再開発等促進区が定められた地区計画の区域では、容積率や建蔽率などの制限が、適用されないことがあります。
制限が適用されないと聞くと、安全面が心配になるかもしれません。
建築基準法第68条の3は、再開発等促進区などの区域で、特定行政庁が支障がないと認めた建築物について、一定の規定を適用しないと定めています。
決め手になるのは、どの区域で、どの数値が定められていて、だれがどう認めるかです。
今回は建築基準法第68条の3第1項から第5項と施行令第136条の2の6が定める、再開発等促進区等内の制限の緩和について、条文の中身と、防火管理者が押さえておきたい点をあわせて解説します。
再開発等促進区では、容積率などの制限が適用されないことがあると聞きました。
いつでも、どんな建物でも、適用されないのでしょうか。
条文は、特定行政庁が支障がないと認めることを求めています。
まず、条文から見ていきましょう。
適用されない規定は、条文ごとに決まっているのですね。
その規定は、どこに書かれていますか。
建築基準法第68条の3に書かれています。
順に確認していきますね。
- 建築基準法第68条の3第1項から第4項は、再開発等促進区などの区域で、特定行政庁が支障がないと認めるなどした建築物について、第52条・第53条・第55条・第56条の規定を適用しないと定めています。
- 第1項は容積率の最高限度が定められている区域で第52条を、第2項は建蔽率の最高限度が10分の6以下の区域で第53条の一部を、それぞれ適用しません。
- 第3項は、高さの最高限度が20メートル以下の区域で、敷地面積が政令で定める規模以上の建築物に第55条第1項及び第2項を適用せず、施行令は規模を300平方メートルと定めています。
- 第4項は、有効な空地が確保されていること等により特定行政庁が許可した建築物に第56条を適用せず、第5項が第44条第2項を準用して、あらかじめ建築審査会の同意を求めます。
- これは建築基準法の話であり、消防法令の基準を緩めるものではありません。
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目次
再開発等促進区の容積率の制限はなぜ特定行政庁が認めれば適用されなくなるのか

まず、条文を確認しましょう。
対象になるのは、再開発等促進区又は沿道再開発等促進区で、地区整備計画等が定められている区域のうち、容積率の最高限度が定められている区域です。
建築物は、地区計画又は沿道地区計画の内容に適合している必要があります。
特定行政庁が、交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めることも条件です。
条文の書き方は「認めるもの」で、「許可した」とは書かれていません。 容積率の限度そのものは、第52条が定めています。
第1項は、その限度を、一定の建築物に適用しないとするものです。
容積率の制限は、条件がそろえば適用されないのですね。
建蔽率の制限も、同じ扱いですか。
第2項に、建蔽率の定めがあります。
ただし、数値の条件が付いています。
再開発等促進区の建蔽率の制限はなぜ10分の6以下の区域だけ適用されなくなるのか

条文を、確認しておきましょう。
区域は、地区整備計画等で10分の6以下の数値で建蔽率の最高限度が定められている区域に限られます。
適用されないのは、第53条の第1項から第3項まで、第7項及び第8項です。
第53条の第4項から第6項は、この列挙に入っていません。 第53条の各項が、第2項でどう扱われるかを、表にまとめます。
| 第53条の項 | 内容 | 第68条の3第2項の扱い |
|---|---|---|
| 第1項 | 建蔽率の限度 | 適用しない |
| 第2項 | 敷地が二以上の地域又は区域にわたる場合 | 適用しない |
| 第3項 | 建蔽率の限度に十分の一を加える場合 | 適用しない |
| 第4項 | 壁面線の指定等がある場合の緩和 | 列挙されていない |
| 第5項 | 特定行政庁の許可による緩和 | 列挙されていない |
| 第6項 | 適用しない建築物の規定 | 列挙されていない |
| 第7項 | 敷地が防火地域の内外にわたる場合 | 適用しない |
| 第8項 | 敷地が準防火地域と防火地域及び準防火地域以外の区域とにわたる場合 | 適用しない |
区域の建蔽率の最高限度が、10分の6と定められていたとします。
その区域の建築物は、地区計画等の内容に適合し、特定行政庁が支障がないと認めれば、第53条第1項の限度が適用されません。
実際の扱いは、区域ごとの地区整備計画と、特定行政庁の判断を読んで確かめることになります。
数値は、あくまで読み方の例です。
数値が10分の6以下の区域だけが、対象になるのですね。
高さの制限は、どうなっていますか。
第3項に、高さの定めがあります。
敷地面積の規模の条件もあります。
再開発等促進区の高さの制限はなぜ敷地面積が300平方メートル以上の建築物だけ適用されなくなるのか

