平成18年8月4日、消防庁危険物保安室長が消防危第181号を出しました。
セルフスタンドの給油中に燃料が吹きこぼれ、引火すれば給油している人に被害が及ぶおそれがあるためです。
通知は、顧客への給油方法の周知と、給油ノズルなどの維持管理を求めています。
この記事では、通知の中身と、現行の規則で確かめられる点を解説します。
セルフスタンドで、燃料が吹きこぼれることがあるのですか。
給油中に吹きこぼれると、引火のおそれがあります。
まず、通知が何を求めたのかを確かめましょう。
通知は、どんなことを求めているのですか。
顧客への周知と日常点検の二つです。
順に見ていきます。
- 消防危第181号(平成18年8月4日、消防庁危険物保安室長)は、セルフスタンドの吹きこぼれ対策を示した通知です。
- 満量停止装置(オートストップ)は、流量が一定以下の場合や、給油ノズルを奥まで差し込まない場合に機能しないおそれがあるとされています。
- 顧客には、ノズルを奥まで差し込み、レバーを完全に握って給油し、満量停止後に継ぎ足さないよう周知します。
- 給油ノズル等は、法定点検に加えて日常点検を行い、変形等の異常があれば速やかに使用を停止します。
- 現行の規則も、給油ノズルの満量停止構造と、噴出時に顧客へ飛散しないための措置を求めています。
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目次
セルフスタンドの吹きこぼれはなぜ平成18年に通知されたのか

まず、通知の本文を確かめます。
給油中に燃料の吹きこぼれが発生し、これに引火した場合には、給油作業を実施している人に被害が生ずることが予想されることから、吹きこぼれを防止することが必要です。とりわけ、顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所(セルフスタンド)については、ガソリン等の危険物について十分な知識を有しない一般の顧客が自ら給油することから、特に吹きこぼれの防止について顧客に対する周知徹底を図ることが必要です。
通知の前文によると、石油連盟など4団体が実態調査を行い、7月27日に調査結果と安全対策を取りまとめた報告書が消防庁に報告されました。
セルフスタンドでは、ガソリン等の危険物について十分な知識を有しない一般の顧客が自ら給油します。
そのため通知は、顧客への周知徹底を特に求めています。
| 項目 | 通知の内容 |
|---|---|
| 発出 | 平成18年8月4日、消防庁危険物保安室長 |
| 宛先 | 各都道府県消防防災主管部長、東京消防庁・各指定都市消防長 |
| 背景 | 石油連盟など4団体の実態調査(報告書は7月27日に消防庁へ報告) |
| 求め | セルフスタンドの関係者への周知徹底(都道府県は管内市町村へも周知) |
一般の顧客が自分で給油するから、周知が大事なのですね。
はい、通知は顧客への周知徹底を特に求めています。
次に、満量停止装置の限界を確かめましょう。
満量停止装置(オートストップ)はどんなときに働かないおそれがあるのか

まず、通知の本文と、現行の条文を確かめます。
固定給油設備に備えられている満量停止装置(オートストップ)は、流量が一定以下の場合又は給油ノズルを奥まで差し込まない場合には機能しないおそれのあることから、給油ノズルを奥まで差し込み、レバーを完全に握って給油するとともに、一度満量停止した場合に継ぎ足して給油しないよう、固定給油設備にこの旨を表示する等当該セルフスタンドを利用する顧客に周知すること。
給油ノズルは、自動車等の燃料タンクが満量となったときに給油を自動的に停止する構造のものとするとともに、自動車等の燃料タンク給油口から危険物が噴出した場合において顧客に危険物が飛散しないための措置を講ずること。
通知は、流量が一定以下の場合と、給油ノズルを奥まで差し込まない場合を挙げています。
そのうえで顧客に、奥まで差し込み、レバーを完全に握って給油するよう周知することを求めています。
現行の規則は、満量停止の構造に加えて、噴出したときに顧客へ危険物が飛散しない措置まで求めています。
通知は、満量停止の機能の確保を消防庁で検討するとも述べていました。
| 区分 | 通知の内容 |
|---|---|
| 機能しないおそれ | 流量が一定以下の場合 |
| 機能しないおそれ | 給油ノズルを奥まで差し込まない場合 |
| 顧客に周知すること | ノズルを奥まで差し込む、レバーを完全に握る、満量停止後に継ぎ足さない |
装置があっても、使い方が悪いと止まらないのですね。
はい、通知は止まらないおそれを挙げています。
次に、顧客への周知の方法を見ましょう。
満量で止まったあとの継ぎ足しはなぜ周知の対象なのか

