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建築協定を結ぶ手続きは条例と認可でどう進むのか|建築基準法第69条から第73条を解説

住宅地の街並みと通りの写真

住宅地の環境を守るために、住民どうしで建物のルールを決める制度があります。
ただし、住民が話し合って決めただけでは、建築協定として成立しません。
今回は建築基準法第69条から第73条を中心に、建築協定を結ぶための条例、協定書の提出、縦覧、認可の流れ、防火管理者が押さえておきたい点をあわせて解説します。

住んでいる地区で、建物のルールを決める話が出ています。
どんな手続きが必要なのか知りたいです。

建築協定は、第69条から第73条に手続きが定められています。
まず条文から確認します。

住民が全員で合意すれば、それで成立するのですか。
役所は関わらないのでしょうか。

成立には、特定行政庁の認可が必要です。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 建築協定は、市町村が条例で締結できる旨を定めた区域で、土地の所有者等が結ぶものです(第69条)。
  • 協定書には、建築協定区域、建築物に関する基準、有効期間、協定違反があつた場合の措置を定めます(第70条第1項)。
  • 協定書は代表者が特定行政庁に提出して認可を受けます。土地の所有者等の全員の合意が必要です(第70条第1項・第3項)。
  • 市町村の長は、提出を公告し、20日以上の期間で縦覧に供し、公開の意見の聴取を行います(第71条・第72条)。
  • 特定行政庁は、土地や建築物の利用を不当に制限しないことなどの条件に該当すれば認可し、公告します(第73条)。

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建築協定が条例から認可に至るまでの流れを示す図解

建築協定は市町村の条例でどのような区域について定められるのか

住宅と庁舎と書類の束のイラスト
まず、第69条を確認しましょう。
(建築基準法第六十九条)市町村は、その区域の一部について、住宅地としての環境又は商店街としての利便を高度に維持増進する等建築物の利用を増進し、かつ、土地の環境を改善するために必要と認める場合においては、土地の所有者及び借地権を有する者(土地区画整理法第九十八条第一項(大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法第八十三条において準用する場合を含む。次条第三項、第七十四条の二第一項及び第二項並びに第七十五条の二第一項、第二項及び第五項において同じ。)の規定により仮換地として指定された土地にあつては、当該土地に対応する従前の土地の所有者及び借地権を有する者。以下「土地の所有者等」と総称する。)が当該土地について一定の区域を定め、その区域内における建築物の敷地、位置、構造、用途、形態、意匠又は建築設備に関する基準についての協定(以下「建築協定」という。)を締結することができる旨を、条例で、定めることができる。
第69条は、市町村が、その区域の一部について、必要と認める場合に、建築協定を締結できる旨を条例で定めることができると規定しています
協定を結ぶのは、土地の所有者及び借地権を有する者(土地の所有者等)で、一定の区域を定めて行います。
基準の対象は、建築物の敷地、位置、構造、用途、形態、意匠又は建築設備です。
どの区域で条例が定められているかは、この条文には書かれていません。

条例が無い市町村では、建築協定は結べないのですか。

第69条は、条例で定めることができると書いています。
条例の有無や内容は、市町村ごとに確かめる必要があります。

建築協定書にはどのようなことを定めて誰の合意を得るのか

バインダーと机と住宅のイラスト
次に、第70条を確認しましょう。
(建築基準法第七十条第一項)前条の規定による建築協定を締結しようとする土地の所有者等は、協定の目的となつている土地の区域(以下「建築協定区域」という。)、建築物に関する基準、協定の有効期間及び協定違反があつた場合の措置を定めた建築協定書を作成し、その代表者によつて、これを特定行政庁に提出し、その認可を受けなければならない。
(建築基準法第七十条第三項)第一項の建築協定書については、土地の所有者等の全員の合意がなければならない。ただし、当該建築協定区域内の土地(土地区画整理法第九十八条第一項の規定により仮換地として指定された土地にあつては、当該土地に対応する従前の土地)に借地権の目的となつている土地がある場合においては、当該借地権の目的となつている土地の所有者以外の土地の所有者等の全員の合意があれば足りる。
(建築基準法第七十条第四項)第一項の規定によつて建築協定書を提出する場合において、当該建築協定区域が建築主事を置く市町村の区域外にあるときは、その所在地の市町村の長を経由しなければならない。
第70条第1項は、協定を結ぼうとする土地の所有者等が、建築協定区域、建築物に関する基準、協定の有効期間及び協定違反があつた場合の措置を定めた建築協定書を作成し、代表者によつて特定行政庁に提出し、認可を受けなければならないと定めています
第3項は、協定書について、土地の所有者等の全員の合意がなければならないとしています。
ただし、借地権の目的となつている土地がある場合は、その土地の所有者以外の土地の所有者等の全員の合意があれば足ります。
第4項は、建築主事を置く市町村の区域外にあるときは、所在地の市町村の長を経由しなければならないとしています。
有効期間の年数や、違反があつた場合の措置の中身は、この条文には書かれていません。

