防火管理者の講習を受けると、いったい何を教わるのか、気になりませんか。
消防庁は、平成22年12月14日の消防予第545号で、講習で教える内容の指針を、講習の種類ごとに示しました。
甲種防火管理新規講習は、消防法施行規則が定める10時間を、5つの講習事項に分けて行われます。
この記事では、通知の中身と、根拠になる条文と、受講の前後に確かめることを解説します。
防火管理者の講習では、実際に何を教わるのですか。
資格を取るだけで、実務に役立つのでしょうか。
消防庁の通知は、講習で教える内容を、項目ごとに細かく示しています。
まず、その中身から確かめましょう。
講習の時間の配分も、決まっているのですか。
はい、根拠になる規則の条文は、今も変わっていません。
順に見ていきます。
- 消防庁は、平成22年12月14日の消防予第544号と第545号で、防火管理講習などの内容を見直し、講習で教える内容の指針を示しました。
- 見直しは、公益法人の事業仕分けの評価結果を踏まえ、受講者の負担軽減の観点から、講習内容を効率化するものでした。
- 甲種防火管理新規講習は、規則第2条の3第2項でおおむね10時間とされ、通知は5つの講習事項に2時間ずつ配分しています。
- 指針は、火災事例、火気管理、設備の点検、訓練、消防計画までを扱い、防火管理者自らが消防計画を作成する力を養うことをねらっています。
- 科目免除を受ける人にも、通知は修了考査や効果測定などで、免除分の修得を確認するよう求めています。
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目次
消防庁はなぜ防火管理講習の内容の指針を通知で示したのか

まず、通知の本文を引いて確かめます。
今回の改正は、本年5月に行われた公益法人事業仕分けにより、消防法に基づく講習(防火管理講習、消防設備点検資格者講習、防火対象物点検資格者講習、自衛消防業務講習、防災管理講習、防災管理点検資格者講習)について、「講習料等の引下げなどの見直しを行う」旨の評価結果が示されたことを踏まえ、必要な防火・防災性能を確保することを前提としながら、受講者の負担軽減の観点から講習内容の効率化を図ることとし、講習事項及び講習科目並びに講習時間の基準の見直し、講習事項及び講習科目の一部免除の拡大等を行うものです。
同じ日に、消防庁は、もう1本の通知を出しています。
消防予第545号は、講習を実施するときの留意事項と、講習内容の指針をまとめたものです。
施行は、平成23年4月1日です。
まず、その本文を引いて確かめます。
今回の改正により消防法に基づく講習のカリキュラム基準の見直しが行われることに伴い、その実施上の留意事項及び講習内容に関する指針を以下のとおりとりまとめましたので、お知らせします。
甲種防火管理新規講習、乙種防火管理講習、甲種防火管理再講習は、その中に含まれます。
この指針の決定に伴い、それまでの3つの通知は廃止されました。
廃止されたのは、平成16年3月29日付けの消防安第45号と第44号、平成20年9月24日付けの消防予第244号です。
講習の内容まで、国が通知で示しているのですね。
はい、以前の通知に替わって、新しい指針が示されました。
次に、時間の配分を見ましょう。
甲種防火管理新規講習の10時間はどの講習事項に配られているのか

まず、その条文を引いて確かめます。
甲種防火管理新規講習は、次の各号に掲げる事項に係る知識及び技能の修得を目的として行うものとし、その講習時間はおおむね十時間とする。(各号は略)
乙種防火管理講習は、第二項各号に掲げる事項に係る基礎的な知識及び技能の修得を目的として行うものとし、その講習時間はおおむね五時間とする。
規則の第2項は、講習で修得する事項を、6つの号に分けています。
訓練と教育は、通知で1つの講習事項にまとめられ、全体で5つになります。
消防予第544号は、その時間の配分を、次の表で示しています。
| 講習事項 | 甲種防火管理新規講習 | 乙種防火管理講習 |
|---|---|---|
| 防火管理の意義及び制度 | 2時間 | 1時間 |
| 火気管理 | 2時間 | 1時間 |
| 施設及び設備の維持管理 | 2時間 | 1時間 |
| 防火管理に係る訓練及び教育 | 2時間 | 1時間 |
| 防火管理に係る消防計画 | 2時間 | 1時間 |
| 合計 | 10時間 | 5時間 |
内容は、過去5年間の法令改正の概要と、火災事例等の研究です。
指針は、その2つを1時間程度ずつ扱うとしています。
つまり、10時間を5つに分けて、2時間ずつ受けるのですね。
はい、乙種は5時間で1時間ずつです。
次に、前半の中身を見ましょう。
防火管理の意義と火気管理の2時間ずつでは何を教わるのか

