地下に住戸や居室がある建物があります。
延べ面積の中に、その地階の住宅の分も入るのかが気になります。
建築基準法第52条第3項が、その場合の扱いを定めています。
地階の高さと面積の上限が、決め手になります。
今回は建築基準法第52条第3項から第5項が定める地階の住宅部分の容積率の扱いと地盤面の考え方について、計算例と防火管理者が押さえておきたい点をあわせて解説します。
地下の住宅の分は、容積率の延べ面積に入りますか。
入らない場合があると聞きました。
建築基準法第52条第3項に、三分の一までを入れない規定があります。
まず、条文から見ていきましょう。
三分の一という数字が出てくるのですね。
どんな地階でも当てはまるのでしょうか。
地階の天井の高さにも条件があります。
計算例も、あとで示しますね。
- 第3項は、地階でその天井が地盤面からの高さ1メートル以下にあるものの住宅又は老人ホーム等の部分の床面積を、容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入しないと定めています。
- 算入しない面積には上限があり、住宅及び老人ホーム等の用途に供する部分の床面積の合計の三分の一までです。
- たとえば、住宅部分の合計が1,200平方メートルで地階の住宅部分が450平方メートルなら、算入しないのは400平方メートルまでです。
- 地盤面は第4項で、建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面と定められています。
- 地方公共団体は、第5項と施行令第135条の15の基準に従い、条例で地盤面を別に定めることができます。
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目次
地階の住宅部分は容積率の延べ面積にどこまで算入しないのか

その延べ面積のうち、一定の地階の住宅などの部分は、算入しない扱いがあります。
第3項の条文を確認しましょう。
対象になるのは、地階のなかでも、天井が地盤面から1メートル以下にあるものです。
用途は、住宅又は老人ホーム、福祉ホームその他これらに類するものです。
条文では、これらをまとめて「老人ホーム等」と呼んでいます。
地階の事務所や倉庫の部分は、この項では対象になりません。 地階の意味は、施行令第1条第二号にあります。
床が地盤面下にある階で、床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの三分の一以上のものです。
地階でも、天井の高さの条件があるのですね。
三分の一という上限は、どう数えるのでしょうか。
上限の数え方も、条文に書かれています。
次に、分母になる合計を見ていきましょう。
算入しない面積の三分の一という上限はどう数えて計算するのか

分母になる合計の範囲を、まず押さえます。 上限は、建築物の住宅及び老人ホーム等の用途に供する部分の床面積の合計の三分の一です
その合計は、地階だけではなく、地上階も含めた住宅等の部分の床面積です。
ただし、第6項各号に掲げる建築物の部分は、この合計から除かれます。
たとえば、共同住宅の共用の廊下や階段の部分は、第6項第二号の部分です。 計算は、次の順で進めます。
一つ目に、地上階と地階を合わせた、住宅及び老人ホーム等の部分の床面積の合計を出します。
二つ目に、その三分の一を出します。
三つ目に、天井が地盤面から1メートル以下の地階の住宅等の床面積と、二つ目の数値を比べます。
四つ目に、小さいほうが、延べ面積に算入しない面積です。 例として、敷地面積が300平方メートル、都市計画の容積率が300パーセントの敷地を考えます。
延べ面積の限度は、300×3=900平方メートルです。
ここでは、前面道路などの他の制限は考えません。 例Aは、地上階の住宅部分が900平方メートル、地階の住宅部分が300平方メートルの場合です。
合計は1,200平方メートルで、その三分の一は400平方メートルです。
地階の300平方メートルは400平方メートル以下なので、300平方メートルが算入されません。
容積率の計算に使う延べ面積は、1,200−300=900平方メートルで、限度と一致します。 例Bは、地上階が750平方メートル、地階が450平方メートルの場合です。
合計はやはり1,200平方メートルで、三分の一は400平方メートルです。
地階の450平方メートルは400平方メートルを超えるので、算入されないのは400平方メートルまでです。
容積率の計算に使う延べ面積は、1,200−400=800平方メートルで、地階の50平方メートル分が算入されます。 数値は読み方の例で、実際の計算は建築士が行います。
対象の地階かどうかも、次に見る地盤面の位置で変わります。
地階の面積が三分の一を超えると、超えた分は算入されるのですね。
地盤面は、どう決まるのでしょうか。
地盤面は、第4項が定めています。
次に、平均の高さの考え方を見ましょう。
第3項の地盤面は周囲の地面との接し方でどう決まるのか

