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共同住宅の共用廊下や階段はなぜ容積率の延べ面積に含めなくてよいのか|建築基準法第52条第6項が定める三つの部分を解説

共用廊下に住戸の玄関扉が並び外階段が付いた中層の共同住宅を正面から見た写真

マンションの図面を見ていると、共用の廊下や階段の面積が、容積率の計算でどう扱われるのかが気になります。
建築基準法には、容積率の計算のもとになる延べ面積から、一部の部分の床面積を除く決まりがあります。
除かれる部分は、共用の廊下や階段のほかにもあります。
今回は建築基準法第52条第6項が定める容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入しない部分について、対象と範囲を、防火管理者が押さえておきたい点とあわせて解説します。

共同住宅の共用の廊下や階段は、容積率の計算でどう扱われるのでしょうか。
延べ面積に含めるのでしょうか。

建築基準法第52条第6項に、延べ面積に算入しない部分が定められています。
ただし対象が決まっているので、順番に見ていきましょう。

どんな部分が除かれるのでしょうか。
消防の決まりの面積も同じなのか気になります。

条文を順に確認します。
防火管理の面で確かめたい点もお伝えします。

この記事の結論
  • 容積率の算定の基礎となる延べ面積には、第52条第6項が定める三つの部分の床面積は算入されません。
  • 一つ目は、政令がエレベーターと定める昇降機の昇降路の部分です。
  • 二つ目は、共同住宅又は老人ホーム等の共用の廊下又は階段の用に供する部分です。
  • 三つ目は、住宅又は老人ホーム等に設ける機械室などで、特定行政庁が支障がないと認めるものです。
  • 地階の住宅などは、第3項により合計の三分の一を限度に算入されません。

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容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入しない三つの部分を示す図解

容積率の計算で延べ面積から除かれる部分は建築基準法にどう書かれているのか

集合住宅の建物と敷地の図面のイラスト
容積率は、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合です。
その延べ面積から除く部分を定めているのが、第52条第6項です。
(建築基準法第五十二条第一項 抜粋)建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合(以下「容積率」という。)は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数値以下でなければならない。
(建築基準法施行令第二条第一項第四号 抜粋)四 延べ面積 建築物の各階の床面積の合計による。
(建築基準法第五十二条第六項 抜粋)(略)に規定する建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積には、次に掲げる建築物の部分の床面積は、算入しないものとする。
第52条第6項は、容積率の算定の基礎となる延べ面積から、三つの建築物の部分の床面積を除く条文です。
延べ面積は、施行令第2条第1項第4号で建築物の各階の床面積の合計と定められています。
容積率はこの延べ面積の敷地面積に対する割合なので、除かれる部分が多いほど、同じ敷地での計算上の容積率は小さくなります。
除かれる三つの部分は、昇降機の昇降路、共同住宅などの共用の廊下や階段、住宅などに設ける機械室です。
まず、共用の廊下や階段が対象になる範囲を次の節で確認します。

延べ面積は、各階の床面積の合計なんですね。
共用の廊下や階段も、床面積としては数えるのでしょうか。

その床面積を、第52条第6項が算入しないと定めています。
次に、その対象を見ましょう。

共同住宅の共用の廊下や階段はどこまで延べ面積から除かれるのか

外廊下と階段室のある集合住宅のイラスト
第6項の第2号は、共同住宅又は老人ホーム等の共用の廊下又は階段の用に供する部分を除いています。
老人ホーム等の意味は、第3項が定義しています。
(建築基準法第五十二条第六項第二号 抜粋)二 共同住宅又は老人ホーム等の共用の廊下又は階段の用に供する部分
(同条第三項 抜粋)(略)老人ホーム、福祉ホームその他これらに類するもの(以下この項並びに第六項第二号及び第三号において「老人ホーム等」という。)(略)
共同住宅と老人ホーム等の共用の廊下又は階段の用に供する部分は、容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入されません。
条文が対象にしているのは、共同住宅又は老人ホーム等です。
老人ホーム等は、老人ホーム、福祉ホームその他これらに類するものと第3項で定義されています。
除かれるのは、その共用の廊下又は階段の用に供する部分で、条文が挙げているのはこの部分だけです。
事務所ビルなど、条文に書かれていない用途の廊下や階段の扱いは、この条文からは読み取れないので、特定行政庁や建築士に確かめる必要があります。

