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指定緊急避難場所はなぜ災害の種類ごとに指定されるのか|洪水・津波・火山など異常な現象の種類と指定の必要性を解説

指定緊急避難場所が災害の種類ごとに指定される理由を解説する記事のアイキャッチ画像。山を背にした校庭と体育館

災害の種類によって、逃げ込む先に求められる安全は変わります。
災害対策基本法は、指定緊急避難場所を、洪水や津波などの異常な現象の種類ごとに指定すると定めています。
国の通知は、その趣旨と、どの種類を指定するかの判断を説明しています。
通知と条文で、指定の仕組みを確かめます。

指定緊急避難場所は、どんな災害でも同じ場所に逃げればよいのでしょうか。

法は、異常な現象の種類ごとに指定すると定めています。

種類は、どのくらいあるのですか。

令と内閣府令に、洪水や津波、火山現象などが定められています。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 指定緊急避難場所は、洪水、津波その他の政令で定める異常な現象の種類ごとに、市町村長が指定します(災害対策基本法第49条の4第1項)。
  • 通知は、異常な現象から緊急に逃れるための避難場所を定め、住民等に周知して円滑かつ安全な避難を促進するための規定と説明しています。
  • 種類は、令第20条の4が挙げる災害と、内閣府令が定める内水氾濫と火山現象です。
  • 通知は、海岸を持たず津波の発生が想定されない地域など、指定の必要性がない地域もあると説明しています。
  • 必要性は、防災施設の整備の状況、地形、地質などを総合的に勘案して、市町村長が判断します。

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指定緊急避難場所の決まり方を示す図解(災害の種類ごとに指定、地域の実情を総合的に判断、必要な種類だけ指定)

指定緊急避難場所は、なぜ災害の種類ごとに指定するのか

中央に青い弧状の屋根の体育館、その左に青い波の板、右に岩の転がる丘、手前に煙を上げる火山が並ぶアイソメ図のイラスト

避難場所を、災害の種類と関係なく一つに決めるのではありません。
通知が、種類ごとに指定する趣旨を説明しています。

(災害対策基本法等(地区防災計画、指定緊急避難場所及び指定避難所関連事項)の運用について 平成26年3月26日 府政防第369号・消防災第126号)法第49条の4第1項において、指定緊急避難場所については、「洪水、津波その他の政令で定める異常な現象の種類ごとに」、市町村長が指定することとしている。当該規定は、それぞれの異常な現象ごとに、当該異常な現象から緊急に逃れるための避難場所を定め、これを住民等への周知を図ることにより、円滑かつ安全な避難を促進しようとするものである。
(災害対策基本法第49条の4第1項)市町村長は、防災施設の整備の状況、地形、地質その他の状況を総合的に勘案し、必要があると認めるときは、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合における円滑かつ迅速な避難のための立退きの確保を図るため、政令で定める基準に適合する施設又は場所を、洪水、津波その他の政令で定める異常な現象の種類ごとに、指定緊急避難場所として指定しなければならない。

指定は、異常な現象の種類ごとに行われます。
第49条の4第1項は、市町村長が、洪水、津波その他の政令で定める異常な現象の種類ごとに、指定緊急避難場所を指定しなければならないと定めています。
通知は、この規定を、それぞれの異常な現象から緊急に逃れるための避難場所を定めるものと説明しています。
通知は、避難場所を住民等へ周知することで、円滑かつ安全な避難を促進しようとする趣旨だと説明しています。
指定は、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合の、円滑かつ迅速な避難のための立退きの確保を図るために行われます。

