指定確認検査機関は、建築確認を行う民間の機関ですが、どのような情報を公開しているのでしょうか。
事務所での掲示や、帳簿、書類の閲覧は、条文でどう決められているのでしょうか。
今回は建築基準法第77条の28と第77条の29と第77条の29の2を中心に、掲示とインターネットでの公開、帳簿の備付けと保存、書類の閲覧、違反したときの扱い、防火管理者が押さえておきたい点をあわせて解説します。
確認検査をする機関は、どんな情報を公開しているのでしょうか。
事務所に何か掲示するのですか。
第77条の28に、掲示の規定があります。
まず、そこから見ていきましょう。
帳簿や書類は、機関が自由に扱ってよいのでしょうか。
見せてもらうことはできますか。
第77条の29に帳簿、第77条の29の2に書類の閲覧の規定があります。
順番に条文を確認していきます。
- 第77条の28は、指定確認検査機関が指定区分や業務区域などを、事務所で公衆に見やすいように掲示するとともに、インターネットなどの自動公衆送信で公衆の閲覧に供しなければならないと定めています。
- 指定確認検査機関は、確認検査の業務に関する事項を記載した帳簿を備え付けて保存し、業務に関する書類も保存しなければなりません(第77条の29)。
- 事務所には、業務の実績や確認検査員の氏名と略歴などを記載した書類を備え置き、関係者の求めに応じて閲覧させなければなりません(第77条の29の2)。
- 掲示、帳簿、書類の保存、閲覧の各規定に違反したときは、指定の取消しか業務の停止命令の対象になり得ます(第77条の35第2項第1号)。
- 掲示する事項の細目や帳簿の記載事項は国土交通省令で定めるとされ、条文本体には書かれていません。
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目次
指定確認検査機関は事務所への掲示とインターネットでの公開をなぜ求められるのか

掲示は、機関の事務所で行い、公衆に見やすいようにすることが求められています。
あわせて、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信、つまりインターネットなどでの公開も義務づけられています。
指定区分と業務区域は、第77条の18第2項で、指定の申請の際に定めるものとして出てきます。
この二つを、掲示とインターネット公開の対象として挙げているのが第77条の28です。
掲示する内容は、条文にすべて書いてあるのですか。
条文に書かれているのは、指定区分と業務区域までです。
そのほかの事項は、国土交通省令で定めるとされています。
指定確認検査機関は帳簿を備え付けて保存しなければならないのか

(建築基準法第七十七条の二十九第二項)前項に定めるもののほか、指定確認検査機関は、国土交通省令で定めるところにより、確認検査の業務に関する書類で国土交通省令で定めるものを保存しなければならない。
帳簿に記載する事項は、条文では国土交通省令で定めるとされているだけで、具体的な項目は書かれていません。
義務の内容は、備え付けることと、保存することの二つです。 第2項は、帳簿のほかに、確認検査の業務に関する書類で国土交通省令で定めるものを保存しなければならないと定めています
第1項が帳簿、第2項が書類と、対象が分けて書かれています。
保存期間の長さは、条文本体には書かれていないので、省令を確認する必要があります。
帳簿を保存する期間は、何年と決まっているのですか。
条文本体には、期間は書かれていません。
国土交通省令で確認する必要があります。
指定確認検査機関はどのような書類を事務所に備え置いて閲覧させなければならないのか

第77条の29の2は、各号が四つあります。
一 当該指定確認検査機関の業務の実績を記載した書類
二 確認検査員又は副確認検査員の氏名及び略歴を記載した書類
三 確認検査の業務に関し生じた損害を賠償するために必要な金額を担保するための保険契約の締結その他の措置を講じている場合にあつては、その内容を記載した書類
四 その他指定確認検査機関の業務及び財務に関する書類で国土交通省令で定めるもの
第1号は、その機関の業務の実績を記載した書類です。
第2号は、確認検査員や副確認検査員の氏名と略歴を記載した書類です。
第3号は、損害賠償のための保険契約の締結などの措置を講じている場合に、その内容を記載した書類です。
第4号は、そのほか業務や財務に関する書類で、国土交通省令で定めるものです。
閲覧を求められるのは、第6条の2第1項の規定による確認を受けようとする者のほか、その他の関係者とも書かれています。
第三者でも、書類を見せてほしいと求めることができるのですか。
条文は、確認を受けようとする者のほか、その他の関係者と書いています。
関係者の範囲の細かな線引きは書かれていません。
掲示や帳簿や書類の閲覧の規定に違反した指定確認検査機関はどうなるのか

