BLOG

地区音響装置の音量は電鈴の大きさで決まるのか|中継器の置き場所と配線の貫通部と閉鎖型ヘッドまで五つの質疑応答を現行の条文と照らして解説

地区音響装置の音量は電鈴の大きさで決まるのか

自動火災報知設備は、感知器だけでなく、鳴らす装置や中継器、配線の通し方まで細かく決められています。
その細目は、消防法施行規則の第23条と第24条 に書かれています。
この記事では、消防庁が昭和44年に示した質疑応答から五つを選び、現行の条文と照らして読みます。
音量、中継器、配線の貫通部、閉鎖型ヘッド、構造の区分を、順に確かめます。

電鈴の大きさで音量が決まる、なんて聞いたことがあります。
本当なんでしょうか。

そこが誤解されやすい点です。
五つの質疑応答で、決まりの実際を見ていきます。

昔の質疑応答は、今の条文とどうつながるんでしょうか。

一つずつ確かめます。
現行の条文に当てはめて読みます。

この記事の結論
  • 地区音響装置の音量は、装置に表示された数値では確かめられず、取り付けた状態で測ると答えられました(現行の条文は1メートル離れて90デシベル以上)
  • 電鈴の直径と音量は直接は関係しないとされ、おおむね100ミリメートル以上の露出型は十分な音量と考えられるという目安が示されました
  • 中継器は、不燃性ボックスに収めるか埋込型にすれば防火上有効な措置として足りると答えられました(現行は規則第23条第9項第2号)
  • 配線が建築基準法施行令第114条第5項の部分を貫通するときは、給水管等に準じて隙間を埋め戻すと答えられ、現行の第112条第20項はモルタルその他の不燃材料で埋めると定めています
  • 閉鎖型ヘッドの扱いは、当時は標示温度75度以下でよいと答えられましたが、現行の規則は標示温度75度以下で種別が一種と書き、構造の表の「その他の構造」には準耐火構造の建物も含めて読みます

▼

地区音響装置と配線の質疑五問として、音量は付けた状態で測る、中継器は防火上有効な場所に置く、貫通部は不燃材で埋める、ヘッドは標示温度で見る、耐火でなければその他の構造に入れる、を並べた図解

地区音響装置の音量は、電鈴の大きさや検査済みの表示で決められるのか

ベージュの廊下の壁の高い位置に小さな丸いオレンジ色の警報ベルが付き、少し離れた床に細い三脚に載った灰色の音量計が立っているイメージ
自動火災報知設備で火災を知らせるのは、各階に付ける地区音響装置です。
音量の基準の確かめ方と、電鈴の大きさとの関係が問われました。
問(要旨) 問56 地区音響装置の音量は、取り付けられた音響装置の中心から1メートル離れた位置で90ホン以上とされたが、この確認は、音響装置に音量を表示させることはできないか。
問57 地区音響装置の音量が1メートル離れて90ホン以上となる「電鈴」の直径は、およそ何ミリメートルか。
答 問56 音響装置に公の機関で測定した音量を表示しても、当該装置の取り付け状態により大きな影響を受けるため意味がなく、当該装置の取付け状態で測定する必要がある。
問57 電鈴の直径と音量とは直接関係はないが、おおむね100ミリメートル以上のもので露出型のものは、十分な音量を有するものと考えられる。
(昭和44年11月20日 消防予第265号 消防庁予防課長から都道府県消防主管部長あて回答)
音量は取り付けた状態で測り、電鈴の直径は目安にとどまる、という答えでした。
現行の消防法施行規則第24条第5号イ(イ)は、地区音響装置の音圧を「取り付けられた音響装置の中心から1メートル離れた位置で90デシベル以上」と定めています。単位は、当時のホンから条文の上ではデシベルになっています。
同じ号は、音声で警報を発するものについては別に第5号の2で92デシベル以上とし、カラオケボックスのように音が聞き取りにくい場所では、他の警報音や騒音と区別して聞き取れるようにすることも求めています。
「電鈴の直径がおおむね100ミリメートル」という数字は条文にはなく、この回答が示した目安です。実際に足りるかは、装置を付けた状態で測って確かめます。

