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消防への届出書はなぜ押印しなくてよくなったのか|押印の代わりに自署を求めない通知と電子メール提出を解説

消防への届出は押印が不要になったのはなぜかを解説する記事のアイキャッチ画像。窓辺の事務机に白紙の書類の束とペン、壁の消火器が写る写真

防火管理者の選任届や消防計画の届出書には、以前は押印欄がありました。
令和2年12月25日から、消防法令の様式では押印が不要になっています。
消防庁の通知は、押印をやめても代わりの自署を求めるわけではないと書いています。
この記事では、通知の中身と、提出前に確認したい点を整理します。

消防への届出書は、押印がないと受け付けてもらえないと思っていました。

令和2年12月25日から、消防法令の様式では押印が不要になりました。
通知の中身から順に見ていきましょう。

押印をやめたら、代わりに署名が必要になるのでしょうか。

通知は、押印の代わりに自署を求めるものではないとしています。
提出方法の変化も含めて確認します。

この記事の結論
  • 消防庁の通知は、消防関係法令の様式で押印を不要とした改正を、令和2年12月25日に各都道府県などへ伝えたものです。
  • 押印の代わりに自署を求めるものではない、と通知にはっきり書かれています。
  • 押印の廃止に伴い、届出書などを電子メールや電子申請システム等で提出できるようになる、と通知は述べています。
  • 対象には、防火管理者の選任届出書、消防計画の届出書、点検結果報告書の様式などが含まれます。
  • 条例で定める様式や消防本部が独自に求める様式は、消防本部ごとの扱いを確認します。

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消防関係法令の様式で押印欄がなくなり、押印の代わりの自署は求められず、電子メール等でも提出できることを示した図解

消防への届出書はなぜ押印しなくてよくなったのか

机の上に白紙の届出書と、使われていない判子と朱肉、ペンが並ぶイラスト
令和2年12月25日、消防庁は消防関係法令の様式について押印を不要とする改正が施行されたと通知しました。
背景と、通知の冒頭を原文で確認します。
(消防関係法令に基づく書面規制、押印、対面規制の見直し及び手続のオンライン化について(通知) 令和2年12月25日消防総第812号 消防庁次長)新型コロナウイルス感染症の拡大防止や行政サービス等におけるデジタル化の推進に対応すべく、規制改革実施計画(令和2年7月17日閣議決定)において、各府省庁に対し、(略)押印を求めているもの、(略)について、年内に必要な検討を行い、法令、告示、通達等の改正や手続のオンライン化を行うこととされており、本日、消防関連法令に規定されている各様式中の押印を不要とする改正規定が施行されました。
(消防法施行規則の一部を改正する省令等の公布について(通知) 令和2年12月25日消防予第388号 消防庁次長)今回の改正は、消防法令に定める様式の押印削除に関する事項、消防法令に定める各種点検の期間の延長に関する事項、特定共同住宅等における点検基準の合理化に関する事項及び消防設備士免状の写真に関する事項について措置を行うため、関係する省令及び告示を改正するものです。
この改正は、行政手続の書面・押印・対面の見直しの一環として行われました。
通知の冒頭は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止と行政サービスのデジタル化を理由に挙げています。
背景には、規制改革実施計画(令和2年7月17日閣議決定)があり、押印を求める手続の検討が各府省庁に求められていました。
同じ日の消防予第388号は、様式の押印削除を、点検期間の延長などとあわせた省令と告示の改正として伝えています。
消防の届出書だけの話ではなく、国全体の押印見直しの流れの中で行われた改正だと読めます。

