指定認定機関が認定等の業務を休止したり、停止を命じられたりしたとき、その間の認定等は誰が行うのでしょうか。
また、指定認定機関の処分に不服があるときは、どこに申し立てるのでしょうか。
今回は建築基準法第77条の52と第77条の53を中心に、国土交通大臣が自ら認定等を行う場合、公示と引継ぎ、審査請求、防火管理者が押さえておきたい点をあわせて解説します。
指定認定機関が業務を休止したら、その間の認定等はどうなるのでしょうか。
誰も行わないことになるのですか。
国土交通大臣が自ら行う規定があります。
建築基準法第77条の52が定めています。
処分に納得できないときは、どうすればよいのでしょうか。
不服を申し立てる先があるのですか。
第77条の53に審査請求の規定があります。
順番に条文を見ていきましょう。
- 第77条の52第1項は、指定認定機関が休止し、停止を命じられ、または実施が困難となった認定等の業務のうち、他の指定認定機関によって行われないものを、国土交通大臣が自ら行うと定めています。
- 国土交通大臣が自ら行うのは、休止したとき、停止を命じられたとき、天災その他の事由で実施が困難となり大臣が必要があると認めるときの三つの場合です。
- 国土交通大臣は、認定等の業務を自ら行うとき、または行わないこととしようとするときは、あらかじめ公示しなければなりません(第2項)。
- 認定等の業務の引継ぎその他の必要な事項は、国土交通省令で定められます(第3項)。
- 指定認定機関の処分またはその不作為については、国土交通大臣に審査請求をすることができます(第77条の53)。
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目次
指定認定機関が認定等の業務を休止したり停止を命じられたりしたときはなぜ国土交通大臣が自ら認定等を行うのか

第68条の24第2項は、国土交通大臣が指定をしたときは、指定を受けた者が行う認定等を行わないものとすると定めています。
その例外が、第77条の52第1項に書かれています。
「かかわらず」とあるので、指定をしたあとは大臣は行わないという原則の例外です。
自ら行う範囲は、他の指定認定機関によって行われないものに限られています。
他の指定認定機関が行っている認定等の業務まで、大臣が引き取るとは書かれていません。
指定をしたあとは、大臣は認定等を行わないのではなかったのですか。
休止のときは例外になるのですか。
第68条の24第2項にかかわらず、大臣が自ら行うと書かれています。
次の見出しで、該当する場合を確認します。
国土交通大臣が自ら認定等の業務を行うのはどのような三つの場合なのか

二 前条第二項の規定により認定等の業務の全部又は一部の停止を命じられたとき。
三 天災その他の事由により認定等の業務の全部又は一部を実施することが困難となつた場合において国土交通大臣が必要があると認めるとき。
第1号は、第77条の50第1項の規定により認定等の業務の全部または一部を休止したときです。
第2号は、前条第2項の規定により認定等の業務の全部または一部の停止を命じられたときです。
第3号は、天災その他の事由により認定等の業務の全部または一部を実施することが困難となった場合で、国土交通大臣が必要があると認めるときです。
各号に、認定等の業務の廃止は書かれていません。
廃止を許可した場合は、第3項に、認定等の業務の引継ぎその他の必要な事項は国土交通省令で定めると書かれています。
休止と停止のほかにも、大臣が自ら行う場合があるのですね。
第3号は、どのような場合ですか。
天災その他の事由で実施が困難となり、大臣が必要があると認めるときです。
次は、公示と引継ぎを確認します。
国土交通大臣が自ら認定等を行うときや行わないこととするときはどのような手続が必要なのか

