消火器の点検に、本体容器へ水を入れて圧力をかける作業があることを、ご存じでしょうか。
消防庁は、平成22年12月22日の消防予第557号で、この耐圧性能の点検の扱いを示しました。
通知には、製造年から10年を経過した消火器の抜取り点検が、平成26年3月31日までの経過措置だったことも書かれています。
この記事では、対象になる消火器、水圧のかけ方、抜取りが終わった経緯、明日から確かめることを解説します。
消火器の点検で、水圧をかける点検があるのですか。
うちの消火器も対象なのか気になります。
はい、消火器には耐圧性能の点検があります。
まず、消防庁の通知から確かめましょう。
どの消火器が対象になるのですか。
製造から10年を経過したものなどが対象です。
順に見ていきます。
- 消防庁予防課長は、平成22年12月22日の消防予第557号で、点検要領の「第1 消火器具」を差し替え、耐圧性能の点検の扱いを示しました。
- 耐圧性能の点検は、製造年から10年を経過した消火器か、外形の点検で本体容器に腐食等が認められた消火器が対象で、この点検から3年を経過していないものは除かれます。
- 点検では、本体容器を水で満たし、容器に表示された耐圧試験圧力値まで徐々に昇圧して5分間かけ、変形、損傷、漏れがないかを確認します。
- 製造年から10年を経過した消火器の抜取り方式は、平成26年3月31日までの経過措置で、同年4月1日以降は10年を経過したものすべてが対象です。
- 消火器具の機器点検は6月ごとで、耐圧性能の点検は告示が定める機器点検の項目の一つです。
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目次
消防庁はなぜ消火器の点検要領を一部改正する通知を出したのか

まず、その部分を引いて確かめます。
消防用設備等の点検については、「消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件」(昭和50年消防庁告示第14号)により運用いただいているところですが、「消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件の一部を改正する件」(平成22年消防庁告示第24号)が本日公布されたことに伴い、「消防用設備等の点検要領の全部改正について」(平成14年6月11日付け消防予第172号。以下「点検要領」という。)の一部を下記のとおり改正しましたので通知します。
1 点検要領の一部改正について
「第1 消火器具」を本通知の別添「第1 消火器具」に改めること。
点検要領は、点検の項目ごとに、点検の方法と判定の方法、留意事項を示した文書です。
通知の末尾は、消防組織法第37条の規定に基づく助言として発出すると書いています。
告示と点検要領の関係は、次の表のとおりです。
| 文書 | 内容 |
|---|---|
| 昭和50年消防庁告示第14号 | 消防用設備等の点検の基準と点検票の様式を定める(消火器具は別表第1) |
| 平成14年6月11日付け消防予第172号 | 消防用設備等の点検要領を全部改正した通知(この通知が「点検要領」と呼ぶもの) |
| 平成22年消防庁告示第24号 | 点検の基準を定める告示を一部改正する告示(平成22年12月22日に公布) |
| 平成22年12月22日付け消防予第557号 | 点検要領の「第1 消火器具」を別添のものに改め、点検実施時の留意事項を示した |
告示と点検要領は、別のものなのですか。
はい、告示が点検の基準を定めます。
点検要領は、点検の方法と判定の方法を細かく示します。
耐圧性能の点検はどの消火器が対象になるのか

まず、告示の現行の文を引いて確かめます。
(5)消火器の耐圧性能
消火器のうち、製造年から10年を経過したもの又は消火器の外形の点検において本体容器に腐食等が認められたものについて実施すること。ただし、この点検を実施してから3年を経過していないものを除く。
ア 本体容器
所定の水圧をかけた場合において、変形、損傷又は漏水等がないこと。
イ キャップ
所定の水圧をかけた場合において、変形、損傷又は漏水等がないこと。
製造年から10年を経過した消火器は、外形の状態に関わらず対象です。
10年に届かなくても、外形の点検で本体容器に腐食等が認められれば対象になります。
ただし、耐圧性能の点検を実施してから3年を経過していないものは、対象から除かれます。
| 消火器の状態 | 耐圧性能の点検 |
|---|---|
| 製造年から10年を経過したもの | 対象になる |
| 外形の点検で本体容器に腐食等が認められたもの(10年未満を含む) | 対象になる |
| どちらにも当たらないもの | 対象にならない |
| 上の二つに当たっても、耐圧性能の点検を実施してから3年を経過していないもの | 対象から除かれる |
(ア)腐食のあるものは耐圧性能に関する点検を行うこと。
(イ)溶接部の損傷しているもの又は著しい変形のあるもので機能上支障のおそれのあるもの、著しく腐食しているもの及び錆がはく離するようなものは廃棄すること。
通知の留意事項の文は、括弧書きで二酸化炭素消火器とハロゲン化物消火器を除いて書かれています。
自社の消火器の種類ごとの扱いは、点検要領の本文か所轄の消防署で確かめてください。
10年たっていなくても、さびていたら対象なのですか。
はい、外形の点検で腐食が認められれば対象です。
ただし、著しい腐食やはく離するさびは、廃棄になります。
耐圧性能の点検ではどんな手順で水圧をかけるのか

