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燃料電池設備の点検はなぜ冷却装置や排気筒まで見るのか|周囲温度40℃以内と温度検出テープの基準を解説

燃料電池設備は冷却装置や排気筒までなぜ点検するのかのアイキャッチ画像

燃料電池設備は、消防用設備等の非常電源として自家発電設備や蓄電池設備と並んで選べる電源です。
ところが点検の中身は大きく違い、冷却装置や排気筒、改質器といった蓄電池設備には無い項目が並びます。
背景には、燃料を燃焼・改質して発電するため、熱と燃料系統を常に抱えているという構造の違いがあります。
この記事では、燃料電池設備の機器点検が見る冷却装置・排気筒・結線接続の温度検出テープ・運転性能の周囲温度・改質器と燃料容器等の5つを、点検要領の判定方法に沿って解説します。

うちの燃料電池設備、蓄電池設備と同じように点検すればいいんですよね。

いいえ、冷却装置や排気筒など蓄電池設備には無い項目が点検要領に定められています。
順番に見ていきましょう。

燃料電池ならではの項目があるんですか。

はい、熱と燃料を扱う設備ならではの点検です。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 燃料電池設備の機器点検には、蓄電池設備にはない冷却装置・排気筒・改質器・燃料容器等という専用の項目があります。
  • 冷却装置はラジエータ本体の変形・損傷・腐食・漏水の有無と、冷却水の汚れ・腐敗の有無・所定水量を確認します。
  • 排気筒は貫通部の遮熱保護部の断熱材に異常がないことに加え、周囲に可燃物が置かれていないことも確認します。
  • 結線接続では断線や端子の緩みに加え、温度検出用テープや塗料の変色の有無まで確認します。
  • 運転性能の判定基準には、発電機室又はキュービクル内の燃料電池の周囲温度が40℃以内であることが含まれます。

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燃料電池設備の点検を冷却装置の点検・排気筒の遮熱確認・温度検出テープの確認・周囲温度の上限確認の4つの観点で示した図解

燃料電池設備の点検になぜ冷却装置という項目があるのか

ラジエータと冷却ファンに触れて点検する検査員の手元のイラスト
蓄電池設備の点検要領に、冷却装置という項目はありません。
燃料電池設備だけに冷却装置の点検が定められているのには理由があります。
消防用設備等の点検要領 第25の2 非常電源(燃料電池設備) 燃料電池設備 冷却装置 ラジエータ、配管等 ア ラジエータ本体に変形、損傷、腐食、漏水等がないこと。イ 冷却水に著しい汚れ又は腐敗等がなく、所定の水量があること。※ ラジエータ内部に汚れがある場合は、内部洗浄を指示すること。洗浄の方法は、ラジエータ内に洗浄剤を添加し、所定時間洗浄運転を行い、排水の上、新しい冷却水を給水する。冷却ファン 冷却ファンに変形、損傷、腐食等がなく、円滑に駆動すること。(点検方法はいずれも目視により確認する。冷却ファンのみ目視及び触手により確認する。)
ラジエータ本体は変形・損傷・腐食・漏水の有無を、冷却ファンは目視及び触手で円滑に駆動するかを確認します。
冷却水は著しい汚れ又は腐敗がなく、所定の水量があることが基準で、汚れがあれば内部洗浄を指示します。
洗浄は洗浄剤を添加して所定時間運転したあと排水し、新しい冷却水を給水する手順です。
燃料電池は発電の過程で熱を発し続けるため、冷却が止まれば運転そのものが続けられません。
蓄電池設備には電解液の確認はあっても、ラジエータや冷却ファンという機械式の冷却系統はありません。