(建築基準法第七十七条の五十二第三項)国土交通大臣が、第一項の規定により認定等の業務を行うこととし、第七十七条の四十第一項の規定により業務区域の減少を許可し、第七十七条の五十第一項の規定により認定等の業務の廃止を許可し、又は前条第一項若しくは第二項の規定により指定を取り消した場合における認定等の業務の引継ぎその他の必要な事項は、国土交通省令で定める。
公示が必要なのは、自ら行い始めるときと、行うのをやめるときの両方です。
「あらかじめ」とあるので、実際に切り替える前に公示する必要があります。 第3項は、認定等の業務の引継ぎその他の必要な事項を国土交通省令で定めると規定しています
対象になるのは、大臣が第1項により認定等の業務を行うこととした場合、業務区域の減少を許可した場合(第77条の40第1項)、認定等の業務の廃止を許可した場合(第77条の50第1項)、指定を取り消した場合(第77条の51第1項・第2項)です。
この条文自体には、引継ぎの具体的な手続は書かれていません。
具体的な内容は国土交通省令に委ねられていて、この記事では省令の中身までは扱いません。
自ら行うようになる前にも、知らせがあるのですか。
行うのをやめるときにも公示があるのですか。
どちらもあらかじめ公示すると書かれています。
次は、審査請求を確認します。
指定認定機関の処分やその不作為に不服があるときはどこに審査請求をするのか

対象になるのは、処分だけでなく、その不作為も含まれます。
審査請求をする先は、指定認定機関ではなく国土交通大臣です。
国土交通大臣は、行政不服審査法の一部の規定の適用については、指定認定機関の上級行政庁とみなされます。
処分に不満があるとき、指定認定機関そのものに不服を申し立てるのですか。
それとも別の窓口ですか。
条文では、国土交通大臣に対して審査請求をすると書かれています。
最後に、整理表で全体を確認しましょう。
指定認定機関の業務の休止や停止と審査請求の規定を防火管理の現場ではどのように受け止めればよいのか

分けて読むと、混乱しにくくなります。
| 項目 | 条文の書き方 | 押さえる点 |
|---|---|---|
| 大臣が自ら行う業務 | 休止し、停止を命じられ、または実施が困難となった認定等の業務のうち、他の指定認定機関によって行われないもの(第77条の52第1項) | 第68条の24第2項の例外です |
| 該当する場合 | 休止したとき、停止を命じられたとき、天災その他の事由で実施が困難となり大臣が必要があると認めるとき(各号) | 各号は三つです |
| 公示 | 自ら行うとき、行わないこととしようとするとき、あらかじめ公示(第2項) | 行う前も、やめる前も公示します |
| 引継ぎ | 引継ぎその他の必要な事項は国土交通省令で定める(第3項) | 具体的な内容は省令にあります |
| 審査請求 | 指定認定機関の処分またはその不作為について国土交通大臣に審査請求(第77条の53) | 大臣は上級行政庁とみなされます |
この規定は、防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
また、第77条の52と第77条の53には、大臣が自ら行うことになったときの窓口や、すでに出された認定書類の扱いなどの具体的な手続は書かれていません。
防火設備や耐火構造などの認定に関する書類を受け取ったときは、その発行元を控えておくと、改修や交換の相談が進めやすくなります。
明日から、次の点を確認してください。
- 建物の防火設備や耐火構造の認定書類が、どの機関の発行かを施工業者に尋ねて控えておく。
- 書類の名称、日付、番号を、施工業者から書面でもらって保管する。
- 改修の前に、発行元の機関の業務に変更がないかを建築の窓口に確認する。
- 認定書類の扱いに疑問があるときは、建築の窓口と施工業者に速やかに相談する。
- 建築の話と消防の話は別の制度なので、両方の窓口へ確かめる。
建築の窓口と所轄消防署に、それぞれ確かめておきましょう。
大臣が自ら行う仕組みと審査請求の仕組みは分かりました。
現場では、何から確かめればよいですか。
認定や認証の書類の発行元を、施工業者に確認しておきましょう。
消防の基準は、別に確かめます。
よくある質問
まとめ
休止や審査請求の仕組みがよく分かりました。
認定書類の発行元を、施工業者に確認します!
建築の認定と消防の基準は別なので、両方を確かめておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第七十七条の五十二・第七十七条の五十三・第六十八条の二十四・第七十七条の四十・第七十七条の五十・第七十七条の五十一(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。引継ぎや審査請求の手続の細部は機関と建築の窓口ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