第2項の第1号は条文番号が多数並んでいるため、(略)で省略して引用します。
一 第六条の二第四項若しくは第五項(略)、第七十七条の二十八から第七十七条の二十九の二まで又は前条第一項の規定に違反したとき。(略)
違反の対象として、掲示、インターネット公開、帳簿の備付けと保存、書類の保存、書類の閲覧の規定が、まとめて読み込まれています。
取り消すか、期間を定めて業務の全部または一部の停止を命ずるかは、国土交通大臣等が判断します。
取り消したときや停止を命じたときは、第3項で、その旨を公示しなければならないと定められています。
掲示を忘れただけでも、すぐに指定が取り消されるのですか。
第2項は、取消しや停止を命ずることができると書いています。
どの程度の違反でどちらになるかは、条文には書かれていません。
指定確認検査機関の掲示や帳簿や閲覧の規定を防火管理の現場ではどのように受け止めればよいのか

分けて読むと、混乱しにくくなります。
| 項目 | 条文の書き方 | 押さえる点 |
|---|---|---|
| 掲示 | 指定区分、業務区域その他省令で定める事項を、事務所で公衆に見やすいように掲示し、自動公衆送信により閲覧に供する(第77条の28) | 事務所とインターネットの両方です |
| 帳簿 | 確認検査の業務に関する事項で省令で定めるものを記載した帳簿を備え付け、保存する(第77条の29第1項) | 備付けと保存です |
| 書類の保存 | 確認検査の業務に関する書類で省令で定めるものを保存する(第2項) | 帳簿とは別に書かれています |
| 書類の閲覧 | 事務所に四つの書類を備え置き、関係者の求めに応じて閲覧させる(第77条の29の2) | 各号は四つです |
| 違反したとき | 指定の取消しか業務の停止を命ずることができ、公示される(第77条の35第2項第1号、第3項) | 国土交通大臣等が判断します |
この規定は、防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
また、第77条の28から第77条の29の2までには、掲示する事項の細目や帳簿の記載事項、保存期間などの具体的な内容は書かれていません。
確認済証や検査済証を受け取ったときは、その発行元の機関を控えておくと、改修や増築の相談が進めやすくなります。
明日から、次の点を確認してください。
- 建物の確認済証や検査済証が、どの機関の発行かを施工業者に尋ねて控えておく。
- 書類の名称、日付、番号を、施工業者から書面でもらって保管する。
- 機関の指定区分や業務区域は、その機関が公開している情報で確認する。
- 書類の扱いに疑問があるときは、建築の窓口と施工業者に速やかに相談する。
- 建築の話と消防の話は別の制度なので、両方の窓口へ確かめる。
建築の窓口と所轄消防署に、それぞれ確かめておきましょう。
掲示や帳簿の決まりは分かりました。
現場では、何から確かめればよいですか。
確認済証などの書類の発行元を、施工業者に確認しておきましょう。
消防の基準は、別に確かめます。
よくある質問
まとめ
掲示や帳簿、閲覧の仕組みがよく分かりました。
書類の発行元を、施工業者に確認します!
建築の確認検査と消防の基準は別なので、両方を確かめておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第七十七条の二十八・第七十七条の二十九・第七十七条の二十九の二・第七十七条の十八・第七十七条の三十五(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。掲示や帳簿、書類の閲覧の細目は機関と建築の窓口ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





