BLOG

屋内消火栓のホースは製造から10年たつとなぜ水圧をかけて点検するのか|使用圧を5分間かける耐圧性能点検の手順と判定を解説

屋内消火栓のホースは製造から10年たつとなぜ水圧をかけて点検するのか|使用圧を5分間かける耐圧性能点検の手順と判定を解説

屋内消火栓のホースの点検は、引き出して傷がないかを見れば足りると思っていませんか。
ところがホースには、製造から年数がたつと水圧をかけて調べる点検があります。
いつから、どれくらいの水圧を、何分かけるのかも決まっています。
この記事では、点検基準と点検要領をもとに、耐圧性能点検の対象と手順、判定の目安を整理します。

ホースは引き出して傷がなければ、それで点検は終わりではないのですか。

外形の点検に加えて、製造から10年を過ぎたホースは水圧をかけて確かめます。
対象になる条件と例外もあります。

水圧はどれくらいかけるのでしょうか。

点検要領は、ホースに定められた使用圧を5分間かけると示しています。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 耐圧性能点検の対象は、製造年の末日から10年を経過した日以降に点検を行うホースです。
  • 耐圧性能の点検を行ってから3年を経過していない場合は、今回の対象から除かれます。
  • 易操作性1号消火栓・2号消火栓・広範囲型2号消火栓のホースは、この耐圧性能点検の対象外です。
  • 手順は、端末部に充水して使用圧を5分間かけ、急激な昇圧を避けて徐々に加圧します。
  • 判定は、変形や損傷がなく、金具との接続部から著しい漏水がないことで、噴水状の漏水や継続する滴下が目安です。

▼

耐圧性能点検を、製造年の末日から10年の確認、使用圧を5分間かける加圧、漏水と損傷の確認に分け、点検票へ記録する流れで整理した図解

耐圧性能点検の対象になるのは製造から何年たったホースなのか

扉が開いた赤い屋内消火栓箱の中に、折りたたまれた白いホースとノズルが収まっているイラスト
屋内消火栓の機器点検には、ポンプや水源など設備全体の項目が並んでいて、逃し配管の確認などは逃し水量の点検の記事で扱っています。
ホースについては、外形と操作性のほかに、耐圧性能という項目があります。
まず、告示がその対象をどう書いているかを読んでみましょう。
消防用設備等の点検の基準(昭和50年消防庁告示第14号) 別表第2 屋内消火栓設備の点検の基準 1 機器点検 (5) 屋内消火栓箱等 イ ホース及びノズル (ウ) ホースの耐圧性能
ホース(易操作性1号消火栓、2号消火栓及び広範囲型2号消火栓のホースを除く。)の製造年の末日から10年を経過した日以降に点検を行う場合に限る。ただし、ホースの耐圧性能に関する点検を行ってから3年を経過していない場合を除く。
所定の水圧をかけた場合において、変形、損傷又は著しい漏水等がないこと。
対象は、製造年の末日から10年を経過した日以降に点検するホースで、前回から3年以内なら除かれます。
たとえば2015年製のホースなら、その年の末日は2015年12月31日で、そこから10年を経過した2026年以降の点検から対象に入ります。
10年を過ぎたホースでも、耐圧性能の点検を3年以内に行っていれば今回は除かれるという書きぶりです。
消火器にも「製造から10年」という節目の耐圧性能点検がありますが、対象と根拠が別で、消火器の型式失効と耐圧性能点検の記事で整理しています。