協定書は、誰が役所に出すのですか。

第1項は、協定を結ぼうとする土地の所有者等の代表者が提出すると書いています。
提出先は特定行政庁です。

提出された建築協定書は縦覧や意見の聴取をどのように経るのか

掲示板と書類と庁舎のイラスト
続けて、第71条と第72条を確認しましょう。
(建築基準法第七十一条)市町村の長は、前条第一項又は第四項の規定による建築協定書の提出があつた場合においては、遅滞なく、その旨を公告し、二十日以上の相当の期間を定めて、これを関係人の縦覧に供さなければならない。
(建築基準法第七十二条第一項)市町村の長は、前条の縦覧期間の満了後、関係人の出頭を求めて公開による意見の聴取を行わなければならない。
(建築基準法第七十二条第二項)建築主事を置く市町村以外の市町村の長は、前項の意見の聴取をした後、遅滞なく、当該建築協定書を、同項の規定による意見の聴取の記録を添えて、都道府県知事に送付しなければならない。この場合において、当該市町村の長は、当該建築協定書の内容について意見があるときは、その意見を付さなければならない。
第71条は、市町村の長が、協定書の提出があつた場合に、遅滞なく公告し、20日以上の相当の期間を定めて関係人の縦覧に供さなければならないと定めています
第72条第1項は、縦覧期間の満了後、市町村の長が関係人の出頭を求めて公開による意見の聴取を行うとしています。
建築主事を置く市町村以外の市町村の長は、意見の聴取の後、協定書を聴取の記録を添えて都道府県知事に送付します。
このとき、協定書の内容について意見があれば、その意見を付さなければなりません。
縦覧の場所や方法の細かい決まりは、この条文には書かれていません。

意見の聴取は、縦覧の前に行うのですか。

第72条第1項は、縦覧期間の満了後に行うと書いています。
先に縦覧があり、その後に聴取という順番です。

特定行政庁はどのような条件で建築協定を認可するのか

庁舎と書類と住宅のイラスト
最後に、第73条を確認しましょう。
(建築基準法第七十三条第一項)特定行政庁は、当該建築協定の認可の申請が、次に掲げる条件に該当するときは、当該建築協定を認可しなければならない。
一建築協定の目的となつている土地又は建築物の利用を不当に制限するものでないこと。
二第六十九条の目的に合致するものであること。
三建築協定において建築協定区域隣接地を定める場合には、その区域の境界が明確に定められていることその他の建築協定区域隣接地について国土交通省令で定める基準に適合するものであること。
(建築基準法第七十三条第二項)特定行政庁は、前項の認可をした場合においては、遅滞なく、その旨を公告しなければならない。この場合において、当該建築協定が建築主事を置く市町村の区域外の区域に係るものであるときは、都道府県知事は、その認可した建築協定に係る建築協定書の写し一通を当該建築協定区域及び建築協定区域隣接地の所在地の市町村の長に送付しなければならない。
(建築基準法第七十三条第三項)第一項の規定による認可をした市町村の長又は前項の規定によつて建築協定書の写の送付を受けた市町村の長は、その建築協定書を当該市町村の事務所に備えて、一般の縦覧に供さなければならない。
第73条第1項は、特定行政庁が、認可の申請が次の条件に該当するときは、建築協定を認可しなければならないと定めています
条件の1つ目は、協定の目的となつている土地又は建築物の利用を不当に制限するものでないことです。
2つ目は、第69条の目的に合致すること、3つ目は、建築協定区域隣接地を定める場合の境界の明確さなどの基準への適合です。
第2項は、認可した場合は遅滞なく公告しなければならないとしています。
第3項は、認可をした市町村の長などが、協定書を事務所に備えて一般の縦覧に供するとしています。
条件に当てはまるかどうかの具体的な判断は、この条文には書かれていません。

