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指定避難所の指定は市町村だけで完結するのか|届出と内閣総理大臣への報告まで続く流れを解説

指定避難所の指定が都道府県を経て国へ報告される仕組みを解説する記事のアイキャッチ画像。段ボール間仕切りが並ぶ体育館の避難所

災害が起きたあと、指定していない体育館や公民館を避難所として使うことがあります。
国の通知は、そうした臨時の使用は問題ないとしています。
それでも市町村長は避難所をあらかじめ指定し、その情報は都道府県知事を通じて内閣総理大臣へ報告されます。
通知と条文で、指定避難所の指定がどこまで続くのかを確かめます。

指定していない体育館でも、災害のあとに避難所として使えるのでしょうか。

通知は、臨時に使うことは問題ないとしています。

では、あらかじめ指定しておく意味はどこにあるのですか。

避難所の量的な確保と、国への報告に関わります。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 指定していない施設を、災害発生後に臨時に避難所として使うことは問題ないとされています。ただし、支援が行き届くようにし、法第86条の6の生活環境の確保に努めることが重要です。
  • 指定にあたって勘案する災害の状況と人口の状況は例示にすぎず、地域の実情に応じた状況も勘案します。
  • 指定緊急避難場所の規定の多くが準用され、管理者の同意や都道府県知事への通知・公示、重要な変更の届出が必要です。
  • 都道府県知事は、通知を受けたら内閣総理大臣へ報告します(法第49条の7第3項)。広域一時滞在の協議やプッシュ型の物資供給に備えるためとされています。
  • 従来から定めている避難所も、指定基準に沿って改めて検証され、基準を満たさない場合に限り指定を取り消すこととされています。

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指定避難所の指定から国への報告までの流れを示す図解(同意を得て指定、知事へ通知と公示、内閣総理大臣へ報告)

指定していない施設を、災害後に避難所として使ってもよいのか

看板のない集会施設の前に青い物資の箱と折りたたみ式の簡易寝台が積まれ、点線の矢印が伸びるイラスト

指定避難所は、あらかじめ指定しておく仕組みです。
指定していない施設の使い方について、通知は次のように示しています。

(災害対策基本法等(地区防災計画、指定緊急避難場所及び指定避難所関連事項)の運用について 平成26年3月26日 府政防第369号・消防災第126号)法第49条の7第1項において、被災者が一定期間滞在する場としての避難所については、円滑な救援活動を実施し、また一定の生活環境を確保する観点から、「政令で定める基準に適合する公共施設その他の施設」を指定避難所として指定することとしたものである。
(災害対策基本法等(地区防災計画、指定緊急避難場所及び指定避難所関連事項)の運用について 平成26年3月26日 府政防第369号・消防災第126号)なお、指定避難所は、一定の生活環境が確保された避難所の量的な確保を図り、発災時に迅速に避難者に提供することができるようあらかじめ指定することとしているものであり、指定避難所として指定していない施設を災害発生後の状況に応じ、臨時に避難所として使用することは問題ない。ただし、救助法等に基づく支援が被災者に行き届くようにするとともに、法第86条の6に定める生活環境の確保に努めることが重要である。
(災害対策基本法第86条の6第1項)災害応急対策責任者は、災害が発生したときは、法令又は防災計画の定めるところにより、遅滞なく、避難所を供与し、(略)避難所に滞在する被災者の生活環境の整備に必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

指定していなくても、臨時に使うことは問題ないとされています。
通知は、指定避難所を、一定の生活環境が確保された避難所の量的な確保を図り、発災時に迅速に避難者に提供できるようあらかじめ指定するものと説明しています。
指定していない施設を、災害発生後の状況に応じて臨時に避難所として使うことは、問題ないとされています。
ただし、救助法等に基づく支援が被災者に行き届くようにすることが求められています。
あわせて、法第86条の6に定める生活環境の確保に努めることが重要とされています。

法第86条の6は、災害応急対策責任者に、避難所に滞在する被災者の生活環境の整備に必要な措置を講ずるよう努めることを求めています。
指定していない施設を使う場合も、この生活環境の確保に努めることが重要とされています。

