自動火災報知設備やスプリンクラー設備をまとめて操作できる総合操作盤は、防災センターの中心に据えられる重要な設備です。
ところがこの総合操作盤そのものの位置づけや、誰が工事・整備・点検を担当できるのかは、意外と整理されていません。
消防庁は告示と通知のなかで、総合操作盤の法令上の扱いから資格の中身、既存設備の経過措置までを質疑応答の形でまとめています。
総合操作盤を導入・維持するときに誰の手を借りればよいかが、この五つの質疑応答で見えてきます。
総合操作盤を入れたいんですけど、工事や点検は普通の消防設備士さんに頼めばいいんでしょうか。
総合操作盤って、そもそも消防用設備等そのものなんですか。
総合操作盤は、個々の消防用設備等の操作盤の機能を持つので、消防用設備等そのものに含まれると扱われます。
ただし工事や点検を任せられる資格には、普通の消防設備士と専門技術者とで違いがあります。
専門技術者というのは初めて聞きました。
消防庁の通知にその資格や既存設備の扱いまで細かく書かれていますので、順に見ていきましょう。
- 総合操作盤は、個々の消防用設備等の操作盤の機能を持つため消防用設備等に含まれるとされました
- 個々の消防用設備等の操作盤の工事・整備・点検は、当該消防用設備等に係る消防設備士又は消防設備点検資格者が行えるとされました
- 総合操作盤の工事・整備を担う火災報知システム専門技術者は、甲種第4類の消防設備士の資格を持つ者が業界団体の自主管理制度のもとで認められる資格です
- 総合操作盤の基準適合性は、日本消防設備安全センターの基本型評価と個別確認による「認定」として確認されます
- 旧基準で設置された既存の総合操作盤も、平成11年4月1日以降は消防法第17条第1項の消防用設備等として扱われます
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目次
総合操作盤そのものは消防用設備等に含まれるのか

総合操作盤は、受信機や起動装置などをひとつにまとめた大きな操作パネルです。
まず、この総合操作盤そのものが法令上どう位置づけられるのかが問われました。
総合操作盤は独立した別枠の設備ではありません。
自動火災報知設備の受信機やスプリンクラー設備の起動装置といった、既存の消防用設備等の操作盤の機能をまとめて持つことから、それらの消防用設備等に含まれるものとして扱われます。
つまり総合操作盤を導入しても、消防法施行令第7条の設備区分が新しく増えるわけではありません。
だからこそ、工事や点検の担当者も、まとめた先の個々の消防用設備等の資格制度がベースになります。
次は、その個々の操作盤を誰が担当できるのかを見ていきましょう。
総合操作盤という新しい設備が増えるわけじゃないんですね。
はい。
では個々の操作盤の工事や点検を誰が担当できるのか、続けて見ていきましょう。
個々の操作盤の工事整備点検は誰が担当できるのか

総合操作盤に組み込まれる前の、個々の消防用設備等の操作盤もあります。
こちらの担当者は、普段どおりの資格制度で決まります。
個々の操作盤は特別な資格を新たに要求しません。
スプリンクラー設備の起動装置の操作盤なら、スプリンクラー設備を扱える消防設備士がそのまま工事・整備を担当できます。
点検も同様に、当該設備の消防設備点検資格者が行えば足ります。
総合操作盤に組み込まれる前と後で、個々の設備を担当する資格の範囲そのものは変わりません。
ただし総合操作盤を全体としてまとめる工事・整備には、もう一段別の資格が関わってきます。
個々の設備なら、いつもの消防設備士さんで大丈夫なんですね。
そうです。
総合操作盤をまとめる側には、もう一つの資格が関わります。
総合操作盤の工事整備を担う専門技術者とはどのような資格なのか

総合操作盤そのものをまとめて扱うには、別の肩書きが出てきます。
その内容を質疑応答が説明しています。
専門技術者は業界団体が運営する上乗せの資格です。
ベースになるのは甲種第4類の消防設備士の資格ですが、それだけでは総合操作盤特有の個別ソフトウェアまでは扱えません。
そこで日本火災報知機工業会が、調整や設定変更ができる「第1種」と、設定変更までができる「第2種」の二段階で技術者を認定しています。
総合操作盤は建物ごとに防災情報の設定が異なるため、固有のソフトウェアを扱える技術者でなければ安全に調整できません。
この資格の仕組みが分かると、次に見る基準適合性の確認の流れも理解しやすくなります。
消防設備士の資格だけでは足りないんですね。
はい。
では総合操作盤そのものの基準適合性はどう確認されるのか、見ていきましょう。
総合操作盤の基準適合性はどのように確認されるのか

総合操作盤を建物に設置する前には、基準に適合しているかの確認が要ります。
その手続きが「認定」とどう関わるのかが問われました。
名前は違いますが仕組みは同じ認定制度です。
「基本型評価」は、他の設備の型式認定にあたる書類中心の審査で、総合操作盤の基本的な仕様を確認します。
「個別確認」は個別認定にあたり、実際に建物ごとに製造された総合操作盤そのものが基準どおりかを見ます。
呼び方が操作盤用に専用化されているだけで、審査の二段構えという考え方は他の消防用設備等と変わりません。
最後に、この認定の仕組みが整う前から設置されていた既存の総合操作盤がどう扱われるかを見てみましょう。
呼び方が違うだけで、ほかの設備と同じ流れなんですね。
そうです。
最後に、既存の総合操作盤の扱いを確認しましょう。
旧基準で設置された総合操作盤は現行法上どう扱われるのか

告示が整う前から、同等の仕組みを備えた総合操作盤を設置していた建物もあります。
その既存設備の扱いが最後に示されました。
古い総合操作盤も宙に浮いたままにはなりません。
告示の基準に照らして同等以上と認められた既存の総合操作盤は、平成11年4月1日という節目から正式に消防用設備等として位置づけられました。
特別に作り直しを求められるのではなく、監視・操作している先の消防用設備等の一部として扱われる点がポイントです。
これにより、告示制定の前後で設備の実質的な機能が変わらなければ、改修や作り直しをせずに継続して使い続けられます。
総合操作盤を導入済みの建物も、この経過措置が自分の設備にどう当たるかを一度確認しておく価値があります。
古い設備も、むやみに作り直さなくていいんですね。
はい。
ここまでの五つの質疑を、よくある質問でも整理しておきましょう。
よくある質問
まとめ
よく分かりました。
うちの総合操作盤も、誰が担当できる工事なのか、一度確認してみます。
総合操作盤の資格や既存設備の扱いは、建物ごとに事情が異なる分野です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第17条第1項・施行令第7条(e-Gov法令検索)
- 消防用設備等に係る操作盤を設ける防火対象物の要件(平成9年消防庁告示第1号)
- 操作盤の基準(平成9年消防庁告示第2号)・操作盤の設置免除の要件を定める件(平成9年消防庁告示第3号)
- 平成9年3月21日消防予第50号 消防庁予防課長通知「消防用設備等に係る操作盤を設ける防火対象物の要件、操作盤の基準及び操作盤の設置免除の要件を定める件を定める告示の制定について」(消防実務六法 質疑応答編収録)
- 平成9年7月29日消防予第127号 消防庁予防課長通知「操作盤及び総合操作盤の評価等について」(消防実務六法 質疑応答編収録)
※本記事は平成9年の告示・通知に基づく質疑応答を題材に、現行の消防法令と照らして解説したものです。個別の建物・設備の判断は所轄の消防機関にご確認ください。





