消防は市町村の仕事だと思われがちですが、それだけでは終わりません。
離島や山間部で重篤な傷病者が出たときなど、都道府県が航空機で駆けつける制度があります。
この「都道府県の航空消防隊」の救急隊には、市町村の救急隊とは別の編成基準が定められています。
今回は、この広域応援の救急隊に准救急隊員の特例が使えない理由を解説します
消防は市町村の仕事だと思っていましたが、都道府県も救急隊を出すことがあるんですか。
はい。
消防組織法第三十条という規定があって、都道府県が航空機で市町村の消防を支援できるんです。
じゃあ、その救急隊の編成基準は、ふつうの救急隊と同じなんでしょうか。
そこが今回のポイントです。
編成の人数はよく似ていますが、資格の扱いが違います。
- 消防は原則市町村の仕事ですが、都道府県が市町村長の要請に応じ、航空機で救急業務を支援する制度があります(消防組織法第三十条)。
- この航空消防隊は、都道府県の規則に基づいて設けられます。
- 救急隊の編成は航空機1機及び救急隊員2人以上で、市町村の救急隊とは別の条文が適用されます(消防法施行令第四十四条の二第1項)。
- 資格要件は市町村の正規の救急隊員と同じ総務省令(50時間講習等)が適用され、離島特例のような准救急隊員の仕組みはありません。
- つまり、都道府県の航空消防隊に准救急隊員の特例は適用されません。
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目次
消防は市町村だけの仕事ではないのか

そんなときに備える、都道府県の制度があります。
しかし、離島や山間部で重篤な傷病者が出たときなど、市町村だけの消防力・救急力では対応が難しい場面があります。
そこで消防組織法は、都道府県が市町村長の要請に応じて航空機で消防を支援できる仕組みを置いています。
これが都道府県の航空消防隊と呼ばれる制度のもとです。
次の見出しから、どのような場合にこの制度が使われるのかを見ていきます。
消防は市町村の仕事だと思っていましたが、都道府県も関わることがあるんですね。
はい。
離島や山間部の救急搬送などで、航空機を使った支援の仕組みがあるんです。
都道府県はどんなときに航空機で救急業務を支援するのか

市町村長からの要請という手続きが前提になります。
都道府県は、その区域内の市町村長から要請があったときに、航空機を用いて消防(救急業務を含みます)を支援します。
この体制を担うのが、都道府県知事が都道府県の規則に基づいて設ける「航空消防隊」です。
さらに都道府県知事と市町村長は、支援の内容について事前に協定を結ぶこともできます。
実際には、各都道府県が設けている消防防災航空隊がこの航空消防隊に当たります。
都道府県が自分の判断で勝手に飛んでくるわけじゃないんですね。
そうです。
市町村長からの要請があって、はじめて動く仕組みです。
この救急隊は何人でどう編成されるのか

市町村の救急隊の基準とよく似ていますが、適用される条文は別です。
市町村の救急隊は原則、救急自動車1台と隊員3人以上(又は航空機1機と隊員2人以上)で編成します(施行令第四十四条第1項)。
都道府県の航空消防隊が救急業務を行う場合も、人数のうえでは市町村の「航空機+2人」のパターンと同じ構成になります。
搬送に適した設備や、救急業務に必要な器具・材料を備え付ける点も、市町村の基準と同じです(同条第2項)。
違いは、この先の資格要件に出てきます。
人数だけ見ると、市町村の救急隊とほとんど同じですね。
編成人数はそうですね。
ただ、隊員の資格の決め方に違いがあります。
都道府県の救急隊員にも准救急隊員の特例が使えるのか

同じ特例が、都道府県の航空消防隊にも使えるのか気になるところです。
離島振興法の対象地域など5つの区域に限り、市町村は准救急隊員(基礎的な講習15時間以上)で救急隊を編成できます(施行令第四十四条第2項・第6項)。
これに対し施行令第四十四条の二第3項が引用するのは、市町村の正規の救急隊員と同じ条文(消防法施行規則第五十一条・第五十一条の二)だけです。
准救急隊員の基礎的な講習を定めた施行規則第五十一条の二の二は、この条文からは引用されていません。
つまり都道府県の航空消防隊員は、必ず救急業務に関する50時間以上の講習を修了した者、又は医師・保健師・看護師・准看護師・救急救命士のいずれかでなければなりません。
離島の市町村と同じように、都道府県も准救急隊員を使えると思っていました。
そこが見落としやすい点です。
都道府県の航空消防隊には、その特例はありません。
この制度は実際にどんな場面で使われているのか

最後に、実際の運用の場面を整理します。
消防防災ヘリコプターを保有する都道府県の多くが、この規定に基づいて航空消防隊を設けています。
山岳での救助、離島からの重篤患者の搬送、大規模災害時の広域応援など、市町村単独では対応しきれない場面で出動します。
防火管理者が直接関わる制度ではありませんが、消防力の全体像を理解するうえで押さえておきたい仕組みです。
自分の施設がある市町村の消防体制だけでなく、その背後にある広域の支援体制も知っておくと安心です。
自分の市町村だけじゃなくて、都道府県全体で支え合っているんですね。
そうです。
防火管理の実務とは別に、知っておくと視野が広がります。
よくある質問
まとめ
都道府県が市町村を支える広域の仕組みまで整理できて、すっきりしました。
防火管理や消防計画のご相談は、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防組織法第三十条
- 消防法施行令第四十四条・第四十四条の二
- 消防法施行規則第五十条・第五十一条・第五十一条の二・第五十一条の二の二
※本記事は記事作成時点の法令に基づく一般的な解説です。実際の運用は所轄の消防本部・都道府県にご確認ください。





