壁のない自動車車庫や帆布屋根のスポーツ施設は、簡易な構造の建築物として柱やはりなど主要構造部の基準が緩和されることがあります。
しかしこの建物には、実はもう一段階、別の規定がまるごと適用されなくなる仕組みが用意されています。
面積で区切る防火区画や界壁、内装の仕上げを制限する規定そのものが対象外になるのです。
この記事では、建築基準法施行令第136条の11が定める適用除外の範囲と、それでも消防法上の基準は別に生きる理由を条文に沿って解説します。
うちの壁のない車庫は、簡易な構造の建築物として柱やはりの基準は確認済みです。
これでもう安全対策は終わりでしょうか。
実はもう一段階、別の規定が関わってきます。
建築基準法施行令第136条の11という規定です。
初めて聞きました。
どんな規定が関係してくるんでしょうか。
防火区画・界壁・内装制限という三つの規定がまとめて対象外になります。
順番に見ていきましょう。
- 建築基準法施行令第136条の11は、第136条の9に規定する簡易な構造の建築物で第136条の10の基準に適合するものについて、第112条(防火区画)・第114条(界壁等)・第五章の二(内装制限)の規定を適用しないと定めています。
- 対象になるのは、あくまで第136条の9・第136条の10の要件を満たした建物に限られます。
- 適用除外になるのは、面積で区切る防火区画、木造小屋組の隔壁や長屋の界壁、そして内装の仕上げを制限する規定です。
- 壁が無い、または帆布屋根という建物の構造そのものが、これらの規定を適用する前提を欠いているための除外です。
- 建築基準法上の適用除外を受けても、消防法上の用途区分や消防用設備等の基準は別に生き続けます。
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目次
壁のない自動車車庫になぜもう一段階の適用除外が必要なのか

この指定を受けると、法第84条の2により一部の規定が適用除外になる代わりに、第136条の10が定める柱やはりなどの構造基準を満たす必要があります。
第136条の11は、第136条の9の建物で第136条の10の基準を満たすものについて、3つの規定を丸ごと適用しないと定めています。
それが第112条(防火区画)・第114条(界壁等)・第五章の二(内装制限)です。
どんな内容の規定が除外されるのか、順番に見ていきましょう。
車庫の柱やはりだけでなく、区画や内装まで話が広がるんですね。
順番に教えてください。
まずは136条の11が何を除外しているかから確認しましょう。
次に見ていきます。
施行令第136条の11はどの規定を適用除外にしているのか

それぞれの内容を確認します。
第114条は長屋・共同住宅の界壁や、木造小屋組の建物の小屋裏の隔壁を求める規定です。
第五章の二は、劇場や病院など特殊建築物の壁・天井の仕上げ材料を制限する内装制限の規定です。
簡易な構造の建築物は、この3つのどれも適用されません。
防火区画と界壁と内装制限、
それぞれ普段はどんな規定なんでしょうか。
面積で区切ったり、天井裏を仕切ったり、仕上げ材料を制限したりする規定です。
次はなぜ除外されるのかを見ましょう。
なぜ面積区画や小屋裏の隔壁がこの建物には要らなくなるのか

条文を確認します。
壁を有しない自動車車庫は、そもそも壁で面積を区切る前提が成り立ちません。
帆布屋根のスポーツ練習場のような大空間の建物も、屋根を貫く木造の隔壁を設けることが構造上難しい建物です。
第136条の10が求める柱・はり・外壁・屋根の性能基準が、区画や隔壁の代わりに最低限の延焼防止の役割を担っています。
壁が無いだけで、区画や隔壁の規定が丸ごと除外されるんですか。
ちょっと意外です。
壁自体が無いので、区画する前提が成り立たないんです。
帆布屋根の建物も同じ理由です。
内装制限が除外されても消防法上の基準が別に生きるのはなぜか

壁のない開放的な建物では、この制限もそもそも意味を持ちにくくなります。 ただし、建築基準法上の適用除外と、消防法上の規制はまったく別の法体系です。
建築基準法施行令第136条の11の適用除外を受けても、消防法施行令別表第一が定める用途区分や、消火器・自動火災報知設備といった消防用設備等の設置義務はそのまま残ります。
「建築基準法上の指定を受けたから消防設備も不要」という誤解が起きやすいので注意が必要です。
建築側の基準を確認したら、必ず消防法上の基準も別に確認してください。
内装まで除外されるなら、
消防設備も気にしなくていいということですか。
いいえ、消防法上の基準は別に生き続けます。
建築と消防、両方の確認が必要です。
簡易な構造の建築物を計画するときは何を確認すればよいのか

建築と消防、両方の視点で見ることが大切です。
- 建物が第136条の9の要件(壁のない建築物か帆布屋根の建築物、用途、階数1、床面積3,000平方メートル以内)に当てはまるかを確認する
- 第136条の10が求める柱・はり・外壁・屋根の構造基準を満たしているかを確認する
- 適用除外になるのは第112条(防火区画)・第114条(界壁等)・第五章の二(内装制限)の3つに限られることを確認する
- 用途変更や増築で第136条の9の要件から外れないかを、計画段階で確認する
- 消防法上の用途区分や消防用設備等の基準は別に生きているため、所轄消防署にもあわせて確認する
どちらか一方だけを確認して安心してしまうと、思わぬ見落としにつながります。
車庫を計画するときは、
順番に何を確認すればいいでしょうか。
まず136条の9の要件に当てはまるかどうかからです。
次にチェックリストで確認しましょう。
よくある質問
まとめ
壁のない車庫の計画でも、除外される規定の範囲を確認します!
簡易な構造の建築物のご相談も、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第84条の2
- 建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第112条・第114条・第136条の9・第136条の10・第136条の11・第五章の二
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁または消防署にご確認ください。





