2号消火栓は、ホースを1人で操作できるように作られた屋内消火栓です。
ところがメーカーごとにホースの長さやノズルの形、操作の手順が違うため、現場では「ここは変えてよいのか」という疑問が出ます。
平成元年に消防庁が示した質疑応答には、変えてよいものと変えてはならないものの線引きが示されています。
2号消火栓のホースを長くすれば、遠くまで届いて便利ではないですか。
そこは変えるべきではないとされています。
理由は操作性にあります。
ノズルも、噴霧に替えたほうが使いやすそうです。
そこにも条件があります。
5つの質疑を順に見ていきます。
- 操作性の鑑定に適合した表示のある2号消火栓は、ホースの長さを変えて水平距離15メートルを超えて使うことは行うべきでないとされました
- 噴霧専用のノズルは使えず、棒状のときに性能を満たす棒状・噴霧切換ノズルなら使えます
- ホースの摩擦損失水頭は、消火栓に表示された圧力損失値を使います
- 操作方法は各社各様のままで、求められるのは一人で円滑に操作できること
- 自動火災報知設備の信号回路と共用するときは、応答確認線か発信機線の接続と終端器と2極スイッチが必要です
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目次
2号消火栓のホースを長くして水平距離15メートルを超えてよいか

ホースは20メートルのものが一般的なので、「長いホースにすればもっと遠くまで守れる」と考えたくなります。
なお、水平距離の緩和については、「社会福祉施設等に係る防火安全対策に関する消防法令の運用について」(昭和62年10月26日付け消防予第187号)第1、3及び4を参照されたい。
令第11条第3項第2号イは、ホースの長さを「水平距離が15メートルの範囲内の各部分に有効に放水することができる長さ」とし、ホースの構造も「一人で操作することができるもの」と定めています。
回答は、鑑定を受けて基準への適合表示が付いた製品について、長さを変える改造は行うべきでないとしています。
水平距離を広げたいときの道は、ホースを伸ばすことではなく、回答が案内する別の通知にあります。距離の緩和が認められる場面かどうかは、通知の該当箇所と所轄の消防機関で確かめてください。
ホースだけ長くしても、操作性が落ちるんですね。
そういうことです。
表示のある製品はそのまま使ってください。
2号消火栓のノズルに噴霧ノズルを使えるか

そこで、噴霧のノズルを付けてよいのかという問いが出ました。
ただし、棒状・噴霧切換ノズルであって棒状の時に前記性能を満足するものにあっては使用することができる。この場合において、棒状・噴霧切換ノズルとしては、切換操作が容易であること、噴霧放水において適当な放水距離があること等の性能が要求される。
令第11条第3項第2号イ(5)は、2号消火栓の性能を「ノズルの先端において、放水圧力が0.25メガパスカル以上で、かつ、放水量が60リットル毎分以上」と定めています。回答の2.5キログラム毎平方センチメートルは、当時の単位で書かれたこの圧力にほぼあたります。
回答は、この性能が棒状ノズルを想定した数字であることを理由に、噴霧専用のノズルは使用できないとしました。
一方で、棒状のときに所定の性能を満たす棒状・噴霧切換ノズルは使用できる。切換操作が容易であること、噴霧のときにも適当な放水距離があることが条件に挙げられています。
使い勝手のために切換式のノズルを選ぶなら、棒状にしたときに0.25メガパスカルと60リットル毎分を満たす製品かを、メーカーの資料で確かめてください。
切り換えられるノズルなら、噴霧も使えるんですね。
ただし棒状のときの性能が前提です。
資料で性能を確かめてください。
2号消火栓に表示された圧力損失値はどう計算に使うか