敷地面積の規模は、施行令が定めています。
条文を、確認しておきましょう。
(施行令第百三十六条の二の六)法第六十八条の三第三項の政令で定める規模は、三百平方メートルとする。
区域の条件は、地区整備計画等で20メートル以下の高さで建築物の高さの最高限度が定められている区域です。
建築物には、地区計画等の内容に適合することに加えて、敷地面積が政令で定める規模以上という条件が付いています。
施行令第136条の2の6は、その規模を300平方メートルと定めています。
適用されないのは、第55条の第1項及び第2項です。 仮の例で、敷地面積の条件を確かめます。
敷地面積が250平方メートルの建築物と、320平方メートルの建築物があったとします。
施行令の規模は300平方メートルですから、この条件を満たすのは、320平方メートルのほうです。
ただし、地区計画等の内容への適合と、特定行政庁が支障がないと認めることも必要です。
敷地の広さでも、条件が分かれるのですね。
第56条の制限は、どうなりますか。
第4項は、認めるではなく許可と書かれています。
次に、その条文を確認します。
再開発等促進区の第56条の制限はなぜ特定行政庁の許可と建築審査会の同意で適用されなくなるのか

第5項は、その許可の手続を定めています。
条文を、確認しておきましょう。
(同条第五項)第四十四条第二項の規定は、前項の規定による許可をする場合に準用する。
(建築基準法第四十四条第二項)特定行政庁は、前項第四号の規定による許可をする場合においては、あらかじめ、建築審査会の同意を得なければならない。
区域は、地区整備計画等が定められている区域に限られます。
第1項から第3項と違って、容積率や建蔽率の数値の条件は、書かれていません。
手続は、「認めるもの」ではなく、特定行政庁が許可すると書かれています。
第5項は、第44条第2項を、この許可に準用すると定めています。
第44条第2項は、許可をするときに、あらかじめ建築審査会の同意を得なければならないと定めています。 つまり、第4項の許可は、建築審査会の同意を得て行うことになります。
第1項から第3項の条文には、建築審査会の同意は書かれていません。
第4項だけは、許可と建築審査会の同意が要るのですね。
第1項から第4項の違いを、整理したいです。
一覧の表で、比べてみましょう。
あわせて共通の条件も確認します。
再開発等促進区の適用除外はなぜ条文ごとに区域の条件と手続が違うのか

共通する条件も、あわせて確認しましょう。
| 項 | 適用しない規定 | 区域の条件 | 建築物の条件 | 手続 |
|---|---|---|---|---|
| 第1項 | 第52条(容積率) | 容積率の最高限度が定められている区域 | 地区計画等の内容に適合 | 特定行政庁が支障がないと認める |
| 第2項 | 第53条第1項から第3項まで、第7項及び第8項(建蔽率) | 建蔽率の最高限度が10分の6以下の区域 | 地区計画等の内容に適合 | 特定行政庁が支障がないと認める |
| 第3項 | 第55条第1項及び第2項(高さの限度) | 高さの最高限度が20メートル以下の区域 | 地区計画等の内容に適合し、敷地面積が300平方メートル以上 | 特定行政庁が支障がないと認める |
| 第4項 | 第56条(建築物の各部分の高さ) | 地区整備計画等が定められている区域 | 有効な空地が確保されていること等 | 特定行政庁が許可(第5項で建築審査会の同意) |
共通するのは、特定行政庁が、交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めることです。
防火上の支障の有無も、特定行政庁の判断の対象に入っています。
第6項以降は、用途の制限の特例許可について、読み替えを定めています。
今回は、第1項から第5項までを取り上げました。 建築基準法の話は、防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
ただし、再開発等促進区の区域で建物を借りたり、増築や用途の変更を考えたりするときには、関係する場面があります。
判断に迷うときは、特定行政庁の窓口への相談も欠かせません。
明日から次の点を確認してください。
- 建物のある区域が再開発等促進区かどうかを、市区町村の窓口で確認して記録する。
- 地区整備計画等に、容積率・建蔽率・高さの最高限度が定められているかを、市区町村で照会しておく。
- 特定行政庁が支障がないと認めた、又は許可した内容があれば、その書類の写しを保管しておく。
- 増築や用途の変更の話が出たら、適用除外を前提にせず、特定行政庁の窓口で事前に確認する。
- 消防用設備等の判断は、所轄消防署へ相談する。
建築の話と消防の話を混同しないように、それぞれの窓口へ確かめておきましょう。
区域の指定と、特定行政庁が認めた内容を、まず確認します。
増築の前には、窓口にも聞いてみます。
状況が分かれば、あとの相談も早くなります。
相談は、建築の窓口と消防の両方の窓口にしておくと安心です。
よくある質問
まとめ
区域の指定と、特定行政庁が認めた内容を、確認しておく必要があるんですね。
この記事の内容を管理者にも共有します!
区域の指定と適用除外の内容が分かれば、増築や用途変更の相談も進めやすくなります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第四十四条・第六十八条の三・同法施行令第百三十六条の二の六(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。適用除外の可否は区域ごとの地区計画等の内容と特定行政庁の判断で確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





