自動火災報知設備の試験結果報告書には、受信機が複数台ある建物だけに関わる「相互作動試験」という欄があります。
この欄は普段あまり意識されませんが、受信機を1台しか置いていない建物の記載例では欄そのものに斜線が引かれ、対象外として扱われています。
この記事では相互作動試験の中身と、報告書のこの欄がどんなときに埋まり、どんなときに斜線になるのかを整理します。
受信機の台数が変われば、この欄の扱いも変わります。
報告書に「相互作動試験」という欄がありますが、うちの建物では毎回斜線で消されています。
それは受信機が1台の建物では対象外になる欄だからです。
今回はこの欄の中身を整理していきましょう。
受信機が増えたら急に対象になる欄ということですね。
そのとおりです。
まずは欄の位置づけから見ていきましょう。
- 相互作動試験は受信機が2台以上ある建物だけに関わる試験結果報告書の欄である
- 相互通話状況は受信機のある場所同士で同時に通話できることを確かめる
- 地区音響装置鳴動状況は火災表示試験スイッチの操作でいずれの受信機からも鳴動することを確かめる
- 受信機が1台の建物ではこの欄自体が該当なしとして斜線で消される
- 受信機を増設すると、次の報告書からこの欄が試験・記入の対象に加わる
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目次
自動火災報知設備の試験結果報告書になぜ相互作動試験の欄があるのか

この欄がどんなときに必要になるのかを最初に確認します。
建物が大きくなると防災センター以外にも受信機を置くことがあり、離れた場所にある受信機同士が正しく連携しているかを確かめる必要が出てきます。
そのために設けられているのが相互通話と地区音響装置の鳴動という2つの確認項目です。
記載例の建物では受信機が1台だけだったため、この欄は使われていません。
自分の建物に受信機が何台あるかは、報告書のこの欄が埋まっているかどうかでも確認できます。
受信機がなぜ2台以上になることがあるのでしょうか。
建物が大きく離れた区画に分かれている場合などです。
次は相互通話状況の試験を見ていきましょう。
相互通話状況の試験はどうやって確かめるのか

合否の基準もシンプルに一点だけです。
片方の受信機からもう片方へ一方的に声が届くだけでは足りず、双方向で同時に会話できることが条件です。
インターホンのような双方向通話設備が受信機同士に組み込まれていることが前提になります。
点検のときは2人1組でそれぞれの受信機の前に立ち、実際に会話が成立するかを確認します。
片方の声が途切れる、雑音で聞き取れないといった状態は不合格として扱われます。
電話のように会話できればよいということですね。
はい、同時に双方向で話せるかがポイントです。
次は地区音響装置の鳴動を確かめる試験です。
地区音響装置鳴動状況の試験はなぜ火災表示試験スイッチで確かめるのか

1台ずつ現地の音響装置を見て回るわけではありません。
火災表示試験スイッチを使えば、実際に火災信号を発生させなくても地区音響装置を鳴動させた状態を再現できます。
受信機Aから操作しても、受信機Bから操作しても、同じように建物全体の音響装置が鳴ることが条件です。
どちらか一方の受信機からしか鳴らせない場合は、配線や制御回路に不具合がある可能性があります。
検査ではこの試験を通じて、防災センターがどこにあっても建物全体へ警報を伝えられることを確認します。
1台ずつ現地で確認しなくてよいのは助かりますね。
スイッチひとつで建物全体を確かめられます。
次は記載例の斜線が意味することを見てみましょう。
記載例で相互作動試験の欄に斜線が引かれているのはなぜか

この扱いの根拠は報告書自体の備考に書かれています。
選択肢のある欄に○印を付ける決まりの裏返しとして、そもそも対象が存在しない欄には斜線を引いて「該当なし」と示します。
受信機が1台の建物では、相互通話も地区音響装置の相互鳴動も試験のしようがないため、欄ごと斜線になります。
斜線を見たときに「試験漏れ」と勘違いしないことが、報告書を正しく読むポイントです。
反対にこの欄に○が付いていれば、その建物には受信機が複数台あることが報告書だけで分かります。
斜線を見て試験漏れかと思っていました。
斜線は該当なしを示すだけなので安心してください。
最後は受信機を増やしたときの扱いです。
受信機を増設したらこの欄の扱いはどう変わるのか

増設工事のときに見落とされやすいポイントでもあります。
2台目の受信機を置くだけでは足りず、2台の間で通話できる設備まで含めて設置しなければなりません。
この設備が無いまま増設すると、次の検査で相互作動試験に合格できず手戻りが発生します。
増設工事を発注するときは、相互通話設備の見積もりが含まれているかを確認しておくと安心です。
報告書のこの欄は、建物の受信機構成が変わったことを一目で伝える記録にもなります。
受信機を増やすだけでは終わらないんですね。
相互通話設備までセットで考える必要があります。
ここまでの内容を整理しましょう。
よくある質問
まとめ
斜線の意味が分かって、報告書がすっきり読めるようになりました!
受信機の増設や試験の準備でお困りでしたら、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第24条第五号
- 消防用設備等試験結果報告書の様式を定める件(平成元年12月1日消防庁告示第4号)別記様式第11
- 消防庁「消防用設備等の試験基準及び判定基準」(自動火災報知設備関係)
※本記事は公表されている法令・通知に基づく一般的な解説です。実際の試験結果の判定や報告書の記載は、点検資格者や所轄消防署にご確認ください。