2号消火栓には「圧力損失値」が表示されていますが、これを計算のどこに入れるのかが問われました。
従って、2号消火栓を使用する場合の消防用ホース及び配管の摩擦損失水頭については、次によることが必要である。
① 消防用ホースの摩擦損失水頭:2号消火栓に表示されている圧力損失値とする。
② 配管の摩擦損失水頭:2号消火栓の接続口が接続される部分までの配管についての摩擦損失水頭とする。
現行の規則第12条第2項第5号ロは、ポンプの全揚程を「H=h1+h2+h3+25m」で求めるとしています。h1は消防用ホースの摩擦損失水頭、h2は配管の摩擦損失水頭、h3は落差です。問の条番号は当時のもので、この計算式にあたる部分の扱いを尋ねています。
ホースのh1については、2号消火栓に表示された圧力損失値をそのまま使う。ホースの長さや口径から自分で計算し直すのではなく、消火栓の表示を読むということです。
h2は、消火栓の接続口が接続される部分までの配管について求めます。
ポンプの選定を確認するときは、ホース側に表示値を入れているか、配管側を接続口までで区切っているかを計算書で見てください。
ホースの損失は、表示された値を使えばよいんですね。
その通りです。
配管は接続口の手前までで区切ります。
2号消火栓の操作方法はなぜ統一されないのか

建物が変わるたびに操作が変わるなら、統一したほうがよいのではないかという疑問です。
従って、ホースの収納方式、起動方法等の相違により、各社各様の操作方法となっている。
また、操作方法の統一は重要であるが、現状において実施することには技術開発等を阻害するおそれがあるので、当面、操作方法の統一は考えていない。
回答が求めているのは、統一された手順ではなく、一人で円滑に操作できることです。令第11条第3項第2号イ(3)も、ホースの構造を一人で操作できるものと定めています。
起動についても規則第12条第2項第6号が、加圧送水装置を直接操作で起動できるものとし、かつ、開閉弁の開放やホースの延長操作などと連動して起動できるものとしています。
統一しない理由は、統一すると技術開発を妨げるおそれがあるためと書かれています。今の建物の消火栓は、その機種の操作方法を確かめておく必要があります。
機種ごとに違うなら、自分の建物の型を覚えておくべきですね。
そうです。
箱の表示で手順を確かめてください。
2号消火栓の起動信号を自動火災報知設備の回路と共用してよいか

自動火災報知設備の感知器の信号回路と共用することが認められていますが、つなぎ方に決まりがあります。
発信機からの回路を使用する場合において、信号線(L)と共通線(C)に接続するとともに蓄積機能の解除、感知器の作動では起動しない等のために、L及びCのほかに、1級受信機にあっては応答確認線(A)を、2級受信機にあっては発信機線(H)にも接続すること。
この場合において、起動装置が当該受信機の信号回路の末端となる場合には、受信機に適合した終端器を設けることが必要である。
また、起動装置は、2極スイッチであることが必要である。
なお、接続に当たっては、事前に自動火災報知設備に係る工事担当者等との調整を行うことが望ましい。
また、この場合において、2号消火栓の操作をすると、自動火災報知設備の地区ベルが鳴動することとなるので、その旨をあらかじめ関係者に周知しておくことが必要である。
接続の要点は3つです。受信機の級に応じた線の接続、末端になるときは受信機に適合した終端器、起動装置は2極スイッチであること。
そして運用の面では、消火栓を操作すると自動火災報知設備の地区ベルが鳴動する。訓練や点検で操作するときも、鳴動を知らない人がいると混乱のもとになります。
共用の工事を頼むときは、受信機の級と終端器の有無を、自動火災報知設備の工事担当者と事前に調整してください。
消火栓を操作すると、地区ベルが鳴るんですね。
その通りです。
関係者へ前もって周知してください。
よくある質問
まとめ
ホースやノズルを勝手に変えない理由まで分かりました。
うちの2号消火栓も確かめてみます!
どの回答も、操作性を守れるかが基準でした。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行令第11条
- 消防法施行規則第12条
- 屋内消火栓設備の2号消火栓及びスプリンクラー設備の補助散水栓に係る質疑応答について(平成元年10月3日 消防予第110号 消防庁予防課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
- 2号消火栓及び補助散水栓の操作性等に係る評価基準(昭和63年3月18日 消防予第46号)
- 社会福祉施設等に係る防火安全対策に関する消防法令の運用について(昭和62年10月26日 消防予第187号)
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答はそれぞれの発出当時のもので、条番号や機関の名称、単位等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