カタログの数値ではなくて、付けたあとで測るんですね。

はい。
取り付け状態で音量が変わります。

中継器は、不燃性のボックスに入れるか埋込型にすれば防火上有効といえるのか

厚い灰色の壁に埋め込まれたベージュの小さな凹みに、灰色の金属の小箱が納まり、紺色の閉じた鋼板の蓋が付き、上からオレンジ色のケーブルの束が入っているイメージ
中継器は、感知器や発信機と受信機の間で信号をつなぐ機器です。
規則が求める「防火上有効な措置」の中身が問われました。
問(要旨) 問58 規則第23条第7項第2号の規定により、中継器は、防火上有効な措置を講じた個所に設けることとされているが、不燃性ボックス又は埋込型とすることにより足りるか。
答 お見込みのとおり。
(昭和44年11月20日 消防予第265号 消防庁予防課長から都道府県消防主管部長あて回答)
不燃性ボックスか埋込型にすれば足りる、という答えでした。
現行の規則第23条では、中継器の設置は第9項に置かれています。第2号が、中継器を「点検に便利で、かつ、防火上有効な措置を講じた箇所に設けること」と定めています。項の番号は、当時の第7項から第9項に変わっています。
条文は「防火上有効な措置」の具体策を書いていません。この回答は、その一つとして不燃性ボックスと埋込型を認めた当時の判断です。
同じ号が「点検に便利」も求めているため、埋め込んで点検できなくなる置き方は避けます。自分の建物の中継器の置き方は、所轄の消防機関に確かめます。

隠すだけでなく、点検もできないといけないんですね。

はい。
防火上の措置と点検のしやすさを両立させます。

自動火災報知設備の配線が、界壁や間仕切壁を貫通するときはどう仕上げるのか

厚いベージュの壁が二つの部屋を分け、壁の丸い穴をオレンジ色のケーブルの束が通り、その周りの隙間が壁の両側の面で明るい灰色のモルタルで詰められているイメージ
感知器や受信機をつなぐ配線は、建物の壁や床を貫いて通ることがあります。
防火上の区画にあたる壁を貫通するときの施工が問われました。
問(要旨) 問59 規則第24条について、自動火災報知設備の配線が建築基準法施行令第114条第5項に該当する部分を貫通する場合の施工方法は、いかにするか。
答 給水管等に準じ施工できる範囲で埋めもどして行なうものである。
(昭和44年11月20日 消防予第265号 消防庁予防課長から都道府県消防主管部長あて回答)
貫通部は、給水管などと同じように隙間を埋め戻して仕上げる、という答えでした。
現行の建築基準法施行令第114条第5項は、第112条第20項の規定を、給水管、配電管その他の管が界壁・間仕切壁・隔壁を貫通する場合に準用しています。
その第20項は、管と防火区画の隙間を「モルタルその他の不燃材料で埋めなければならない」と定めています。回答の「埋めもどす」は、この考え方に当たります。
ただし、条文が名指ししているのは「給水管、配電管その他の管」です。電線を管に入れずに通す場合などの細かな仕上げは条文に書かれていないため、建築側の担当や所轄の消防機関に確かめます。

配線でも、壁に穴が空いたままではだめなんですね。

はい。
貫通部は不燃材料で埋めます。

閉鎖型スプリンクラーヘッドは、標示温度が75度以下ならそれだけで足りるのか

ベージュの部屋の天井の隅に青い水の配管が走り、そこから丸い赤いガラス球の付いた小さなスプリンクラーヘッドが下がり、横に小さな白い丸い感知器が付いているイメージ
スプリンクラー設備を設けた部分は、条件を満たせば自動火災報知設備を省略できます。
その条件になる閉鎖型ヘッドの見分け方が問われました。
問(要旨) 問60 規則第23条第3項の規定による閉鎖型スプリンクラーヘッドの作動時間の判断は、いかにすべきか。
答 検定結果から見て、標示温度が75℃以下のものは、すべて、作動時間が60秒以下のものとして取り扱ってさしつかえない。
(昭和44年11月20日 消防予第265号 消防庁予防課長から都道府県消防主管部長あて回答)
標示温度が75度以下のものは、作動時間が60秒以下として扱える、という答えでした。
省略の根拠は、消防法施行令第21条第3項です。総務省令で定める閉鎖型スプリンクラーヘッドを備えた設備を設けた部分は、その有効範囲内で自動火災報知設備を設置しないことができます。
その総務省令が、規則第23条第3項です。現行の条文は、「標示温度が75度以下で種別が一種のもの」と書いています。「作動時間」でなく、標示温度と種別で決めている点が、当時の回答と違います。
省略できるのは設備の有効範囲内の部分だけで、対象の防火対象物にも限りがあります。省略の全体像は、下の「あわせて読みたい」でも解説しています。標示温度だけで判断せず、種別まで確かめます。

