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換気設備の定期検査はどんな基本ルールで行われるのか|自主点検の記録活用から検査当日の手順まで解説

換気設備の設計図書を確認しながらダクトを見上げる女性検査員の写真

換気設備の定期検査は、告示の検査結果表に並ぶ項目を順番にこなすだけの作業ではありません。
検査の対象範囲は誰がどう決まるのか、各居室の換気量や中央管理室の監視のような項目まで毎回全数を測定する必要があるのか、他の資格者が行った点検記録は使い回せるのか——実務では制度そのものへの疑問も少なくありません。
これらを知らずに検査に臨むと、対象範囲を取り違えたり、判定に迷って必要以上に厳しい指摘をしてしまったりすることがあります。
この記事では、検査対象の決まり方から抽出検査の仕組み、自主点検記録の活用、検査前の準備から当日の手順まで換気設備定期検査の基本ルールを整理して解説します

うちのビル、換気設備の検査で「対象になるのは特定行政庁が指定するものだけ」と言われました。
普通の検査と何が違うんでしょうか。

はい、換気設備の検査は特定行政庁が指定する範囲に限られます。
認定を受けた換気・空気調和設備は、また別の方法で検査することになっています。

換気量みたいな項目まで、毎年全部測定しているわけではないとも聞きました。
本当なんでしょうか。

はい、一部の項目は1年から3年までの間隔での抽出検査が認められています。
対象の決まり方から検査当日の手順まで順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 検査対象となる換気設備は「特定行政庁が指定するもの」とされ、国土交通大臣の認定を受けた換気・空気調和設備は申請時提出図書の方法で検査する
  • 各居室の換気量や中央管理室の監視、空気調和設備の温度・湿度等の項目は1年から3年までの間隔での抽出検査が認められている
  • 一級建築士・二級建築士・建築設備検査員が実施した検査の記録や、建築物における衛生的環境の確保に関する法律にもとづく点検記録を活用できる項目がある
  • 著しい腐食は巻末の参考資料、異常な発熱・音・振動は通常と違うかどうかで判定する
  • 検査前には設計図書・前回の指摘・保守管理状況を確認し、総合的な維持保全計画書の策定を求める

換気設備定期検査の対象の決まり方から抽出検査自主点検の活用検査当日の手順までをまとめた図解

換気設備の検査はどこまでを対象にしているのか

特定行政庁の指定書類を確認する女性検査員のイラスト
換気設備の定期検査は、全国どこでも同じ範囲・同じ方法というわけではありません。
まずは検査に入る前に押さえておきたい対象の考え方を確認します。
問1 建築基準法上、換気設備の定期検査の対象範囲や検査方法は、すべて告示によって全国一律に定められているのか。
答1 検査の対象となる換気設備は、特定建築物に設けられる機械換気設備、中央管理方式の空気調和設備及び防火ダンパー並びに換気設備を設けるべき調理室に設けられた自然換気設備、機械換気設備及び防火ダンパーで「特定行政庁が指定するもの」とされ、各特定行政庁の実情に応じた指定に委ねられている。また、法第68条の25第1項又は法第68条の26第1項に規定する国土交通大臣の認定を受けた換気・空気調和設備、装置等の検査は、当該認定に係る申請の際に提出された図書に検査の方法が記載されている場合には、当該方法によるものとされる。
換気設備の検査は、全国どこでも同じ対象・同じ方法とは限りません
検査対象となるのは、劇場等の居室に設けられた機械換気設備・中央管理方式の空気調和設備・防火ダンパーと、調理室等に設けられた自然換気設備・機械換気設備・防火ダンパーのうち特定行政庁が指定するものに限られます。
自分の建物のどの設備が対象かは、まず所管の特定行政庁の担当課に確認する必要があります。
また型式や構造方法について国土交通大臣の認定を受けた換気・空気調和設備は、告示の検査方法ではなく認定申請時に提出した図書に記載の方法で検査します。
自分の建物がどの指定・認定に該当するかわからないときは、検査を依頼する建築設備等検査員にまず相談するのが確実です。