ラジエータの中まで洗浄するんですか。

はい、洗浄剤を使った内部洗浄まで点検要領に定められています。
次は排気筒を見ましょう。

排気筒の点検はなぜ周囲の可燃物まで確認するのか

壁を貫通する排気筒の断熱部分と周囲に何も置かれていない床面のイラスト
燃料電池は改質器で燃料を改質して水素を取り出すため、排気を外へ逃がす排気筒が必要です。
この排気筒には、他の点検項目には無い独特の確認事項があります。
消防用設備等の点検要領 第25の2 非常電源(燃料電池設備) 排気筒 周囲の状況 周囲に可燃物が置かれていないこと。外形 排気伸縮管、排気管、断熱覆等に変形、損傷、脱落、き裂等がなく、支持金具の緩み等がないこと。貫通部 ア 貫通部の遮熱保護部の断熱材等に変形、損傷、脱落、き裂等がないこと。イ 排気管の貫通部の支持部材の取付状態が適正であること。(点検方法はいずれも目視により確認する。)
排気筒はまず周囲に可燃物が置かれていないことを確認します。
排気伸縮管や排気管、断熱覆等には変形・損傷・脱落・き裂や支持金具の緩みがないことも見ます。
壁等を貫通する部分は、遮熱保護部の断熱材に変形・損傷・脱落・き裂がないことまで確認します。
排気管の貫通部を支える部材の取付状態が適正であることも判定項目のひとつです。
高温の排気ガスが通る以上、周囲の可燃物と貫通部の断熱は火災予防の観点で特に重視されています。

排気筒の周りに物を置いてはいけないんですね。

はい、周囲の可燃物は真っ先に確認する項目です。
次は結線接続を見ましょう。

結線接続の点検でなぜ温度検出用テープの変色まで見るのか

配線に巻かれた温度検出用テープを指さして確認する検査員のイラスト
結線接続の点検は、断線や端子の緩みを見るだけではありません。
燃料電池設備では、テープや塗料の変色という他の設備ではあまり聞かない確認事項があります。
消防用設備等の点検要領 第25の2 非常電源(燃料電池設備) 結線接続 ア ケーブル等の変形、損傷、ひび割れ、切断、端末処理部等に異常がないこと。イ 温度検出用テープ、塗料等の変色、取付状態等に異常がないこと。(該当する場合のみ)ウ 主回路、制御回路、補機回路等の配線に、端子の緩み、端子部保護覆いの損傷、テープ巻き保護部の損傷、断線、異常な温度上昇がないこと。(点検方法は目視により確認する。)
ケーブル等の変形・損傷・ひび割れ・切断・端末処理部の異常の有無をまず確認します。
該当する場合に限り、温度検出用テープや塗料等の変色、取付状態の異常の有無も見ます。
主回路・制御回路・補機回路等の配線では、端子の緩みに加えて端子部保護覆いの損傷、テープ巻き保護部の損傷、異常な温度上昇がないことまで確認します。
温度検出用テープは、決まった温度を超えると色が変わる示温材で、過熱の痕跡をあとから確認できる仕組みです。
配線の異常な温度上昇は目視だけでは気づきにくいため、こうした補助的な確認手段が点検要領に組み込まれています。

テープの色が変わっていたら、それだけで異常が分かるんですね。

はい、変色という形で過熱の痕跡が残ります。
次は運転性能を見ましょう。

運転性能の判定になぜ周囲温度40℃以内という基準があるのか

キュービクル内の温度計を指さして確認する検査員のイラスト
運転性能の点検は、実際に運転している状態を確認します。
判定項目のひとつに、燃料電池の周囲温度という数値基準があります。
消防用設備等の点検要領 第25の2 非常電源(燃料電池設備) 運転性能 ア 漏油、異臭、不規則音、異常な振動等がないこと。イ 電圧計、周波数計の計器の指示値が適正で指針の作動が円滑であること。ウ 各部の温度、流量等が、製造者の指定する値と大差ないこと。エ 発電状態が適切であること。オ 運転中の記録はすべて製造者の指定値範囲であること。カ 発電機室又はキュービクル内の燃料電池の周囲温度が40℃以内であること。(点検方法は運転状態等を確認する。)
漏油・異臭・不規則音・異常な振動の有無をまず確認します。
電圧計・周波数計の指示値が適正で、指針の作動が円滑であることも見ます。
各部の温度・流量等が製造者の指定する値と大差ないことや、運転中の記録がすべて製造者の指定値範囲であることも判定項目です。
そして発電機室又はキュービクル内の燃料電池の周囲温度が40℃以内であることが基準に含まれています。
冷却装置や排気筒の点検は、結局この周囲温度を40℃以内に保つための前提条件だと分かります。