指定していない施設を使っても、あとで問題になりませんか。

通知は、臨時に使うことは問題ないとしています。
ただし、支援が行き届くようにすることが重要とされています。

市町村長は、指定避難所を指定するときになにを勘案するのか

青い川の流れる地図板と、高さの違う三本の青い棒が並ぶイラスト

市町村長は、避難所をむやみに指定するわけではありません。
勘案する事項について、通知は次のように示しています。

(災害対策基本法等(地区防災計画、指定緊急避難場所及び指定避難所関連事項)の運用について 平成26年3月26日 府政防第369号・消防災第126号)市町村長は、「想定される災害の状況、人口の状況その他の状況を勘案し」指定避難所を指定しなければならないこととしている。これは、市町村長が指定避難所を指定する際に勘案すべき事項を示しているものである。ここでいう「想定される災害の状況」は発生が想定される災害の規模や影響等、「人口の状況」は各市町村内における人口やその分布状況等を意味している。ここに列挙した勘案事項は単なる例示に過ぎず、その他の地域の実情に応じた諸々の状況を勘案する必要がある。
(災害対策基本法等(地区防災計画、指定緊急避難場所及び指定避難所関連事項)の運用について 平成26年3月26日 府政防第369号・消防災第126号)なお、各市町村等において、地域の実情に応じて、別途独自の基準を設けることは特段差し支えないので、留意されたい。

勘案する事項は、あくまで例示です。
法第49条の7第1項は、市町村長に、想定される災害の状況、人口の状況その他の状況を勘案するよう求めています。
通知は、「想定される災害の状況」を、発生が想定される災害の規模や影響等と説明しています。
「人口の状況」は、各市町村内における人口やその分布状況等を意味するとしています。
これらは単なる例示であり、その他の地域の実情に応じた状況も勘案する必要があるとされています。

指定基準についても、各市町村等が地域の実情に応じて別途独自の基準を設けることは差し支えないとされています。
独自の基準が定められている場合は、市町村の基準もあわせて確認します。

避難所を指定するとき、なにを見て決めるのですか。

市町村長は、想定される災害の状況や人口の状況などを勘案します。
ただし、これらは例示にすぎません。

指定避難所には、指定緊急避難場所の手続のどこまでが当てはまるのか

書類と印鑑、点線で増築部分を示した体育館、旗のある市庁舎が並ぶイラスト

指定避難所の手続は、指定緊急避難場所の規定を準用する形で定められています。
通知は、その扱いを次のように説明しています。

(災害対策基本法等(地区防災計画、指定緊急避難場所及び指定避難所関連事項)の運用について 平成26年3月26日 府政防第369号・消防災第126号)指定避難所の重要な変更の届出等については、指定緊急避難場所の場合と同様に扱うことが適当であることから、必要な読替えを行った上で、以下のとおり、指定避難所について指定緊急避難場所に関する規定の多くを準用している。
(災害対策基本法等(地区防災計画、指定緊急避難場所及び指定避難所関連事項)の運用について 平成26年3月26日 府政防第369号・消防災第126号)市町村長が指定避難所を指定しようとするときは、当該指定避難所の管理者の同意を得なければならないことや、市町村長が指定避難所を指定しようとするとき又は当該指定を取り消すときは、その旨を都道府県知事へ通知するほか、公示する必要があることは、指定緊急避難場所の指定の場合と同様であるので、指定緊急避難場所の場合に準じて、各市町村において適切に対応されたい(第二4.5.及び7.参照)。特に、指定緊急避難場所と同様に、指定避難所の管理状況の把握についても、変更届出によるほか、防災訓練で使用する際に状況把握するなど、適切な施設の管理状況の把握に努められたい。
(災害対策基本法等(地区防災計画、指定緊急避難場所及び指定避難所関連事項)の運用について 平成26年3月26日 府政防第369号・消防災第126号)指定避難所の管理者は、指定避難所を廃止し、又は指定避難所の現状に「政令で定める重要な変更」を加えようとするときは、「内閣府令で定めるところにより」市町村長に届け出なければならないこととしている。指定避難所の指定の対象となる施設の一定以上の総面積の変更は、指定避難所としての使用に多大な影響を及ぼすものと考えられることから、「政令で定める重要な変更」の内容について、令第20条の7において、指定避難所の被災者等の滞在の用に供すべき部分の総面積の10分の1以上の面積の増減を伴う変更と定めている。
(災害対策基本法第49条の7第2項)第四十九条の四第二項及び第三項並びに前二条の規定は、指定避難所について準用する。
(災害対策基本法施行令第20条の7)法第四十九条の七第二項において準用する法第四十九条の五の政令で定める重要な変更は、指定避難所の被災者等の滞在の用に供すべき部分の総面積の十分の一以上の面積の増減を伴う変更とする。

