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建築設備の定期検査は当日どんな作法で進められるのか|訪問前の日程調整から終了後の原状回復まで解説

ネームプレートと腕章を身につけた女性検査員が建物前に立つ写真

建築設備の定期検査は、検査員が来て機器を見て終わり、というだけの話ではありません。
訪問前の日程調整から当日の服装、要是正が見つかったときの記録、終了後の原状回復まで、東京都のセンターが検査員に依頼している実務上の作法があります。
この流れを知らずに検査を受け入れると、身分証の確認を怠ったり、当日の説明を聞き逃したりすることにもなりかねません。
検査当日にセンターが検査員へ求めている実務上の作法を、訪問前から終了後まで順番に解説します。

うちの建物にも検査の依頼をしていますが、当日どんな人が来てどう進むのかよく分かっていません。
ネームプレートも確認したことがないかもしれません。

検査員はネームプレートと腕章を着用して訪問するのが基本です。
訪問前の連絡から終了後の後片付けまで、センターが定めた実務上の流れがあります。

検査で要是正が見つかったときは、その場でどう説明してもらえるんですか。

要是正の箇所は写真に残したうえで、機能や改善方法を説明してもらえます。
訪問前から終了後までの流れを順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 検査前には対象建築物であることと該当設備を確認したうえで日程を調整するのが基本です
  • 検査当日は建築確認済証や竣工図書、前回・前々回の報告書を参考に確認が進められます
  • 検査者はネームプレートと腕章で身分を明らかにしたうえで訪問することになっています
  • 要是正が見つかったときは所有者等の承諾を得て写真に残し、機能や改善方法を説明します
  • 検査終了後は機材やスイッチ類を元の状態に戻し結果を報告するところまでが検査です

検査前の書類確認から検査当日の服装終了後の原状回復までの流れを示した図解

検査に入る前は何を確認し所有者にいつ知らせればよいのか

対象建築物と該当設備を確認し検査日程を調整する女性検査員のイラスト
検査は思い立ったその日に行えるものではありません。
まず対象になる建築物かどうかを確かめ、余裕をもって日程を組むところから始まります。
問1 建築設備の定期検査を実施する検査員は、訪問の前にどんなことを確認しておく必要があるか。
答1 検査を行う前に定期検査報告の対象建築物であることを確認し、対象建築物の該当建築設備についてのみ検査する。検査日時は報告期限及び所有者等の都合を考慮して決め、検査の実施を知らせる連絡は無用のトラブルを避けるため数週間の余裕をもって行う(東京都のセンターが検査員に依頼している実務上の留意事項)。
検査は事前確認があってこそ成り立ちます
検査員はまず、目の前の建物が本当に定期検査報告の対象かどうかを確認します。
そのうえで、換気・排煙・非常用照明・給排水のうち該当する設備だけを検査対象に絞り込みます。
検査日時は所有者の都合と報告期限の両方を踏まえて決められ、訪問の案内は数週間前には届くのが通常です。
急な訪問で慌てないよう、日程調整の連絡が来たら早めに社内の担当者へ共有しておきましょう。

検査のお知らせは、いつ頃届くものなんですか。

通常は数週間前には案内が届きます。
届いたらまず報告期限と設備の対象範囲を確認しておきましょう。

検査当日はどんな書類を参考に確認が進むのか

建築確認済証や竣工図書を手に建築設備を確認する女性検査員のイラスト
検査は目の前の設備を見るだけでは終わりません。
過去の記録と照らし合わせて、初めて正しい判定ができます。
問2 検査当日、検査員はどんな書類を参考にしながら確認を進めるのか。
答2 検査に際しては、建築物の「建築確認済証(建築確認の副本)」「検査済証」「竣工図書」「維持管理上の点検記録」、前回・前々回の「建築設備定期検査報告書」等を参考にする。特に検査項目の既存不適格については、建築確認済証の交付年月日を調べる(東京都のセンターが検査員に依頼している実務上の留意事項)。
検査は書類と設備の突き合わせで成り立ちます
検査員は建築確認済証や竣工図書、維持管理の点検記録、そして前回・前々回の報告書まで確認材料にします。
特に古い設備で気になるのが既存不適格の扱いで、現行基準に適合しないと即断する前に建築確認済証の交付年月日を調べて基準の時点を確かめます。
これらの書類が当日すぐ出てこないと、確認に余計な時間がかかってしまいます。
検査の案内が届いた時点で、竣工図書と過去の報告書一式を手元にそろえておくと当日がスムーズです。

昔の書類なんて、もう探すのも一苦労です。

それでも既存不適格の判定には欠かせません。
竣工図書と過去の報告書は保管場所を決めておくと安心です。

検査者はどんな服装と身分証明を用意して訪問するのか

ネームプレートと腕章を着用した女性検査員が約束の時刻に建物を訪れるイラスト
見知らぬ人が建物の中を歩き回るのは、本来なら不審に映る行為です。
だからこそ検査者には、身分を明らかにする決まりがあります。
問3 検査当日、検査者はどんな服装や持ち物で訪問し、所有者等とどう打ち合わせるのか。
答3 検査当日は約束の時刻に所有者等のもとに出向き、その日の検査予定や概ねの所要時間等の打ち合わせを行う。検査時の服装は建築物内に立ち入ることから清潔なものとし、検査者の身分を明らかにするため胸にはネームプレート、腕には腕章を着用する(東京都のセンターが検査員に依頼している実務上の留意事項)。
身分の明示は検査員の心構えのひとつです
約束した時刻ぴったりに訪問し、まずその日の検査予定と所要時間の見込みを所有者等とすり合わせます。
服装は建物内に立ち入るのにふさわしい清潔なものとし、ネームプレートと腕章で身分を示すことになっています。
これらは法令上の義務ではなく業界団体による実務上の取り組みですが、利用者や所有者の安心につながる大切な作法です。
初めて依頼する検査業者であれば、訪問時にネームプレートと腕章を着けているかを確認しておくと、なりすましのトラブルを避けられます。