対象になるのは「特定行政庁が指定するもの」ってどこで確認できるんでしょうか。
うちのビルだと何を見ればいいですか。

所管の特定行政庁の窓口か、検査を依頼する建築設備検査員に確認するのが確実です。
建築確認済証や完成図書も手元に用意しておきましょう。

1年から3年まで間隔をおける検査項目にはどんなものがあるのか

検査項目のリストから対象を抽出する女性検査員のイラスト
各居室の換気量のように、毎年フルで測定するわけではない項目もあります。
どのような仕組みで検査の頻度が決まっているのか見ていきましょう。
問2 各居室の換気量や中央管理室における制御及び作動状態の監視の状況など、告示が定める検査項目はすべて毎回全数を検査しなければならないのか。
答2 施行規則第6条第1項のただし書きに基づき国土交通大臣が定める検査の項目については、1年から3年までの間隔において特定行政庁が定める時期に検査を行うこととされている。換気設備では各居室の換気量、中央管理室における制御及び作動状態の監視の状況、各居室の温度・相対湿度・浮遊粉じん量・一酸化炭素含有率・二酸化炭素含有率・気流などが該当する。この検査は、定められた期間内に一度全数を検査する方法、又は毎年一定数を抽出したうえで定められた期間内に全数の検査を終える方法のいずれかにより行う。
すべての検査項目が毎回全数を測定しているわけではありません
施行規則第6条第1項は報告の時期をおおむね六月から一年までの間隔とするのが原則ですが、そのただし書きにより大臣が定める項目だけは1年から3年までの間隔でよいとされています。
各居室の換気量測定や空気調和設備の温湿度測定は、対象となる居室の数が多い建築物ほど毎回全数を検査する負担が大きいため、抽出検査という選び方が用意されています。
抽出検査を選ぶ場合は、定期検査報告書の第一面・第二面の該当欄に抽出検査を行った旨を明記し、実施内容を記載したリスト等の資料を添付しなければなりません。
毎年どの居室を検査したかを記録に残しておくと、次回の抽出計画も立てやすくなります。

抽出検査を選んだら、書類にはただ「抽出しました」と書けばいいんですか。
それとも詳しく書く必要があるんでしょうか。

いいえ、実施内容を記載したリストの添付まで必要です。
報告書の欄に明記することも忘れないようにしましょう。

自主点検の記録はどこまで検査に活用できるのか

自主点検の記録を確認する女性検査員のイラスト
換気設備には、他の資格者による点検や別の法令の点検が別途入っている建物も多くあります。
その記録をそのまま活用できる項目があるのかを確認しましょう。
問3 換気設備の定期検査において、他の資格者が実施した検査や他の法令に基づく点検の記録をそのまま活用できる項目はあるのか。
答3 一級建築士、二級建築士又は建築設備検査員が実施した検査の記録を活用できる項目には、給気機の外気取入口の防止措置、各居室の給気口及び排気口の取付けの状況、中央管理室における制御及び作動状態の監視の状況、空気調和設備の設置・劣化及び損傷・運転の状況、空気ろ過器の点検口、冷却塔と建築物の他の部分との離隔距離等が定められている。また建築物における衛生的環境の確保に関する法律に基づく点検の記録は、各居室の給気口及び排気口の取付けの状況、空気調和設備の運転の状況の項目で活用できる。いずれも告示が定める検査方法と同等の方法で実施された記録であることが前提となる。
他の資格者や他の法令の点検で確認済みの項目まで、重複して測定する必要はありません
給気機・給気口・排気口の外観から中央管理室の監視、空気調和設備の外観・運転状況まで、複数の項目で一級建築士・二級建築士・建築設備検査員が実施した検査の記録を活用できます。
空気調和設備の運転状況等については、建築物における衛生的環境の確保に関する法律にもとづく点検記録も活用できます。
記録にあっては、他の法令による検査記録は3か月以内、自主点検の記録は1か月以内に実施されたものが望ましいとされています。
検査を依頼する前に、直近のビル管理法にもとづく点検記録が手元にあるかを確認しておくと、当日の検査がスムーズになります。

うちはビル管理法の点検も毎月受けているので、その記録が使えるなら助かります。
古い記録でも大丈夫でしょうか。

直近1か月以内の記録が望ましいとされています。
古い記録しかない項目は、あらためて検査することになります。

判定に迷う項目はどう判断すればよいのか

腐食の状況を巻末資料と見比べる女性検査員のイラスト
検査結果表には「著しい腐食」「異常な発熱」のように、数値だけでは判断しにくい表現も出てきます。
判定に迷ったときの考え方を確認しましょう。
問4 「著しい腐食」「異常な発熱」「異常な音」「異常な振動」といった判定を求められたとき、何を基準に判断すればよいのか。
答4 著しい腐食は巻末の参考資料「腐食状況の判定基準」を参考に判定する。異常な発熱は機器の設置環境、機器の特性(モーターの絶縁種別)、稼働頻度等で異なることから定量的に判断するのではなく、機器の特性から適切に判定するものとし、一般的に異常な発熱が起こる場合は異常な音や異常な振動を伴っていることが多い。通常と違う音や振動がある場合は要是正とする。なお、換気風道(ダクト)等の隠蔽部分は、原則として法の規定による完了検査の範囲とし定期検査の対象としないが、点検口等によって容易に目視検査ができる場合はこの限りでない。
判定基準は、数値の表だけでなく判断の物差しそのものを持っておくことが大切です
著しい腐食かどうかは巻末の参考資料「腐食状況の判定基準」と見比べて判定します。
異常な発熱・音・振動は機器ごとに正常値が違うため、普段の状態との違いがあるかどうかで判断します。
要是正の判定が出た場合は「要是正(法不適合)」の指摘を行いますが、建築着工時の法令に適合すると判断される場合は「既存不適格」を併せて指摘します。
換気風道の隠蔽部分は原則として検査対象外ですが、点検口等から目視できる範囲は検査の対象になります。

