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産業廃棄物の保管場所はなぜ消防と合同で調べられるのか|常総市の火災を機とした関係部局連携の通知を解説

産業廃棄物はなぜ消防と合同で調べるのかを解説する記事のアイキャッチ画像

大量に集積・保管された産業廃棄物や使用済みの家電が燃えると、鎮火まで何日もかかることがあります。
令和元年に茨城県常総市で起きた火災は、鎮火までに13日間を要しました。
この火災を機に、消防と廃棄物担当部局は保管場所への合同立入検査という形で連携を強めています。
この記事では通知の中身と、保管場所を持つ事業者が今すぐ確認すべき点を解説します。

うちの廃棄物の保管場所にも、消防が急に来ることがあるんでしょうか。

令和元年の通知で、廃棄物担当部局との合同立入検査が示されました。

産業廃棄物じゃなくても対象になるんですか。

使用済みの家電なども対象になる場合があります。
この記事で仕組みを解説します!

この記事の結論
  • 令和元年5月の茨城県常総市の火災(鎮火まで13日間)を機に、環境省と消防庁は関係部局の連携を求める通知を出した
  • 対象は産業廃棄物だけでなく有害使用済機器(使用済みの家電製品等)の保管場所も含まれる
  • 消防機関は保管場所の実態把握と警防計画の策定を進めるよう求められている
  • 基準に適合しない場合は改善命令や措置命令の対象になる
  • 届出をしていない業者や廃業したはずの業者も指導・命令の対象になる

常総市の火災を機に環境省と消防庁が通知を出し実態把握と合同立入検査に至る経緯を示す図解

産業廃棄物の保管場所はなぜ消防が調べるようになったのか

産業廃棄物の集積場所で黒煙が上がり消防車が放水する様子
大量に積まれた廃棄物や使用済み家電は、一度火が入ると消せません。
その現実を突きつけたのが、令和元年に茨城県で起きた火災でした。
令和元年5月15日に茨城県常総市坂手町地内の有害使用済機器又はその疑いのある物の保管場所において火災が発生し、鎮火までに13日間を要する事態となった。また、同様に、全国各地の産業廃棄物処理施設等においても火災が発生している状況にある(「有害使用済機器及び産業廃棄物の保管場所等における火災防止について」令和元年7月18日付環循規発第1907181号)
この火災をきっかけに、消防と廃棄物部局は手を組みました。
環境省の通知を受けて消防庁も同日付で事務連絡を発出し、産業廃棄物担当部局と消防機関が連携して指導にあたることを都道府県に示しました。
背景には、産業廃棄物等の火災がここ数年年間500件前後発生してきたという事情もあります。
平成9年11月には岐阜県で大量に集積された廃タイヤ・廃プラスチックが燃え、消火に長時間を要した例もありました。
道路や水利の事情が悪く、山積みの荷が有効な注水を妨げるため、鎮火まで時間がかかりやすいのがこの種の火災の特徴です。

うちの近くにも廃材が積まれた土地があります。
あれも対象になるんでしょうか。

産業廃棄物や使用済み家電を大量に集積・保管している場所であれば対象になり得ます。
量や種類は問いません

どんな保管場所がこの連携の対象になるのか

産業廃棄物と使用済みの家電製品が並んで集積されている保管場所
対象は「産業廃棄物」という言葉のイメージより広く設定されています。
使用済みの家電製品も、条件次第で同じ扱いを受けます。
有害使用済機器においては、主要部材にプラスチック等の可燃物が使用されているほか、火災の原因となり得る電池、油等の混入の可能性があることから、保管に係る基準において、火災防止の観点から高さ制限の規定が設けられているとともに、延焼防止及び消火活動の円滑化の観点から集積面積及び離隔距離についても規定されている(令和元年7月18日付環循規発第1907181号)
法第十七条の二第一項の政令で定める機器は、次に掲げる機器(一般消費者が通常生活の用に供する機器及びこれと同様の構造を有するものに限り、その附属品を含む。)であつて、使用を終了し、収集されたもの(廃棄物を除く。)とする(廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第16条の2)
対象は「廃棄物」に限りません。
エアコンや電気冷蔵庫など、一般消費者が使う機器で使用を終えたものは「有害使用済機器」として同じ枠組みに入ります。
使用済みの機器がまだ廃棄物と判断されていない段階でも、対象から外れるわけではありません。
産業廃棄物処理業者が有害使用済機器を保管する場合も、産業廃棄物と同じような離隔距離をとることが望ましいとされています。
「うちは廃棄物を扱っていない」という思い込みは、油断のもとになります。

うちはリサイクル目的で古い家電を集めているだけです。
それでも対象になりますか。

廃棄物と判断されなくても、有害使用済機器として同じ基準が及ぶことがあります。

実態把握と警防計画では何が求められるのか

消防職員が保管場所の地図を広げ重機の横で警防計画を確認している様子
通知が求めているのは、火が出てから慌てないための準備です。
平成10年の通知が、今もその土台になっています。
消防機関においては、平素から廃棄物担当部局等との密接な連携を図り、産業廃棄物等の実態把握及び火災予防措置をはじめとする各種対策を講じておくことが必要である(「産業廃棄物等に係る消防対策について」平成10年2月5日付消防消第15号・消防予第15号・消防危第11号)
準備の柱は実態把握と計画づくりです。
消防機関は保管場所の所在・種類・量・関係者を把握したうえで、保管場所ごとの警防計画をあらかじめ策定するよう求められています。
計画には、消火に使った水が河川等に流れ出さないための対策も盛り込むこととされています。
重機を使った消火活動が有効な場面も多いため、重機を持つ民間企業との協力体制を整えておくことも対策の一つです。
令和元年の通知では、この実態把握を廃棄物担当部局の立入検査に同行する形で進めることが示されました。

