火災のとき、非常放送は「火事です。火事です。」と日本語のメッセージで避難を呼びかけます。
しかし、ホテルや駅、競技場には日本語が分からない利用者も大勢います。
大阪市消防局の「消防用設備等の設置に係る運用基準」は、こうした建物の非常放送に外国語のメッセージを付ける取扱いを定めています。
では大阪市では、どんな建物で、何か国語を、どのくらいの長さで流せばよいのでしょうか。
この記事では、国の通知と大阪市の運用基準を分けて読み、津市・四日市市・堺市・東大阪市の基準とも比べます。
大阪市でホテルを管理しています。
非常放送を英語でも流すように言われました。
大阪市の運用基準には、日本語の後に原則として英語を付ける取扱いがあります。
対象の建物も基準の中で決まっています。
中国語や韓国語も入れたいのですが、いくつまで足せるのですか。
4か国語以内が目安です。
国の通知から順に確かめましょう。
- 外国語のメッセージの付け方は、消防庁の通知「放送設備の設置に係る技術上の基準の運用について」に平成30年の改正で加えられました
- 大阪市の運用基準は、対象を競技場・ホテルや旅館・駅舎や空港と、それらの部分がある建物と定めています
- 日本語メッセージの後に原則として英語を付け、中国語や韓国語などを英語に代えたり、英語の後に足したりできます
- 言語は4か国語以内、放送の1単位は感知器発報放送と非火災報放送で60秒、火災放送で90秒を目安にできる限り短くします
- 津市・四日市市にも同じ趣旨の規定があり、四日市市は言語の並べ方の例まで示しています。堺市と東大阪市の公開の基準には外国語メッセージの記載は見当たりません
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目次
国の基準では非常放送に外国語を付けることはどう決まっているのか

放送設備の細かい基準は、消防法施行規則第25条の2が定めています。その第3項は、さらに消防庁長官が定める基準に適合することを求めています。
平成6年の通知「放送設備の設置に係る技術上の基準の運用について」(消防予第22号)は、平成30年3月29日の消防予第255号で改正され、外国人に配慮したメッセージの項目が加わりました。
ア 日本語メッセージの後に、原則として英語のメッセージを付加する。
ガイドラインは、多言語化の手段のひとつとして22号通知で外国語メッセージを付けた非常用の放送設備を挙げています。
外国語の放送は、国の通知の段階で決まっているのですね。
はい、平成30年の通知改正で加わりました。
次の見出しで大阪市の取扱いを読みます。
大阪市で外国人が多数利用する防火対象物とはどんな建物か

(1) 令別表第1(1)項イに掲げる防火対象物で、競技場の用途に供されるもの
(2) 令別表第1(5)項イに掲げる防火対象物(旅館、ホテル、宿泊所その他これらに類するもの)
(3) 令別表第1(10)項に掲げる防火対象物で、駅舎又は空港の用途に供されるもの
(4) その他の防火対象物で、(1)から(3)までのいずれかの用途に供される部分が存するもの
(4)があるので、ホテルが入った複合ビルや、駅と一体の商業ビルも対象に入ります。建物全体の用途が(16)項イでも、その中に(5)項イの部分があれば、この定義に当たります。
- 大阪市の運用基準 第3 1(2)ソ(イ)が、「外国人が多数利用する防火対象物」で外国語メッセージを付けるとする
- その言葉の意味は、同じ節の第1 用語の意義 11にさかのぼって読む
- 第1 11の(1)〜(4)は、消防予第254号のガイドライン 第二 1の対象施設と同じ並び
- メッセージの中身(ソ(イ)のA〜D)は、22号通知 6(2)のア〜エと同じ趣旨
ホテルが入っている複合ビルも、対象になるのですね。
はい、(4)で部分がある建物も含まれます。
実態に応じた対応は所轄と相談しましょう。
大阪市で外国語のメッセージは何か国語まで何秒で流すのか

A 日本語メッセージの後に、原則として英語のメッセージを付加すること。ただし、当該防火対象物の実態等に応じて、中国語(北京語の発音と北京語を含む北方方言の文法、語彙を基礎とする共通語をいう。)、韓国語その他の外国語を英語に代えて、又は、日本語と英語の後に付加しても差し支えないこと
B メッセージの繰り返し時間が必要以上に長くならないよう、4ヶ国語以内とし、告示第6号第4第4号(1)に規定する放送の1単位を感知器発報放送及び非火災報放送にあっては60秒、火災放送にあっては90秒を目安として、できる限り短くすること
C 感知器発報放送、火災放送及び非火災報放送で使用する外国語は同一のものとすること
D メッセージは努めて理解しやすい表現とすること
- 最初に日本語のメッセージを流す(Aの「日本語メッセージの後に」)
- 続けて原則として英語を流す。利用者に合わせて中国語・韓国語などを英語に代えるか、英語の後に足す(A)
- 言語は日本語を含めて4か国語以内にする(B)
- 放送の1単位を、感知器発報放送と非火災報放送は60秒、火災放送は90秒を目安にできる限り短くする(B)
- 3種類の放送で同じ外国語を使い、表現は努めて分かりやすくする(C・D)
| 放送の種類 | 始まるとき | 1単位の目安 |
|---|---|---|
| 感知器発報放送 | 感知器が作動したとき | 60秒 |
| 火災放送 | 火災が確認されたとき | 90秒 |
| 非火災報放送 | 火災でないと確認されたとき | 60秒 |
言語を増やすほど1回の放送が長くなり、次の放送に移るまでに伝えられる回数が減ります。4か国語と60秒・90秒の目安は、その兼ね合いを考えた上限と読めます。
言語を増やしすぎると、1回の放送が長くなってしまうのですね。
はい、4か国語以内で、できる限り短くが基準です。
3つの放送で言語をそろえましょう。
大阪市の放送文はどう決まっていて場所を省いてよいのはどんなときか