「著しい」とか「異常な」とか、感覚で判断されているみたいで不安です。
基準はちゃんとあるんでしょうか。

はい、巻末の参考資料や機器ごとの特性を踏まえた基準があります。
感覚だけで判定しているわけではありませんのでご安心ください。

検査当日はどんな準備と手順で進めるのか

換気設備の設計図書を確認する女性検査員のイラスト
検査は当日いきなり現地入りして始めるものではありません。
事前にどこまで準備しておくべきかを確認します。
問5 換気設備の定期検査を行う前には、どのような準備や確認が必要になるのか。また検査当日はどのような順序で進めるのか。
答5 検査は原則として建築物の使用時間内に行うものとし、検査内容・検査に要する時間及び検査に必要な人員は他法令による検査記録の有無により異なるので、あらかじめ建築物の所有者等と打合せを行う。あわせて、建築確認済証・添付図書及び換気・空気調和設備完成図書等により換気・空調の系統とダクトの経路、外気取入口と排気口、機械室と主要機器の配置等を理解するとともに、前回の検査記録や保守管理の状態を確認し、総合的な維持保全計画書が策定されていない場合は、その策定を求める。検査当日は、変更や設備改修の有無の調査、書類による検査対象物の確認、外観検査から性能検査という順序で進め、終了後は全てを元の正常状態に戻したことを所有者等の責任者に報告する。
検査当日の効率は、事前準備でほぼ決まります
建築確認済証や換気・空気調和設備完成図書を閲覧し、換気・空調の系統とダクトの経路、機械室と主要機器の配置をあらかじめ頭に入れておくことで、現地での確認がスムーズになります。
前回の検査記録の指摘事項が改善されているかも忘れずに確認し、保守管理の状態は所有者等からの聴取と保守日誌等の資料閲覧の両方で把握します。
検査当日は、まず変更や設備改修の有無を確認し、書類による対象物の確認、外観検査、性能検査という順序で進めます。
検査終了後は、全てを元の正常状態に戻したことを確認し、その旨を所有者等の責任者に報告して初めて一連の検査が完了します。

維持保全計画書というものを作った覚えがありません。
作っていないと検査に通らないんでしょうか。

検査項目そのものではなく、策定を促す対象という位置づけです。
この機会に建物の規模に応じて整えておきましょう。

よくある質問

Q換気設備を設けるべき調理室でも、対象や検査方法は同じルールなのか?
Aはい。調理室等に設けられた自然換気設備・機械換気設備・防火ダンパーも、特定行政庁が指定するものが対象になる点は同じです。一般の居室と調理室とで対象の考え方に違いはありません。
Q換気風道(ダクト)の隠蔽部分は検査しなくてよいのか?
A原則として法の規定による完了検査の範囲とされ、定期検査の対象とはしません。ただし点検口等によって容易に目視検査ができる場合はこの限りでなく、その範囲で検査します。
Q大規模な建築物では、検査は必ず1人の検査員が行うのか?
A大規模な建築物又は特殊な建築物の建築設備の検査にあたっては、建築設備定期検査の有資格者が指定した者を補助検査者として検査の補助を行わせることができます。
Q要是正の判定が出た場合、必ず「法不適合」と指摘されるのか?
A要是正の判定がある場合は「要是正(法不適合)」の指摘を行いますが、要是正の判定が建築着工時の法令に適合すると判断される場合は「既存不適格」を併せて指摘します。

まとめ

検査対象の換気設備は「特定行政庁が指定するもの」とされ、国土交通大臣の認定を受けた換気・空気調和設備は申請時提出図書の方法で検査する
調理室等に設けられた自然換気設備・機械換気設備・防火ダンパーも、同じく特定行政庁の指定に委ねられている
各居室の換気量や中央管理室の監視、空気調和設備の温湿度等の項目は1年から3年までの間隔での抽出検査が認められている
抽出検査を行うときは定期検査報告書に明記し、実施内容のリストを添付する
一級建築士・二級建築士・建築設備検査員が実施した検査記録や、建築物における衛生的環境の確保に関する法律にもとづく点検記録を活用できる項目がある
著しい腐食は巻末の参考資料、異常な発熱・音・振動は普段の状態との違いで判定する
検査前には設計図書・前回の指摘・保守管理状況を確認し、総合的な維持保全計画書の策定を求める

検査の対象範囲まで特定行政庁ごとに違うとは知りませんでした!
次の検査までに維持保全計画書も確認しておきます!

それが確実な備えです。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第12条第3項・第68条の25・第68条の26
  • 建築基準法施行規則第6条
  • 建築物における衛生的環境の確保に関する法律(昭和45年法律第20号)
  • 平成20年国土交通省告示第285号 別表第一 換気設備

※本記事は建築基準法及び関係告示の現行規定にもとづき、㈱防災屋が独自に解説を作成したものです。個別の建物における検査対象の指定や検査方法の適用については、所管の特定行政庁又は検査を担当する建築設備等検査員に必ずご確認ください

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