今は、標示温度のほかに種別も見るんですね。

はい。
現行の条文の書き方で確かめます。

感知器の面積の表にある「その他の構造」に、準耐火構造の建物は入るのか

明るい灰色の地面板の上に、同じ大きさの小さな建物が二つ並び、左は硬い灰色のコンクリートの建物、右は薄い暖色の木造風の屋根組みのベージュの建物のイメージ
スポット型の感知器は、一つで受け持てる床面積が建物の構造で変わります。
耐火構造とそれ以外の境目が、当時の言葉の「簡易耐火構造」でどう扱われるかが問われました。
問(要旨) 問61 規則第23条第4項第3号の表中、建築物構造の区分欄にいう「その他の構造」には、簡易耐火構造を含むものと解してよいか。
答 お見込みのとおり。
(昭和44年11月20日 消防予第265号 消防庁予防課長から都道府県消防主管部長あて回答)
簡易耐火構造の建物は「その他の構造」に含める、という答えでした。
現行の規則第23条第4項第3号の表は、取付け面の高さと感知器の種別ごとに、床面積を「特定主要構造部を耐火構造とした防火対象物又はその部分」と「その他の構造の防火対象物又はその部分」に分けて定めています。
当時の簡易耐火構造は、現在の準耐火構造にあたります。準耐火構造は耐火構造ではないため、この表では「その他の構造」の側に入ると読むのが自然で、回答の考え方と合います。
その他の構造の面積は、耐火構造より小さく設定されています。自分の建物がどちらの区分になるかは、建築確認の書類と所轄の消防機関で確かめます。

耐火構造かどうかで、感知器の数が変わるんですね。

はい。
構造の区分は、感知器の個数に直接響きます。

よくある質問

Q地区音響装置の音量は、現行の条文でいくつと決まっていますか?
A規則第24条第5号イ(イ)が、取り付けられた音響装置の中心から1メートル離れた位置で90デシベル以上と定めています。音声で警報を発するものは第5号の2で92デシベル以上です。
Q中継器は、どこに置けばよいのですか?
A規則第23条第9項第2号が、点検に便利で、かつ、防火上有効な措置を講じた箇所と定めています。昭和44年の回答は、不燃性ボックスか埋込型でよいとしました。
Q配線が壁を貫通した部分は、そのままでよいのですか?
A建築基準法施行令第114条第5項が第112条第20項を準用しており、管と区画の隙間をモルタルその他の不燃材料で埋めることを求めています。電線の細かな仕上げは条文に無いため、確認が必要です。
Q昭和44年の回答は、今もそのまま使えますか?
A回答は発出当時のもので、単位や項の番号、閉鎖型ヘッドの条件が変わった部分があります。現行の規則第23条・第24条と、所轄の消防機関で確認します。

まとめ

✔地区音響装置の音量は、装置の表示でなく取り付けた状態で測る
✔現行の条文は、1メートル離れて90デシベル以上で、電鈴の直径は目安にとどまる
✔中継器は、規則第23条第9項第2号の点検に便利で防火上有効な措置を講じた箇所に設ける
✔配線が区画を貫通する部分は、隙間を不燃材料で埋めるという考え方に沿う
✔閉鎖型ヘッドは、現行は標示温度75度以下で種別が一種と条文に書かれている
✔準耐火構造の建物は、感知器の面積の表でその他の構造の側に入る
✔個別の適用は、現行の規則と所轄の消防機関に確認する

質疑応答が、条文とつながりました。
うちの音響装置や中継器も確かめてみます!

質疑応答も、今の条文の意味を理解するために読めます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行令第21条
  • 消防法施行規則第23条・第24条
  • 建築基準法施行令第112条・第114条
  • 消防法施行令及び同法施行規則の一部改正に伴う質疑応答について(昭和44年11月20日 消防予第265号 消防庁予防課長から都道府県消防主管部長あて回答)
  • 消防実務六法 質疑応答編

※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答は発出当時のもので、条番号や機関の名称、単位等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
地区音響装置の音量は電鈴の大きさで決まるのか
自動火災報知設備は、感知器だけでなく、鳴らす装置や中継器、配線の通し方まで細かく決められています。 その細目は、消防法施行規則の第23条と第24条 に書かれています。 この記事では、消防庁が昭和44年に示した質疑応答から...
リクルート 採用情報はこちら →
採用ページ 一緒に働く仲間を募集中 → フランチャイズ (株)防災屋と一緒に開業する → 協力業者 協力業者さん募集中 →