警防計画って、うちの会社にも関係あるんですか。

消防が計画を作る際、事業者から保管の状況を聞き取ることがあります。
協力をお願いします。

実務で見落としやすいのはどこか

再生利用目的で集積された古い自動車の保管地
「うちは対象外」と思い込むと、指導が届いたときに戸惑います。
通知が挙げる見落としやすい点を確認しておきましょう。
有害使用済機器保管等業者が、届出をせず、又は虚偽の届出をした場合には、直罰の対象となるものであることから、これらの事実を把握した場合にも、厳正に対処されたい。なお、有害使用済機器に係る報告徴収、立入検査、改善命令及び措置命令については、届出義務に違反して届出を行っていない者も対象となる(令和元年7月18日付環循規発第1907181号)
届出をしていないことは、対象から外れる理由になりません。
むしろ無届けであること自体が直罰の対象になり得ると通知は明記しています。
再生利用のために集められた廃自動車は産業廃棄物に該当しない場合がありますが、同じ対策の対象として扱うよう求められています。
平成9年には富山県・大分県で大規模な廃自動車の火災が相次いだことも、この扱いの根拠になっています。
「これは廃棄物じゃないから関係ない」という判断こそが、通知が最も警戒している落とし穴です。

廃車を再利用目的で置いているだけなら、対象外ですよね。

そうとは限りません
過去の大規模火災を踏まえ、同じ対策の対象として扱われます。

明日からなにを確認すればよいのか

作業員が保管場所で離隔距離をレーザー測定器で自主点検している様子
通知の内容は、事業者側の備えがあってはじめて活きてきます。
今日からできる確認を整理します。
産業廃棄物、有害使用済機器又はそれらの疑いのある物の保管場所等に対しては立入検査を実施し、保管状況等の把握に努め、適宜必要な指導を行われたい(令和元年7月18日付環循規発第1907181号)
まずは自分の保管場所を数字で見直すことから始まります。
高さ・集積面積・離隔距離が基準の範囲に収まっているか、自主的に点検してください。
担当部局や消防から実態把握の照会があれば、所在・種類・量を正確に伝えられるよう準備しておきましょう。
合同での立入検査が行われる場合があることも踏まえ、資料をすぐ示せる状態にしておくと安心です。
大量に集積する予定があるときは、事前に消防へ相談しておくと、警防計画に反映してもらいやすくなります。

何から手をつければいいか分かりました。
まず現場の距離を測ってみます!

それが一番の近道です。
記録を残しておくと、立入検査のときにも役立ちますよ。

よくある質問

Q産業廃棄物処理業の許可を持っていれば、この通知の対象外になりますか?
Aいいえ。許可の有無にかかわらず、大量に集積・保管する場所であれば実態把握や立入検査の対象になります。
Q有害使用済機器とは具体的に何を指しますか?
Aエアコンや電気冷蔵庫など、一般消費者が生活で使う機器で使用を終えたもののうち、廃棄物処理法施行令が定めるものを指します。
Q合同立入検査は必ず行われるのですか?
A通知は「必要に応じて」消防機関と合同で行うよう示しており、すべての立入検査が合同になるわけではありません。担当部局からの相談等をきっかけに行われます。
Q基準に違反すると具体的にどうなりますか?
A改善命令や措置命令といった行政処分の対象になるほか、無届けの場合は直罰の対象になることもあります。

まとめ

令和元年5月の茨城県常総市の火災(鎮火まで13日間)を機に、環境省と消防庁は関係部局の連携を求める通知を出した
対象は産業廃棄物だけでなく有害使用済機器(使用済みの家電製品等)の保管場所も含まれる
消防機関は保管場所の所在・種類・量を把握し、警防計画をあらかじめ策定するよう求められている
重機を持つ民間企業との協力体制も対策の一つに挙げられている
届出をしていない業者も報告徴収や立入検査、改善命令・措置命令の対象になる
再生利用目的の廃自動車の集積も同じ対策の対象として扱われる
事業者は高さ・集積面積・離隔距離を自主点検し、立入検査に備えておくことが望ましい

思っていたより対象が広いんですね。
うちも一度見直してみます!

早めの見直しが一番大切です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 有害使用済機器及び産業廃棄物の保管場所等の防火対策等に係る関係部局との連携について(令和元年7月18日付事務連絡)消防庁消防・救急課/消防庁予防課/消防庁危険物保安室
  • 有害使用済機器及び産業廃棄物の保管場所等における火災防止について(通知)(令和元年7月18日付環循規発第1907181号)環境省環境再生・資源循環局廃棄物規制課長
  • 産業廃棄物等に係る消防対策について(平成10年2月5日付消防消第15号・消防予第15号・消防危第11号)
  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第16条の2

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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