災害の種類が違っても、避難先は同じでよいのですか。

種類ごとに指定するのが法の定めです。
通知が趣旨を説明しています。

指定の対象になる異常な現象には、どんな種類があるのか

青い波、岩の転がる丘、高く巻く波、ひび割れた地面、燃える家、噴煙を上げる火山が一列に並ぶイラスト

種類は、政令と内閣府令に分けて定められています。
通知と条文を照らして確かめます。

(災害対策基本法等(地区防災計画、指定緊急避難場所及び指定避難所関連事項)の運用について 平成26年3月26日 府政防第369号・消防災第126号)令第20条の4においては、政令で定める異常な現象の種類として、「洪水」、「崖崩れ、土石流及び地滑り」、「高潮」、「地震」、「津波」、「大規模な火事」を定めているほか、同条第7号の内閣府令で定める異常な現象の種類として、施行規則第1条の6において、内水氾濫や噴火に伴い発生する火山現象(溶岩流や火砕流、噴石など)を定めているところである。
(災害対策基本法施行令第20条の4)法第四十九条の四第一項の政令で定める異常な現象の種類は、次に掲げるものとする。一 洪水 二 崖崩れ、土石流及び地滑り 三 高潮 四 地震 五 津波 六 大規模な火事 七 前各号に掲げるもののほか、内閣府令で定める異常な現象の種類
(災害対策基本法施行規則第1条の6)令第二十条の四の内閣府令で定める異常な現象の種類は、一時的に大量の降雨が生じた場合において下水道その他の排水施設又は河川その他の公共の水域に当該雨水を排水できないことによる浸水及び火砕流、溶岩流、噴石その他噴火に伴い発生する火山現象とする。

種類は、令の第1号から第6号と、内閣府令で定められています。
令第20条の4は、洪水、崖崩れ・土石流・地滑り、高潮、地震、津波、大規模な火事を挙げています。
同条第7号は、これらのほか内閣府令で定める異常な現象の種類を認めています。
災害対策基本法施行規則第1条の6は、雨水を排水できないことによる浸水と、噴火に伴い発生する火山現象を定めています。通知は、前者を内水氾濫と呼んでいます。
通知は、火山現象の例として、溶岩流や火砕流、噴石を挙げています。

洪水と津波のほかにも、種類があるのですね。

令と内閣府令が、内水氾濫や火山現象まで定めています。
令第20条の4で確かめます。

海岸のない地域でも、津波の避難場所を指定しなければならないのか

左に家々と緑の丘と川のある内陸の町、右に何も無い砂地の板に立つ空白の案内標識と点線の波の輪郭が並ぶイラスト

法は、必要があると認めるときに、指定を求めています。
通知が、その趣旨を例で説明しています。

(災害対策基本法等(地区防災計画、指定緊急避難場所及び指定避難所関連事項)の運用について 平成26年3月26日 府政防第369号・消防災第126号)「必要があると認めるときは」と規定している趣旨は、指定緊急避難場所は洪水、津波その他の政令で定める異常な現象の種類ごとに、指定されることとされているが、例えば、そもそも海岸を持たず津波の発生が想定されない地域については津波の発生に備えた指定緊急避難場所を指定する必要性がないなど、各地域の実情によっては、必ずしも、当該異常な現象について指定緊急避難場所を指定する必要がない地域もあることを踏まえ、各市町村長が必要な指定緊急避難場所の判断を行うこととしたものである。
(災害対策基本法等(地区防災計画、指定緊急避難場所及び指定避難所関連事項)の運用について 平成26年3月26日 府政防第369号・消防災第126号)当該規定の趣旨を踏まえると、異常な現象から緊急に避難するためには、当該異常な現象による災害の範囲、規模等が一定程度想定可能であることが必要となる。

すべての種類を、どの市町村でも指定するとは限りません。
第49条の4第1項は、市町村長が必要があると認めるときに、指定しなければならないと定めています。
通知は、例として、そもそも海岸を持たず津波の発生が想定されない地域では、津波に備えた指定緊急避難場所を指定する必要性がないと説明しています。
通知は、必要な指定緊急避難場所の判断を、各市町村長が行うこととしたと説明しています。
通知は、異常な現象から緊急に避難するには、災害の範囲、規模等が一定程度想定可能であることが必要になると説明しています。

種類の全部を、すべての地域で指定するわけではないのですね。

通知は、必要のない地域もあると説明しています。
判断するのは市町村長です。

指定の必要性は、どんな事項を見て判断するのか

堤防と丘と川、断面に土の層が見える地面の板に、公民館風の建物と虫眼鏡が置かれたイラスト

必要性は、感覚では決まりません。
法と通知が、見る事項を挙げています。

(災害対策基本法等(地区防災計画、指定緊急避難場所及び指定避難所関連事項)の運用について 平成26年3月26日 府政防第369号・消防災第126号)こうした指定緊急避難場所の指定の必要性等を判断する際には、「防災施設の整備の状況、地形、地質その他の状況を総合的に勘案」することとしている。ここでいう「防災施設の整備の状況」は災害の防護施設(堤防等)の整備状況、発災時における緊急の避難場所となり得る防災施設の有無やその分布の状況、「地形」は中山間部や平野部などの地表の起伏や高低の状況、「地質」は地盤の状況等を意味しているところであるが、このほか指定緊急避難場所の指定を行うに際しては、その他の地域の実情に応じた諸々の状況を総合的に勘案することが必要である。
(災害対策基本法等(地区防災計画、指定緊急避難場所及び指定避難所関連事項)の運用について 平成26年3月26日 府政防第369号・消防災第126号)上記①から④までのほか、各市町村等において、地域の実情に応じて、別途独自の基準を設けることは特段差し支えないので、留意されたい。