指定緊急避難場所の規定の多くが、指定避難所に準用されます。
市町村長が指定避難所を指定しようとするときは、当該指定避難所の管理者の同意を得なければなりません。
指定しようとするときや指定を取り消すときは、その旨を都道府県知事へ通知し、あわせて公示する必要があります。
指定避難所の管理状況の把握は、変更届出のほか、防災訓練で使用する際に行うなど、適切な把握に努めるよう求められています。

届出が必要な重要な変更は、滞在用部分の総面積の10分の1以上の増減です。
指定避難所の管理者は、指定避難所を廃止し、または現状に重要な変更を加えようとするときは、市町村長へ届け出なければなりません。
「政令で定める重要な変更」は、令第20条の7が、被災者等の滞在の用に供すべき部分の総面積の10分の1以上の面積の増減を伴う変更と定めています。

うちの施設が指定避難所なら、面積を変えるときに届出は要りますか。

重要な変更は、滞在の用に供する部分の総面積の10分の1以上の増減を伴う変更と定められています。
変更前に、市町村の担当部署へ確認しておきます。

指定避難所の指定は、なぜ内閣総理大臣への報告まで続くのか

市庁舎、県庁舎、国の高い庁舎が点線の矢印でつながり、手前に荷物を積んだ運搬車が停まるイラスト

指定避難所の指定や取消しは、市町村から都道府県知事へ通知されます。
都道府県知事の報告について、通知は次のように示しています。

(災害対策基本法等(地区防災計画、指定緊急避難場所及び指定避難所関連事項)の運用について 平成26年3月26日 府政防第369号・消防災第126号)法第49条の7第3項において、同条第2項に基づく通知を受けた都道府県知事は内閣総理大臣に対しその旨を報告しなければならないこととされている。(略)なお、この場合においても、都道府県と国の間で指定状況の認識に差異が生じないよう、最新の指定状況を反映した当該都道府県の全指定避難所を様式3に記載し、送付されたい(第二5.参照)。
(災害対策基本法等(地区防災計画、指定緊急避難場所及び指定避難所関連事項)の運用について 平成26年3月26日 府政防第369号・消防災第126号)ここで、都道府県知事から内閣総理大臣への報告について規定した趣旨は、あらかじめ被災者の受入れ可能な避難所の情報を把握しておくことで、円滑な広域一時滞在等の協議の実現を図るとともに、的確かつ円滑なプッシュ型の緊急物資の供給を可能とする必要があるためである。
(災害対策基本法第49条の7第3項)都道府県知事は、前項において準用する第四十九条の四第三項又は前条第二項の規定による通知を受けたときは、その旨を内閣総理大臣に報告しなければならない。

都道府県知事は、通知を受けたら内閣総理大臣へ報告します。
法第49条の7第3項は、都道府県知事に、準用する法第49条の4第3項や前条第2項による通知を受けたときの報告を義務付けています。
通知は、報告の趣旨を、被災者の受入れが可能な避難所の情報をあらかじめ把握しておくことで、円滑な広域一時滞在等の協議の実現を図るためと説明しています。
あわせて、的確かつ円滑なプッシュ型の緊急物資の供給を可能とする必要があるためとも説明しています。

報告にあたっては、都道府県と国の間で指定状況の認識に差異が生じないよう、最新の指定状況を反映した全指定避難所を様式に記載して送付するよう求められています。
記載するのは、最新の指定状況を反映した全指定避難所です。

