消防設備の点検で感知器の不良が見つかり、その場で新しいものに取り替えたとき、消防署への設置届は出さなければならないのでしょうか。
消防庁の通知は、軽微な工事であっても「設置届を省略することはできない」としています。
この記事では、吹田市消防本部の質疑応答集が、点検時の感知器の取替えを「点検報告書に記載することで設置届は省略」としている点を、国の通知と並べて読みます。
市の答えは国の通知より広く読めるため、どこまで確かめられて、どこから先が確かめられないのかも整理します。
感知器を替えただけでも、届出が要るのですか?
国の通知では、設置届は省略できません。
吹田市の答えは違います。
市のほうが緩いということですか?
そう読める答えが、質疑応答集にあります。
順に確かめていきましょう。
- 国の通知は、軽微な工事に当たる感知器の取替えや移設でも、設置届を省略することはできないとし、消防検査の現場確認だけを省略できるとしています
- 国の通知の別紙2は、自動火災報知設備の感知器の取替えを10個以下、移設を10個以下で警戒区域の変更がない場合に、軽微な工事としています
- 吹田市の質疑応答集 第21節 問7は、点検時の感知器の取替えと移設を点検報告書に記載することで設置届を省略してよいかと問い、答えは「省略可とする」です
- 豊中市の運用基準は、軽微な工事でも設置届を提出するとしており、国の通知と同じです。吹田市の答えは、設置届については国の通知より広い取扱いに読めます
- 質疑応答集には、個数の条件や根拠、報告書を提出する時期は書かれていません。実際の取扱いは、管轄の消防署で確認してください
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目次
国の通知は軽微な工事の設置届をどう扱っているのか

消防庁は、この届出を工事の種類ごとにどう扱うかを、通知で整理しています。 国の通知は、消防用設備等の工事を、新設、増設、移設、取替え、改造、補修、撤去の7つに分けています。感知器の交換に関係する「取替え」と「補修」の定義は、次のとおりです。
| 工事の区分 | 着工届 | 設置届 | 消防検査 |
|---|---|---|---|
| 新設・改造 | 必要 | 必要 | 必要 |
| 増設・移設・取替え | 原則として必要(軽微な工事は不要にできる) | 必要 | 必要(軽微な工事は現場確認を省略できる) |
| 補修・撤去 | 不要 | 不要 | 不要 |
軽微な工事の範囲は、別紙2に設備ごとに数で決められています。自動火災報知設備の感知器は、次のとおりです。
| 工事の区分 | 感知器の軽微な工事の範囲(別紙2) |
|---|---|
| 増設 | 既設と同種類のもので10個以下 |
| 移設 | 10個以下で、警戒区域の変更がない場合に限る |
| 取替え | 10個以下 |
軽微な工事なら、届出もいらないと思っていました。
届出は要ります。
省略できるのは、検査の現場確認のほうです。
吹田市の質疑応答集は点検時の感知器の取替えをどう答えているのか

ア)点検時に感知器の感度不良、変形があったため取替えた場合。
イ)点検時に不作動であった感知器のヘッド、ベース共に取替えた場合。
ウ)点検時に空調の吹出口に接近して設置している感知器を移設した場合。
| 問7の場合 | 国の通知の区分で読むと |
|---|---|
| ア 感度不良や変形のある感知器を取り替える | 取替え |
| イ 不作動の感知器を、ヘッドとベースごと取り替える | 取替え |
| ウ 空調の吹出口に近い感知器を移設する | 移設 |
点検報告書は、消防法第17条の3の3が定める報告のことと読めます。
同じ項は、点検の結果を維持台帳に記録することも定めています。
ただし、質疑応答集には、記載する点検報告書がいつ提出するものを指すのかは書かれていません。
点検のときに替えたら、届出はいらないのですか?
吹田市の答えは、「省略可」です。
ただし条件は書かれていません。
国の通知と吹田市の答えはどこが違うのか

