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借地権が消えた土地と一人協定は建築協定でどう扱われるのか|建築基準法第74条の2から第76条の3を解説

空き地のある住宅地の街並みの写真

建築協定の区域内の土地で借地権がなくなったとき、その土地はそのまま協定の区域に残るのでしょうか。
また、土地の所有者が一人しかいない場合でも、建築協定を定めることはできるのでしょうか。
今回は建築基準法第74条の2から第76条の3を中心に、区域から除かれる場合、共有者の数え方、一人協定の認可と効力の流れ、防火管理者が押さえておきたい点をあわせて解説します。

建築協定の区域内の土地で、借地権がなくなることがあります。
その土地は協定から外れるのですか。

条文には、区域から除かれると書かれています。
まず条文から確認します。

土地の所有者が一人だけでも、建築協定は定められますか。
共有者の場合はどうなるのでしょう。

所有者が一人の場合は一人協定という仕組みがあります。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 協定の効力が及ばない者の所有する土地について借地権が消滅した場合、その借地権の目的となっていた土地は建築協定区域から除かれます(第74条の2第1項)。
  • 区域から除かれた場合、借地権を有していた者などは遅滞なく特定行政庁に届け出、特定行政庁は遅滞なくその旨を公告します(同条第3項・第4項)。
  • 土地の共有者や共同借地権者は、第70条第3項などの適用について、合わせて一の所有者又は借地権者とみなされます(第76条の2)。
  • 土地の所有者以外に所有者等がいない場合でも、その所有者は一人協定として建築協定を定め、認可を受けることができます(第76条の3第1項・第2項)。
  • 認可から3年以内に土地の所有者等が二以上になると、公告のあった通常の建築協定と同一の効力を有する協定になります(同条第5項)。

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借地権の消滅による区域の除外と一人協定の流れを示す図解

建築協定区域内の土地で借地権が消滅すると区域から除かれるのか

柵で囲まれた住宅と空き地と書類のイラスト
まず、第74条の2の第1項と第2項を確認しましょう。
(建築基準法第七十四条の二第一項)建築協定区域内の土地(土地区画整理法第九十八条第一項の規定により仮換地として指定された土地にあつては、当該土地に対応する従前の土地)で当該建築協定の効力が及ばない者の所有するものの全部又は一部について借地権が消滅した場合においては、その借地権の目的となつていた土地(同項の規定により仮換地として指定された土地に対応する従前の土地にあつては、当該土地についての仮換地として指定された土地)は、当該建築協定区域から除かれるものとする。
(建築基準法第七十四条の二第二項)建築協定区域内の土地で土地区画整理法第九十八条第一項の規定により仮換地として指定されたものが、同法第八十六条第一項の換地計画又は大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法第七十二条第一項の換地計画において当該土地に対応する従前の土地についての換地として定められず、かつ、土地区画整理法第九十一条第三項(大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法第八十二条において準用する場合を含む。)の規定により当該土地に対応する従前の土地の所有者に対してその共有持分を与えるように定められた土地としても定められなかつたときは、当該土地は、土地区画整理法第百三条第四項(大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法第八十三条において準用する場合を含む。)の公告があつた日が終了した時において当該建築協定区域から除かれるものとする。
第74条の2第1項は、建築協定区域内の土地で協定の効力が及ばない者の所有するものの全部又は一部について借地権が消滅した場合、その借地権の目的となっていた土地は建築協定区域から除かれるものとすると規定しています
仮換地として指定された土地の場合は、対応する従前の土地との組み合わせで読み替える書き方になっています。
第2項は、仮換地として指定された土地が、換地計画で従前の土地の換地として定められず、共有持分を与える土地としても定められなかったときの規定です。
この場合、その土地は土地区画整理法第103条第4項の公告があった日が終了した時に、協定区域から除かれるとされています。
借地権の消滅の原因や、除かれる範囲の細かい判断は、この条文には書かれていません。

