建築の確認や命令などの処分に不服があるとき、どこへ審査請求をすればよいのでしょうか。
また、その審査請求の結果にも不服があるときの扱いも気になるところです。
今回は建築基準法第94条と第95条を中心に、審査請求の宛先、処分をしない場合の扱い、行政不服審査法との関係、再審査請求、防火管理者が押さえておきたい点をあわせて解説します。
建築の処分に不服があるときは、どこに審査請求をするのですか。
建築基準法第94条に、処分をした機関に応じた審査請求の宛先が定められています。
まず条文から確認します。
審査請求の結果に納得できないときも、決まりがあるのですか。
第95条に、建築審査会の裁決に不服がある者の再審査請求の規定があります。
順番に見ていきましょう。
- 特定行政庁、建築主事等、建築監視員又は都道府県知事の処分への審査請求は、当該市町村又は都道府県の建築審査会に対してします(第94条第1項前段)。
- 指定確認検査機関の処分は、その建築物について確認などの処分をする権限を有する建築主事等が置かれた市町村又は都道府県の建築審査会に対してします(同項前段)。
- 処分をしないこと(不作為)についての審査請求は、建築審査会に代えて、当該不作為庁の側に対してすることもできます(同項後段)。
- 第94条第1項前段の審査請求では、行政不服審査法第31条の規定は適用しません(同条第4項)。
- 建築審査会の裁決に不服がある者は、国土交通大臣に対して再審査請求をすることができます(第95条)。
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目次
特定行政庁や建築主事等の処分に不服があるとき審査請求はどこにするのか

ここでいう処分庁又は不作為庁は、行政不服審査法第4条第1号に規定するものと条文に書かれています。
宛先は、その機関が属する市町村又は都道府県の建築審査会です。
どの処分が審査請求の対象になるかの個別の判断は、この条文には書かれていません。
建築の処分への不服は、すぐに裁判で争うしかないのですか。
この条文は、まず建築審査会に審査請求をするものと定めています。
指定確認検査機関の処分はどの建築審査会に審査請求するのか

指定確認検査機関の場合は、その建築物について権限を有する建築主事等が置かれた市町村又は都道府県という基準が使われています。
指定構造計算適合性判定機関の場合は、第18条の2第1項の規定により構造計算適合性判定を行わせた都道府県知事が統括する都道府県の建築審査会です。
具体的にどの建築審査会になるかは、個別の事案で確認する必要があります。
指定確認検査機関の処分も、その機関がある場所の建築審査会に出すのですか。
条文は、確認などの処分をする権限を有する建築主事等が置かれた市町村又は都道府県の建築審査会と書いています。
処分をしない不作為についての審査請求はほかにどこへできるのか

指定確認検査機関の場合は当該指定確認検査機関に、指定構造計算適合性判定機関の場合は当該指定構造計算適合性判定機関に、それぞれすることもできます。
この後段が対象にするのは、処分ではなく不作為についての審査請求です。
処分に対する審査請求は、この後段の対象にはなりません。
処分をしてもらえないときも、建築審査会にしか審査請求できないのですか。
不作為の場合は、建築審査会に代えて、当該不作為庁の側にすることもできると書かれています。
建築審査会への審査請求で行政不服審査法のどの規定が関わるのか

そのうえで、前項の口頭審査については、同法第9条第3項の規定により読み替えられた同法第31条第2項から第5項までの規定を準用するとしています。
前項とは第3項のことで、建築審査会が裁決の前に行う公開の口頭審査を指します。
行政不服審査法の各条の中身は、この条文には書かれていませんので、本記事では立ち入りません。
建築審査会への審査請求は、行政不服審査法がそのまま全部当てはまるのですか。
第4項は、第31条は適用しないとしたうえで、口頭審査には読み替えた規定を準用すると定めています。
建築審査会の裁決に不服があるときはどうなるのか

対象になるのは、建築審査会の裁決です。
再審査請求をする期間や手続の細目は、この条文には書かれていません。
ここまでの内容を、場面ごとに整理します。
分けて読むと、混乱しにくくなります。
| 場面 | 条文の書き方 | 押さえる点 |
|---|---|---|
| 特定行政庁等の処分 | 当該市町村又は都道府県の建築審査会に審査請求する(第94条第1項前段) | 建築審査会が宛先です |
| 指定確認検査機関の処分 | 権限を有する建築主事等が置かれた市町村又は都道府県の建築審査会に審査請求する(同項前段) | 建築主事等が置かれた市町村又は都道府県です |
| 不作為の審査請求 | 建築審査会に代えて、当該不作為庁の側にすることもできる(同項後段) | 不作為に限られます |
| 行政不服審査法との関係 | 第31条は適用せず、口頭審査は読み替えた第31条第2項から第5項までを準用する(同条第4項) | 適用しない規定があります |
| 裁決への不服 | 国土交通大臣に対して再審査請求をすることができる(第95条) | 再審査請求ができます |
この規定は、防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
また、審査請求の期間や、どの処分が対象になるかの個別の判断は、第94条と第95条の条文には書かれていません。
建築の処分を受けた建物では、不服を申し立てる場合の宛先を頭に入れておくと安心です。
明日から、次の点を確認してください。
- 不服のある処分をした機関が、特定行政庁、建築主事等、建築監視員、都道府県知事、指定確認検査機関のどれかを、処分の通知書で確かめる。
- 指定確認検査機関の処分なら、その建築物について権限を有する建築主事等が置かれた市町村又は都道府県を確かめる。
- 審査請求の宛先の建築審査会について、市町村又は都道府県の建築の窓口で確かめる。
- 処分の通知書や関係書類は、あとで確かめられるよう書面で保管しておく。
- 消防法令の命令への不服は別の制度なので、所轄消防署へ確かめる。
整理はできました。
現場では、何から確かめればよいですか。
まず処分をした機関がどれかを処分の通知書で確認しましょう。
消防の命令への不服は、所轄消防署に別に確かめます。
よくある質問
まとめ
審査請求の宛先と再審査請求がよく分かりました。
まず、処分をした機関を確認します!
建築の処分と消防の命令への不服は別なので、両方を確かめておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第九十四条・第九十五条(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。審査請求の宛先や手続は処分ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