共同住宅の共用の廊下と階段が対象なんですね。
エレベーターはどうなるのでしょうか。

昇降路の部分も、第6項第1号で除かれています。
ただし対象は政令で決まっているので、次に見ましょう。

エレベーターの昇降路や機械室はどんな場合に延べ面積から除かれるのか

エレベーターの塔と屋上の小さな機械室のイラスト
第6項の第1号は昇降機の昇降路の部分、第3号は機械室などを定めています。
第1号は政令で、第3号は特定行政庁の認めで、対象の範囲が決まります。
(建築基準法施行令第百三十五条の十六)法第五十二条第六項第一号の政令で定める昇降機は、エレベーターとする。
(建築基準法第五十二条第六項第一号・第三号 抜粋)一 政令で定める昇降機の昇降路の部分
三 住宅又は老人ホーム等に設ける機械室その他これに類する建築物の部分(給湯設備その他の国土交通省令で定める建築設備を設置するためのものであつて、市街地の環境を害するおそれがないものとして国土交通省令で定める基準に適合するものに限る。)で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるもの
昇降路の部分が除かれる昇降機は、施行令第135条の16で、エレベーターと定められています。
第3号の機械室などは、住宅又は老人ホーム等に設けるもので、給湯設備その他の国土交通省令で定める建築設備を設置するためのものに限られます。
さらに、市街地の環境を害するおそれがないものとして国土交通省令で定める基準に適合する必要があります。
第1号と違って、第3号は特定行政庁が支障がないと認めることが要件に入っています。
自分の建物の機械室が対象になるかどうかは、特定行政庁に確かめる必要があります。

機械室は、特定行政庁の認めが要るんですね。
地階にある住宅の部分はどう扱われるのでしょうか。

地階の住宅の部分は、第3項が別に定めています。
三分の一という限度があるので、次に見ましょう。

地階にある住宅の部分はどれだけ延べ面積から除かれるのか

半分地面に埋まった地階のある建物の断面イラスト
第3項は、地階の住宅又は老人ホーム等の部分を、一定の限度で延べ面積に算入しないと定めています。
対象になる地階は、天井が地盤面からの高さ1メートル以下にあるものです。
(建築基準法第五十二条第三項 抜粋)(略)建築物の地階でその天井が地盤面からの高さ一メートル以下にあるものの住宅又は老人ホーム、福祉ホームその他これらに類するもの(略)の用途に供する部分(第六項各号に掲げる建築物の部分を除く。以下この項において同じ。)の床面積(当該床面積が当該建築物の住宅及び老人ホーム等の用途に供する部分の床面積の合計の三分の一を超える場合においては、当該建築物の住宅及び老人ホーム等の用途に供する部分の床面積の合計の三分の一)は、算入しないものとする。
(同条第四項)前項の地盤面とは、建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面をいい、その接する位置の高低差が三メートルを超える場合においては、その高低差三メートル以内ごとの平均の高さにおける水平面をいう。
地階の住宅又は老人ホーム等の部分は、その用途に供する部分の床面積の合計の三分の一を限度に、延べ面積に算入されません。
対象は、地階でその天井が地盤面からの高さ1メートル以下にあるものです。
床面積が合計の三分の一を超える場合は、三分の一が算入しない面積の上限になります。
地盤面は第4項で、建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面と定められ、高低差が3メートルを超えるときは3メートル以内ごとに平均をとります。
なお、第6項各号に掲げる部分は、第3項の対象となる部分には含めないと括弧書きで定められています。