報告先が内閣総理大臣だなんて、うちの施設に関係あるのですか。

あらかじめ受入れ可能な避難所の情報を国が把握するための仕組みです。
広域一時滞在の協議や、プッシュ型の物資供給を可能にするためとされています。

明日から何を確認しておけばよいのか

古い学校体育館の前に空欄の点検表が立ち、巻き尺が建物の脇に伸びるイラスト

自分の施設が、以前から避難所として定められている施設なら、通知は次のように示しています。

(災害対策基本法等(地区防災計画、指定緊急避難場所及び指定避難所関連事項)の運用について 平成26年3月26日 府政防第369号・消防災第126号)既に定められている避難所については、前記の指定基準に沿って、当該避難所が主に被災者が一定期間滞在するために最低限の生活環境を満たしているかという観点から、改めて検証するとともに、当該基準を満たさない場合に限り、当該避難所の指定を取り消すなど、本規定の施行前から既に定められている避難所については、各市町村において、指定緊急避難場所の場合(第二8.参照)に準じて、適切に対応されたい。なお、指定緊急避難場所が政令で定める「施設又は場所」を指定することとされていることや、「異常な現象の種類ごとに」指定することとされていることに関連する記述については、指定避難所の指定の場合は勘案事項ではないので、この点注意されたい。

従来からの避難所も、基準に沿って改めて検証されます。
通知は、既に定められている避難所を、主に被災者が一定期間滞在するために最低限の生活環境を満たしているかという観点から、改めて検証するよう求めています。
基準を満たさない場合に限り、その避難所の指定を取り消すなど、指定緊急避難場所の場合に準じて対応するとされています。
指定緊急避難場所の「施設又は場所」や「異常な現象の種類ごと」に関する記述は、指定避難所では勘案事項ではないとされています。

管理者として、次の点を市町村に確かめます。
施設が指定避難所として位置付けられているか、同意を行った記録が社内に残っているかを確認します。
滞在に使う部分の面積を変える予定があるときは、総面積の10分の1以上の増減になるかを市町村へ相談します。
指定していない施設が臨時に避難所として使われる場合も、支援が行き届く形を、市町村と確認しておきます。
防災訓練で使うときに、施設の管理状況を市町村が把握できるよう、協力の方法を確かめます。
個別の判断は、市町村の担当部署にご確認ください。

まず何から確かめればよいのですか。

指定避難所としての位置付けと、同意の記録を確認します。
よくある質問もあわせてご確認ください。

よくある質問

Q指定していない施設は、災害のあとに避難所として使えないのですか?
A通知は、指定していない施設を災害発生後の状況に応じて臨時に避難所として使うことは問題ないとしています。ただし、支援が被災者に行き届くようにし、法第86条の6に定める生活環境の確保に努めることが重要とされています。
Q指定避難所を指定するとき、市町村長はなにを勘案しますか?
A法第49条の7第1項は、想定される災害の状況、人口の状況その他の状況を勘案するよう求めています。通知は、これらは単なる例示であり、地域の実情に応じた状況も勘案する必要があるとしています。
Q指定避難所の面積を変えるときは、届出が必要ですか?
A令第20条の7は、被災者等の滞在の用に供すべき部分の総面積の10分の1以上の面積の増減を伴う変更を、届出が必要な重要な変更と定めています。
Q都道府県知事から内閣総理大臣への報告は、なんのためにありますか?
A通知は、被災者の受入れ可能な避難所の情報をあらかじめ把握し、円滑な広域一時滞在等の協議と、的確かつ円滑なプッシュ型の緊急物資の供給を可能にするためと説明しています。

まとめ

✔指定していない施設を臨時に避難所として使うことは、問題ないとされています。
✔ただし、支援が行き届くようにし、法第86条の6の生活環境の確保に努めることが重要です。
✔市町村長は、想定される災害の状況や人口の状況などを勘案し、これらは例示にすぎません。
✔指定緊急避難場所の規定の多くが準用され、管理者の同意と都道府県知事への通知・公示が必要です。
✔重要な変更は、滞在用部分の総面積の10分の1以上の増減を伴う変更です(令第20条の7)。
✔都道府県知事は、通知を受けたら内閣総理大臣へ報告します(法第49条の7第3項)。
✔従来からの避難所も、基準に沿って改めて検証され、満たさない場合に限り指定が取り消されます。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 災害対策基本法等(地区防災計画、指定緊急避難場所及び指定避難所関連事項)の運用について(平成26年3月26日 府政防第369号・消防災第126号)
  • 災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第49条の4、第49条の5、第49条の6、第49条の7、第86条の6
  • 災害対策基本法施行令(昭和37年政令第288号)第20条の7

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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