BLOG

屋外イベントの照明器具はなぜ木くずと近づけてはいけないのか|投光器の熱と配線固定の基準を解説

屋外イベントの投光器はなぜ木くずと離すのか|多数の者が集合する催しにおける照明器具の火災予防指導を解説

屋外のイベント会場で、木の展示物から火が出て子どもが亡くなりました。
原因は投光器の熱が、そばに落ちていた木くずに燃え移ったことでした。
消防庁はこの火災を受けて、催しの照明器具そのものに焦点を当てた通知を出しています。
通知が求めたのは照明器具と可燃物をどれだけ引き離すかという具体的な配慮です。

会社の周年イベントで屋外に展示コーナーを作る予定です。
照明はふつうの投光器を借りるだけのつもりでした。

その投光器、白熱灯ですか。
熱を持つ照明器具と木や布を近づけると、それだけで火災の原因になります

言われてみると、飾り付けの木材やチラシを照明のすぐそばに置いていました。

そこが危ないところです。
消防庁の通知に沿って、配置と結線を順番に見直しましょう。

この記事の結論
  • 平成28年11月に都内の屋外イベントで投光器(白熱灯)と木くずが接触して出火し死傷者が出ました
  • 消防庁は消防予第337号で、催しの照明器具に関する火災予防指導の徹底を求めました
  • 可燃物の近傍で照明器具を使うときは熱で高温にならないよう配慮することが求められています
  • ソケットへの確実な接続と充電部分の露出禁止も指導事項に含まれます
  • 照明器具や配線は動揺・脱落しないよう固定し過度な荷重をかけないこととされました

催しの照明器具に潜む火災リスクを発熱の確認・結線の固定・脱落の防止・関係者への周知の4ステップで示す図解

屋外の展示物はなぜ照明器具の指導強化につながったのか

木製の展示物の中に置かれた投光器が木くずに近接し危険な状態を示すイメージ
都内の屋外イベント会場で、木でできた展示物から火が出ました。
この火災がきっかけで、消防庁は催しの照明器具そのものに注意を向けた通知を出しています。
「多数の者が集合する催しにおける照明器具に係る火災予防指導等について」(平成28年11月9日 消防予第337号) 平成28年11月6日に東京都新宿区内で開催された催しにおいて、幼稚園児等が死傷する火災が発生しました。本火災の出火原因は、屋外に設置された木製展示物内の投光器(白熱灯)にかんなくずが接触して出火した可能性が考えられますが、管轄する消防本部において調査が行われているところです。
投光器の熱と木くずが近すぎたことが火災の芽になりました
現場は都内の屋外で開かれていた展示イベントで、木製の造作物の中に投光器が組み込まれていました。
別添の火災概要では、死者1名・負傷者2名、焼損したのは木製展示物そのものだったと記録されています。
白熱灯は消費電力のわりに表面が高温になりやすく、木くずのような細かい可燃物が触れるだけで着火する条件がそろいます。
イベントを企画する側は、照明の種類と可燃物の位置関係を、電気工事の担当者任せにしないことが出発点になります。

展示物の中に照明を仕込む演出は、うちのイベントでもよくやります。

仕込む場所と可燃物の距離を、企画の段階で決めておくと安全です。
飾りつけ担当と電気担当を分けている現場ほど、ここが抜けがちです。

対象になるのはどんな催しなのか

屋外の会場に並ぶ屋台やテントと照明設備を示したイメージ
通知は特定の業種だけでなく、人が大勢集まる催し全般に向けて出されました。
屋台やテントが並ぶような会場も対象に含まれます。
消防法第3条第1項第1号(抜粋) 消防長、消防署長その他の消防吏員は、屋外において火災の予防に危険であると認める行為者又は火災の予防に危険であると認める物件(略)の所有者、管理者若しくは占有者で権原を有する者に対して、火を使用する設備若しくは器具(物件に限る。)又はその使用に際し火災の発生のおそれのある設備若しくは器具(物件に限る。)の使用その他これらに類する行為の禁止、停止若しくは制限又はこれらの行為を行う場合の消火準備を命ずることができる。
多数の者が集合する催しに対する火災予防指導等については、平成28年9月28日付け「平成28年秋季全国火災予防運動の実施について」(消防予第295号及び消防予第296号)等により、ガソリン等の貯蔵・取扱いや火気器具を使用する屋台等の指導について通知しているところですが、催しの関係者等に対する火災予防指導等を実施する際には、下記事項についても配慮していただくようお願いします
対象は屋外で人が集まるイベント全般です
消防法第3条は、屋外で火災の危険があると認める設備・器具の使用を消防機関が制限できると定めており、熱を持つ照明器具もこの対象に含まれます。
今回の通知は、これまでガソリンや屋台の火気器具に向けていた指導の範囲を、照明器具にまで広げたものです。
自社の敷地内で展示会や周年イベントを開くときも、この通知の対象から外れるわけではありません。
主催者や会場を管理する防火管理者が、照明計画の段階からこの視点を持つ必要があります。