うちのホースが対象かどうかは、どこで分かるのですか。

ホースには製造年の表示があります。
次の章で、表示の見方を整理します。

ホースの製造年と使用圧はどこで確かめるのか

木の台に巻いたホースが置かれ、金具の近くに無地の帯と白い札が添えられたイラスト
対象かどうかも、かける水圧も、ホースに表示された内容が手がかりになります。
表示は規格省令が求めていて、製造年と使用圧はその中に入っています。
消防用ホースの技術上の規格を定める省令(平成25年総務省令第22号) 第5条(表示)
消防用ホースは、次の各号に掲げる事項を、その見やすい箇所に容易に消えないように表示するものでなければならない。
三 製造年
六 「使用圧」という文字及び使用圧
消防用ホースの技術上の規格を定める省令 第2条(用語の意義)
六 使用圧 折れ曲がった部分のない状態における消防用ホースに通水した場合の常用最高使用水圧(単位メガパスカル)をいう。
製造年と使用圧は、ホース本体の表示から読み取ります。
使用圧は、折れ曲がりのない状態で通水したときの常用最高使用水圧で、単位はメガパスカルです。
点検を始める前に、対象のホースの製造年と使用圧を表示から読み取って控えておくと、耐圧性能点検の段取りが立てやすくなります。
読み取れないときは自己判断で圧力を決めず、点検を行う消防設備士や点検資格者に相談します。

表示が薄くなって読み取れないときは、どうすればよいですか。

使用圧が分からないと、所定の水圧が決まりません。
自分で圧力を決めず、点検を行う専門家に相談してください。

耐圧性能点検ではどんな手順で水圧をかけるのか

作業台の上のホースが手押しポンプ式の耐圧試験機につながり、圧力計と水槽が並ぶイラスト
手順は、点検要領に具体的に書かれています。
点検方法の本文と、その下に付いた四つの留意事項がセットです。
消防用設備等の点検要領(消防庁通知) 第2 屋内消火栓設備 1 機器点検 ホース及びノズル ホースの耐圧性能(点検方法)
ホースの端末部に充水し、耐圧試験機等により所定の水圧を5分間かけて確認する。
※ ① 加圧する前に結合金具等の接続状態が適正であることを十分に確認すること。
② 空気の残留がないことを確認してから加圧すること。
③ 所定の水圧は、「消防用ホースの技術上の規格を定める省令」(平成25年総務省令第22号)によりホースの種類に応じて定められた使用圧とすること。
④ 危険防止対策を講じた後、急激な昇圧を避け、圧力計で確認しながら徐々に加圧すること。
端末部に充水し、耐圧試験機等で使用圧を5分間かけて確認します。
留意事項を並べ直すと、接続状態の確認、空気の残留がないことの確認、使用圧の設定、徐々に加圧するという順番になります。
点検要領は、①と②を「加圧する前」の確認として、③で水圧の決め方を、④で昇圧の仕方を定めています。
④には「危険防止対策を講じた後」とあるので、加圧は安全対策をとってから始める手順です。

水圧をかけるとき、一気に上げてもよいのですか。

点検要領は、急激な昇圧を避け、圧力計で確認しながら徐々に加圧するよう定めています。
危険防止対策を講じてから行います。

点検でかける水圧は規格の耐圧試験と同じ圧力なのか

ホースの先端の空気抜き弁から水滴がバケツに落ち、試験機の横にタイマーが置かれたイラスト
点検要領の③には「使用圧とすること」とあります。
一方で、規格省令にはホースの耐圧試験の条文があり、こちらは別の水圧を定めています。
消防用ホースの技術上の規格を定める省令 第12条(耐圧試験)
平ホースは、その使用圧及びホースの状態に応じて次の表に掲げる水圧を五分間加えた場合、破断、糸切れ、噴水、漏水等を生じてはならない。
使用圧(メガパスカル)まっすぐにした状態折り曲げた状態
2.04.02.8
1.63.22.2
1.32.51.8
0.91.81.3
0.71.51.0
規格の耐圧試験は使用圧を上回る水圧ですが、点検要領が示す所定の水圧は使用圧です。
表の平ホースの例で使用圧が1.3メガパスカルなら、まっすぐな状態の試験圧は2.5メガパスカルと、使用圧を上回っています。
点検要領の③は、ホースの種類に応じて定められた使用圧を所定の水圧とすると読める書きぶりです。
つまり点検では、ホースの表示で確かめた使用圧を、端末部からゆっくりかけていきます。

