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危険物の確認試験は消防機関がやってくれるのか|性状確認の進め方と文献値の扱いを解説

危険物の確認試験は消防機関がやってくれるのかを示す資料と試験器のある机の写真

「危険物に該当するかどうかを確かめる試験」は、いったい誰が行うものなのでしょうか。
消防署に相談すれば代わりに試験してくれる、と考えている事業者も少なくありません。
本記事では、性状確認の進め方と確認試験の実施主体、文献値の扱いを、消防庁の執務資料をもとに解説します。
確認試験は、消防機関ではなく事業者自身が行うものです。

うちの薬品、危険物かどうか微妙なので消防署に確認試験をお願いしようと思ってるんです。
やってもらえますよね。

それはよくある誤解です。
確認試験は物品を貯蔵・取扱いする事業者自身が行うものなんです。

えっ、消防機関はやってくれないんですか。
証明書みたいなものも出ないんでしょうか。

はい、確認証の交付もありません。
今日はその役割分担を一緒に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 確認試験は当該物品を貯蔵・取扱い・運搬しようとする者が実施するもので、消防機関に実施義務はありません
  • 危険物の性状は、従来どおり提出資料による確認が基本です
  • 確認試験の結果を提出しても、消防機関から確認証等が交付されることはありません
  • 洗剤や消毒剤のような液体の物品は、第1類としての性状確認が不要な場合があります
  • 引火点などの試験は、同一の試験方法による文献値があれば改めて試験をしなくてもよい場合があります

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危険物の確認試験の実施主体と性状確認・文献値の扱いをまとめた図解

洗剤や消毒剤のような液体の物品はなぜ性状確認が不要になるのか

液体ボトルと固体の粉末容器が並ぶ図
洗剤や消毒剤には、危険物の品名に該当する成分を含むものが少なくありません。
含まれているなら必ず試験が要るのかというと、そうとは限りません。
問 法別表の品名欄の第1類の項第11号に掲げる品名(前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの)に属する物品(洗剤、消毒剤等)のうち、液体であるものについては、第1類の酸化性固体、第6類の酸化性液体のうち、いずれの性状について確認を行えばよいか。
答 設問のような液体である物品は、第1類の危険物としての性状確認は要しない。また、法別表の品名欄の第6類の項に掲げられている品名に属さない物品である場合には、第6類の危険物としての性状確認も要しない。
酸化性固体と酸化性液体は、そもそも状態で線引きされています。
消防法別表第一備考第一号が定める酸化性固体は固体限定、備考第二十号が定める酸化性液体は液体限定の性状です。
洗剤や消毒剤のように常温で液体の物品は、第1類の対象になりようがなく、性状確認の対象からも外れます。
品名欄だけを見て「含有するから要確認」と判断する前に、まず物品が固体か液体かを確認する習慣をつけましょう。

品名に当てはまるから全部試験しなきゃと思ってました。
液体かどうかで最初に絞れるんですね。

はい、状態を見るだけで対象外と分かる場合もあります。
次は確認そのものの進め方を見ていきましょう。

危険物の性状はどうやって確認するのか

書類フォルダとクリップボードが並ぶ図
物品が危険物に該当するかどうかを確かめるとき、まず何から始めればよいのでしょうか。
消防機関が独自に試験室を構えているわけではありません。
問 危険物の性状はどのように確認するのか。
答 従来と同様に、提出資料により確認されたい。
性状の確認は、まず資料のやり取りから始まります。
危険物の規制に関する政令第1条の9は、試験及び性状に関する細目を総務省令(危険物の試験及び性状に関する省令)に委任しています。
消防機関は、この省令に沿って行われた試験結果や組成表などの提出資料を審査する形で確認を進めます。
いきなり現地で試験するのではなく、まず資料を整えて相談する流れを覚えておきましょう。

資料さえそろえれば、現地に試験器を持ち込まなくてもいいんですね。
何を準備すればいいのか知りたいです。

組成表や引火点などの試験データが中心になります。
次は提出した後の扱いを見てみましょう。

確認試験の結果を提出しても消防機関から確認証はもらえないのか

証明書カードと空の額縁が並ぶ図
せっかく試験データをそろえて提出したのだから、何か証明書がもらえると考えるかもしれません。
実際の扱いは少し違います。
問 事業者から提出された確認試験結果等に基づき危険物の判定を行った場合、消防機関は、事業者に対して確認証等を交付する必要があるか。
答 その必要はない。
判定はあくまで消防機関内部の確認にとどまります。
提出資料に基づいて危険物に該当するかどうかを判断しても、それを証明する確認証のような書面を発行する制度はありません。
公的な「お墨付き」を受け取れるわけではないため、提出した資料の控えは事業者自身で保管しておく必要があります。
あとから組成や製法が変わったときに、過去の確認内容を自社で追えるようにしておくことが実務上の備えになります。

