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公衆便所や巡査派出所はなぜ建蔽率の制限を受けないことがあるのか|建築基準法第53条第6項の適用除外を解説

河畔公園に建つ公衆便所と巡査派出所の写真

公園の中の建物や公衆便所を建てるとき、建蔽率の上限は気になるでしょうか。
建築基準法第53条には、建蔽率の制限を受けない建築物の規定があります。
第6項が、三つの類型を定めています。
決め手になるのは、どの号に当たるかと、許可の有無です。
今回は建築基準法第53条第6項が定める建蔽率の適用除外について、第二号と第三号の中身、第4項との違い、防火管理者が押さえておきたい点をあわせて解説します。

公園の中の建物にも、建蔽率の上限はかかるのでしょうか。
公衆便所はどうなりますか。

建築基準法第53条第6項に、制限を受けない建築物の規定があります。
まず、条文から見ていきましょう。

制限を受けないなら、誰でも自由に建てられるのでしょうか。
許可は要らないのですか。

号によって、許可の要否が違います。
第二号と第三号の違いを、順に確認しますね。

この記事の結論
  • 建築基準法第53条第6項は、第1項から第5項までの建蔽率の規定を、三つの号のいずれかに該当する建築物には適用しないと定めています。
  • 第二号は、巡査派出所、公衆便所、公共用歩廊その他これらに類するものを対象にしており、条文に許可の定めはありません。
  • 第三号は、公園、広場、道路、川その他これらに類するものの内にある建築物で、特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものが対象です。
  • 第三号の許可には、第9項の準用により、第44条第2項と同じく建築審査会の同意をあらかじめ得る手続が入ります。
  • たとえば、建蔽率60パーセントの1,000平方メートルの敷地の限度は600平方メートルで、第4項の許可の範囲が70パーセントなら700平方メートルです。第6項は数値の枠そのものが外れる点が違い、消防法令の基準は別に判断します。

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巡査派出所や公衆便所や許可を受けた公園内の建築物は建蔽率の制限を受けないことを示す図解

建蔽率の制限はすべての建築物に例外なく及ぶのか

敷地の建築面積の枠と枠の外に建つ小さな建物のイラスト
建蔽率の限度は、第53条第1項から第3項までで決まります。
第4項と第5項は、許可による緩和を定めています。
これらの規定を、そもそも適用しない建築物を挙げているのが第6項です。
(建築基準法第五十三条第六項)前各項の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物については、適用しない。
一 防火地域(第一項第二号から第四号までの規定により建蔽率の限度が十分の八とされている地域に限る。)内にある耐火建築物等
二 巡査派出所、公衆便所、公共用歩廊その他これらに類するもの
三 公園、広場、道路、川その他これらに類するものの内にある建築物で特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したもの
第6項は、第1項から第5項までの規定を、三つの号のいずれかに該当する建築物には適用しないと定めています
第一号は、建蔽率の限度が十分の八とされている地域のうち、防火地域内にある耐火建築物等です。
第二号は巡査派出所などで、第三号は公園や広場や川などの内にある建築物です。
この記事は、第二号と第三号を中心に扱います。
「適用しない」ので、第4項や第5項のように許可の範囲内で限度を超えるのとは、考え方が違います。

建蔽率の制限が及ばない建築物もあるのですね。
第二号は、どんなものが対象でしょうか。

第二号には、巡査派出所や公衆便所などが挙げられています。
次に、条文を詳しく見ていきましょう。

巡査派出所や公衆便所や公共用歩廊は建蔽率の制限を受けないのか

小さな派出所と公衆便所と高架の歩廊のイラスト
第二号は、対象となる建築物の名前を挙げる形で書かれています。
許可の定めがあるかどうかも、条文で確かめておきましょう。
(建築基準法第五十三条第六項第二号)前各項の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物については、適用しない。
(略)
二 巡査派出所、公衆便所、公共用歩廊その他これらに類するもの
(略)
第二号は、巡査派出所、公衆便所、公共用歩廊その他これらに類するものを、建蔽率の制限の対象から外しています
第三号と違って、条文に許可という言葉はありません。
対象になるかどうかは、建築物がこの号に当たるかで決まります。
「その他これらに類するもの」の範囲は、条文には列挙されていません。
当たるかどうか迷う建築物は、特定行政庁などへの確認が欠かせません。
道路の内に公衆便所や巡査派出所を建てる場合は、第44条第1項第二号の許可が別に関わります。

許可が要らないと聞くと、気軽に建てられそうです。
ほかの規制もなくなるのでしょうか。

適用されないのは、第53条の建蔽率の制限の話です。
ほかの規定は、それぞれ別に判断します。

公園や広場や川の内にある建築物はどんな場合に建蔽率の制限を受けないのか

公園と川と道路に囲まれた小さな建物と許可書のイラスト
第三号は、第二号と違って許可が前提になっています。
条文で、対象と条件を確認しましょう。
(建築基準法第五十三条第六項第三号)前各項の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物については、適用しない。
(略)
三 公園、広場、道路、川その他これらに類するものの内にある建築物で特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したもの
第三号は、公園、広場、道路、川その他これらに類するものの内にある建築物で、特定行政庁が許可したものに建蔽率の制限を適用しないと定めています
許可の基準は、安全上、防火上及び衛生上支障がないと特定行政庁が認めることです。
許可を受けていない建築物は、この号の対象になりません。
条文は、許可が必要な理由までは書いていません。
公園や道路や川の内にあるかどうかは、敷地の実際の状況で判断されます。