地階の住宅の部分にも、三分の一という上限があるんですね。
防火管理者は、この決まりでなにを確かめるとよいでしょうか。

除かれるのは、容積率の算定の場合だけです。
次に、確かめておきたい点を見ましょう。

延べ面積に算入されない部分について防火管理者はなにを確かめておくとよいのか

確認項目のチェックリストと冊子と集合住宅の模型のイラスト
第6項も第3項も、容積率の算定の基礎となる延べ面積についての規定です。
算入しないことと、避難や消防の基準が変わることは、別の話です。
(建築基準法施行令第二条第一項第四号 抜粋)ただし、法第五十二条第一項に規定する延べ面積(建築物の容積率の最低限度に関する規制に係る当該容積率の算定の基礎となる延べ面積を除く。)には、次に掲げる建築物の部分の床面積を算入しない。
第6項と第3項が延べ面積に算入しないと定めているのは、容積率の算定の基礎となる延べ面積についてです。
施行令第2条第1項第4号のただし書も、法第52条第1項に規定する延べ面積について、次に掲げる建築物の部分を算入しないと定めています。
容積率の算定から除かれることと、避難や消防の基準が緩むことは別の問題です。
消防用設備等の設置基準など、消防法令の判断は、消防法令の条文で確かめる必要があります。
明日から次の点を確認してください。
  • 共用の廊下や階段に、避難の妨げになる物が置かれていないかを確認する。
  • 図面で、共用の廊下・階段・昇降路・機械室がどの部分に当たるかを確認する。
  • 機械室が、特定行政庁の認めを受けたものかを、建築士や特定行政庁に確認する。
  • 地階に住宅などの部分がある場合は、天井が地盤面から1メートル以下かを図面で確認する。
  • 消防用設備等の判断に使う延べ面積は、所轄消防署へ相談する。
建築基準法と消防法は別々の法律です。
容積率の話と消防の話を混同しないように、それぞれの窓口へ確かめておきましょう。

容積率の話と消防の話は、分けて確かめるんですね。
図面を見て、共用部分の位置を確認します。

共用部分の位置と条文の対応を確認して、防火管理の記録に残しましょう。
相談は、特定行政庁と消防の両方の窓口にしておくと安心です。

よくある質問

Q共同住宅の共用の廊下や階段は、消防の面積でも算入されないのですか?
A第6項第2号が算入しないと定めているのは、容積率の算定の基礎となる延べ面積についてです。消防法令の判断は、消防法令の条文で確かめます。
Q事務所ビルの廊下や階段も、同じように延べ面積から除かれますか?
A第2号が挙げているのは共同住宅又は老人ホーム等で、事務所ビルは条文に書かれていません。個別の扱いは特定行政庁や建築士に確認します。
Q機械室はすべて延べ面積から除かれるのですか?
Aいいえ、第3号は、給湯設備などを設置するための機械室などで、特定行政庁が支障がないと認めるものに限ると定めています。
Q地階の住宅の部分は、全部が延べ面積に算入されないのですか?
Aいいえ、第3項は、住宅及び老人ホーム等の用途に供する部分の床面積の合計の三分の一を限度とし、対象を天井が地盤面から1メートル以下の地階に限っています。

まとめ

✔建築基準法第52条第6項は、容積率の算定の基礎となる延べ面積から三つの部分の床面積を除く条文です。
✔一つ目は、政令がエレベーターと定める昇降機の昇降路の部分です。
✔二つ目は、共同住宅又は老人ホーム等の共用の廊下又は階段の用に供する部分です。
✔三つ目は、住宅又は老人ホーム等の機械室などで、特定行政庁が支障がないと認めるものです。
✔地階の住宅などは、天井が地盤面から1メートル以下で、三分の一を限度に算入されません。
✔この条文が定めるのは容積率の算定であって、避難や消防の基準を定めるものではありません。
✔防火管理者は、共用部分の位置を図面で確認して記録し、消防法令の判断は所轄消防署に相談します。

共用部分が延べ面積から除かれる範囲は、条文で決まっているんですね。
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除かれる部分が分かれば、図面の読み方も変わってきます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第五十二条(e-Gov法令検索)
  • 建築基準法施行令第二条・第百三十五条の十六(e-Gov法令検索)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。機械室の認めの有無や運用は特定行政庁ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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