必要性は、地域の状況を総合的に勘案して判断します。
第49条の4第1項は、防災施設の整備の状況、地形、地質その他の状況を総合的に勘案するよう定めています。
通知は、「防災施設の整備の状況」を、堤防等の整備状況や、緊急の避難場所となり得る防災施設の有無・分布の状況と説明しています。
通知は、「地形」を地表の起伏や高低の状況、「地質」を地盤の状況と説明しています。
通知は、このほか地域の実情に応じた諸々の状況も総合的に勘案する必要があると説明しています。
通知は、各市町村等が、地域の実情に応じて別途独自の基準を設けることも差し支えないとしています。

見る事項は、地形や地盤だけなのですか。

通知は、地域の実情に応じた状況も勘案するよう説明しています。
堤防や避難できる施設の分布も含まれます。

明日から何を確認しておけばよいのか

左にチェックリストの板、中央に色分けされた地図の板、右に旗竿のある公共施設の建物が並ぶイラスト

お住まいの市町村や、施設を管理する立場の人は、指定の内容を種類ごとに確かめておきます。
平常時に、次の点を確認します。

指定の内容を、種類ごとに確かめます。
市町村が公示した指定緊急避難場所が、どの異常な現象の種類について指定されているかを確認します。
洪水の避難場所が、津波や地震にも指定されているとは限らない点を確認します。
自分の地域に無い種類の指定は、通知が示す必要性の考え方で、指定がない理由を確認します。
施設の管理者の立場なら、指定される種類と、管理者の同意や届出の扱いを市町村に確認します。
個別の判断は、市町村の担当部署にご確認ください。

種類ごとの指定は、どこで確かめればよいのですか。

市町村の公示と条文で確認します。
よくある質問もあわせてご確認ください。

よくある質問

Q指定緊急避難場所は、どのように指定されるのですか?
A第49条の4第1項は、市町村長が、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合における円滑かつ迅速な避難のための立退きの確保を図るため、政令で定める基準に適合する施設又は場所を、異常な現象の種類ごとに指定するものと定めています。
Q異常な現象には、どんな種類がありますか?
A令第20条の4は、洪水、崖崩れ・土石流及び地滑り、高潮、地震、津波、大規模な火事を挙げています。内閣府令は、雨水を排水できないことによる浸水と火山現象を定めています。
Q海岸のない地域でも、津波の避難場所を指定しなければなりませんか?
A通知は、そもそも海岸を持たず津波の発生が想定されない地域については、津波に備えた指定緊急避難場所を指定する必要性がないなどと説明し、各市町村長が判断するとしています。
Q市町村は、独自の基準を設けてもよいのですか?
A通知は、政令の基準のほか、各市町村等が地域の実情に応じて別途独自の基準を設けることも、特段差し支えないと説明しています。

まとめ

✔指定緊急避難場所は、洪水、津波その他の政令で定める異常な現象の種類ごとに指定されます(第49条の4第1項)。
✔通知は、この規定を、異常な現象から緊急に逃れる避難場所を定め、円滑かつ安全な避難を促進するものと説明しています。
✔種類は、令第20条の4が挙げる災害と、内閣府令が定める内水氾濫と火山現象です。
✔通知は、必要性のない地域もあると説明し、判断は各市町村長が行います。
✔必要性は、防災施設の整備の状況、地形、地質などを総合的に勘案して判断します。
✔通知は、市町村が独自の基準を別に設けることも差し支えないとしています。
✔指定の種類は、市町村の公示と条文で確認します。

市町村の公示と条文で、まず確認してみます!

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 災害対策基本法等(地区防災計画、指定緊急避難場所及び指定避難所関連事項)の運用について(平成26年3月26日 府政防第369号・消防災第126号)
  • 災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第49条の4
  • 災害対策基本法施行令(昭和37年政令第288号)第20条の4
  • 災害対策基本法施行規則(昭和37年総理府令第52号)第1条の6

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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