許可があれば、公園の中の建物は数字で縛られないのですね。
許可の手続は、どうなっていますか。

手続は、第9項が定めています。
次に、建築審査会の同意を見ていきましょう。

第6項第三号の許可は第4項の許可とどこが違い建築審査会の同意まで必要になるのか

許可書と建築審査会の会議卓と二つの敷地のイラスト
許可の手続は、第9項にまとめて書かれています。
第4項と第5項の許可も、同じ項に出てきます。
(建築基準法第五十三条第九項)第四十四条第二項の規定は、第四項、第五項又は第六項第三号の規定による許可をする場合に準用する。
(建築基準法第四十四条第二項)特定行政庁は、前項第四号の規定による許可をする場合においては、あらかじめ、建築審査会の同意を得なければならない。
第9項は、第4項、第5項、第6項第三号の許可に第44条第2項を準用し、特定行政庁があらかじめ建築審査会の同意を得る手続を求めています
第二号は許可の定めがないため、この同意の手続も条文には出てきません。
第4項と第5項は、許可の範囲内で限度を超えられるという効果でした。
第6項第三号は、建蔽率の制限を適用しないという効果です。
違いを、表にまとめます。
項目第4項と第5項第6項第三号
効果許可の範囲内で、第1項から第3項までの限度を超えられる第1項から第5項までの規定を適用しない
対象壁面線などを越えない建築物など公園、広場、道路、川その他これらに類するものの内にある建築物
許可の基準特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めること
手続第9項の準用により、あらかじめ建築審査会の同意を得る
計算例を示します。
敷地面積が1,000平方メートル、建蔽率の限度が60パーセントの場合、建築面積の限度は、1,000×0.6=600平方メートルです。
第4項の許可の範囲が70パーセントまでだったと仮定すると、限度は700平方メートルです。
第6項第三号の許可を受けた建築物は、この数値の枠をそもそも適用されません。
許可の範囲は個別に決まるため、数値は読み方の例です。

同じ許可でも、効果が違うんですね。
防火管理者は、なにを確認したらよいでしょうか。

建蔽率は建築基準法の話ですが、増築や改修のときに関係します。
確認したい点を、五つにまとめます。

増築や改修を考えるとき防火管理者はなにを確かめておくとよいのか

書類ばさみと敷地図と虫眼鏡のイラスト
第6項は、建蔽率の限度に関する建築基準法の規定です。
防火管理者の義務を、直接に決めるものではありません。
ただし、増築や改修を考えるときには、関係する場面があります。 第6項の適用除外は建築基準法の建蔽率の話であり、消防法令の基準を緩めるものではありません
建蔽率の制限を受けない建築物でも、消防用設備等の設置基準は別に判断します。
判断に迷うときは、所轄消防署への相談も欠かせません。
明日から次の点を確認してください。
  • 敷地内の建築物が第6項の各号のどれに当たるかを、確認済証や許可書などの書類で確認して記録する。
  • 第三号の許可を受けた建築物なら、許可書の写しと許可の内容を控えておく。
  • 「その他これらに類するもの」に当たるか迷うときは、建築の窓口である特定行政庁に事前に相談する。
  • 増築や改修で建築面積が変わるときは、建蔽率の扱いが変わらないかを、建築士に確かめる。
  • 消防用設備等の判断は、所轄消防署へ相談する。
建築基準法と消防法は別々の法律です。
建蔽率の話と消防の話を混同しないように、それぞれの窓口へ確かめておきましょう。

建築の書類と許可の内容を、まず確認します。
増築の前に、両方の窓口へ相談してみます。

状況が分かれば、改修のときの相談も早くなります。
相談は、建築の窓口と消防の両方の窓口にしておくと安心です。

よくある質問

Q公衆便所を建てるとき、建蔽率について許可は必要ですか?
A第6項第二号は、公衆便所などを建蔽率の制限の対象から外しており、条文に許可の定めはありません。ただし、道路の内に建てる場合などは別の条文の許可が関わります。
Q公園の中の建築物は、必ず建蔽率の制限を受けませんか?
A受けないと決まっているわけではありません。第三号は、特定行政庁が許可したものに限って適用しないと定めています。
Q第4項の許可と第6項第三号の許可は、どちらも建築審査会の同意が必要ですか?
A第9項が第44条第2項を準用しており、どちらの許可でもあらかじめ建築審査会の同意を得る手続になります。
Q建蔽率の制限を受けなければ、消防用設備等の基準も適用されませんか?
Aそうはなりません。建築基準法の建蔽率の話と、消防法令の設置基準は別に判断します。所轄消防署に確認しましょう。

まとめ

✔建築基準法第53条第6項は、第1項から第5項までの建蔽率の規定を、三つの号のいずれかに該当する建築物には適用しないと定めています。
✔第二号は、巡査派出所、公衆便所、公共用歩廊その他これらに類するものが対象で、条文に許可の定めはありません。
✔第三号は、公園、広場、道路、川その他これらに類するものの内にある建築物で、特定行政庁が許可したものが対象です。
✔第4項と第5項は許可の範囲内で限度を超える規定で、第6項は適用しない規定という違いがあります。
✔第三号の許可には、第9項の準用により、特定行政庁があらかじめ建築審査会の同意を得る手続が入ります。
✔計算例では、建蔽率60パーセントの1,000平方メートルの敷地で限度は600平方メートル、第4項の許可の範囲が70パーセントなら700平方メートルです。
✔この条文が定めるのは建築基準法の話であって、消防法令の基準を緩めるものではありません。防火管理者は、該当する号と許可の内容を確認して記録します。

該当する号と許可の内容を、確認しておく必要があるんですね。
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許可の内容が分かれば、増築や改修の相談も進めやすくなります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第五十三条・第四十四条(e-Gov法令検索)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。公園や道路や川の内にあるかどうかの判断や許可の運用は特定行政庁ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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