「ただいま○階の火災感知器が作動しました。係員が確認しておりますので、次の放送にご注意下さい。」
B 火災放送
「火事です。火事です。○階で火災が発生しました。落ち着いて避難して下さい。」
C 非火災報放送
「さきほどの火災感知器の作動は、確認の結果、異常がありませんでした。ご安心下さい。」
この特例は、22号通知の6(3)アにも同じ趣旨が書かれています。大阪市はこれにエレベーター機械室で昇降路を警戒する感知器を含むと書き足しています。外国語のメッセージでも、場所を省く扱いをそろえておくと聞き手が迷いません。
階段の感知器なら、「何階で」と言わなくてもよいのですね。
はい、たて穴部分の感知器か手動の起動なら省けます。
外国語の文でも同じ扱いにしましょう。
津市や四日市市・堺市・東大阪市の基準ではどう書かれているのか

(例)日本語→英語→日本語→中国語→日本語→韓国語
津市の基準は、英語を原則とし実態に応じて英語以外の言語にできること、3種類の放送で外国語を同じにすること、分かりやすい表現にすることの3項目です。4か国語以内や60秒・90秒の目安は、津市の該当部分には書かれていません。
| 項目 | 大阪市 | 四日市市 | 津市 | 堺市・東大阪市 |
|---|---|---|---|---|
| 対象の建物の定義(非常警報設備の節) | 第1 11で4つを列挙 | 記載なし | 記載なし | 記載なし |
| 日本語の後に原則英語 | あり | あり | あり | 記載なし |
| 4か国語以内 | あり | あり | 記載なし | 記載なし |
| 60秒・90秒の目安 | あり | あり | 記載なし | 記載なし |
| 3つの放送で同じ外国語 | あり | あり | あり | 記載なし |
| 言語の並べ方の例 | 記載なし | あり | 記載なし | 記載なし |
「記載なし」は、その市で外国語の放送をしなくてよいという意味ではありません。国の22号通知とガイドラインは全国に向けた通知なので、堺市や東大阪市のホテルや駅でも、外国語を付ける計画なら所轄の消防署に相談してください。堺市の放送区域の特例は堺市の非常放送の区域の記事で読めます。
大阪府内でも、市によって基準に書いてある内容が違うのですね。
はい、大阪市は対象と言語数まで基準に書いています。
他市では国の通知を元に相談しましょう。
よくある質問
まとめ
まず今の放送の言語と長さを確かめます。
英語を付けるなら所轄に相談します!
大阪市では、日本語の後に英語、4か国語以内が要点です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第6節 非常警報設備(放送設備)第1 用語の意義 7〜9・11、第3 1(2)ソ(ア)〜(ウ) https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html
- 消防庁予防課長通知「「放送設備の設置に係る技術上の基準の運用について」の一部改正について」(平成30年3月29日 消防予第255号) 通知のPDF
- 消防庁予防課長通知「放送設備の設置に係る技術上の基準の運用について」(平成6年2月1日 消防予第22号)6 通知のPDF
- 消防庁予防課長通知「外国人来訪者や障害者等が利用する施設における災害情報の伝達及び避難誘導に関するガイドライン」について(平成30年3月29日 消防予第254号)ガイドライン 第二 1 通知のPDF
- 四日市市消防本部「四日市市消防同意事務審査基準」第2章 第14 非常警報設備 警報設備のPDF
- 津市消防本部「津市予防事務審査検査基準」5-15 非常警報設備 5-15のPDF
- 堺市消防局「消防同意・消防用設備等審査基準」第16 非常警報設備 https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
- 東大阪市消防局 公開の運用基準 https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000041303.html
- 消防法施行令 第24条第3項・消防法施行規則 第25条の2第3項(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令・消防庁の通知および大阪市・四日市市・津市・堺市・東大阪市の公開資料に基づく一般的な解説です。運用基準や審査基準は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認してください。各市の資料は2026年10月時点の公開版で確認しています。個々の建物で外国語のメッセージをどう付けるかは、所轄の消防署にご確認ください。





