建築基準法には、型式適合認定や、型式部材等の製造者の認証といった、国土交通大臣が行う手続があります。
申請は多く、審査には専門的な知識も要るため、国土交通大臣がすべてを自分で行うとは限りません。
その一部または全部を、国土交通大臣が指定した者に行わせることができるのが、第68条の24です。
今回は建築基準法第68条の24を中心に、指定認定機関、指定の申請と基準、外国にある事務所の承認、防火管理者が押さえておきたい点をあわせて解説します。
型式適合認定や認証は、国土交通大臣が自分で審査するのだと思っていました。
別の機関が行うこともあるのですか。
国土交通大臣が指定した者に、行わせることができます。
建築基準法第68条の24が定めています。
指定された機関は、誰でもなれるわけではありませんよね。
どのような決まりがあるのでしょうか。
申請、欠格条項、基準などが細かく決まっています。
順番に条文を見ていきましょう。
- 第68条の24第1項は、国土交通大臣が指定した者に、型式適合認定、認証、認証の更新、公示の全部または一部を行わせることができると定めています。
- 指定をしたときは、第2項により、国土交通大臣は指定を受けた者が行う認定等を自分では行いません。
- 指定は、第77条の36から第77条の39までの定めにより、申請、欠格条項、基準、公示という順で行われます。
- 指定は、5年以上10年以内で政令が定める期間ごとの更新を受けなければ、その期間の経過によって効力を失います(第77条の41)。
- 外国にある事務所で行おうとする者は、指定ではなく第77条の54の承認を受けます(第68条の24第3項)。
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目次
型式適合認定や認証を国土交通大臣以外の者に行わせることができるのはなぜか

(建築基準法第六十八条の二十四第二項)国土交通大臣は、前項の規定による指定をしたときは、当該指定を受けた者が行う認定等を行わないものとする。
「認定等」には、次の四つが含まれると、条文の中で定義されています。
一つ目は、型式適合認定です。
二つ目は、第68条の11第1項または第68条の22第1項による認証です。
三つ目は、第68条の14第1項の認証の更新で、四つ目は、第68条の11第3項の公示です。
条文の言い方は「行わせることができる」で、行わせるかどうかは国土交通大臣の判断です。 第2項は、指定をしたときは、国土交通大臣は、指定を受けた者が行う認定等を行わないと定めています
指定を受けた者が担当する範囲は、国土交通大臣と重ならないことになります。
第77条の39第1項は、この指定を受けた者を「指定認定機関」と定義しています。
指定認定機関が、国土交通大臣に代わって認定等を行うのですね。
大臣の仕事がなくなるわけではないのですか。
指定した範囲について、大臣が自分では行わなくなります。
次の見出しで、指定の手続を確認します。
指定を受けたい者にはどのような手続と欠格条項があるのか

第77条の36を確認しましょう。
(建築基準法第七十七条の三十六第二項)前項の申請は、国土交通省令で定めるところにより、国土交通省令で定める区分に従い、認定等の業務を行う区域(以下この節において「業務区域」という。)を定めてしなければならない。
申請できるのは、認定等を行おうとする者のうち、外国にある事務所により行おうとする者を除いた人です。
申請は、国土交通省令で定める区分に従って、認定等の業務を行う区域(業務区域)を定めてします。
外国にある事務所で行おうとする者の扱いは、この記事の後半で確認します。 申請をしても、誰でも指定を受けられるわけではありません。
第77条の37の欠格条項を確認しましょう。
一 未成年者
二 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
三 拘禁刑以上の刑に処せられ、又は建築基準法令の規定により刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
四 第七十七条の五十一第一項若しくは第二項の規定により指定を取り消され、又は第七十七条の五十五第一項若しくは第二項の規定により承認を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者
五 心身の故障により認定等の業務を適正に行うことができない者として国土交通省令で定めるもの
六 法人であつて、その役員のうちに前各号のいずれかに該当する者があるもの
第1号は未成年者、第2号は破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者です。
第3号は、拘禁刑以上の刑や建築基準法令による刑の執行を終わってから2年を経過しない者です。
第4号は、指定や承認を取り消されて、取消しの日から2年を経過しない者です。
第5号は心身の故障により業務を適正に行えない者で国土交通省令で定めるもの、第6号は、役員のうちに欠格事由に該当する者がいる法人です。
欠格条項は、外国製造者の認証にもありましたよね。
指定にも似た決まりがあるのですね。
似た構造です。
次は、国土交通大臣が指定をする際の基準を確認します。
国土交通大臣は指定をどのような基準で行い指定後はどうなるのか