まず、指針の一部を引いて確かめます。
防火管理業務実施時において、必要に応じ管理権原者に指示を求めること及び火元責任者その他の防火管理業務従業者に対し指示を与えることの義務(略)
過去の火災事例に基づき、管理権原者及び防火管理者の社会的な責任について説明するとともに、消防法令に違反した場合の罰則について説明する。
防火管理者の業務として、出火防止、設備と避難施設の維持管理、訓練、従業員等への防災教育が挙げられています。
管理権原者の責任として、防火管理者の選任、防炎物品の使用、共同防火管理、定期点検結果の報告も説明します。
届出書類では、選任届、共同防火管理の協議事項の届出、消防計画の届出、訓練の通報が取り上げられます。
続いて、第2の火気管理の内容を、次にまとめます。
- 建物火災の主な出火原因を事例で学び、全国上位に加えて地域の上位も説明することが望ましいとされています。
- 不燃性等の材料、防炎性の物品、灯油等の危険物品と、建物の内装や収納物の関係を理解します。
- 火元責任者の指定、出火危険箇所の見回り、チェックリストの作成など、組織的な出火防止体制を学びます。
- 喫煙管理条例等が定める、火の使用の制限と、地震時の出火防止も取り上げられます。
- 工事中は、塗料や接着剤などの危険物が持ち込まれ、消防用設備等の一部が使えなくなることも説明されます。
工事中は、工事関係者の出入りで、管理体制が一元化されなくなる点も挙げられています。
自分の建物で工事が入るときは、これらの点を消防計画に集約しておきましょう。
工事中の防火管理まで、火気管理の講習で教わるのですね。
はい、指針は、工事中に出火と延焼の危険が増えると説明しています。
次に、後半の3つを見ましょう。
設備の点検と訓練と消防計画の講習事項では何を教わるのか

まず、消防計画の部分を引いて確かめます。
防火管理業務の一部を警備業者等外部の者に委託する場合における消防計画の内容(略)
自己の防火対象物にあった消防計画を防火管理者自らが作成し、その計画に基づいた防火管理を実施することの重要性
第3の施設及び設備の維持管理では、日常点検の要点を、設備の種類ごとに学びます。
甲種と乙種では、説明する設備の範囲が違います。
指針が挙げる設備を、次の表にまとめます。
| 設備の区分 | 甲種新規講習で説明する主な設備 | 乙種講習で説明する設備 |
|---|---|---|
| 警報設備 | 自動火災報知設備及び放送設備 | 自動火災報知設備等 |
| 消火設備 | 消火器、屋内消火栓設備及びスプリンクラー設備 | 消火器等 |
| 避難設備 | 救助袋、緩降機及び誘導灯 | 緩降機、誘導灯等 |
階段、廊下、通路は、物品の放置や施錠による避難障害の排除が説明されます。
第4の訓練及び教育では、通報訓練、消火器の取扱い、自衛消防組織の編成、従業員教育を学びます。
第5の消防計画では、過去の火災事例から、自分の防火対象物の火災危険を認識することが出発点です。
講習が終わったら、自分の建物の消防計画を作れるのですね。
指針は、消防計画の作成能力を養うことを目標にしています。
ただし、実際の作成は、建物ごとに考える必要があります。
講習を受ける前と後に管理者はなにを確かめればよいのか

まず、通知の本文を引いて確かめます。
今回の改正では、他講習既修者に対する科目免除を大幅に拡大しているところであるが、科目免除対象者に対しては、一般受講者と同様、免除科目分に係る内容も含めた修了考査、効果測定等を実施するなどの方法により、講習既修者に求められる知識及び技能の修得が確実に行われていることを確認いただきたいこと。
この依頼は、講習を実施する機関に向けたものです。
また、通知は、示した講習事項が基準であることも述べています。
地域の実情に応じて、必要な事項を追加することは、差し支えないとされています。
これらを踏まえ、受講の前後に確かめる点を、次にまとめます。
- 自分の防火対象物が、甲種か乙種かを確かめ、受ける講習の種類を決める
- 受講する講習の案内で、日程と科目を確かめる。地域で追加されている場合がある
- 科目免除を使う場合は、免除される科目と、免除分の確認方法を主催者に尋ねる
- 受講後は、5つの講習事項をチェックリストにして、自分の建物の火気、設備、訓練を見直す
- 見直した結果を、消防計画に反映し、内容が古くなっていないかを確かめる
消防法第8条第1項は、消防計画の作成や訓練の実施などを、防火管理者の業務と定めています。
再講習は、過去5年間の法令改正の概要と、火災事例を確かめる機会です。
迷ったときは、講習を主催する機関か、所轄の消防署に確認してください。
明日から、まず何をすればよいですか。
まず、自分の建物が甲種か乙種かを確かめて、講習の案内を読み直しましょう。
そのうえで、消防計画を見直します。
よくある質問
まとめ
講習の内容を、受講の前に確かめておきます!
防火管理者の選任や消防計画の相談は、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防予第544号「消防法施行規則の一部を改正する省令」等の公布について(通知)(平成22年12月14日 消防庁次長)
- 消防予第545号「消防法施行規則の一部を改正する省令」等の運用について(通知)(平成22年12月14日 消防庁予防課長)
- 消防法(昭和23年法律第186号)第8条 e-Gov法令検索
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第3条 e-Gov法令検索
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第2条の3 e-Gov法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