借地権がなくなったら、自動的に協定の区域から外れるのですか。

第1項は、その土地が区域から除かれるものとすると書いています。
ただし、対象は協定の効力が及ばない者の所有する土地です。

区域から除かれたときは誰が届け出て何が公告されるのか

庁舎と掲示板と書類のイラスト
続けて、第74条の2の第3項と第4項を確認しましょう。
(建築基準法第七十四条の二第三項)前二項の場合においては、当該借地権を有していた者又は当該仮換地として指定されていた土地に対応する従前の土地に係る土地の所有者等(当該建築協定の効力が及ばない者を除く。)は、遅滞なく、その旨を特定行政庁に届け出なければならない。
(建築基準法第七十四条の二第四項)特定行政庁は、前項の規定による届出があつた場合その他第一項又は第二項の規定により建築協定区域内の土地が当該建築協定区域から除かれたことを知つた場合においては、遅滞なく、その旨を公告しなければならない。
第74条の2第3項は、前二項の場合には、借地権を有していた者などが、遅滞なく特定行政庁にその旨を届け出なければならないと定めています
届け出るのは、借地権を有していた者、または仮換地に対応する従前の土地に係る土地の所有者等です。
ただし、協定の効力が及ばない者は、この届出義務者から除かれています。
第4項は、特定行政庁が届出を受けた場合などに、遅滞なくその旨を公告しなければならないとしています。
届出の様式や期限の日数は、この条文には書かれていません。

届出がないと、公告もされないのですか。

第4項は、届出があった場合その他、除かれたことを知った場合にも公告すると書いています。
届出だけが公告のきっかけではありません。

土地の共有者や共同借地権者は建築協定でどのように数えられるのか

一軒の住宅と書類の束のイラスト
次に、第76条の2を確認しましょう。
(建築基準法第七十六条の二)土地の共有者又は共同借地権者は、第七十条第三項(第七十四条第二項において準用する場合を含む。)、第七十五条の二第一項及び第二項並びに前条第一項の規定の適用については、合わせて一の所有者又は借地権者とみなす。
第76条の2は、土地の共有者又は共同借地権者は、第70条第3項、第75条の2第1項・第2項、前条第1項の規定の適用については、合わせて一の所有者又は借地権者とみなすと定めています
第70条第3項は協定書への合意、第75条の2は加入、前条第1項は廃止の規定です。
これらの場面では、共有者が何人いても、合わせて一の所有者などとして扱われます。
共有者の間の持分の割合や、意見が割れた場合の決め方は、この条文には書かれていません。

共有している土地は、共有者の人数分の合意が必要ですか。

第76条の2は、これらの規定の適用では合わせて一の所有者とみなすと書いています。
人数分に数える書き方にはなっていません。

土地の所有者が一人だけでも建築協定は定められるのか

一軒の住宅と広い敷地と書類のイラスト
続けて、第76条の3の第1項から第4項を確認しましょう。
(建築基準法第七十六条の三第一項)第六十九条の条例で定める区域内における土地で、一の所有者以外に土地の所有者等が存しないものの所有者は、当該土地の区域を建築協定区域とする建築協定を定めることができる。
(建築基準法第七十六条の三第二項)前項の規定による建築協定を定めようとする者は、建築協定区域、建築物に関する基準、協定の有効期間及び協定違反があつた場合の措置を定めた建築協定書を作成し、これを特定行政庁に提出して、その認可を受けなければならない。
(建築基準法第七十六条の三第三項)前項の建築協定書においては、同項に規定するもののほか、建築協定区域隣接地を定めることができる。
(建築基準法第七十六条の三第四項)第七十条第四項及び第七十一条から第七十三条までの規定は、第二項の認可の手続に準用する。
第76条の3第1項は、第69条の条例で定める区域内の土地で、一の所有者以外に土地の所有者等が存しないものの所有者は、その土地の区域を建築協定区域とする建築協定を定めることができると規定しています
第2項は、この協定を定めようとする者が、建築協定書を作成して特定行政庁に提出し、認可を受けなければならないとしています。
第3項は、建築協定書に建築協定区域隣接地を定めることもできるとしています。
第4項は、第70条第4項と第71条から第73条までの規定が、この認可の手続に準用されるとしています。
敷地の広さや建築物の数の条件は、この条文には書かれていません。

