危険物を取り扱う製造所や貯蔵所では、配管を地上に通す場合と地下に埋める場合があります。
どちらも消防法施行令が配管の基準を定めていますが、求められる措置は設置場所によって大きく変わります。
地上なら塗装だけで足りる場合でも、地下では塗覆装や電気防食まで必要になることがあります。
さらに地下配管では防食とは別に、土の重みから配管を守る保護も条文で定められています。
うちの配管、地面に埋めてる場所とそのまま出てる場所があるんですけど。
防食の仕方って同じでいいんですか。
実は地上と地下で求められる措置が違うんです。
今日はその中身と、もう一つの注意点をお話しします。
もう一つの注意点というと。
配管が土の重みでつぶれないようにする保護なんです。
防食だけ気にして見落としがちなポイントですよ。
- 危険物を取り扱う配管は外面の腐食を防止する措置が原則として義務付けられています(政令第9条第1項第21号ニ)
- 地上の配管は地盤面に接しないようにしたうえで外面の塗装を行うことで足ります
- 地下の配管は電気的腐食のおそれがある場所かどうかで塗覆装やコーティングに加えて電気防食まで必要になる場合があります
- 腐食するおそれがないと認められる条件下では、この措置そのものが不要になります
- 地下に配管を埋めるときは防食とは別に地盤面の重量が配管にかからないようにする保護も条文で定められています(規則第13条の5第三号)
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目次
危険物配管の外面はなぜ腐食対策が要るのか

どちらも消防法施行令が外面の腐食対策を義務付けています。
配管には、総務省令で定めるところにより、外面の腐食を防止するための措置を講ずること。ただし、当該配管が設置される条件の下で腐食するおそれのないものである場合にあつては、この限りでない。
そのため政令は原則としてすべての配管に外面腐食の防止措置を求めています。
例外は「設置される条件の下で腐食するおそれのないもの」に限られ、単に古いから、目立たないからという理由で対策を省くことは認められません。
具体的にどのような措置を講じるかは、総務省令=危険物の規制に関する規則に委任されています。
次の章で、その中身を見ていきます。
腐食のおそれがなければ対策しなくていいこともあるんですね。
そうです。
ただしその判断は設置条件を確認したうえでの話です。
地上の配管と地下の配管でなにが変わるのか

さらに地下でも、電気的な腐食のおそれがあるかどうかで分かれます。
地上に設置する配管にあつては、地盤面に接しないようにするとともに、外面の腐食を防止するための塗装を行うことにより、地下の電気的腐食のおそれのある場所に設置する配管にあつては、告示で定めるところにより、塗覆装又はコーティング及び電気防食により、地下のその他の配管にあつては、告示で定めるところにより、塗覆装又はコーティングにより行うものとする。
地上の配管は地盤面から浮かせて塗装するだけで足ります。
地下の配管のうち、電気的腐食のおそれがある場所では塗覆装またはコーティングに加えて電気防食までが必要です。
一方、電気的腐食のおそれがない場所の地下配管であれば、塗覆装またはコーティングだけで足ります。
どのパターンに当てはまるかは、設置場所の土壌や周辺環境によって決まります。
地上の配管は塗装だけでいいのに、地下は電気防食まで要る場合があるんですね。
地下は目視で確認しにくいぶん対策が手厚くなっているんです。
次はその中身を見てみましょう。
塗覆装とコーティングと電気防食はなぜ両方求められる場合があるのか

これに対して電気防食は、配管そのものに電気的な処理を施す別の仕組みです。
イからヘまでに掲げるもののほか、総務省令で定める基準に適合するものとすること。
塗覆装やコーティングに傷や劣化が生じると、そこから腐食が進む可能性が残ります。
電気的腐食のおそれがある場所では、この弱点を補うために電気防食まで組み合わせることが求められます。
塗覆装やコーティングの具体的な仕様は告示で個別に定められており、現場ごとに厚さや工法を確認する必要があります。
自己判断で簡易な塗装だけに置き換えることはできません。
塗覆装とコーティングと電気防食、全部同じようなものかと思ってました。
役割が違うので、場所によって組み合わせが変わるんです。
次は地下配管のもう一つの基準を見ましょう。
配管を地下に埋めるとき見落としやすいのはどこか

地下に埋める配管には、もう一つ別の基準があります。
配管を地下に設置する場合には、その上部の地盤面にかかる重量が当該配管にかからないように保護すること。
地下配管の上を車両が通ったり、上部に構造物が造られたりすると、地盤面を通じて配管に重量がかかることがあります。
規則はこの重量が配管に直接かからないよう、あらかじめ保護することを求めています。
防食さえ済ませれば地下配管は安全、と考えて保護構造を見落とすと、この基準に抵触するおそれがあります。
新設や改修の際は、防食と保護の両方を設計段階から織り込む必要があります。
防食さえしておけば地下は安心だと思ってました。
防食と荷重対策は別の条文で定められた話なんです。
両方確認しないと片方だけ抜けてしまいます。
明日からなにを確認すればよいか

分からない場合は、設計や施工の記録から確認するところから始めます。
確認するのは、配管が地上と地下のどちらにあるか、地下ならどの区分に当たるか、そして地下配管の上部に荷重がかかる予定がないかです。 確認は難しくありません。
既存の施設であれば、許可申請時の図面や完成検査の記録に防食方法が記載されています。
記録が見当たらない場合や古い施設の場合は、所轄消防署に相談しながら確認を進めます。
新設や配管の更新を計画しているときは、設計の段階で防食方法と荷重対策の両方を仕様に盛り込むことが確実です。
分からない点は自己判断せず、専門家や所轄消防署に確認することをおすすめします。
うちの配管も設置場所ごとに一度見直してみます。
新設や改修のタイミングが確認しやすいタイミングです。
最後に確認事項をまとめましょう。
よくある質問
まとめ
配管まわりのことは専門家に相談したほうが早そうです。
配管の防食措置は設置状況によって最適な方法が変わります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令第9条第1項第21号
- 危険物の規制に関する規則第13条の4・第13条の5
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。個別の設置環境における腐食のおそれの有無や告示適合の判断は所轄消防署にご確認ください。





