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消防設備士試験は誰が実施しているのか|指定試験機関という仕組みを解説

都道府県庁の建物を背景にした消防設備士試験の指定試験機関を表すイメージ

消防設備士に来てもらうと免状を見せてもらえますが、あの試験を誰が実施しているのかまではご存じないかもしれません。
実は「都道府県知事の試験」という建前と、実際の窓口が違うことがあります。
その正体が消防法第17条の9が定める指定試験機関という仕組みです。
この記事では試験の実施主体と免状交付の権限がどう分かれているのかを解説します。

消防設備士さんに来てもらったら、その場で名刺をもらいました。
この試験ってどこの都道府県でも同じ団体がやってるんですかね。

実は試験そのものは都道府県ではなく総務大臣が指定した団体が担当しています。
今日は消防設備士試験の実施の仕組みを整理してご説明しますね。

免状の交付とかも全部その団体がやってるんですか。
窓口が複雑そうで少し不安です。

いえ、免状の交付や監督は今も都道府県知事が持っています。
試験の実施だけが委任される仕組みなんです。

この記事の結論
  • 消防設備士試験を実施するのは本来、都道府県知事です。
  • 都道府県知事は総務大臣が指定する指定試験機関に試験事務を委任できます(消防法第17条の9第1項)。
  • 指定試験機関になろうとする者は、総務大臣に対する申請によって指定を受けます。
  • 委任した都道府県知事は以後その試験事務を自ら行いません(同条第3項)。
  • 免状の交付や返納命令といった権限は、委任後も都道府県知事に残ります。

消防設備士試験の実施が都道府県知事から指定試験機関へ委任される流れを示した図解

消防設備士試験は誰が実施しているのか

都道府県庁の建物と公印付きの書類が試験会場の建物へ渡される様子
消防設備士の免状を見せてもらったことがあっても、その試験を誰が実施しているかまでは意識しないものです。
条文をたどると、実施主体と実務の窓口が分かれていることが分かります。
消防法第十七条の九第一項 都道府県知事は、総務大臣の指定する者に、消防設備士試験の実施に関する事務を行わせることができる。
試験の実施主体は今も都道府県知事のままです。
ただし条文が認めているとおり、総務大臣が指定した団体に実務を任せることができます。
このため受験者から見える窓口は都道府県庁ではなく、指定を受けた団体になっていることが多くなります。
とはいえ法律上の建前は「都道府県知事の試験」のままで、委任は実施に関する事務だけに限られます。
まずはこの委任の仕組みがあることを押さえておきましょう。

都道府県の名前が付いた試験なのに、窓口は別の団体なんですね。
ちょっと不思議な感じがします。

根拠は消防法第17条の9で、都道府県知事が総務大臣の指定する団体に事務を任せられると定められています。
次は誰がその団体になれるのかを見ていきましょう。

指定試験機関にはどんな団体がなれるのか

申請書を差し出す団体の建物と公印を掲げる国の建物の様子
指定試験機関は誰でも名乗り出ればなれるわけではありません。
条文には申請という手続きが明記されています。
消防法第十七条の九第二項 前項の規定による指定は、消防設備士試験の実施に関する事務を行おうとする者の申請により行う。
指定は申請があってはじめて行われます。
消防法第17条の9第4項は危険物取扱者試験の指定試験機関に関する規定を読み替えて準用しており、その一つが役員の選任・解任です。
役員の選任・解任は総務大臣の認可を受けなければ効力を生じないとされています(同項が準用する第13条の9)。
つまり組織の運営そのものが国のチェックを受ける前提で指定が行われているということです。
だれでも簡単に指定試験機関になれるわけではないと分かります。

誰でも名乗り出れば指定試験機関になれるわけじゃないんですね。
役員を選ぶだけでも大臣の認可が要るとは思いませんでした。

申請したうえで総務大臣の指定を受ける必要があります。
役員の選任・解任にも認可が要るので、簡単には変えられない仕組みです。

指定されると都道府県知事の役割はどう変わるのか

扉を閉じた庁舎の建物と机が並ぶ試験会場の建物の様子
委任すれば都道府県は試験と無関係になるのでしょうか。
条文の第3項が答えを示しています。
消防法第十七条の九第三項 都道府県知事は、第一項の規定により総務大臣の指定する者に消防設備士試験の実施に関する事務を行わせるときは、消防設備士試験の実施に関する事務を行わないものとする。
委任した都道府県知事は、以後その試験事務を自ら行いません。
つまり指定試験機関ができると、都道府県庁の窓口で試験そのものを実施することはなくなります。
ただし条文が定めているのは試験の実施事務だけで、免状の交付や監督といった権限まで手放すわけではありません。
実施事務と、免状交付・監督という別の権限を分けて考える必要があります。
次はその監督の中身を見ていきましょう。

