一度結んだ建築協定は、あとから内容を変えたり、やめたりできるのでしょうか。
また、協定の外にいる人は、後から協定に加わることができるのでしょうか。
今回は建築基準法第74条から第76条を中心に、協定の変更の認可、協定への加入、廃止の認可の流れと、防火管理者が押さえておきたい点をあわせて解説します。
協定を結んだ後で、内容を変えたくなりました。
どんな手続きが必要ですか。
変更も、特定行政庁の認可が必要です。
まず条文から確認します。
協定をやめたいときや、後から加わりたいときは、どうなるのでしょう。
役所にはどう伝えるのですか。
廃止は認可、加入は書面で意思を表示する形です。
順番に見ていきましょう。
- 区域、基準、有効期間、違反時の措置、隣接地のどれかを変更するには、その旨を定めて特定行政庁に申請し、認可を受けます(第74条第1項)。
- 変更の認可の手続きには、協定を結ぶときの規定(第70条から第73条)が準用されます(第74条第2項)。
- 協定の効力が及ばない区域内の土地の所有者は、認可等の公告の日以後いつでも、特定行政庁へ書面で意思を表示して協定に加われます(第75条の2第1項)。
- 隣接地の土地の所有者等は、その土地の所有者等の全員の合意により書面で意思を表示して加われます(同条第2項)。
- 協定を廃止するときは、その過半数の合意で申請して認可を受け、認可後は遅滞なく公告されます(第76条)。
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目次
建築協定の内容を変更するときはどのような申請と認可が必要なのか

申請するのは、協定の効力が及ぶ土地の所有者等です。
協定の効力が及ばない者は、ここでいう土地の所有者等から除かれています。
どの程度の変更なら認可されるかは、この条文には書かれていません。
内容を少し直すだけでも、認可がいりますか。
第1項は、区域や基準などを変更しようとする場合は認可が必要と書いています。
直す幅による例外は、この条文にはありません。
建築協定の変更には協定を結ぶときの規定が準用されるのか

第70条は協定書と合意、第71条は縦覧、第72条は意見の聴取、第73条は認可の条件と公告の規定です。
この準用により、変更の場面でも、これらの規定が当てはめられます。
どの部分をどう読み替えるかの細かい説明は、この条文には書かれていません。
変更のときも、縦覧や意見の聴取があるのですか。
第2項は、第70条から第73条を準用すると書いています。
縦覧や聴取も含めて、準用の対象になります。
協定の効力が及ばない区域内の土地の所有者は後からどのように加わるのか

区域内に土地があっても、協定の効力が及ばない人がいる場合が想定されています。
加わるための方法は、書面による意思の表示です。
加わることを認めるかどうかを特定行政庁が判断する規定は、この条文には書かれていません。
加入できる期限はありますか。
第1項は、認可等の公告のあつた日以後いつでもと書いています。
期限を区切る書き方にはなっていません。
隣接地の土地の所有者等が協定に加わるときはどのような合意が必要なのか

(建築基準法第七十五条の二第三項)建築協定区域隣接地の区域内の土地に係る土地の所有者等で前項の意思を表示したものに係る土地の区域は、その意思の表示があつた時以後、建築協定区域の一部となるものとする。
(建築基準法第七十五条の二第四項)第七十三条第二項及び第三項の規定は、第一項又は第二項の規定による意思の表示があつた場合に準用する。
借地権の目的となつている土地がある場合は、その土地の所有者以外の土地の所有者等の全員の合意があれば足ります。
第3項は、意思を表示した土地の区域が、その時以後、協定区域の一部となるとしています。
第4項は、第73条第2項・第3項の規定を、意思の表示があった場合に準用するとしています。
第5項は加入した者の土地を後から取得した者への効力を定めており、細かい範囲は原文で確認が必要です。
隣接地の人は、1人だけでも加われますか。
第2項は、その土地の所有者等の全員の合意と書いています。
1人だけで加わる形は、この条文にはありません。
建築協定の廃止と防火管理の現場ではどのように受け止めればよいのか

(建築基準法第七十六条第二項)特定行政庁は、前項の認可をした場合においては、遅滞なく、その旨を公告しなければならない。
第2項は、認可をした場合には、遅滞なく公告しなければならないとしています。
ここまでの内容を、手続きの種類ごとに整理します。
分けて読むと、混乱しにくくなります。
| 手続き | 条文の書き方 | 押さえる点 |
|---|---|---|
| 変更 | その旨を定めて特定行政庁に申請し認可を受ける(第74条第1項) | 認可が必要です |
| 変更の手続き | 第70条から第73条の規定を準用する(第74条第2項) | 準用されます |
| 区域内の加入 | 書面で意思を表示して加われる(第75条の2第1項) | いつでも可能です |
| 隣接地の加入 | 土地の所有者等の全員の合意により書面で意思を表示する(同条第2項) | 全員の合意です |
| 廃止 | 過半数の合意で申請し認可を受ける(第76条第1項) | 過半数の合意です |
| 廃止の公告 | 認可をした場合は遅滞なく公告する(第76条第2項) | 公告で確認できます |
この手続きは、防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
また、第74条から第76条には、どの程度の変更が認められるかや、廃止の効力が及ぶ時期の細かい説明は書かれていません。
管理している建物の敷地に建築協定がある場合は、協定の内容が変わっている可能性を頭に入れておくと、増改築や用途変更の相談で慌てずに済みます。
明日から、次の点を確認してください。
- 管理している建物の敷地に、建築協定があるかどうかを市町村の窓口に問い合わせる。
- 協定がある場合は、変更や廃止の認可の公告が出ていないかを確かめる。
- 増改築や用途変更の前に、現在の協定の内容を最新の写しで確認しておく。
- 協定への加入の有無で敷地の扱いが変わるかは、窓口にそのまま確認して記録する。
- 建築の話と消防の話は別の制度なので、両方の窓口へ確かめる。
市町村の窓口と所轄消防署に、それぞれ確かめておきましょう。
手続きの種類は分かりました。
現場では、何から確かめればよいですか。
敷地に建築協定があるかを、市町村の窓口で確認して控えておきましょう。
消防の基準は、所轄消防署に別に確かめます。
よくある質問
まとめ
建築協定の変更と加入と廃止の流れがよく分かりました。
敷地に協定があるかを、市町村の窓口に確認します!
建築協定と消防の基準は別なので、両方を確かめておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第七十四条・第七十五条の二・第七十六条(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。建築協定の有無や内容は市町村の窓口ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





