指定確認検査機関は、建築確認を行う民間の機関ですが、国や自治体からどのような監督を受けているのでしょうか。
命令や報告、立入検査は、条文でどう決められているのでしょうか。
今回は建築基準法第77条の30から第77条の33までを中心に、監督命令、報告と立入検査、特定行政庁の役割、照会と配慮、防火管理者が押さえておきたい点をあわせて解説します。
民間の確認検査機関は、誰かに監督されているのでしょうか。
命令などを受けることがあるのですか。
第77条の30に、監督命令の規定があります。
まず、そこから見ていきましょう。
事務所に立ち入って調べられることもあるのでしょうか。
それは誰が行うのですか。
第77条の31に報告と立入検査の規定があります。
順番に条文を確認していきます。
- 第77条の30は、国土交通大臣等が、確認検査の業務の公正かつ適確な実施を確保するため必要があると認めるときに、指定確認検査機関へ監督上必要な命令をすることができると定めています。
- 国土交通大臣等は、指定確認検査機関に報告を求めたり、職員に事務所への立入検査や質問をさせたりできます(第77条の31第1項)。
- 特定行政庁も職員に立入検査をさせることができ、著しく不適当な行為の事実があると認めるときは、国土交通大臣等に報告しなければなりません(第77条の31第2項・第3項)。
- 指定確認検査機関は特定行政庁に照会でき、国土交通大臣と地方公共団体は必要な配慮をするものとされています(第77条の32第1項・第77条の33)。
- 命令に違反したときは、指定の取消しか業務の停止命令の対象になり得ます(第77条の35第2項第3号)。
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目次
国土交通大臣等は指定確認検査機関にどのような命令ができるのか

なお、条文が書く「国土交通大臣等」は、第77条の21第2項で、指定をした国土交通大臣または都道府県知事のこととされています。
(建築基準法第七十七条の三十第二項)国土交通大臣等は、前項の規定による命令をしたときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。
命令の対象は、その指定に係る指定確認検査機関です。
命令ができるのは、確認検査の業務に関し、監督上必要なものとされています。
命令をしたときは、第2項で、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならないと定められています。 続いて、命令に従わなかったときは、第77条の35第2項第3号が関係します。
各号のうち第3号だけを引用し、ほかの号は(略)で省略します。
一 (略)
二 (略)
三 第七十七条の二十四第五項、第七十七条の二十七第三項又は第七十七条の三十第一項の規定による命令に違反したとき。
四 (略)
五 (略)
六 (略)
第3号には、第77条の24第5項と第77条の27第3項の命令も並んでいます。
取り消すか停止を命ずるかは国土交通大臣等が判断し、取り消したときや停止を命じたときは、第3項で公示しなければならないと定められています。
命令の中身は、条文にすべて書いてあるのですか。
条文が書いているのは、監督上必要な命令ということまでです。
具体的にどのような命令かは、条文には書かれていません。
国土交通大臣等は指定確認検査機関に報告を求めたり事務所に立ち入ったりできるのか

(建築基準法第七十七条の三十一第五項)第十五条の二第二項及び第三項の規定は、第一項及び第二項の場合について準用する。
必要があると認めるのは、確認検査の業務の公正かつ適確な実施を確保するためです。
報告を求めるほかに、職員に、事務所へ立ち入り、業務の状況や帳簿、書類その他の物件を検査させ、関係者に質問させることもできます。
第5項は、第15条の2第2項と第3項の規定を、第1項と第2項の場合に準用すると定めています。 準用される第15条の2の規定は、次のとおりです。
(建築基準法第十五条の二第三項)第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第3項は、同条第1項の権限を、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならないと定めており、第77条の31第5項はこの規定を準用します。
立入検査に来る人は、誰でも構わないのですか。
職員は、身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければなりません。
これは準用される第15条の2第2項の規定です。
特定行政庁は指定確認検査機関の事務所に立ち入り何を指示できるのか