その地盤面の意味は、第4項に書かれています。
地面が平らなら、地盤面はその地面の高さです。
敷地に傾斜があれば、建物が地面と接する位置の高さを平均した水平面が、地盤面になります。
地下の階かどうかも、その天井の高さの判断も、この水平面が基準です。
地面が傾いていると、地盤面は平均の高さになるのですね。
高低差が大きいときは、どうなりますか。
第4項は、高低差が3メートルを超える場合も定めています。
続けて、条例の規定も見ましょう。
高低差が3メートルを超えるときと条例で地盤面を別に定めるときはどうなるのか

さらに第5項が、条例で地盤面を別に定める道を用意しています。 接する位置の高低差が3メートルを超える場合は、高低差3メートル以内ごとの平均の高さにおける水平面が、地盤面になります
高低差3メートルまでは、一つの地盤面です。
3メートルを超えると、3メートル以内ごとに区切って、それぞれの平均の高さを取ります。
斜面に建つ建物では、地盤面が一つとは限りません。
別に定められるのは、第3項の地盤面です。
その基準は、施行令第135条の15に定められています。
一 建築物が周囲の地面と接する位置のうち最も低い位置の高さ以上の高さに定めること。
二 周囲の地面と接する位置の高低差が三メートルを超える建築物については、その接する位置のうち最も低い位置からの高さが三メートルを超えない範囲内で定めること。
三 周囲の地面と接する位置の高低差が三メートル以下の建築物については、その接する位置の平均の高さを超えない範囲内で定めること。
条例で定めた地盤面は、法定の平均の高さより低くなります。
地階の天井が地盤面から1メートル以下という条件も、その地盤面で判断されます。
条例の有無と内容は、地方公共団体ごとに違うので、確認が必要です。
条例があると、地階の判断が変わることがあるのですね。
防火管理者は、なにを確かめればよいでしょうか。
第3項から第5項は、建築基準法の容積率の話です。
確かめたい点を、五つにまとめます。
地階に住宅などがある建物で防火管理者はなにを確かめておくとよいのか

防火管理者の義務を直接に決めるものではありません。
ただし、増築や用途変更を考えるときには、関係する場面があります。 第3項から第5項は建築基準法の容積率の規定であり、消防法令の基準を緩めるものではありません
地階の住宅などの床面積は、容積率の延べ面積に算入されなくても、実際の建物の床面積として存在します。
消防用設備等の判断は別なので、所轄消防署への相談も欠かせません。
明日から次の点を確認してください。
- 建物に地階があるかと、その用途に住宅や老人ホーム等の部分があるかを、建築確認の図面等で確認して記録する。
- 地階の天井が地盤面から1メートル以下かどうかと、地盤面の位置を、建築士に確認して控えておく。
- 増築や用途変更で延べ面積が変わる予定があるときは、地階の扱いが変わらないかを、建築士や特定行政庁に事前に相談する。
- 地盤面を別に定める条例があるかを、市町村や特定行政庁に確認する。
- 消防用設備等の判断は、所轄消防署へ相談する。
容積率の話と消防の話を混同しないように、それぞれの窓口へ確かめておきましょう。
地階の状況を、まず図面で確認します。
増築や用途変更の前に、相談してみます。
地階の扱いが分かれば、改修のときの相談も早くなります。
相談は、建築の窓口と消防の両方の窓口にしておくと安心です。
よくある質問
まとめ
地階の状況と地盤面の位置を、確認しておく必要があるんですね。
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地階の扱いが分かれば、増築や用途変更の相談も進めやすくなります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第五十二条・建築基準法施行令第一条・第百三十五条の十五(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。地階の扱いや地盤面の位置は特定行政庁ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