条件に当てはまれば、必ず認可されるのですか。

第73条第1項は、条件に該当するときは認可しなければならないと書いています。
該当するかの判断は、特定行政庁が行います。

建築協定の手続きを防火管理の現場ではどのように受け止めればよいのか

書類のバインダーと建物とチェックリストのイラスト
ここまでの内容を、手続きの順に整理します。
分けて読むと、混乱しにくくなります。
手続き条文の書き方押さえる点
条例市町村が締結できる旨を条例で定めることができる(第69条)条例の有無を確かめます
協定書区域、基準、有効期間、違反時の措置を定める(第70条第1項)全員の合意が必要です
提出代表者が特定行政庁に提出し認可を受ける(第70条第1項)認可が成立の条件です
縦覧公告して20日以上の期間で縦覧に供する(第71条)関係人が見られます
意見の聴取縦覧期間の満了後に公開で行う(第72条第1項)公開で行われます
認可と公告条件に該当すれば認可し公告する(第73条第1項・第2項)公告で確認できます
建築協定は、建築物の敷地、位置、構造、用途、形態、意匠又は建築設備に関する基準を、住民が認可を受けて定める仕組みで、消防法令の防火の基準とは別の制度です
この手続きは、防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
また、第69条から第73条には、有効期間の年数や、協定違反があつた場合の措置の中身は書かれていません。
建物の増改築や用途変更を考える場面では、その土地に建築協定があるかどうかを、早めに確かめておくと、後の相談で慌てずに済みます。
明日から、次の点を確認してください。
  • 管理している建物の敷地に、建築協定があるかどうかを市町村の窓口に問い合わせる。
  • 建築協定がある場合は、認可の公告があつた協定書の写しを閲覧して控えておく。
  • 増改築や用途変更の前に、協定の基準に反しないかを設計者に確かめてもらう。
  • 協定の有効期間や違反時の措置は、協定書の内容をそのまま記録しておく。
  • 建築の話と消防の話は別の制度なので、両方の窓口へ確かめる。
建築協定は、消防法令の基準を緩めるものではありません。
市町村の窓口と所轄消防署に、それぞれ確かめておきましょう。

手続きの流れは分かりました。
現場では、何から確かめればよいですか。

敷地に建築協定があるかどうかを、市町村の窓口で確認して控えておきましょう。
消防の基準は、所轄消防署に別に確かめます。

よくある質問

Q建築協定は、どのような手続きで成立しますか?
A第70条により、協定書を作成して代表者が特定行政庁に提出し、認可を受けます。認可の後に、特定行政庁が公告します。
Q建築協定書には、何を定めますか?
A第70条第1項により、建築協定区域、建築物に関する基準、協定の有効期間及び協定違反があつた場合の措置を定めます。
Q協定書の縦覧や意見の聴取はありますか?
A第71条・第72条により、市町村の長が公告して20日以上の期間で縦覧に供し、期間満了後に公開の意見の聴取を行います。
Qこの手続きは、防火管理者の義務になりますか?
A建築協定の手続きを定めたルールで、防火管理者の義務を直接決めるものではなく、消防法令の基準とは別の制度です。

まとめ

✔建築協定は、市町村が条例で定めた区域で、土地の所有者等が結びます。
✔協定書には、区域、基準、有効期間、違反時の措置を定め、全員の合意を得ます。
✔協定書は代表者が特定行政庁に提出し、認可を受けます。
✔市町村の長は、提出を公告し、20日以上の期間で縦覧に供し、公開の意見の聴取を行います。
✔特定行政庁は、利用を不当に制限しないことなどの条件に該当すれば認可し、公告します。
✔有効期間の年数や違反時の措置の中身は、第69条から第73条には書かれていません。
✔この制度は建築基準法の協定の手続きで、消防法令の基準とは別なので、防火管理者は敷地に建築協定があるかを市町村の窓口に確認して記録します。

建築協定の手続きの流れがよく分かりました。
敷地に協定があるかを、市町村の窓口に確認します!

建築協定と消防の基準は別なので、両方を確かめておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第六十九条から第七十三条まで(e-Gov法令検索)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。建築協定の有無や内容は市町村の窓口ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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