指定認定機関は、国土交通大臣に代わって型式適合認定などを行う機関です。
では、その機関が業務をやめたいとき、あるいは問題を起こしたときは、どうなるのでしょうか。
休止や廃止の許可、指定の取消し、業務の停止命令が、法律に書かれています。
今回は建築基準法第77条の50と第77条の51を中心に、業務の休止や廃止の許可、指定が効力を失う場合、取消しや停止の場合、防火管理者が押さえておきたい点をあわせて解説します。
指定認定機関が業務をやめたいときは、自由にやめてよいのでしょうか。
それとも、何か手続が必要なのですか。
業務の休止や廃止には、国土交通大臣の許可が必要です。
建築基準法第77条の50が定めています。
では、機関に問題があったときはどうなるのでしょうか。
指定が取り消されることもあるのですか。
取消しや業務の停止を命じる規定が、第77条の51にあります。
順番に条文を見ていきましょう。
- 第77条の50第1項は、指定認定機関が認定等の業務の全部または一部を休止し、または廃止するには、国土交通大臣の許可が必要だと定めています。
- 国土交通大臣が認定等の業務の全部の廃止を許可したときは、その許可に係る指定は効力を失います(第2項)。
- 国土交通大臣は、第77条の37各号(第4号を除く)の一に該当するに至ったときは、指定を取り消さなければなりません(第77条の51第1項)。
- 次の各号の一に該当するときは、指定を取り消し、または期間を定めて認定等の業務の全部もしくは一部の停止を命ずることができます(第2項)。
- 許可をしたときも、取り消しや停止を命じたときも、国土交通大臣は公示しなければなりません。
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目次
指定認定機関が認定等の業務を休止や廃止するときはなぜ国土交通大臣の許可が必要なのか

対象は、認定等の業務の全部でも一部でも同じです。
「休止」と「廃止」の両方が、許可の対象になっています。
許可を受けずに業務をやめることは、この条文では認められていません。
休止するときにも、許可が必要なのですね。
一部だけでも許可がいるのですか。
一部の休止や廃止も、条文に含まれています。
次の見出しで、廃止が許可された場合の指定を確認します。
国土交通大臣が認定等の業務の全部の廃止を許可すると指定はなぜ効力を失うのか

(建築基準法第七十七条の五十第三項)国土交通大臣は、第一項の許可をしたときは、その旨を公示しなければならない。
効力を失うのは、業務の全部の廃止を許可したときです。
条文の書き方は「効力を失う」で、取り消すという書き方ではありません。
休止や一部の廃止が許可された場合について、この項は何も書いていません。 第3項は、国土交通大臣が第1項の許可をしたときは、その旨を公示しなければならないと定めています
公示の対象は、第1項の許可のすべてで、全部の廃止に限られていません。
許可がされたことは、公示によって外から確かめられる仕組みです。
全部を廃止すると、指定そのものがなくなるのですね。
許可があったかどうかは、どこで分かるのですか。
国土交通大臣が公示します。
次は、指定を取り消す場合を確認します。
国土交通大臣は指定認定機関の指定をどのようなときに必ず取り消さなければならないのか

まず、第1項からです。
第77条の37は、指定を受けることができない者を定めた条文です。
第1号から第6号のうち、第4号を除いた五つが、ここで引かれています。
第4号は、この条の取消しから2年を経過しない者を定めた号で、この項の取消しの理由からは除かれています。
「取り消さなければならない」と書かれているので、大臣に裁量はありません。
最初は指定を受けられた機関でも、あとから取り消されるのですね。
第4号だけ除かれているのは、なぜですか。
第4号は、取り消された者が2年間指定を受けられないという規定です。
この項が取消しの理由にするのは、それ以外の場合です。
国土交通大臣は指定認定機関の指定の取消しや業務の停止をどのようなときに命じることができるのか

