防法施行規則第5条の5で、第2項に開口部の条件が並んでいます。
前項の開口部は、次の各号(十一階以上の階の開口部にあつては、第二号を除く。)に適合するものでなければならない。
三 開口部は、格子その他の内部から容易に避難することを妨げる構造を有しないものであり、かつ、外部から開放し、又は容易に破壊することにより進入できるものであること。
四 開口部は、開口のため常時良好な状態に維持されているものであること。
第3号は窓そのものの造りで、格子のように内側から出にくくする構造があると数えられません。
第4号は使い方で、窓をいつでも開けられる状態に保つことを求めています。
ただ、窓の内側に間仕切り壁や棚を置いたとき、通路を何m空ければよいかは条文に書かれていません(e-Govの現行条文で確かめました)。
そこを各消防本部が審査基準で数字にしています。
明日やることは、各階の平面図を出し、外壁の窓の内側に壁や棚が近づいている場所に印を付けることです。
国の条文には、窓の内側の通路の幅の数字がないのですね。
そうなんです。
津市では審査検査基準の別記5がその数字を持っています。
津市は外壁のすぐ内側に間仕切り壁があるとき何を見るのか

間仕切り壁の扱いにたどり着くまでの道筋は次のとおりです。
- 消防法施行令第10条第1項第5号が、無窓階かどうかを決める開口部の条件を総務省令に任せる
- 消防法施行規則第5条の5第2項第4号が、開口のため常時良好な状態に保つことを求める
- 津市の1-9は、有効な開口部を政令第10条と規則(基準の中では旧番号の第5条の3と表記)に基づくものとし、その3で「開口部の組合せ」は別記5によるとする
- 別記5の③が、外壁の直近に間仕切り壁等がある場合をアとイの2つの図に分ける
ア 通路幅1.2m以上であれば、Aは有効開口部算定可とする。ただし、通路に通行障害となるものが置かれない場合に限る。
イ 内装材の種類及び厚さ等にかかわらず、Aは有効開口部算定不可とする。
アの図は、外壁の窓Aと間仕切り壁の間に通路があり、間仕切り壁の側にも扉がある形です。
この通路が1.2m以上あり、通路に物を置かなければ、窓Aは開口部として数えられます。
イの図は窓のすぐ内側に内装材を張った形で、材料が何でも、厚さがどうでも数えられません。
別記5には、間仕切り壁の出入口の幅や窓までの歩行距離の数字は書かれていません(原本の画像で確かめました)。
明日やることは、窓の内側の通路をいちばん狭い所で測り、1.2mに届いているかを確かめることです。 同じ場面を他の本部と比べると、数字は次のとおりです。
| 消防本部(基準の位置) | 通路の幅 | 間仕切り壁の出入口 | 出入口から窓まで | そのほか |
|---|---|---|---|---|
| 津市(1-9 別記5 ③) | 1.2m以上 | 数字なし | 数字なし | 通路に通行の障害になる物を置かない |
| 鈴鹿市(第2章 第4 10⑴イ) | 1m以上(いちばん狭い所で) | 幅1m以上 | 歩行距離10m以下 | 幅を保つための印などの対策(▲) |
| 埼玉県央広域(第2章 第4 4⑴イ) | おおむね1m以上 | 幅おおむね1m以上 | 歩行距離おおむね10m以下 | 昭和50年消防安第62号を出典に表示 |
| 四日市市(第1章 第4 3⑵) | 概ね1m以上(最小の所で) | 幅概ね1m以上 | 歩行距離概ね10m以下 | 下線(行政指導)なし |
| 堺市(第5 3⑴キ) | 概ね1m以上 | 幅概ね1m以上・高さ1.8m以上・下端は床から15cm以下 | 距離概ね10m以下 | 開口部の構造の一覧に置いている |
棚を置く位置を決めるときは、1mではなく1.2mで線を引けばよいのですね。
津市の建物ならそうなります。
ほかの市にも店舗があるときは、その市の数字で測り直してください。
津市では風除室や二重窓のある出入口をどう数えるのか

店舗の入口でよく見る風除室もここに入っています。
① 風除室がある場合 AとB+C+Dの有効開口面積を比較し、面積の少ない方で有効開口部算定を行う。上記により、Aが有効開口部算定される場合の階床面積は、風除室の面積を除く面積として差し支えない。
② シャッターと扉の組合せの場合 ア A、Bで有効開口部算定を行う。この場合の階床面積は、A、B開口部面とシャッター面に囲まれた部分を除いた面積として差し支えない。
⑥ 二重窓の場合 有効開口部算定可とする。
図では建物側の扉がA、風除室の外側の扉がB・C・Dで、Aの面積とB+C+Dの合計を比べて小さい方を開口部の面積にします。
Aで数えることになったときは、階の床面積から風除室の分を引いてよいとされています。
シャッターの内側に扉がある形も、扉で数えるときは扉とシャッターの間を床面積から外してよいとしています。
二重窓は「算定可」とだけ書かれ、どちらの窓の面積で数えるかの書き分けはありません。
鈴鹿市(第2章 第4 7⑴)・県央広域(3⑷)・堺市(3⑴オ)は、二重窓やシャッターと扉の組合せを面積の少ない方で数えるとしています。
明日やることは、出入口の扉の幅と高さを内側と外側の両方で測り、小さい方の面積を図面に書き込むことです。
つまり風除室の外側の扉が小さければ、そちらの面積で数えることになるのですね。
そのとおりです。
シャッターの付いた出入口は別記6も関わるので、あわせて確かめてください。
津市では格子を付けた窓は開口部に数えられるのか