証明書はもらえないんですね、てっきり発行されるものだと思ってました。
控えは自分たちで残しておかないといけないんですね。

そのとおりです、資料の控えは必ず手元に残してください。
次は試験そのものを誰が行うのかを見ていきましょう。

確認試験は消防機関が代わりに実施してくれるのか

引火点測定器とストップウォッチが並ぶ図
資料の確認だけでなく、実際の試験そのものを消防機関に頼みたいと考える事業者もいます。
では、その依頼は受けてもらえるのでしょうか。
問 消防機関は、事業者から確認試験の実施の依頼を受けた場合、行う義務があるか。
答 確認試験は、当該物品を貯蔵し、若しくは取り扱い、又は運搬しようとする者が実施するものであり、消防機関にその義務はない。
試験の実施主体は、あくまで物品を扱う事業者です。
消防法第10条第3項は、製造所等における危険物の貯蔵・取扱いを政令で定める技術上の基準に従って行う義務を事業者側に課しています。
確認試験の費用や手間も同じ考え方で、貯蔵・取扱い・運搬をしようとする者が自ら負担するのが原則です。
消防機関の役割は、必要に応じて消防法第16条の5第1項に基づく資料提出命令や立入検査で事後的に確かめることに限られます。

試験自体も消防署にお願いできると思ってました。
自社でやるものだったんですね。

はい、費用も含めて事業者側の負担になります。
最後に試験を簡略化できる場合を見てみましょう。

引火点などの試験は文献値で済ませてよいのか

資料本と引火点測定器が並ぶ図
毎回新しく試験をするのは、時間も費用もかかります。
すでに公表されている数値をそのまま使えないものでしょうか。
問 引火点を測定する試験等について、文献値をもって確認試験の結果としてよいか。
答 文献値が、令及び危険物の試験及び性状に関する省令(平成元年自治省令第1号)に規定する試験と同一の試験方法により測定されたものである場合には、お見込みのとおり。
同じ試験方法で測った数値なら、文献値でも通用します。
危険物の試験及び性状に関する省令は、タグ密閉式やクリーブランド開放式など試験方法そのものを細かく定めています。
文献に載っている数値がこの省令と同一の試験方法で測定されたものであれば、改めて試験をしなくても確認試験の結果として扱えます。
逆に測定方法が明記されていない文献値や、別の規格に基づく数値は、そのままでは根拠にならない点に注意しましょう。

測定方法さえ合っていれば、文献値で済ませられる場合もあるんですね。
無駄な試験をしなくて済みそうです。

はい、ただし測定方法の記載までしっかり確認してください。
今日見てきた内容をまとめておきましょう。

よくある質問

Q確認試験は消防機関に依頼すればやってもらえるのか?
Aいいえ。確認試験は当該物品を貯蔵・取扱い・運搬しようとする事業者自身が実施するもので、消防機関にその義務はありません。
Q確認試験の結果を提出すれば、消防機関から証明書がもらえるのか?
Aいいえ。確認証等を交付する制度はなく、提出した資料の控えは事業者自身で保管しておく必要があります。
Q洗剤や消毒剤のような液体の物品は、性状確認をしなくてよいのか?
A第1類の品名に属する物品であっても液体であれば第1類としての性状確認は不要です。ただし第6類の品名に属する場合は別途確認が必要です。
Q引火点の試験は、必ず自社で新たに実施しなければならないのか?
A必ずしも新規の試験は不要です。同一の試験方法で測定された文献値があれば、それを確認試験の結果として扱える場合があります。

まとめ

✔危険物の性状確認は、消防機関が代行する制度ではなく事業者自身が行うことが原則です
✔確認試験は、当該物品を貯蔵・取扱い・運搬しようとする者が実施するもので、消防機関に実施義務はありません
✔性状の確認方法は、従来どおり提出資料による確認が基本です
✔確認試験の結果を提出しても、消防機関から確認証等が交付されることはありません
✔洗剤や消毒剤のような液体の物品は、第1類としての性状確認が不要な場合があります
✔引火点等の試験は、同一の試験方法による文献値があれば改めて試験をしなくてもよい場合があります
✔消防機関の役割は、必要に応じた資料提出命令・立入検査による事後確認に限られます

うちの薬品も、確認試験の進め方をもう一度社内で整理します!

性状確認や提出資料の整え方で迷ったら、組成や試験データをそろえたうえでご相談ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法別表第一備考第一号(酸化性固体の定義)・備考第二十号(酸化性液体の定義)
  • 危険物の規制に関する政令(昭和三十四年政令第三百六号)第1条の9(試験及び性状に関する事項の委任)
  • 消防法第10条第3項(技術上の基準の遵守義務)・第16条の5第1項(資料提出命令・立入検査)
  • 危険物の試験及び性状に関する省令(平成元年自治省令第1号)
  • 「危険物規制事務に関する執務資料(給油取扱所を除く)の送付について」(平成元年7月4日付け消防危第64号 危険物規制課長から各都道府県消防主管部長あて回答)

※本記事は消防庁の執務資料をもとに作成した一般的な解説です。個別の物品が危険物に該当するかどうかの確認試験・性状確認は、組成・試験データ等をそろえたうえで所轄消防署にご確認ください。

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