冷却や排気筒の点検は、この40℃のためにあるんですね。

はい、周囲温度40℃以内という結果につながっています。
最後に改質器と燃料容器を見ましょう。

改質器や燃料容器等はどう点検するのか

改質器のユニットと円筒形の燃料容器を並べて点検する様子のイラスト
燃料電池設備には、改質器と燃料容器等という蓄電池設備には存在しない構成機器があります。
どちらも燃料を扱う以上、独自の点検項目が定められています。
消防用設備等の点検要領 第25の2 非常電源(燃料電池設備) 改質器 損傷、異音、異臭等がなく、機能が正常であること。燃料容器等 外形 変形、損傷、漏油等がなく、所定の燃料が使用されていること。燃料貯蔵量 定格出力における連続運転可能時間以上の運転に十分な貯蔵量があること。※ ガスを燃料とするもので、燃料が安定して供給される場合を除く。(点検方法はいずれも目視により確認する。)
改質器は損傷・異音・異臭等がなく、機能が正常であることを目視で確認します。
燃料容器等の外形は変形・損傷・漏油等がなく、所定の燃料が使用されていることを確認します。
燃料貯蔵量は定格出力における連続運転可能時間以上の運転に十分な貯蔵量があることが基準です。
ただしガスを燃料とし、燃料が安定して供給される場合はこの貯蔵量の確認を省略できます。
改質器は燃料を水素に作り替える装置で、腐食や異音は発電そのものの異常につながるため見落とせません。

燃料の種類によって確認する中身が変わるんですね。

はい、容器保有型かガス供給型かで確認のしかたが変わります。
最後に整理しましょう。

よくある質問

Q燃料電池設備の冷却装置は、蓄電池設備にも同じように点検項目がありますか?
Aいいえ。冷却装置(ラジエータ・冷却ファン)は燃料電池設備だけの点検項目で、蓄電池設備の点検要領には定められていません。
Q排気筒や冷却装置、改質器の点検は、総合点検でも行いますか?
Aいいえ。排気筒・冷却装置・改質器は機器点検の項目です。総合点検では接地抵抗・絶縁抵抗・保護装置・停止性能・切替性能を確認します。
Q温度検出用テープは、すべての燃料電池設備に取り付けられていますか?
Aいいえ。点検要領では「該当する場合のみ」確認すると定められており、取り付けられていない設備もあります。
Q周囲温度が40℃を超えていたら、どう対応すればよいですか?
A点検要領は40℃以内であることを判定基準としているため、超えていれば不良と判定します。冷却装置や換気の状態を確認したうえで、製造者や点検資格者に相談します。

まとめ

✔燃料電池設備の機器点検には、蓄電池設備にはない冷却装置・排気筒・改質器・燃料容器等という項目がある
✔冷却装置はラジエータ本体の変形・損傷・腐食・漏水の有無と、冷却水の汚れ・所定水量を確認する
✔ラジエータ内部が汚れている場合は洗浄剤を使った内部洗浄を指示する
✔排気筒は貫通部の遮熱保護部の断熱材に加えて、周囲に可燃物が置かれていないことも確認する
✔結線接続では断線や端子の緩みに加え、温度検出用テープや塗料の変色の有無まで確認する
✔運転性能の判定基準には発電機室又はキュービクル内の周囲温度が40℃以内であることが含まれる
✔改質器は機能の正常性を、燃料容器等は貯蔵量が連続運転可能時間以上あるかを確認する

燃料電池設備の点検、蓄電池設備とこんなに違うとは知りませんでした!

はい、熱と燃料を扱う設備ならではの点検です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行規則第31条の6(消防用設備等又は特殊消防用設備等の点検及び報告)
  • 消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件(昭和50年消防庁告示第14号)別表第25の2 非常電源(燃料電池設備)
  • 消防用設備等の点検要領(消防庁通知) 第25の2 非常電源(燃料電池設備)
  • 燃料電池設備の基準(平成18年消防庁告示第8号)

※本記事は公表されている法令、告示および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。点検の基準や点検要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。

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