特定行政庁は、建築基準法第2条第35号で定められています。
(建築基準法第七十七条の三十一第三項)特定行政庁は、前項の規定による立入検査の結果、当該指定確認検査機関が、確認検査業務規程に違反する行為をし、又は確認検査の業務に関し著しく不適当な行為をした事実があると認めるときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を国土交通大臣等に報告しなければならない。
(建築基準法第七十七条の三十一第四項)前項の規定による報告を受けた場合において、国土交通大臣等は、必要に応じ、第七十七条の三十五第二項の規定による確認検査の業務の全部又は一部の停止命令その他の措置を講ずるものとする。
第3項は、立入検査の結果、確認検査業務規程に違反する行為や、確認検査の業務に関し著しく不適当な行為をした事実があると認めるときは、国土交通大臣等に報告しなければならないと定めています。
第4項は、報告を受けた国土交通大臣等が、必要に応じ、第77条の35第2項の停止命令その他の措置を講ずるものとしています。
さらに、第77条の32第2項で、特定行政庁は必要な措置をとるべきことを指定確認検査機関に指示できると定められています。
特定行政庁は、指定を取り消すことができるのですか。
第77条の35第2項が取消しや停止命令の主体として書いているのは、国土交通大臣等です。
特定行政庁には、報告と指示の規定があります。
指定確認検査機関から特定行政庁への照会と国や自治体の配慮はどう定められているのか

(建築基準法第七十七条の三十三第一項)国土交通大臣及び地方公共団体は、指定確認検査機関に対して、確認検査の業務の適確な実施に必要な情報の提供その他の必要な配慮をするものとする。
この場合、特定行政庁は、照会をした者に、照会に係る事項の通知その他必要な措置を講ずるものとされています。
第77条の33は、国土交通大臣と地方公共団体が、指定確認検査機関に、業務の適確な実施に必要な情報の提供その他の必要な配慮をするものとしています。
命令や立入検査のような監督の規定だけでなく、機関に配慮する規定も置かれていることが分かります。
照会すれば、特定行政庁は必ず答えてくれるのですか。
条文は、通知その他必要な措置を講ずるものとすると書いています。
どこまでの措置かは、条文には書かれていません。
指定確認検査機関の監督の規定を防火管理の現場ではどのように受け止めればよいのか

分けて読むと、混乱しにくくなります。
| 項目 | 条文の書き方 | 押さえる点 |
|---|---|---|
| 監督命令 | 国土交通大臣等は、監督上必要な命令をすることができ、命令したときは公示する(第77条の30) | 命令する主体は国土交通大臣等です |
| 報告と立入検査 | 国土交通大臣等は、報告を求め、職員に事務所への立入検査や質問をさせることができる(第77条の31第1項) | 職員は身分を示す証明書を携帯します |
| 特定行政庁の役割 | 立入検査ができ、事実があると認めるときは国土交通大臣等に報告し、必要な措置を指示できる(第77条の31第2項・第3項、第77条の32第2項) | 報告と指示の規定です |
| 照会と配慮 | 指定確認検査機関は特定行政庁に照会でき、国土交通大臣と地方公共団体は必要な配慮をする(第77条の32第1項、第77条の33) | 機関を支える規定もあります |
| 違反したとき | 命令に違反したときは、指定の取消しか業務の停止を命ずることができ、公示される(第77条の35第2項第3号、第3項) | 国土交通大臣等が判断します |
この規定は、防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
また、第77条の30から第77条の33までには、命令の具体的な内容、公示の方法、報告の様式などは書かれていません。
確認済証や検査済証を受けている建物では、発行元の機関と日付を控えておくと、後の相談で慌てずに済みます。
明日から、次の点を確認してください。
- 建物の確認済証や検査済証が、どの機関の発行かを施工業者に尋ねて控えておく。
- 書類の名称、日付、番号を、施工業者から書面でもらって保管する。
- 機関の指定に関する公示は、国土交通大臣等が行うので、必要なときは建築の窓口で確かめる。
- 建築確認や検査で分からないことは、特定行政庁の窓口に問い合わせる。
- 建築の話と消防の話は別の制度なので、両方の窓口へ確かめる。
建築の窓口と所轄消防署に、それぞれ確かめておきましょう。
監督の決まりは分かりました。
現場では、何から確かめればよいですか。
書類の発行元と日付を、施工業者に確認して控えておきましょう。
消防の基準は、所轄消防署に別に確かめます。
よくある質問
まとめ
監督や立入検査の仕組みがよく分かりました。
書類の発行元を、施工業者に確認します!
建築の確認検査と消防の基準は別なので、両方を確かめておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第七十七条の三十・第七十七条の三十一・第七十七条の三十二・第七十七条の三十三・第七十七条の三十五・第七十七条の二十一・第十五条の二・第二条(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。監督や立入検査の運用は機関と建築の窓口ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





