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交通事故に見える事故が別の種別になるのはどんなときか|自然災害・労働災害・自損行為・運動競技事故との境界を五つの質疑応答で解説

交通事故に見えても別の種別になる事故という見出しを示したアイキャッチ画像

救急搬送された人の記録には「事故種別」という分類が付けられます。
交通事故に見える事故が、実は別の種別に分類されることもあります。
消防庁の質疑応答は、交通事故に含まれる範囲の広さと、見た目だけでは判断できない境界線を具体的に示しています。
質疑応答が教えてくれるのは状況の見た目ではなく発生した経緯で種別が決まるという考え方です。

うちの前の道路で自転車同士がぶつかって、一人がけがをしました。
これは「交通事故」として記録されるんでしょうか。

はい、交通事故に当たります。
交通事故の範囲は思っている以上に広く定められています。

逆に、交通事故に見えても別の種別になることもあるんですか。

あります。
交通事故・自然災害事故・労働災害事故・自損行為・運動競技事故との4つの境界を、5つの回答で順に見ていきます。

この記事の結論
  • 踏切・自転車・土砂くずれ・水中転落・船舶の転覆・電車の風圧による事故など幅広い場面が「交通事故」に含まれます
  • 光化学スモッグによる事故は「自然災害事故」として取扱われます
  • 建築工事現場で大工が屋根から転落した事故は一般負傷ではなく「労働災害事故」です
  • 自殺目的で車両を電柱に衝突させた事故は交通事故ではなく「自損行為」として扱われます
  • 競輪選手がロード練習中に転倒した事故は交通事故ではなく「運動競技事故」として扱われます

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交通事故自然災害事故労働災害事故自損行為運動競技事故の5つの分類基準を示した図解

「交通事故」にはどこまでの場面が含まれるのか

踏切の事故自転車事故土砂くずれによる事故水中転落船舶の転覆電車の風圧による転倒など幅広い場面が交通事故に含まれることを示したイメージ
「交通事故」と聞くと、車同士の衝突のような場面を思い浮かべがちです。
消防庁の質疑応答は、もっと幅広い8つの場面を挙げて、すべて交通事故に含まれるかを問うています。
問 次のような事故により受傷した場合は、「交通事故」として取扱つてよろしいか。(1)踏切内で通行人が列車にはねられた事故 (2)自転車による事故(自転車の単独事故、自転車同士の衝突による事故、自転車と歩行者の衝突による事故) (3)土砂くずれ、落石等による車両の事故 (4)走行中の車両がはねた石に当り通行人が負傷した事故 (5)車両を運転していて水中に転落した事故 (6)船舶の転覆事故 (7)職業運転手の交通事故 (8)歩行者の電車の風圧により転倒し受傷した事故
答 お見込みのとおり。
8つの場面すべてが交通事故に含まれます。
踏切内で列車にはねられた事故や自転車同士の衝突はもちろん、土砂くずれや落石で車両が事故を起こした場合も交通事故として扱われます。
さらに車両が水中に転落した事故や船舶の転覆事故まで含まれる点は、イメージより広い範囲です。
歩行者が電車の風圧だけで転倒して負傷した事故も交通事故に含まれるという回答は、現場の感覚では見落としがちなところです。
自分の建物の前の道路や駐車場で起きた出来事を119番で伝えるときは、どんなきっかけで誰が受傷したのかをできるだけ具体的に伝えると、その後の対応がスムーズになります。

電車が通過したときの風だけでけがをしても、交通事故になるんですね。

そのとおりです。
結果だけでなく幅広い場面が対象に入ると知っておいてください。

光化学スモッグによる事故は何に分類されるのか

光化学スモッグによる事故が自然災害事故に分類されることを示したイメージ
大気の状態が原因で具合が悪くなった場合も、救急搬送の記録には種別が必要です。
光化学スモッグが原因の事故がどう扱われるかが問われました。
問 光化学スモッグによる事故は、「自然災害事故」として取扱つてよろしいか。
答 お見込みのとおり。
光化学スモッグによる事故は「自然災害事故」に分類されます。
台風や河川の氾濫と同じように、大気の状態という自然現象が原因であることが決め手になっています。
光化学スモッグ注意報が出された日に体調不良者が複数出たような場合でも、原因が大気の状態にある以上、交通事故でも労働災害事故でもなく自然災害事故として記録されることになります。
屋外でのイベントや行事を主催する立場であれば、注意報が出ている日の対応をあらかじめ決めておくと安心です。