うちは屋外で火を使わないので、対象外だと思っていました。

火を使わなくても、熱を持つ照明器具は対象になります。
ガソリンや屋台だけの話ではありません。

通知は照明器具にどんな配慮を求めているのか

投光器のソケットを確実に接続し配線を固定する作業のイメージ
通知が示した指導事項は、専門的な工事の話ではありません。
現場でひとつずつ確認できる、4つの具体的な項目です。
多数の者が集合する催しにおける照明器具に係る主な指導事項 ・可燃物の近傍で照明器具を用いる場合は、当該照明器具の熱により可燃物が高温になることがないよう十分配慮すること。・電球をソケットに確実に接続する、絶縁被覆するなどにより照明器具の充電部分は、露出して使用しないこと。・照明器具又は配線は動揺したり脱落したりするおそれがないように取り付けるとともに過度の荷重、張力が加わらないようにすること。・その他照明器具の取扱いで火災予防上必要と認められる事項について注意喚起すること。
熱・接続・固定の3点に絞って確認すれば足ります
1つ目は可燃物との距離で、照明器具の熱で周りが高温にならないようにすることです。
2つ目は充電部分の露出禁止で、電球をソケットに確実にはめ込み、配線を絶縁被覆で覆うことを求めています。
3つ目は器具や配線が動いたり外れたりしないよう固定することで、仮設の照明ほど揺れや荷重に弱くなります。
最後の「その他」は個別現場の事情を汲む余地で、会場ごとに気づいた点を主催者側から言い出せる形になっています。

4つとも、言われれば当たり前のことですね。

当たり前のことほど、当日の設営で抜け落ちます
設営担当者用のチェックリストにこの4つを入れておいてください。

実務で見落としやすいのはどこか

投光器と布製の展示物が近接し熱がこもっている危険な状態を示すイメージ
通知の4項目自体は難しくありません。
見落としやすいのは、当日の設営で「どれくらい近いと危ないか」が現場の感覚に委ねられてしまう点です。
(別添「火災概要」より)平成28年11月6日17時頃、開催中の催しにおいて木製展示物から出火し、死傷者3名が発生したもの。出火原因は、木製展示物内の投光器(白熱灯)に、かんなくずが接触して出火した可能性が考えられるが、継続調査中。焼損物件 木製展示物。
白熱灯は消費電力が小さくても表面温度が高くなります
今回の火災も、投光器自体は特別に大きな器具ではなく、木くずという細かい可燃物が偶然近くにあったことが引き金でした。
展示会や周年イベントでは、装飾用の木材や布、紙製の看板が照明の近くに置かれがちです。
設営当日は搬入や飾り付けに追われ、照明の位置を後から動かした結果、可燃物との距離が縮まっていたというケースも起こり得ます。
完成形の見た目だけでなく、点灯した状態で照明の周囲に触れて熱を確認する一手間が実務上の分かれ目になります。

見た目がきれいに収まっていても、熱までは目で見て分からないですね。

点灯して数分後に手をかざして確認するのが簡単な方法です。
設営完了時と本番直前の2回、確認してください。

明日からなにを確認すればよいのか

チェックリストを手に照明器具の配線を確認する作業員のイメージ
通知が示した4項目は、そのままチェックリストにできます。
自社でイベントを開く前に、この順番で確認してください。 特別な資格や機材がなくても、その場で確認できることばかりです
まず点灯した状態で照明器具に手をかざし、周囲の木材や布が高温になっていないかを確かめます。
次に電球がソケットに確実に差し込まれているか、配線の被覆が破れていないかを見ます。
そして照明器具や配線がぐらついたり垂れ下がったりしていないか固定状態を確認し、気になる点は設営担当者だけで判断せず会場全体の責任者に共有します。
消防用設備の点検のように年数回ではなく、催しのたびに毎回行う点検だと考えてください。

資格がいらないなら、今日からでもできますね

はい、次の催しから設営完了後の一巡を習慣にしてください。
気づいたことがあれば、いつでもご相談ください。

よくある質問

Q屋外の照明はすべて白熱灯を避けたほうがよいですか?
A通知は照明の種類を限定していません。白熱灯に限らず、熱を持つ照明器具全般について可燃物との距離に配慮するよう求めています。
Q自社の敷地内で行う小さなイベントも対象になりますか?
A通知は「多数の者が集合する催し」全般を対象にしており、規模の大小や屋内外を理由に対象から外れるわけではありません
Q照明業者に設営を任せていれば確認は不要ですか?
A通知は照明の取扱いで火災予防上必要な事項への注意喚起を求めており、最終的な確認は会場を管理する側の責任にもなります。
Qこの通知に違反すると罰則がありますか?
A通知自体は行政による指導のための文書で罰則を定めていませんが、消防法第3条に基づく使用制限等の対象になり得ます。

まとめ

平成28年11月、都内の屋外イベントで投光器(白熱灯)と木くずが接触し死傷者が出る火災が発生しました
消防庁は消防予第337号で照明器具に関する火災予防指導の徹底を求めました
対象は屋内外を問わず人が多数集まる催し全般です
熱を持つ照明器具は消防法第3条の使用制限の対象になり得ます
可燃物の近傍で使うときは熱で高温にならないよう配慮することが求められます
ソケットへの確実な接続と充電部分の露出禁止も指導事項です
器具や配線は動揺・脱落しないよう固定することが基本です

照明の位置ひとつで、リスクの大きさが変わることが分かりました。
次のイベントから気をつけます。

熱・接続・固定の3点を、設営のたびに確認してください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 多数の者が集合する催しにおける照明器具に係る火災予防指導等について(平成28年11月9日 消防予第337号 消防庁予防課長通知)
  • 平成28年秋季全国火災予防運動の実施について(平成28年9月28日 消防予第295号・消防予第296号)
  • 消防法第3条第1項第1号

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
屋外イベントの投光器はなぜ木くずと離すのか|多数の者が集合する催しにおける照明器具の火災予防指導を解説
屋外のイベント会場で、木の展示物から火が出て子どもが亡くなりました。 原因は投光器の熱が、そばに落ちていた木くずに燃え移ったことでした。 消防庁はこの火災を受けて、催しの照明器具そのものに焦点を当てた通知を出しています。...