ネームプレートも腕章もつけていない人が来たら、ちょっと不安になりますね。

その感覚は正しいです。
身分証を確認できない訪問者は依頼していないか疑うくらいで構いません。

要是正が見つかったときはどう記録し所有者にどう説明するのか

要是正箇所を所有者の承諾を得て写真撮影し説明する女性検査員のイラスト
検査で不具合が見つかったとき、その場での対応の仕方にも作法があります。
記録の残し方と伝え方の両方が問われます。
問4 検査の結果「要是正」等が見つかったとき、検査員はどう記録し所有者等にどう説明するのか。
答4 検査の結果に「要是正」又はその他特記すべき事項があれば、報告書の「別添様式関係写真」に写真を貼付するため、所有者等の承認を得てその箇所をカメラで撮影する。所有者等が検査に立ち会っている場合は、建築設備の要是正箇所でその機能や維持管理、使用方法や改善の方法等について説明する(東京都のセンターが検査員に依頼している実務上の留意事項)。
写真も説明も所有者の同意があってこそ意味を持ちます
要是正の箇所は報告書に添付する写真として記録されますが、所有者等の承認を得たうえで撮影するのが決まりです。
立ち会いがある場合は、その場で設備の機能や維持管理の方法、改善の進め方まで説明を受けられます。
なお助言は技術的な提言にとどめ、押し付けととられる言動は避けるよう検査員側にも注意が求められています。
説明を受けたら、改善の期限や依頼先を確認し、そのままにせず早めに対応の計画を立てましょう。

写真を撮られるのは、ちょっと身構えてしまいます。

撮影前には必ず承諾を求められます。
説明を受けたその場で改善の見通しまで確認するのがおすすめです。

検査終了後は何を元に戻しどう結果を伝えるのか

検査終了後に機材とスイッチを元に戻し結果を報告する女性検査員のイラスト
検査は設備を見ている間だけで終わるわけではありません。
後片付けと結果報告まで済んで、ようやく1回の検査が完了します。
問5 検査終了時と終了後、検査員は何を行うのか。
答5 検査終了時には移動した機材等や電灯等のスイッチは元の状態に戻す。全ての検査が終了したときは所有者等に検査の結果を報告し、その中で検査当日の状況と今後予測される傾向等について技術的な提言を行う(東京都のセンターが検査員に依頼している実務上の留意事項)。
原状回復と報告があって検査は完結します
移動させた機材や、確認のためにオンオフした電灯等のスイッチは、必ず元の状態に戻します。
そのうえで所有者等へ検査結果を報告し、当日の状況だけでなく今後予測される傾向まで踏み込んで伝えるのが望ましいとされています。
ここで得た報告書は、後日センターでの予備審査や特定行政庁への提出につながっていきます。
検査が終わったら、口頭の説明だけで済ませず、報告書に書かれる内容を書面でも確認しておくと安心です。

元に戻すところまでが検査、というのは意外でした。

はい、後片付けと結果報告まで含めて1回の検査です。
次はいよいよよくある質問を見ていきましょう。

よくある質問

Qネームプレートや腕章の着用は法律で義務付けられているのか?
Aいいえ。ネームプレートと腕章は法令上の義務ではなく、東京都のセンターが検査員に依頼している実務上の取り組みです。
Q検査のお知らせが直前に届いた場合はどうすればよいか?
Aまずは検査者に日程の再調整を相談してください。無用のトラブルを避けるための数週間前の連絡が原則ですが、事情がある場合は個別に確認できます。
Q検査の立会いは必ず必要か?
A立会いがなくても検査自体は実施できますが、要是正箇所の説明や写真撮影の承諾を受けるには所有者等の立会いが望ましいとされています。
Q写真を撮られたくない箇所がある場合は断れるか?
A撮影には所有者等の承諾が前提とされているため、事前に検査者へその旨を伝えて相談することができます。

まとめ

検査に入る前には対象建築物と該当設備を確認したうえで日程を調整するのが基本です
検査当日は建築確認済証や竣工図書、過去の報告書が確認の土台になります
既存不適格の判定には建築確認済証の交付年月日を調べることが欠かせません
検査者はネームプレートと腕章で身分を明らかにしたうえで訪問することになっています
要是正の撮影は所有者等の承諾を得てから行われます
検査終了時には機材やスイッチ類を必ず元の状態に戻すことが求められます
検査結果の報告では今後予測される傾向まで踏み込んだ説明を受けられます

訪問前から終了後まで、こんなに手順があったんですね
次に検査を受けるときは安心して立ち会えそうです。

ネームプレートと腕章の確認だけでも、なりすまし防止になります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第12条第3項(特定建築設備等の定期検査報告義務)
  • 東京都建築設備定期検査報告実務マニュアル2025年版「建築設備定期検査の実施に当たっての注意事項」(一般財団法人日本建築設備・昇降機センター)

※本記事は東京都のセンター(一般財団法人日本建築設備・昇降機センター)が公表している実務マニュアルおよび建築基準法等の現行条文に基づく一般的な解説です。検査当日の具体的な進め方は検査業者や地域の運用によって異なる場合があります。個別の判断は依頼先の検査業者または所轄の特定行政庁にご確認ください。

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