第77条の38を確認しましょう。
一 職員(第七十七条の四十二第一項の認定員を含む。第三号において同じ。)、設備、認定等の業務の実施の方法その他の事項についての認定等の業務の実施に関する計画が、認定等の業務の適確な実施のために適切なものであること。
二 前号の認定等の業務の実施に関する計画を適確に実施するに足りる経理的及び技術的な基礎を有するものであること。
三 法人にあつては役員、第七十七条の二十第五号の国土交通省令で定める構成員又は職員の構成が、法人以外の者にあつてはその者及びその職員の構成が、認定等の業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。
四 認定等の業務以外の業務を行つている場合には、その業務を行うことによつて認定等の業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。
五 前各号に定めるもののほか、認定等の業務を行うにつき十分な適格性を有するものであること。
第1号は、職員、設備、業務の実施の方法などの計画が、適確な実施のために適切であることです。
第2号は、その計画を実施するに足りる経理的および技術的な基礎を有することです。
第3号は役員や職員の構成、第4号は他の業務との関係で、どちらも認定等の業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないことを求めています。
第5号は、これらのほか、認定等の業務を行うにつき十分な適格性を有することです。 指定をしたあとの公示と、変更の届出も定められています。
第77条の39を確認しましょう。
(建築基準法第七十七条の三十九第二項)指定認定機関は、その名称若しくは住所又は認定等の業務を行う事務所の所在地を変更しようとするときは、変更しようとする日の二週間前までに、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
(建築基準法第七十七条の三十九第三項)国土交通大臣は、前項の規定による届出があつたときは、その旨を公示しなければならない。
公示される内容は、名称および住所、指定の区分、業務区域、認定等の業務を行う事務所の所在地、業務の開始の日です。
名称、住所、事務所の所在地を変えようとするときは、変更しようとする日の2週間前までに届け出なければなりません。
届出があったときは、国土交通大臣がその旨を公示します。 指定には、有効期間もあります。
第77条の41第1項を確認しましょう。
更新を受けなければ、指定認定機関の指定は自動的に効力を失う仕組みです。
更新の場合にも、第77条の36から第77条の38までの申請・欠格条項・基準の規定が準用されます(第2項)。
指定は、一度受ければずっと続くわけではないのですね。
更新のときも同じ基準が使われるのですか。
第2項で、申請・欠格条項・基準の規定が準用されています。
更新のたびに、適格性が確かめられます。
外国にある事務所で認定等を行う者はなぜ指定ではなく承認になるのか

第1項の指定と違い、第3項は「承認」という言葉を使っています。
対象になる認定等は、外国において事業を行う者の申請に基づいて行うものに限られます。 承認の手続は、第77条の54に書かれています。
まず、第1項を確認しましょう。
第77条の36第1項は、外国にある事務所により行おうとする者を指定の申請の対象から除いています。
第77条の54第1項は、その反対に、外国にある事務所により行おうとする者に限って承認の申請を認めています。
第2項は、指定に関する規定の多くを承認に準用し、承認を受けた者を「承認認定機関」と定義しています。 承認にも、取消しの規定があります。
第77条の55第1項を確認しましょう。
第2項は、取り消すことができる場合を、第1号から第10号まで並べています。
第1項の必ず取り消す場合では、準用される欠格条項のうち、取消しそのものに触れる第4号は除かれています。
承認を取り消されると、その日から2年を経過するまで、指定や承認を受けられません(第77条の37第4号)。
外国にある事務所かどうかで、指定と承認に分かれるのですね。
承認にも取消しの決まりがあるとは知りませんでした。
指定も承認も、国土交通大臣が取消しまで管理しています。
最後に、整理表で確認しましょう。
認定等を行う者の指定と承認の規定を防火管理の現場ではどのように受け止めればよいのか

分けて読むと、混乱しにくくなります。
| 項目 | 条文の書き方 | 押さえる点 |
|---|---|---|
| 行わせることができる認定等 | 型式適合認定、認証、認証の更新、公示(第68条の24第1項) | 行わせるかは国土交通大臣の判断です |
| 指定後の国土交通大臣 | 指定を受けた者が行う認定等を行わない(第2項) | 担当が重ならないようになっています |
| 指定の手続と基準 | 申請、欠格条項、五つの基準、公示(第77条の36から第77条の39まで) | 欠格条項は六つです |
| 指定の有効期間 | 5年以上10年以内で政令が定める期間ごとに更新(第77条の41) | 更新しなければ効力を失います |
| 外国にある事務所 | 指定ではなく承認(第68条の24第3項、第77条の54) | 承認を受けた者が承認認定機関です |
この規定は、防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
ただし、防火設備や耐火構造などの認定に関する書類を施工業者から受け取ったときは、どの機関が発行したものかを、施工業者に尋ねておくと、改修や交換の相談が進めやすくなります。
建築基準法の手続が整っていても、消防法令の設置や維持の基準は別に確かめる必要があります。
明日から、次の点を確認してください。
- 建物の防火設備や耐火構造の認定書類が、どの機関の発行かを施工業者に尋ねて控えておく。
- 書類の名称、日付、番号を、施工業者から書面でもらって保管する。
- 改修や交換をするときは、書類の内容を記録しておく。
- 認定や認証の内容に疑問があるときは、建築の窓口と施工業者に速やかに相談する。
- 建築の話と消防の話は別の制度なので、両方の窓口へ確かめる。
建築の窓口と所轄消防署に、それぞれ確かめておきましょう。
指定と承認の仕組みは分かりました。
現場では、何から確かめればよいですか。
認定や認証の書類を出した機関について、施工業者に確認しておきましょう。
消防の基準は、別に確かめます。
よくある質問
まとめ
指定と承認の仕組みがよく分かりました。
認定書類の発行元を、施工業者に確認します!
建築の認定と消防の基準は別なので、両方を確かめておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第六十八条の二十四・第七十七条の三十六・第七十七条の三十七・第七十七条の三十八・第七十七条の三十九・第七十七条の四十一・第七十七条の五十四・第七十七条の五十五(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。指定や承認の状況や運用の細部は機関と建築の窓口ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