津市の別記5の④は、この場合を短く決めています。
原則として、有効開口部算定不可とする。
国の規則第5条の5第2項第3号が格子を「内部から容易に避難することを妨げる構造」の例に挙げていることと、同じ向きの書き方です。
一方、鈴鹿市・県央広域・四日市市は、格子やルーバーを避難と消火活動の妨げにならないように設けたものを「常時良好な状態」に含めています。
鈴鹿市はそのうえで、屋内外から容易に開けられない鉄格子戸は開口部と認めないと書き添えています。
堺市の無窓階の基準には格子の項目が見当たらず、参考にした通知の一覧に格子を扱う昭和50年消防安第42号の題名が載っているだけでした。
明日やることは、格子のある窓を一覧にし、内側から開けられる造りかどうかを写真と一緒に記録することです。
| 消防本部(基準の位置) | 格子のある窓の扱い |
|---|---|
| 津市(1-9 別記5 ④) | 原則として有効開口部に数えない |
| 鈴鹿市(第2章 第4 10⑴ア) | 避難と消火活動の妨げにならなければ常時良好な状態とする。屋内外から容易に開けられない鉄格子戸は開口部と認めない |
| 埼玉県央広域(第2章 第4 4⑴ア) | 妨げにならないように設けたものは常時良好な状態として扱うことができる |
| 四日市市(第1章 第4 3⑴) | 妨げにならないものであること |
| 堺市(第5) | 本文に格子の項目は見当たらない |
防犯のための格子を外すわけにもいかないので、悩ましいです。
津市の表は「原則として」と書いているので、例外の扱いは所轄の消防署に確かめることになります。
図面と写真を持って相談するのが近道です。
津市ではバルコニーの奥の窓をどう数えるのか

別記5の⑤は、手すりとバルコニーの寸法で奥の窓を数えるかどうかを決めています。
Aが1m以上、かつ、B(手すりの高さ)が1.2m以下、かつ、D(バルコニー幅)が60cm以上の場合には、Cは有効開口部算定可とする。なお、バルコニーに面する敷地が1m未満の場合は、別記1・(3)によること。
図のAは手すりの上に開いている高さ、Bは手すりの高さ、Dはバルコニーの幅で、Aが1m以上・Bが1.2m以下・Dが60cm以上なら奥の窓Cを数えられます。
鈴鹿市(第2章 第4 2⑵)・県央広域(3⑸)・四日市市(第1章 第4 4⑹)・堺市(第5 3⑵)も、手すりの上の開き1m以上と手すり1.2m以下の組合せは同じです。
違いはバルコニーの幅が足りない場合で、鈴鹿市と県央広域は60cm未満なら手すりより上の部分だけを寸法にし、堺市は概ね60cm以上に限るとしてこれによりがたい場合は手すりより上の部分を寸法にします。
津市の別記5には60cm未満の場合の書き方がなく、四日市市の表にはバルコニーの幅の数字がありません。
明日やることは、バルコニーのある階で手すりの高さと手すりの上の開きを測り、図面の数字と合っているかを確かめることです。
手すりに目隠しのパネルを足して高くすると、窓が数えられなくなることもあるのですね。
手すりの高さが1.2mを超えると、別記5の条件から外れます。
改修の前に寸法を確かめておくと安心です。
よくある質問
まとめ
棚の配置図に、窓の内側の通路を1.2mで書き込んでから業者と相談します!
無窓階になると必要な設備が増えることもあるので、模様替えの前に所轄へ図面を見せておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行令 第10条(e-Gov法令検索)
- 消防法施行規則 第5条の5(e-Gov法令検索)
- 津市予防事務審査検査基準 1-8 消防開口(普通階・無窓階)の解説、1-9 避難上又は消火活動上有効な開口部の判断基準 3・別記5(津市消防本部)
- 鈴鹿市消防用設備等に関する審査基準 第2章 第4 無窓階の取り扱い 2⑵・7⑴・10(鈴鹿市消防本部)
- 埼玉県央広域消防本部消防用設備等に関する審査基準 第2章 第4 無窓階の取り扱い 3⑷⑸・4(埼玉県央広域消防本部)
- 四日市市消防同意事務審査基準 第1章 第4 無窓階(有窓階)の判定 3・4⑹(四日市市消防本部)
- 堺市消防同意・消防用設備等審査基準 第2章 第1節 第5 無窓階の取扱い 3⑴⑵(堺市消防局)
※本記事は津市消防本部などが公表している審査基準・運用基準と、消防法施行令・施行規則に基づく一般的な解説です。津市の基準には凡例の記号がありません。鈴鹿市の▲は行政指導を表し、今回の部分では外壁通路の印の項目だけに付いています。県央広域・堺市の該当部分には記号がなく、四日市市は窓の前の棚の項目だけに行政指導を示す下線があります(記号と下線はいずれも原本の画像で確かめました)。表は要旨を自分の言葉でまとめたもので、「数字なし」「見当たらない」としたものは各本部の無窓階の基準を確認した範囲の結果です。運用基準・条例は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防本部で確認してください。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