点検でも、規格の試験と同じ高い水圧までかけるのですか。

点検要領が示す所定の水圧は使用圧です。
ホースの表示で使用圧を確かめてから行います。

漏水はどう判定し、対象外のホースはどう点検するのか

排水受けの上に置かれたホースの金具の継ぎ目から、水滴がにじみ、脇に布が置かれたイラスト
最後は、水圧をかけたあとの判定です。
点検要領には、漏水の目安まで書かれています。
消防用設備等の点検要領(消防庁通知) 第2 屋内消火栓設備 1 機器点検 ホース及びノズル ホースの耐圧性能(判定方法)
変形、損傷等がなく、ホース及び金具との接続部から著しい漏水等がないこと。
※ 著しい漏水は、噴水状の漏水又は継続する滴下が生じる状態を目安にすること。
判定は、変形や損傷がなく、金具との接続部から著しい漏水がないことです。
著しい漏水の目安は、噴水状の漏水、または継続する滴下が生じる状態とされています。
結果は点検票に記録し、点検結果報告書で消防長又は消防署長に報告します(消防法施行規則 第31条の6第3項)。その流れは点検票と報告の記事にまとめています。
なお、易操作性1号・2号・広範囲型2号の消火栓のホースは、耐圧性能ではなく外形と操作性で確かめます。
傷や亀裂が見つかったときの扱いは亀裂のあるホースの記事、浸水後の扱いは浸水したホースの記事も参考になります。

少し濡れる程度でも、すぐ不良になるのですか。

点検要領が目安にするのは、噴水状の漏水や継続する滴下です。
接続部の状態は、点検した専門家と一緒に確認しましょう。

よくある質問

Q屋内消火栓のホースの耐圧性能点検は、いつから対象になりますか?
A製造年の末日から10年を経過した日以降に点検を行う場合が対象です。ただし、耐圧性能の点検を行ってから3年を経過していないときは除かれます。
Qすべての屋内消火栓のホースが対象ですか?
Aいいえ。易操作性1号消火栓、2号消火栓及び広範囲型2号消火栓のホースは除かれます。これらは外形と操作性の点検で確かめます。
Q耐圧性能点検では、どれくらいの水圧を何分かけますか?
Aホースの端末部に充水し、規格省令で種類ごとに定められた使用圧を5分間かけます。急激に上げず、圧力計で確認しながら徐々に加圧します。
Q漏水はどのように判定しますか?
A変形や損傷がなく、ホースと金具の接続部から著しい漏水がないことを確かめます。噴水状の漏水や継続する滴下が生じる状態が、著しい漏水の目安です。

まとめ

✔対象は、製造年の末日から10年を経過した日以降に点検するホース
✔耐圧性能の点検から3年を経過していなければ今回は除かれる
✔易操作性1号・2号・広範囲型2号のホースは対象外で、外形と操作性で見る
✔製造年と使用圧は、ホース本体の表示で確かめる
✔端末部に充水し、使用圧を5分間、徐々に加圧する
✔加圧前に、接続状態と空気の残留がないことを確認する
✔判定は、変形や損傷がなく、接続部から噴水状の漏水や継続する滴下がないこと

まずホースの製造年と使用圧を、消火栓箱ごとに確かめてみます!

その確認から始めれば、耐圧性能点検の段取りが立てやすくなります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行規則第31条の6(消防用設備等の点検及び報告)
  • 消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件(昭和50年消防庁告示第14号)別表第2
  • 消防用設備等の点検要領(消防庁通知) 第2 屋内消火栓設備
  • 消防用ホースの技術上の規格を定める省令(平成25年総務省令第22号)

※本記事は公表されている法令、告示および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。点検要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
屋内消火栓のホースは製造から10年たつとなぜ水圧をかけて点検するのか|使用圧を5分間かける耐圧性能点検の手順と判定を解説
屋内消火栓のホースの点検は、引き出して傷がないかを見れば足りると思っていませんか。 ところがホースには、製造から年数がたつと水圧をかけて調べる点検があります。 いつから、どれくらいの水圧を、何分かけるのかも決まっています...
リクルート 採用情報はこちら →
採用ページ 一緒に働く仲間を募集中 → フランチャイズ (株)防災屋と一緒に開業する → 協力業者 協力業者さん募集中 →