所有者が一人でも、認可は必要なのですか。

第2項は、建築協定書を提出して認可を受けなければならないと書いています。
一人だから不要とする例外は、この条文にはありません。

一人協定の後に土地の所有者等が増えたときはどのような効力になるのか

住宅の並びと書類のバインダーと庁舎のイラスト
最後に、第76条の3の第5項と第6項を確認して、全体を整理します。
(建築基準法第七十六条の三第五項)第二項の規定による認可を受けた建築協定は、認可の日から起算して三年以内において当該建築協定区域内の土地に二以上の土地の所有者等が存することとなつた時から、第七十三条第二項の規定による認可の公告のあつた建築協定と同一の効力を有する建築協定となる。
(建築基準法第七十六条の三第六項)第七十四条及び第七十六条の規定は、前項の規定により第七十三条第二項の規定による認可の公告のあつた建築協定と同一の効力を有する建築協定となつた建築協定の変更又は廃止について準用する。
第76条の3第5項は、認可を受けた一人協定が、認可の日から3年以内に土地の所有者等が二以上になったときから、第73条第2項の認可の公告のあった建築協定と同一の効力を有する建築協定となると定めています
第6項は、この協定となった建築協定の変更や廃止について、第74条と第76条を準用するとしています。
3年以内に所有者等が増えなかった場合の扱いは、この2項には書かれていません。
ここまでの内容を、場面ごとに整理します。
分けて読むと、混乱しにくくなります。
場面条文の書き方押さえる点
借地権の消滅借地権の目的となっていた土地は区域から除かれる(第74条の2第1項)除かれる扱いです
届出と公告借地権を有していた者などが届け出て特定行政庁が公告する(同条第3項・第4項)遅滞なく行います
共有者合わせて一の所有者又は借地権者とみなす(第76条の2)合わせて一として扱います
一人協定の認可建築協定書を提出して認可を受ける(第76条の3第2項)認可が必要です
所有者等が増えたとき3年以内に二以上になると通常の建築協定と同一の効力(同条第5項)3年以内が条件です
変更と廃止第74条と第76条を準用する(同条第6項)準用されます
これらは建築基準法上の建築協定の手続きであり、消防法令の防火の基準とは別の制度です
この手続きは、防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
また、第74条の2から第76条の3には、区域から除かれた土地の個別の扱いや共有者の意見が割れた場合の決め方は書かれていません。
管理している建物の敷地に建築協定がある場合は、協定の区域や内容が変わっている可能性を頭に入れておくと、増改築や用途変更の相談で慌てずに済みます。
明日から、次の点を確認してください。
  • 管理している建物の敷地に、建築協定があるかどうかを市町村の窓口に問い合わせる。
  • 協定がある場合は、敷地が区域から除かれた旨の公告が出ていないかを確かめる。
  • 敷地の土地が共有や共同借地権の場合は、権利関係の資料を最新の写しで確認しておく。
  • 一人協定だった場合は、認可から3年以内に所有者等が増えたかどうかを窓口でそのまま確認して記録する。
  • 建築の話と消防の話は別の制度なので、両方の窓口へ確かめる。
建築協定の区域の変化や一人協定は、消防法令の基準を緩めるものではありません。
市町村の窓口と所轄消防署に、それぞれ確かめておきましょう。

場面ごとの扱いは分かりました。
現場では、何から確かめればよいですか。

敷地に建築協定があるかを、市町村の窓口で確認して控えておきましょう。
消防の基準は、所轄消防署に別に確かめます。

よくある質問

Q借地権が消滅した土地は、建築協定の区域から除かれますか?
A第74条の2第1項により、協定の効力が及ばない者の所有する土地について借地権が消滅した場合、その借地権の目的となっていた土地は区域から除かれるものとされています。
Q区域から除かれたときは、どこに届け出ますか?
A第74条の2第3項により、借地権を有していた者などが、遅滞なく特定行政庁に届け出ます。特定行政庁は遅滞なく公告します。
Q土地を共有している場合は、何人分として数えますか?
A第76条の2により、第70条第3項などの適用については、共有者や共同借地権者は合わせて一の所有者又は借地権者とみなされます。
Q土地の所有者が一人だけでも建築協定を定められますか?
A第76条の3第1項・第2項により、所有者は建築協定書を提出して認可を受けることで定められます。認可から3年以内に所有者等が二以上になると、通常の建築協定と同一の効力を有します。

まとめ

✔協定の効力が及ばない者の所有する土地で借地権が消滅すると、その土地は建築協定区域から除かれます。
✔区域から除かれたときは、借地権を有していた者などが遅滞なく届け出、特定行政庁が遅滞なく公告します。
✔土地の共有者や共同借地権者は、第70条第3項などの適用では、合わせて一の所有者又は借地権者とみなされます。
✔土地の所有者以外に所有者等がいない場合でも、その所有者は一人協定として認可を受けて定められます。
✔認可から3年以内に土地の所有者等が二以上になると、公告のあった通常の建築協定と同一の効力を有します。
✔区域から除かれた土地の個別の扱いや共有者の意見が割れた場合の決め方は、第74条の2から第76条の3には書かれていません。
✔この制度は建築基準法の協定の手続きで、消防法令の基準とは別なので、防火管理者は敷地に建築協定があるかを市町村の窓口に確認して記録します。

区域から除かれる場合と一人協定の流れがよく分かりました。
敷地に協定があるかを、市町村の窓口に確認します!

建築協定と消防の基準は別なので、両方を確かめておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第七十四条の二・第七十六条の二・第七十六条の三(e-Gov法令検索)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。建築協定の有無や内容は市町村の窓口ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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