光化学スモッグも「自然災害」になるとは思っていませんでした。

はい。
原因が自然現象であれば自然災害事故に入ります。

工事現場で大工が転落した事故は一般負傷か

建築工事現場で大工が屋根から転落した事故が労働災害事故に分類されることを示したイメージ
仕事中にけがをした場合、すべてが「労働災害事故」になるとは限らないという誤解があります。
建築工事現場での転落事故が問われた回答を見ます。
問 建築工事現場において大工が屋根から転落し受傷した事故は「一般負傷」となるか。
答 「労働災害事故」として取扱うものであること。
仕事中の転落事故は一般負傷ではなく労働災害事故です。
屋根からの転落のように就業中に生じた事故は、一般負傷ではなく労働災害事故として記録されます。
一般負傷という種別は、就業とは関係のない日常生活上のけがを指すための区分で、仕事中の事故には使いません。
建物の改修や点検で施工業者が出入りする日は、現場で何かあったときにどちらの種別になるのかを、元請けや業者とあらかじめ共有しておくとよいでしょう。

工事業者さんが現場でけがをしたら、うちが呼んだ救急車でも労働災害事故になるんですか。

なります。
呼んだ側ではなく受傷した状況で種別が決まります。

自殺目的で車両を衝突させた事故は交通事故か

自殺目的で車両を電柱に衝突させた事故が自損行為に分類され交通事故には該当しないことを示したイメージ
車両が絡む事故がすべて「交通事故」になるわけではありません。
故意に車両を衝突させた場合の扱いが示されています。
問 自殺の目的で車両を電柱に衝突させ受傷した場合は、「交通事故」で取扱つてよろしいか。
答 「自損行為」として取扱うものであること。
故意に自分を傷つけた事故は交通事故ではなく自損行為です。
車両が関わっていても、衝突という結果の形だけでは種別が決まらないことを示す回答です。
見た目は車両の事故に見えても、本人の意図が関わっている場合は交通事故とは別の種別として記録されます。
施設の関係者がこうした場面に遭遇したときは、状況をありのまま消防へ伝えることが、その後の適切な対応につながります。

車がぶつかった事故なら、全部交通事故になると思っていました。

そうとは限りません。
意図があった場合は別の種別になります。

競輪選手が練習中に転倒した事故は交通事故か

競輪選手がロード練習中に路上で転倒した事故が運動競技事故に分類され交通事故には該当しないことを示したイメージ
路上で起きた転倒事故も、状況によっては交通事故以外の種別になります。
競技選手の練習中の事故が問われました。
問 競輪選手が、ロード練習中に路上で転倒し受傷した場合は、「交通事故」で取扱つてよろしいか。
答 「運動競技事故」として取扱うものであること。
路上での練習中の転倒は交通事故ではなく運動競技事故です。
場所が一般の道路であっても、競技の練習という目的が受傷の経緯にある以上、運動競技事故として扱われます。
同じ路上での転倒でも、通勤中の自転車事故なら交通事故、競技の練習中なら運動競技事故というように、場所ではなく目的で種別が分かれます。
スポーツチームや競技団体が練習で道路や施設を利用する場面では、万一のときにどちらの種別になるかを関係者と確認しておくとよいでしょう。

同じ路上の転倒でも、通勤中か練習中かで種別が変わるんですね。

そのとおりです。
場所ではなく目的が見られています。

よくある質問

Q自転車同士の衝突や自転車の単独事故も交通事故になりますか?
Aなります。回答は、自転車による事故(自転車の単独事故、自転車同士の衝突による事故、自転車と歩行者の衝突による事故)を含む8つの場面について「お見込みのとおり」としており、いずれも交通事故に含まれるとされています。
Q光化学スモッグによる体調不良は交通事故や労働災害事故になりませんか?
Aなりません。回答は、光化学スモッグによる事故は「自然災害事故」として取扱うとしています。原因が大気の状態という自然現象にあるためです。
Q工事現場での転落事故は一般負傷として扱われますか?
A扱われません。回答は、建築工事現場で大工が屋根から転落した事故は「労働災害事故」として取扱うとしています。就業中に生じた事故のためです。
Q車両が絡む事故はすべて交通事故になりますか?
Aなりません。回答は、自殺目的で車両を電柱に衝突させた事故は「自損行為」として取扱うとしています。本人の意図が関わる事故は交通事故とは別の種別になります。

まとめ

✔踏切・自転車・土砂くずれによる車両事故は「交通事故」に含まれます
✔車両の水中転落・船舶の転覆・電車の風圧による転倒も交通事故として扱われます
✔光化学スモッグによる事故は「自然災害事故」として取扱われます
✔建築工事現場で大工が屋根から転落した事故は一般負傷ではなく「労働災害事故」です
✔自殺目的で車両を電柱に衝突させた事故は交通事故ではなく「自損行為」として扱われます
✔競輪選手がロード練習中に転倒した事故は交通事故ではなく「運動競技事故」として扱われます
✔事故の種別は見た目の状況ではなく発生した経緯で判断されます

交通事故に見えても、原因や目的まで見られているんですね。

見た目に惑わされず、原因と目的まで確かめることが大切です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 救急事故等報告要領に関する質疑応答について(昭和51年6月18日 予防救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
  • 消防法(昭和23年法律第186号)第2条第9項
  • 消防実務六法 質疑応答編

※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答は昭和51年当時のもので、法令名や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。

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