まず、加圧式の消火器(化学泡消火器以外)の手順から引いて確かめます。
(7)本体容器内を水道水で満水にし、レバーを握ったままの状態で、キャップを締める。
(10)耐圧試験機を作動させ、各締め付け部及び接続部からの漏れがないことを確認しながら本体容器に表示された耐圧試験圧力値(「消火器の技術上の規格を定める省令」(昭和39年自治省令第27号)第12条第1項第1号に規定する試験に用いた圧力値。以下「所定の水圧」という。)まで、急激な昇圧を避け、圧力計で確認しながら徐々に昇圧する。
(11)所定の水圧を5分間かけて、変形、損傷又は漏れのないことを確認する。
(12)耐圧試験機の排圧栓から水圧を排除し、圧力計の指針が「0」になったのを確認してから本体容器内の水を排水する。
水圧をかける前の準備は、消火器の区分ごとに違います。
別添2は、加圧式(化学泡消火器以外)、加圧式(化学泡消火器)、蓄圧式の3区分に分けて順序を示しています。
| 区分 | 水圧をかける前の主な作業 | 満水にするときの点 |
|---|---|---|
| 加圧式(化学泡消火器以外) | 排圧栓で内圧を排出し、キャップを外して加圧用ガス容器等を取り出す。安全栓を引き抜き、粉上り防止用封板を取り外す | レバーを握ったままキャップを締める |
| 加圧式(化学泡消火器) | キャップを外して内筒を取り出し、消火薬剤を別の容器に移す | 満水にしてキャップを締める |
| 蓄圧式 | 指示圧力計の指針を確認し、内圧を完全に排出して、指針が「0」になったのを確認してからキャップを外す | レバーを握ったままキャップを締める |
通知は、本体容器に表示された耐圧試験圧力値で、規格省令の第12条第1項第1号の試験に用いた圧力値だと書いています。
規格省令の該当部分を引いて確かめます。
消火器の本体容器(手動ポンプにより作動する水消火器にあつてはポンプ本体。以下この条において同じ。)の耐圧は、次の各号に適合するものでなければならない。
次の表の上欄に掲げる本体容器の区分に応じ、それぞれ当該下欄に掲げる圧力を水圧力で五分間加える試験を行つた場合において、漏れを生ぜず、かつ、強度上支障のある永久ひずみ(円筒部分にあつては、円周長の〇・五パーセント以上の永久ひずみ)を生じないこと。
省令の表から、加圧式のうち開閉式のノズルを有するものと、蓄圧式の倍率を抜き出しました。
Pは調整圧力の最大値などを、Qは蓄圧式の指示圧力計の緑色で明示された使用圧力の上限値を表します。
| 区分 | 材料 | 安全弁 | 加える圧力 |
|---|---|---|---|
| 加圧式(開閉式のノズル) | 非耐食性材料 | なし | P×2.0 |
| 加圧式(開閉式のノズル) | 非耐食性材料 | あり | P×1.6 |
| 加圧式(開閉式のノズル) | 耐食性材料 | なし | P×1.6 |
| 加圧式(開閉式のノズル) | 耐食性材料 | あり | P×1.3 |
| 蓄圧式 | 非耐食性材料 | なし | Q×2.0 |
| 蓄圧式 | 非耐食性材料 | あり | Q×1.6 |
| 蓄圧式 | 耐食性材料 | なし | Q×1.6 |
| 蓄圧式 | 耐食性材料 | あり | Q×1.3 |
表の倍率を自分で計算するのではなく、容器に表示された値まで昇圧します。
試験の圧力は、点検する人が自分で決めるのですか。
いいえ、本体容器に表示された耐圧試験圧力値まで上げます。
表示を読むことが、最初の作業です。
抜取り方式はなぜ平成26年3月31日で終わったのか