一 第七十七条の三十九第二項、第七十七条の四十第一項、第七十七条の四十二第一項から第三項まで、第七十七条の四十四、第七十七条の四十六第一項、第七十七条の四十七又は前条第一項の規定に違反したとき。
二 第七十七条の四十五第一項の認可を受けた認定等業務規程によらないで認定等を行つたとき。
三 第七十七条の四十二第四項、第七十七条の四十五第三項又は第七十七条の四十八の規定による命令に違反したとき。
四 第七十七条の三十八各号に掲げる基準に適合していないと認めるとき。
五 認定等の業務に関し著しく不適当な行為をしたとき、又はその業務に従事する認定員若しくは法人にあつてはその役員が、認定等の業務に関し著しく不適当な行為をしたとき。
六 不正な手段により指定を受けたとき。
第1項と違い、「できる」と書かれているので、取り消すか停止を命じるかは国土交通大臣が選びます。
各号は六つあります。 第1号は、これまでの条文の義務に違反したときです。
休廃止の許可(前条第1項)、変更の届出(第77条の39第2項)、業務区域の増減の許可(第77条の40第1項)、認定員に関する規定(第77条の42第1項から第3項まで)、求められた認定等の実施(第77条の44)、報告(第77条の46第1項)、帳簿の備付け(第77条の47)が並んでいます。
第2号は、認可を受けた認定等業務規程によらないで認定等を行ったときです。
第3号は、認定員の解任命令、規程の変更命令、監督命令に違反したときです。
第4号は、指定の基準(第77条の38各号)に適合していないと認めるときです。
第5号は、認定等の業務に関し著しく不適当な行為をしたときで、認定員や法人の役員の行為も含まれます。
第6号は、不正な手段により指定を受けたときです。 最後に、第3項を確認しましょう。
取消しの相手は、第1項でも第2項でも、公示の対象になります。
取り消された者は、第77条の37第4号により、取消しの日から2年を経過するまで、指定を受けることができません。
これまでの記事の義務を守らないと、取消しにつながるのですね。
取消しと停止は、どちらになるかは決まっているのですか。
第2項では、大臣が選べる書き方になっています。
最後に、整理表で全体を確認しましょう。
指定認定機関の休廃止と取消しの規定を防火管理の現場ではどのように受け止めればよいのか

分けて読むと、混乱しにくくなります。
| 項目 | 条文の書き方 | 押さえる点 |
|---|---|---|
| 休止や廃止 | 国土交通大臣の許可を受けなければ、全部または一部を休止・廃止してはならない(第77条の50第1項) | 休止も廃止も許可制です |
| 全部の廃止の許可 | その許可に係る指定は効力を失う(第2項) | 指定が効力を失うのは全部の廃止です |
| 必ず取り消す場合 | 第77条の37各号(第4号を除く)の一に該当するに至ったとき(第77条の51第1項) | 大臣に裁量なしです |
| 取消しや停止ができる場合 | 各号の一に該当するとき、取り消し、または期間を定めて業務の停止を命ずることができる(第2項) | 各号は六つです |
| 公示 | 許可、取消し、停止を命じたときは公示(第77条の50第3項、第77条の51第3項) | 取消しから2年は指定を受けられません |
この規定は、防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
また、第77条の50と第77条の51には、すでに出された認定や認証の書類が、休廃止や取消しのあとにどう扱われるかは書かれていません。
防火設備や耐火構造などの認定に関する書類を受け取ったときは、その発行元を控えておくと、改修や交換の相談が進めやすくなります。
明日から、次の点を確認してください。
- 建物の防火設備や耐火構造の認定書類が、どの機関の発行かを施工業者に尋ねて控えておく。
- 書類の名称、日付、番号を、施工業者から書面でもらって保管する。
- 改修の前に、その認定書類の内容が今の建物に当てはまるかを施工業者に確認する。
- 発行した機関の状況に疑問があるときは、建築の窓口と施工業者に速やかに相談する。
- 建築の話と消防の話は別の制度なので、両方の窓口へ確かめる。
建築の窓口と所轄消防署に、それぞれ確かめておきましょう。
休廃止や取消しの仕組みは分かりました。
現場では、何から確かめればよいですか。
認定や認証の書類の発行元を、施工業者に確認しておきましょう。
消防の基準は、別に確かめます。
よくある質問
まとめ
休廃止や取消しの仕組みがよく分かりました。
認定書類の発行元を、施工業者に確認します!
建築の認定と消防の基準は別なので、両方を確かめておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第七十七条の五十・第七十七条の五十一・第七十七条の三十七・第七十七条の三十八・第七十七条の三十九・第七十七条の四十・第六十八条の二十四(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。休廃止や取消しの手続の細部は機関と建築の窓口ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





