温泉施設の可燃性ガス対策というと、消防法のガス漏れ火災警報設備を思い浮かべる方が多いはずです。
実は温泉井戸を屋内に置く場合、環境省が所管する温泉法にも独自の技術基準があります。
消防法とは別のこの法律が、換気設備や警報設備、さらには自動で止まる装置までを求めているのです。
屋内に源泉設備がある施設は、二つの法律を両方満たす必要があります。
うちの温泉は源泉設備を屋内に置いているんですが、消防法の対策だけで足りていますか。
実は温泉法にも別の基準があります。
順番に見ていきましょう。
消防法とは別の法律まで関係するとは知りませんでした。
見落としている施設が少なくありません。
まずは全体像から確認しましょう。
- 温泉井戸を屋内に置く温泉施設には、消防法とは別に温泉法施行規則の技術基準が適用されます
- 屋内の温泉井戸やガス分離設備がある部屋には、1時間に10回以上の換気ができるガス換気設備が必要です
- 警報設備は爆発下限界の10%で警報を発する構造でなければなりません
- 温泉井戸は、検知器が爆発下限界の25%を検知すると動力や自噴を自動で止める構造が求められます
- 点検は毎日1回以上行い、記録を2年間保存しなければなりません
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目次
温泉施設の可燃性ガス対策はなぜ二つの法律にまたがるのか

しかし温泉井戸を屋内に置く場合は、温泉法にも独自の技術基準が用意されています。
この許可がなければ、温泉を汲み上げることはできません。
そしてこの許可の条件のひとつが、可燃性天然ガスによる災害の防止に関する技術上の基準への適合です。
つまり温泉を汲み上げる行為そのものが、消防法とは別の入口で規制されています。
平成19年の東京都渋谷区での温泉施設爆発事故を機に、この技術基準が整備されました。
自施設の源泉設備が屋内にあるかどうかが、最初の分かれ目になります。
温泉を汲み上げること自体が許可制だったんですね。
そのとおりです。
次は屋内に置く場合の具体的な基準を見ていきましょう。
温泉井戸を屋内に置くとどんな設備が必要になるのか

どの程度の能力が必要なのか、条文で確認しましょう。
これは自然換気で足りるという簡易な基準ではなく、専用の設備を前提にした数値です。
そしてこの換気設備は、常時運転していることが原則になります。
長期間温泉の採取を行わず、かつ建物の電気を止めている期間だけが例外です。
営業を続けている限り、換気設備を止めてよい場面はほとんどありません。
営業していない時間帯だけ換気を止めるのはだめなんですね。
営業中は常時運転が原則です。
次は警報設備と自動で止まる仕組みを見ていきましょう。
警報設備が作動したら温泉井戸はどうなるのか

特徴的なのは、警報だけでなく設備そのものを止める仕組みまで求められている点です。
メタン濃度が爆発下限界の10%に達すると、関係者が常駐する場所で警報が鳴ります。
さらに濃度が25%まで上がると、温泉井戸そのものの動力や自噴を自動で止める構造が必要です。
警報だけを鳴らして終わりではなく、汲み上げを止めるところまでが基準の範囲に入ります。
自施設の警報設備が、この二段階の作動を満たしているかを確認しておきましょう。
警報が鳴るだけでなく、汲み上げまで止まる仕組みなんですね。
そのとおりです。
次は実務で見落としやすい点を確認しましょう。
実務で見落としやすいのはどこか

確認と記録の手続きにも、見落としやすい条件があります。
換気設備や警報設備を自前で用意しただけでは足りず、実地の確認という手続きが挟まります。
さらに警報設備が作動した状況などは記録し、2年間保存することが義務付けられています。
消防法のガス漏れ火災警報設備とは別の記録簿として管理しておく必要がある点にも注意しましょう。
「設備を付けて終わり」ではなく、確認と記録まで含めて基準の一部だと考えてください。
設備さえ設置すれば終わりだと思っていました。
確認と記録まで含めての基準です。
最後に、明日からの確認事項をまとめます。
明日からなにを確認すればよいのか

温泉法の基準は、日々の点検まで具体的に定めています。
該当する場合は、毎日1回以上、携帯型の可燃性ガス測定器でメタン濃度を測定する体制があるかを見直しましょう。
あわせて、換気設備と警報設備の異常の有無を目視で確認する日々の点検も欠かせません。
消防法のガス漏れ火災警報設備の点検とあわせて、温泉法側の点検・記録の体制も一度整理しておくと安心です。
判断に迷う点があれば、早めに所轄消防署や㈱防災屋にご相談ください。
今度の点検で、うちの点検・記録の体制を見直してみます。
それがいちばん確実な方法です。
気になる点があれば、いつでもご相談ください。
よくある質問
まとめ
消防法だけでなく温泉法まで確認する理由が分かりました!
今度の点検であわせて見直します。
屋内に源泉がある施設ならではの注意点です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 温泉法第14条の2第2項第1号
- 温泉法施行規則第6条の3第3項第1号、第3号、第4号、第5号、第6号、第11号、第12号
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