なぜ消防の届出書だけ押印がなくなったのかと思っていました。

実は消防だけの話ではなく、国の押印見直しの流れの中での改正です。
次は、対象になる様式を確認しましょう。

どの届出書や報告書が押印の対象になるのか

コルクの掲示板に色の違う白紙の書類が並び、横に消火器と非常ベルが置かれたイラスト
押印を不要とした様式は、消防関係法令が定めるもののうち、これまで押印を求めていたものです。
通知の原文と、届出義務を定める消防法の条文を確認します。
(消防関係法令に基づく書面規制、押印、対面規制の見直し及び手続のオンライン化について(通知) 令和2年12月25日消防総第812号 消防庁次長)消防関係法令の規定に基づき各消防本部等に対し提出することとされている申請書、届出書等(以下「申請書等」という。)のうち、消防関係法令の定める様式において、これまで押印を求めていたものについては、押印を不要としたこと。また、消防庁から発出している通知の定める様式において、これまで押印を求めていたものについても、同様に押印を不要とすること。
(消防法施行規則の一部を改正する省令等の公布について(通知) 令和2年12月25日消防予第388号 消防庁次長)次の表に掲げる各様式について、届出者等の押印を不要とするため、各様式中の㊞マークを削除することとしたこと。
(消防法(昭和23年法律第186号)第8条第2項)前項の権原を有する者は、同項の規定により防火管理者を定めたときは、遅滞なくその旨を所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。
対象は、消防法令の様式のうち、これまで押印を求めていたものです。
消防予第388号の一覧には、消防計画作成(変更)届出書、防火・防災管理者選任(解任)届出書、統括防火・防災管理者選任(解任)届出書などが並んでいます。
消防用設備等(特殊消防用設備等)設置届出書と、工事整備対象設備等着工届出書も、同じ一覧に載っています。
点検結果の報告についても、防火対象物・消防用設備等・防災管理の点検結果報告書の様式が一覧に入っています。
消防庁の通知が定める様式も同じ扱いで、火災予防条例(例)中の標識類や届出書の様式などが、消防予第412号で改正されました。

うちの防火管理者選任届も、押印しなくてよいということですか。

消防法令の様式では、選任届出書の押印欄が削除されています。
提出先の案内も、あわせて確認しましょう。

押印をやめた代わりに自署が必要になるのか

白紙の書類の横に、ペンと小さな判子が触れずに離れて置かれたイラスト
押印がなくなると、代わりに署名が必要だと考える方もいます。
通知は、この点をはっきり書いています。
(消防関係法令に基づく書面規制、押印、対面規制の見直し及び手続のオンライン化について(通知) 令和2年12月25日消防総第812号 消防庁次長)なお、不要とした押印に代わり、申請者、届出者等の自署を求めることとするものではないことに留意すること。
(消防関係法令に基づく書面規制、押印、対面規制の見直し及び手続のオンライン化について(通知) 令和2年12月25日消防総第812号 消防庁次長)また、各地方公共団体の火災予防条例等の条例や規則で定める様式や、法令に基づかないが、各地方公共団体が独自に提出を求める様式(委任状を含む。)で、押印によらずとも真正性等を確認できるものについては、同様に取り扱うことが適当であること。
押印の代わりに自署を求めることは、通知では想定されていません。
通知は、様式中の押印を不要としたうえで、申請者や届出者の自署を求めるものではないと注意しています。
つまり、押印が消えた分を署名で埋める運用は、通知の趣旨ではありません。
条例や規則で定める様式、消防本部が独自に求める様式(委任状を含む)は、押印によらずとも真正性を確認できるものについて同様に扱うのが適当とされています。
この通知は消防組織法第37条に基づく助言なので、条例側の様式の扱いは市町村ごとに決まります。

押印をなくした分、署名をもらっておいたほうが安心でしょうか。

通知は、押印の代わりの自署は求めないとしています。
署名が必要かどうかは、提出先の消防本部に確認しましょう。

押印がなくなると届出の出し方はどう変わるのか

ノートパソコンの上に封筒が浮かび、隣に郵便ポストと封筒が並ぶイラスト
押印がなくなると、書類の持ち込み以外の出し方が現実的になります。
通知の原文と、点検報告の郵送に関する改正を確認します。
(消防関係法令に基づく書面規制、押印、対面規制の見直し及び手続のオンライン化について(通知) 令和2年12月25日消防総第812号 消防庁次長)申請書等については、押印の廃止に伴い、電子メール、電子申請システム等(以下「電子メール等」という。)による提出が可能となること。この場合において、必要があると認められるときは、電話等により所要の確認を行うこと。
(消防関係法令に基づく書面規制、押印、対面規制の見直し及び手続のオンライン化について(通知) 令和2年12月25日消防総第812号 消防庁次長)なお、申請等を受け付ける各地方公共団体等は、受付アドレスの整備等、電子メール等による受付体制の整備を行うとともに、電子メール等による申請等が可能である場合には、その旨を周知・広報することが適当であること。
(消防関係手続(火災予防分野)における書面規制、押印、対面規制の見直し及び手続のオンライン化に係る関係通知の一部改正等について(通知) 令和2年12月25日消防予第412号 消防庁予防課長)今般の改正省令等の公布に伴い、「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた消防法令関係手続における押印の省略等について(通知)」(令和2年5月15日付け消防予第124号・消防危第129号)及び「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた消防関係手続における押印の省略について(通知)」(令和2年5月29日付け消防予第142号・消防危第144号)は廃止すること。
押印がなくなったことで、電子メールなどでの提出が可能になりました。
通知は、押印の廃止に伴って、電子メールや電子申請システム等による提出が可能となると述べています。
必要があると認められるときは、電話等で所要の確認を行うとされているため、提出後に確認の連絡を受ける場合もあります。
点検報告の郵送についても、消防予第412号の改正で、押印がない場合を形式上の要件に適合しない例として挙げていた部分が削られました。
令和2年5月の押印省略の通知(消防予第124号・第142号)は、恒久的な改正に切り替わったため廃止されています。

