消火器の点検は、外観を見るだけでなく、キャップを開けて中を確かめる場面があります。
粉末や高圧ガスを扱う作業なので、作業の順序と道具に決まりごとがあります。
この記事では、点検要領が定める七つの一般的留意事項を整理します。
消火器の点検で、キャップは工具で開けてよいのですか。
点検要領は、所定のキャップスパナを使うよう定めています。
ハンマーやタガネは使えません。
点検のあいだ、消火器を外したままにしてもよいのですか。
外したままにするなら、代替の消火器を置いておくよう書かれています。
順番に見ていきましょう。
- 消火器の点検には、点検要領の第1に七つの一般的留意事項が書かれています。
- キャップやプラグを開けるときは、残圧を排除する手段を講じた後に開けます。
- キャップの開閉は所定のキャップスパナで行い、ハンマーやタガネは使いません。
- 二酸化炭素・ハロゲン化物の消火器と加圧用ガス容器のガス充てんは、専門業者に依頼します。
- 点検で消火器を移動したままにするときは、代替消火器を設置しておきます。
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目次
消火器の点検の一般的留意事項はどこに書かれているのか

点検のやり方は、消防庁の点検要領が示しています。
1 一般的留意事項
(1)性能に支障がなくともごみ等の汚れは、はたき、雑きん等で掃除すること。
(2)合成樹脂製の容器又は部品の清掃にはシンナー、ベンジン等の有機溶剤を使用しないこと。
(3)キャップ又はプラグ等を開けるときは容器内の残圧に注意し、残圧を排除する手段を講じた後に開けること。
1 一般的留意事項(続き)
(4)キャップの開閉には、所定のキャップスパナを用い、ハンマーで叩いたり、タガネをあてたりしないこと。
(5)ハロゲン化物及び粉末消火薬剤は、水分が禁物なので、消火器本体の容器内面及び部品の清掃や整備には十分注意すること。
(6)二酸化炭素消火器、ハロゲン化物消火器及び加圧用ガス容器のガスの充てんは、専門業者に依頼すること。
(7)点検のために、消火器を所定の設置位置から移動したままにする場合は、代替消火器を設置しておくこと。
(1)(2)(5)が掃除と薬剤、(3)(4)がキャップ、(6)がガス充てん、(7)が設置位置です。
この分け方は当記事の整理で、点検要領の区分ではありません。
一般的留意事項は、消火器の種類を問わず全部に当てはまるのですか。
見出しは消火器具の一般的留意事項ですが、(6)のように、二酸化炭素などの種類を限った項目もあります。
掃除や整備で樹脂の部品と薬剤に何を気をつけるのか

点検要領は、道具と薬剤の面から三つの注意を書いています。 一つ目は、性能に支障がなくても汚れは掃除することです。
はたきや雑きんを使うと書かれています。
二つ目は、合成樹脂製の容器や部品に、シンナーやベンジンなどの有機溶剤を使わないことです。
樹脂製消火器の扱いは、樹脂製消火器の記事もあわせてご覧ください。 三つ目は、ハロゲン化物と粉末の消火薬剤が水分を嫌うという注意です。
点検要領は、容器内面や部品の清掃・整備に十分注意するよう求めています。
具体的な水分の避け方までは、この項目には書かれていません。
汚れているだけなら、そのままにしておいてもよいですか。
点検要領は、性能に支障がなくても掃除することと書いています。
キャップを開けるときはなぜ残圧に注意するのか

点検要領は、開けるときの順序を決めています。 開ける前に、残圧を排除する手段を講じます。
手段の具体例は、この項目には書かれていません。
読み取れるのは、残圧の処置が先で、開けるのが後という順序です。
理由の説明は点検要領にないため、開けた瞬間の危険を避ける趣旨と読むのが自然です。 開閉の道具も決まっています。
所定のキャップスパナを使い、ハンマーで叩いたり、タガネをあてたりしないことです。
キャップスパナは、点検要領の第1-1図に例が載っています。
固くて回らないキャップは、ハンマーで軽く叩いてもよいですか。
点検要領は、ハンマーで叩くことを禁じています。
固い場合の扱いは書かれていないため、消防設備士にご相談ください。
ガスの充てんはなぜ専門業者に依頼するのか

点検要領は、対象を三つに限って専門業者への依頼を書いています。 対象は、二酸化炭素消火器、ハロゲン化物消火器、加圧用ガス容器の三つです。
これらのガスの充てんは、専門業者に依頼するとされています。
専門業者に依頼する理由は、点検要領には書かれていません。
高圧のガスを扱う作業であることが背景にあると考えられますが、根拠条文までは確認できていません。
粉末消火器の薬剤の詰め替えも、専門業者に依頼するのですか。
(6)が名前を挙げているのは三つの対象です。
粉末の詰め替えの扱いは、この項目からは分かりません。
点検で消火器を外すあいだは何を置いておくのか

点検要領は、そのあいだの備えを決めています。 所定の設置位置から移動したままにするなら、代替消火器を設置しておきます。
持ち出した本体が戻るまで、その場所の消火の備えを空けないための項目と読めます。
この趣旨の説明は、点検要領にはありません。
消火器具は、防火対象物の階ごとに、当該防火対象物の各部分から、それぞれ一の消火器具に至る歩行距離が二十メートル以下となるように配置しなければならない。
防火対象物又は設置を要する場所の各部分から、一の消火器に至る歩行距離が20m以下、大型消火器にあっては30m以下となるように配置してあること。
これは当記事の読み取りで、点検要領に理由は書かれていません。
歩行距離の考え方は、消火器の本数と歩行距離の記事でまとめています。
代替の消火器は、点検した消火器が戻るまで置けばよいのですか。
点検要領は、移動したままにする場合に置くと書いています。
戻す時期の細かい扱いは、書かれていません。
よくある質問
まとめ
外した消火器の代わりの1本を、先に用意しておきましょう!
点検は、残圧の処置とキャップスパナから始めます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防用設備等の点検要領の全部改正について(平成14年6月11日 消防予第172号)別添 第1 消火器具
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第6条・第31条の6
※本記事は公表されている法令および消防庁の点検要領に基づく一般的な解説です。点検要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。