まず、その部分を引いて確かめます。
消火器(二酸化炭素消火器及びハロゲン化物消火器を除く。以下同じ。)の耐圧性能に関する点検について、製造年から10年を経過したもの(消火器の外形の点検において本体容器に腐食等が認められたものを除く。以下同じ。)は、経過措置により平成26年3月31日までの間は抜取り方式により実施することができるとされているが、平成26年4月1日以降は、抜取り方式により実施することはできず、製造年から10年を経過したものすべてに実施義務が生じることとなるので留意されたい。
通知の書き方では、この経過措置の対象は、外形の点検で腐食が認められたものを除く10年を経過した消火器です。
別添の点検要領には、抜取りの決まりが「平成26年3月31日までの間実施できる」ものとして残されていました。
| 項目 | 平成26年3月31日まで実施できた抜取り方式 |
|---|---|
| 確認ロット | 器種、種別(大型、小型の別)、加圧方式が同一のものを1ロットとする |
| 抜取りの仕方 | 3年で全数の確認が終了するよう、概ね均等に製造年の古いものから抽出する |
| 欠陥がなかった場合 | 当該ロットは良とする |
| 欠陥があった場合 | 欠陥のあった試料は廃棄し、同一メーカー、同一質量、同一製造年のもの全数について耐圧性能を確認する(外部からの衝撃によるものと判断されるものは除く) |
一方で、(4)内部及び機能の項には、放射試験などの抜取り方式が残っています。
抜取りが認められる点検と、認められなくなった点検を、混同しないことが大切です。
抜取りでよかった期間があったのですね。
いまは10年を経過したものを全部見るのですか。
はい、平成26年4月1日以降は、すべてが対象です。
製造年を一覧にして数えましょう。
明日から消火器の点検で何を確かめればよいのか

まず、規則の該当部分を引いて確かめます。
法第十七条の三の三の規定による消防用設備等の点検は、種類及び点検内容に応じて、一年以内で消防庁長官が定める期間ごとに行うものとする。
消火器具の機器点検は6月ごとで、耐圧性能の点検は告示別表第1の機器点検の項目の一つです。
6月ごとに毎回水圧をかけるわけではなく、対象は、上の条件に当たるものから、前回の点検から3年を経過していないものを除いたものです。
| 消防用設備等の種類 | 点検の内容 | 点検の期間 |
|---|---|---|
| 消火器具 | 機器点検 | 6月 |
| 屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、自動火災報知設備など | 機器点検 | 6月 |
| 屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、自動火災報知設備など | 総合点検 | 1年 |
- 消火器の一覧に、製造年と、前回の耐圧性能の点検日を書き込む
- 製造年から10年を経過したものを洗い出し、耐圧性能の点検の対象かを見る
- 外形の点検で腐食があるものは、10年未満でも対象に回す
- 著しい腐食やはく離するさびがあるものは、耐圧性能の点検ではなく廃棄の判断をする
- 点検を実施してから3年を経過していないものは対象外なので、前回の点検日を記録しておく
消火器がたくさんあるのですが、どこから手を付けますか。
まず、消火器の製造年を一覧にしましょう。
10年を経過したものが、耐圧性能の点検の候補になります。
よくある質問
まとめ
消火器の耐圧性能を、確かめます!
消火器の点検は、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防予第557号「消防用設備等の点検要領の一部改正について」(平成22年12月22日 消防庁予防課長)別添
- 消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件(昭和50年消防庁告示第14号)別表第1
- 消防法施行規則の規定に基づき、消防用設備等又は特殊消防用設備等の種類及び点検内容に応じて行う点検の期間、点検の方法並びに点検の結果についての報告書の様式を定める件(平成16年消防庁告示第9号)第3
- 消防法(昭和23年法律第186号)第17条の3の3 e-Gov法令検索
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第31条の6 e-Gov法令検索
- 消火器の技術上の規格を定める省令(昭和39年自治省令第27号)第12条 e-Gov法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