メールで送ってよいかは、どこを見れば分かりますか。

通知は、可能な場合は消防本部が周知・広報するのが適当としています。
提出先のホームページや窓口で確認しましょう。

届出の担当者は明日から何を確認すればよいのか

小さな消防署の建物の横に白紙の画面と、空欄のチェック欄がある白紙のクリップボードが並ぶイラスト
通知は消防本部などへの助言で、事業所に義務を課すものではありません。
ただ、届出の準備をする立場なら、次の3点を確認しておきたいところです。
(同通知の別添3 デジタル・ガバメント実行計画(令和2年12月25日閣議決定)別紙1(抄))(1)に記載した19手続については、現状、多くの消防本部で書面による受付のみとなっている(一部の消防本部では、電子申請システムや電子メールでの受付を実施)。
確認したいのは、様式・提出方法・社内の手順の3点です。
1点目は、提出先の消防本部が示している様式に、押印欄が残っていないかです。消防法令の様式は押印が不要でも、条例側の様式は市町村の判断になります。
2点目は、提出方法です。持参や郵送のほか、電子メールや電子申請システムで受け付けているかを、消防本部のホームページなどで確認します。
3点目は、社内の届出書のひな形や手順書に、押印を前提にした記載が残っていないかです。押印のための社内の回覧なども見直せる場合があります。
なお、通知の別添は、この時点で19手続の受付が多くの消防本部で書面のみだったと記しているため、提出前の確認は欠かせません。

結局、まず何から確認すればよいでしょうか。

まずは、提出先の消防本部の様式と受付方法を確認しましょう。
押印を前提にした社内の手順も見直しておきます。

よくある質問

Q押印が不要になったのは、防火管理者の選任届出書だけですか?
A消防予第388号の一覧には、防火・防災管理者選任(解任)届出書のほか、消防計画作成(変更)届出書や設置届出書、着工届出書、点検結果報告書の様式なども載っています。個別の様式は、提出先の消防本部にご確認ください。
Q押印を省いた届出書に、代わりの署名を付けてもよいのですか?
A通知は、押印に代わる自署を求めるものではないとしています。署名を付けること自体を禁じる文言は該当の項に書かれていませんが、必要かどうかは提出先の消防本部にご確認ください。
Q電子メールで提出できるかどうかは、どこで分かりますか?
A通知は、電子メール等で受け付けられる場合には、その旨を各消防本部が周知・広報するのが適当としています。提出先の消防本部のホームページや窓口でご確認ください。
Q同じ日の省令改正では、押印のほかに何が変わったのですか?
A消防予第388号は、押印削除のほかに、新型インフルエンザ等の事由で点検が困難なときの点検期間の延長、特定共同住宅等の点検基準の合理化、消防設備士免状の写真に関する改正を挙げています。

まとめ

✔消防法令の様式は、令和2年12月25日から押印が不要になった
✔背景には、規制改革実施計画による書面・押印・対面の見直しがある
✔押印の代わりに自署を求めるものではないと通知に明記されている
✔押印の廃止に伴い、電子メールや電子申請システム等による提出が可能となる
✔条例や消防本部独自の様式は、押印によらず真正性を確認できるものに限り同様に扱うのが適当とされている
✔点検報告の郵送でも、押印がないことを形式上の不備の例とする記載が削られた
✔提出前に、消防本部の様式と受付方法を確認するところから始める

提出前の確認から始めます!

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防関係法令に基づく書面規制、押印、対面規制の見直し及び手続のオンライン化について(通知)(令和2年12月25日 消防総第812号 消防庁次長)
  • 消防法施行規則の一部を改正する省令等の公布について(通知)(令和2年12月25日 消防予第388号 消防庁次長)
  • 消防関係手続(火災予防分野)における書面規制、押印、対面規制の見直し及び手続のオンライン化に係る関係通知の一部改正等について(通知)(令和2年12月25日 消防予第412号 消防庁予防課長)
  • 消防法(昭和23年法律第186号)第8条第2項・第17条の3の3
  • 消防組織法(昭和22年法律第226号)第37条

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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