まず、現行の規則の表示の条文を確かめます。
顧客用固定給油設備及び顧客用固定注油設備にあっては、その給油ホース等の直近その他の見やすい箇所に、ホース機器等の使用方法及び危険物の品目を表示すること。
周知の方法として、固定給油設備にその旨を表示する等と書かれています。表示は、手段の一例です。
現行の規則も、給油ホース等の直近などの見やすい箇所に、ホース機器等の使用方法を表示することを求めています。
継ぎ足しの禁止が規則の使用方法の表示に含まれるかどうかは、通知には書かれていません。
通知が継ぎ足しを挙げた理由も、本文には書かれていません。通知の趣旨は、吹きこぼれの防止です。
満量で止まったら、そこで終わりにするのですね。
はい、通知は継ぎ足さないよう周知することを求めています。
次に、給油ノズルの維持管理を確かめましょう。
給油ノズルの維持管理は法定点検だけでよいのか

まず、通知の本文と、現行の条文を確かめます。
満量停止装置をはじめとする給油の安全確保の装置等は、適正な維持管理が行われて初めて機能するものであることから、給油ノズル等について法定点検に加えて日常点検を行い、基準に適合したものであることを確認すること。また、変形等の異常があった場合には、速やかに使用を停止し、交換や修理を行うこと。
給油ホースの先端部に手動開閉装置を備えた給油ノズルを設けること。
満量停止装置などは、適正な維持管理が行われて初めて機能するとされています。
確認する「基準」の中身は、通知には書かれていません。現行の規則では、第2号ニが満量停止の構造を、第2号イが手動開閉装置を備えた給油ノズルを求めています。
変形などの異常があったときは、速やかに使用を停止し、交換や修理を行います。
| 段階 | 通知の内容 |
|---|---|
| 点検 | 給油ノズル等について、法定点検に加えて日常点検を行う |
| 確認 | 基準に適合したものであることを確認する |
| 異常時 | 変形等の異常があった場合は、速やかに使用を停止する |
| 対応 | 使用を停止したうえで、交換や修理を行う |
点検は、年に決まった時期だけではないのですね。
はい、通知は日常点検を加えるよう求めています。
最後に、確認する手順をまとめます。
明日からセルフスタンドで何を確認すればよいのか

次に挙げる確認は、通知が利用者に求めたものではなく、この記事の整理です。
- 固定給油設備に、奥まで差し込む、レバーを完全に握る、継ぎ足さないという趣旨の表示があるかを確かめる
- 給油ホース等の直近に、使用方法の表示が見やすく掲げられているかを確かめる
- 給油ノズルに、変形等の異常がないかを、日々の点検で確かめる
- 異常のある給油ノズルは、使用を停止し、交換や修理をしたうえで使う
- 判断に迷ったときは、所轄の消防機関に確かめる
通知は、顧客への周知と、給油ノズル等の維持管理を、二つの柱として示しています。
表示だけ整えても、ノズルに変形があれば満量停止が働かないおそれが残ります。
個々のスタンドにどこまで当てはまるかは、通知には書かれていません。
表示と日常点検を、両方確かめておきます。
まず、表示とノズルの状態を確かめましょう。
迷ったときは、所轄の消防機関に確かめます。
よくある質問
まとめ
表示とノズルの状態を、確かめてから進めます!
セルフスタンドの安全管理は、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防危第181号「顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所における吹きこぼれ対策について」(平成18年8月4日 消防庁危険物保安室長)
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第28条の2の5第2号イ・ニ、第5号ロ e-Gov法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