委任したら都道府県は試験に関わらなくなるということですか。
丸投げされているみたいで少し心配になります。

第3項の規定で、委任した都道府県知事は自分では試験事務を行わないとされています。
ただし免状の交付や監督まで手放すわけではありません。

指定試験機関は民間に丸投げされているだけなのか

試験会場の建物を虫眼鏡と公印付きの書類が見守る様子
委任した以上、国の目は届かなくなるように思えるかもしれません。
実際には準用規定を通じて監督の仕組みが用意されています。
消防法第十七条の九第四項において準用する第十三条の十八第一項 総務大臣は、指定試験機関が第十三条の六第二項各号(第三号を除く。)のいずれかに該当するに至つたときは、その指定を取り消さなければならない。
指定試験機関は指定後も国の監督下に置かれ続けます。
この規定はもともと危険物取扱者試験の指定試験機関について定めたものですが、消防設備士試験にも同じ内容が準用されています。
役員が法令や試験事務規程に違反する行為をした場合は、総務大臣が役員の解任を命じることもできます。
要件を欠いたり規程違反があったりすれば、指定の取消しや業務停止という重い措置が用意されているわけです。
指定試験機関だからといって、チェックの及ばない民間任せの制度ではありません。

民間の団体に任せきりだと、何かあったときに困りませんか。
チェックする仕組みはあるんでしょうか。

危険物取扱者試験の指定試験機関に関する規定が準用されていて、役員の解任命令や指定取消しの対象になります。
国の監督は委任した後も続いているんです。

受験や免状の手続きでは結局どこに問い合わせればよいのか

受付窓口の机と免状を渡す庁舎の建物の様子
制度の仕組みが分かったところで、実務上の窓口を整理しておきましょう。
試験と免状で問い合わせ先が変わります。
消防法第十七条の七第一項 消防設備士免状は、消防設備士試験に合格した者に対し、都道府県知事が交付する。
試験の申込みは指定試験機関、免状の交付は都道府県知事という分担で覚えるとよいでしょう。
受験案内や合格発表は指定を受けた団体の窓口で行われますが、免状そのものの交付権限は都道府県知事に残っています。
免状の書換えや再交付、返納命令についても同様に都道府県知事の権限です。
問い合わせ先を迷ったときは、まず「試験の話か、免状の話か」を切り分けると窓口を間違えにくくなります。
明日以降、消防設備士に関する手続きで迷ったらこの分担を思い出してください。

結局、受験や免状の手続きはどこに聞けばいいんでしょうか。
混乱しそうです。

試験の申込みは指定試験機関、免状の交付や書換えは都道府県知事という分担で考えれば迷いません。
次に手続きするときはこの分担を思い出してください。

よくある質問

Q消防設備士試験の窓口が都道府県ではなく別の団体になっているのはなぜですか?
A総務大臣が指定した指定試験機関に試験の実施事務が委任されているためです。委任を受けた都道府県知事はその試験事務を自ら行わなくなります(消防法第17条の9第1項・第3項)。
Q指定試験機関はどこの都道府県でも同じところが担当しているのですか?
A指定は総務大臣が行う仕組みで、委任するかどうかは都道府県知事の判断によります。委任先の団体名までは条文に書かれていません。
Q指定試験機関に試験を任せていても国の監督は及ばないのですか?
A及びます。役員の選任・解任には総務大臣の認可が必要で、要件を欠いたり規程に違反したりすれば指定の取消しや業務停止が命じられます。
Q免状の交付や書換えも指定試験機関が行うのですか?
A行いません。免状の交付・書換え・再交付・返納命令といった権限は指定後も都道府県知事に残ったままです。指定試験機関が担うのは試験の実施事務に限られます。

まとめ

消防設備士試験の実施主体は本来、都道府県知事です。
都道府県知事は総務大臣が指定する指定試験機関に試験事務を委任できます(消防法第17条の9第1項)。
指定は指定試験機関になろうとする者からの申請によって行われます。
委任した都道府県知事は以後その試験事務を自ら行いません(同条第3項)。
指定試験機関の役員の選任・解任には総務大臣の認可が必要です。
要件を欠いたり規程に違反したりすれば、指定の取消しや業務停止が命じられます。
免状の交付・書換え・再交付・返納命令の権限は、委任後も都道府県知事が持ち続けます。

窓口が分かれている理由がよく分かりました。
今度、手続きするときは窓口を間違えずに動けそうです。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第十七条の七・第十七条の九
  • 消防法第十三条の六・第十三条の九・第十三条の十八(消防法第十七条の九第四項において準用)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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