| 問7の場面 | 国の通知 | 吹田市の答え |
|---|---|---|
| ア 感度不良・変形の感知器の取替え | 取替え。設置届は必要 | 点検報告書に記載で設置届を省略可 |
| イ 不作動の感知器のヘッドとベースの取替え | 取替え。設置届は必要 | 点検報告書に記載で設置届を省略可 |
| ウ 空調の吹出口に近い感知器の移設 | 移設。10個以下で警戒区域の変更がなければ軽微な工事だが、設置届は必要 | 点検報告書に記載で設置届を省略可 |
| 消防検査の現場確認 | 軽微な工事なら省略できる | 質疑応答集には書かれていない |
質疑応答集は、その根拠となる条文や通知を書いていません。国の通知とどう整合するのかは、質疑応答集だけでは判断できません。 他の市の基準はどうなっているのでしょうか。豊中市消防局の運用基準は、軽微な工事の設置届と消防検査を、次のように書いています。
大阪市、東大阪市、堺市の運用基準・審査基準を読んだ範囲では、点検時の取替えで設置届を省略できるという記述は見当たりませんでした。
国の通知と吹田市で、答えが逆に見えます。
はい、設置届の扱いが違います。
豊中市は国の通知と同じです。
吹田市は感知器以外の取替えにも同じ答え方をしているのか

| 問 | 場面 | 吹田市の答え |
|---|---|---|
| 問6 | 耐圧点検の必要のある消火器を、耐圧点検せずに全数更新した場合 | 点検報告書に記載すれば設置届を省略可 |
| 問8 | R型受信機のソフトのみを変更した場合 | 設置届は不要 |
| 問9 | 製造中止となった誘導灯を、既設と同等の種類・機能・性能のものに交換する場合 | 設置届で可(原則は設計届) |
| 問10 | 特定共同住宅等の住戸の受信機・感知器・戸外表示機・補助音響等を、既設と同機能又は同等のものに取り替える場合 | 設置届で可 |
一方、問9と問10は「設置届で可」なので、取替えに設置届が必要とする国の区分と矛盾しません。 国の通知の別紙2が軽微な工事として挙げているのは、屋内消火栓、スプリンクラー、水噴霧、泡、二酸化炭素などの消火設備、自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、避難器具です。
消火器、誘導灯、特定共同住宅等の設備の行はありません。問6、問9、問10は、国の表と数で比べることはできません。
感知器以外にも、省略できるものがあるのですか?
消火器の更新とR型受信機のソフト変更にも答えがあります。
ただし国の表とは比べられません。
点検で不良を見つけて取り替えたときは何を確かめればよいのか

- 作業が、元に直す補修なのか、交換する取替えなのか、位置を変える移設なのかを分けます。国の区分で届出が不要になるのは、補修と撤去だけです。
- 交換や移設をする感知器の数を数えます。国の別紙2の軽微な工事は、感知器で10個以下です。
- 吹田市の防火対象物なら、質疑応答集の問7の答えに沿って、取替えや移設の内容を点検報告書に記載します。
- 吹田市以外では、豊中市のように、軽微な工事でも設置届を出す市があります。吹田市の答えを他の市に当てはめないようにします。
- 設置届を省略してよいか、どの点検報告書に書くのかを、作業の前に消防署へ確かめます。経過は維持台帳にも記録します。
軽微な工事の運用が全国で統一されているかどうかは、軽微な工事の運用の記事で扱っています。
点検のとき替えた分は、報告書に載せればよいのですね?
吹田市では、問7がそう答えています。
実際の取扱いは消防署で確かめましょう。
よくある質問
まとめ
まず工事の区分を整理します。
そのうえで消防署に相談します!
設置届の要否は消防署で確認しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 吹田市消防本部「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」第21節 事務処理 問6〜問10(更新2026-07-13) https://www.city.suita.osaka.jp/anzen/1017917/1017954/1044807.html
- 豊中市消防局「消防用設備等の設置に関する運用基準」(令和6年4月1日改正)第1部 第1章 第2節 第4 https://www.city.toyonaka.osaka.jp/kurashi/bosai/toyonakafiredept/todokede/setubiunnyoukijun.html
- 消防庁「設置届及び着工届の添付図書等に関する運用について(通知)」別添2「消防用設備等に係る届出等に関する運用について」(令和5年3月30日消防予第196号・消防危第68号) 消防庁の通知PDF
- 消防法 第17条の3の2・第17条の3の3(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC1000000186
- 消防法施行規則 第31条の3・第31条の6(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/336M50000008006
※本記事は公表されている法令・消防庁の通知および吹田市・豊中市の公開資料に基づく一般的な解説です。基準は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防局で確認してください。






